海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.63
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本棚登録 : 25049
レビュー : 1658
  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001555

作品紹介・あらすじ

四国の図書館に着いたカフカ少年が出会ったのは、30年前のヒットソング、夏の海辺の少年の絵、15歳の美しい少女-。一方、猫と交流ができる老人ナカタさんも、ホシノ青年に助けられながら旅を続ける。"入り口の石"を見つけだし、世界と世界が結びあわされるはずの場所を探すために。謎のキーワードが二人を導く闇の世界に出口はあるのか?海外でも高い評価を受ける傑作長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 苦手な描写がチラホラ。
    “タフになること”の意味あいも、なんとなくわたしと合わなくて。
    そして、やっぱりわたしはナカタさんの章の方がすき。
    ってことは、やっぱりハルキストではないわけで。
    あっ、でも兵隊はすごくすき。

    こちらの付箋は16ヶ所。
    やっぱり全然、前とは違うところに。

    二つの物語が一つに重なっていく感じは少し、1Q84に似ている。
    物語の収束は、とても美しい。

  • 小説の理論的な書き方を解説しながら、あるいは種明かししながら物語が進んでいくので少し笑える!!
    「ロシアの作家アントン・チェーホフがうまいことを言っている。『もし物語の中に拳銃が出てきたら、それは発射されなくてはならない』ってな。」

    でも、まぁ話は面白かった。

  •  村上春樹は読んだことがなかった。別に食わず嫌いだったわけでもなく、ただ何となく。そこへ、先日友人からのこの本を薦められ、読んでみた。初春樹だ。
     先が気になってやめられず、一気読みしてしまった。時間は計ってなかったけれど、ものすごく速かった。ストーリーが面白かったのもあるけれど、話の密度が低いのも速く読めた一因ではないか。一見深いことを言っているようなシーンも多いのだが、その背景にあるのは著者の感覚に過ぎないように思える。論理的な説得力が感じられず、全体的に話が軽い。なので、どんどん読み飛ばしてゆける。
     軽いと言えば、登場人物も軽い。性格が軽いのではなくて、存在感が軽い。まず人が存在して 彼らが動いてストーリーが生まれるのではなく、まずストーリーがあって それに基づいて人物が動かされている感じがする。それぞれ葛藤があり悩みがあって、その中でもがきながら動くのが人間だろう。しかし、この本では「あ、台本にこう書いてあるから次はこう動かなきゃ」みたいな感じで登場人物は行動する。だから、存在感が軽い。俳優が舞台の上で役を演じてはいるが、それはあくまで舞台上だけの役割で、舞台を降りたら別の生活がある。その、舞台の上の部分だけを描写しているような感じ、とでも言おうか。人物に厚みがなくて、こっち側から見えている面は人間だけれど、それは皮一枚で、裏に回れば空っぽではないかとさえ思う。これはぶっ飛んだストーリーのせいではなくて、著者の問題だと思う。もっとぶっ飛んだストーリーでも、実在感にあふれた作品を書く人もいるのだから。
     軽さに拍車をかけているのが、ブランド志向な描写だ。レヴォのサングラスとか、VWのゴルフとか、トミーヒルフィガーとか、クルマやガジェット・ファッション関係で妙にブランドにこだわった描写が目につく。それが、ブランド物ばかり置かれた住宅展示場の生活感のない空間のようなイメージで、作品全体の実在感をさらに希薄にしている。
     何だかボロクソに書いてしまった。まぁ、ストーリーはよく出来ていた。

  • 星野青年とナカタさんのやり取りが凄く好き。
    カフカ少年のところは私には少々難しくて、理解が追いつかなかったな。
    でも感じるところはたくさんあったし、何しろ「ことばで説明してもそこにあるものを正しく伝えることはできないから。本当の答えというのはことばにはできないものだから」。感じたまま呑み込んでも良いかな、なんて。
    敢えて、難しく色々と考え込んでそれをことばにしなくても良いかなって。
    この本は、風の音を聞くみたいに「感じる」本として、受け取る事にしました。
    そしてカフカ少年、レディオヘッドを聴いているとは!!私もキッドA好きです。

  • 上下まとめて。
    主人公の一人「田村カフカ」は中野区野方に住む、高名な彫刻家の息子で家出少年。母と義理の姉が幼い頃に出て行ったことが、ずっと心の重りになっている。
    もう一人の主人公、ナカタさんも野方在住の60歳の老人。幼い頃のある経験で、影が濃さが半分になり、読み書きの能力を失い、猫と話せるようになった。

    呪われた予言を受け、「世界でいちばんタフな15歳になるため」、カフカ少年は家を出て四国・高松へ向かい、姉のような”サクラさん”と出会い、甲村記念図書館の一部となり、大島さん、そして佐伯さんと出会う。図書館の一室に住むことになったカフカ少年は周囲と不思議に交わっていく。
    一方ナカタさんは猫探しの依頼から事件に巻き込まれ、「入り口の石」を探しにヒッチハイクをし、途中で出会ったトラック運転手・星野の力を借りて高松へ向かう。

    ナカタさんストーリーとカフカのストーリーが並行して進んでいくも、二人とも高松へ向かい、それがだんだん一点に集約していく。
    ギリシャ神話「オイディプス」をベースにしている通り、父を殺し母と交わる描写がある。
    基本的にはカフカ少年の成長物語であり、ミステリー要素もあって、村上春樹作品としてはわかりやすかった。
    「ジョニー・ウォーカー」氏による猫の惨殺シーンはかなりグロテスクで、読み飛ばした方がよかった。ああでもしないと、なかなか”殺人”という行為をニュートラルに描けないのでしょうが。
    猫はきっと”読み書き=記録のない世界”の象徴なのでしょう。図書館とは対をなす。

