東京奇譚集 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.52
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本棚登録 : 7187
レビュー : 659
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001562

作品紹介・あらすじ

肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却…。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹によるちょっと奇妙で不思議な短編集。
    誰にでも起こりうるかもしれない不思議な出来事。
    ある種の意味を持ち、その人のその後の人生に多大な影響をもたらすこともあるかもしれないし、とるに足りない些細な出来事なのかもしれない。
    結局どう捉えるかはその人の考え方次第。

    中でも虫の知らせのような不思議な偶然の一致に驚く『偶然の旅人』、自分の名前を思い出せず途方に暮れる『品川猿』が面白かった。

    一番の期待作は映画『ハナレイ・ベイ』の原作でサーファーの息子を亡くした母・サチの物語。