    人は現世で生きている出来事にのみ関わるわけでなく、去った人たちの記憶の世界や、夢の世界とも関わり、ときにそこにも責任が生じる。
    カフカ少年は心の友人「カラス」とともに旅立ち、高松でサクラさんと大島さんと出会った。予言を終え、最後に東京へ戻るとき、「新しい世界の一部に」なる。
    傷を抱えて、旅をするとはこういうものかもしれない。少しノスタルジックになるが、「ジョニー・ウォーカー」氏を除けば登場人物がみんな優しい人で、結構すきな作品でした。またいつか読み返そう。

  • 主人公二人のエピソードが交互に綴られる構成。読み終わって、私自身の読み込む力不足なのかもしれませんが、解決できない部分もあるのですが、面白く読めました。村上春樹さんの文章が、好きなので疑問が残っても楽しく読めてしまいます。

  • 様々な古典文学を抽象化しエッセンスを複雑に混交させ具体化的物語へ昇華する、村上春樹氏の凄さが作品からは伝わってくる。が、読み終えてもこの物語が一体何であったかの総括は難しい。村上春樹氏の他作品と比べてより現代小説的であり、所々差し込まれる残酷的であり肉感的であり直接的な描写が不思議な感覚を与える。カフカ少年の新たな旅立ちを感じさせる終わり方も特徴的であろう。本作品はカフカ少年を軸とした並行世界のようでありながら、ひょっとすると全てカフカ少年の幻想もしくは可能性であった世界なのかもしれない。最終的には各自の喪失を持って大人へ脱皮したカフカ少年に収斂し現実社会へ復帰する形で幕を閉じる。

    但し本作品は現実と非現実との区切りが比較的はっきりかつ唐突なところがあり、村上作品の持つ浮遊感みたいなものは少なめであったように感じる。

  • 後半の物語の方が好き。 ナカタさんとホシノさんのストーリーがたまらなくいい。 二人の会話もそうだが、二人の信頼関係というか、友情がとてもいい。最後にホシノさんがナカタさんの為にしてあげた事、中々出来ないよね。この物語はカフカ中心の話なんだろうけど、ナカタさん、ホシノさんが素晴らしい脇役を演じていると思う。

  • 物語に乗せた、芸術性溢れる哲学書のよう。


    村上春樹さんにハマりたての私が言うのもなんですが、
    作家というのは寄せ付ける人を選べる職業だなと。

    発信する質が良いほど
    ついてくる人の質も良いし、
    相乗効果となる。



    村上春樹さんの唯一無二の世界観と
    溢れる文才、芸術性が詰まった作品だと思います。



    村上春樹さんくらいになると
    読了後も残る謎までも
    味になりますよね。


    作家の創造性として評価してしまう。

    戦略でしょうか。笑





    考察を読んで、メタファーについて、納得しました。
    深すぎる!!!

  • 【感想】
    うーん・・・
    村上春樹ワールド全開というか、結局よくわからない顛末で物語が終わったような気が・・・
    ナカタさんが何者だったのか、なぜあのような特殊能力を持っていたのか、戦争中のあの出来事は一体何だったのか・・・
    謎が多すぎる物語で、自分の理解力が乏しいからか、正直ついていけなかったな。

    総じて、分からない世界観すぎる。
    駄作ではないと思うが、少なくとも面白いとは一切思わなかった。


    【引用】
    p174
    フルニエの流麗で気品のあるチェロに耳を傾けながら、星野青年は子どもの頃を思い出した。
    毎日近所の川に行って魚や泥鰌を釣っていた頃のことを。
    あの頃は何も考えなくてよかった。ただそのまんま生きていればよかったんだ。
    生きている限り、俺は何者かだった。自然にそうなっていたんだ。

    でも、いつのまにかそうではなくなってしまった。生きることによって、俺は何者でもなくなってしまった。


    p323
    「よう、おじさん」と青年はナカタさんに声をかけた。
    「こんなことを言うのはなんだけどさ、まあ悪い死に方じゃねえよな」

    ナカタさんは深い眠りの中で、おそらく何を考えることもなく、静かにそのまま死んでいった。
    死に顔も穏やかで、見たところ苦しみもなく、後悔もなく、迷いもなさそうだ。
    ナカタさんの人生がいったい何だったのか、そこにどんな意味があったのか、それは分からない。
    でもそんなことを言い出せば、誰の人生にだってそんなにはっきりとした意味があるわけじゃないだろう。
    人間にとってほんとうに大事なのは、ほんとうに重みを持つのは、きっと死に方のほうなんだな、と青年は考えた。
    死に方に比べたら、生き方なんてたいしたことじゃないのかもしれない。
    とはいえやはり、人の死に方を決めるのは人の生き方であるはずだ。

    ナカタさんの死に顔を見ながら、青年はそんなことを考えるともなく考えた。

    • toratora1025さん
      ナカタさんが何者だったのか、なぜあのような特殊能力をもっていたのか、戦争中のあの出来事は一体何だったのかは同感です。
      ぜんたいとしてはワール...
      ナカタさんが何者だったのか、なぜあのような特殊能力をもっていたのか、戦争中のあの出来事は一体何だったのかは同感です。
      ぜんたいとしてはワールドらしく複数の流れが平行して展開されていて面白かったです。
      2021/03/05
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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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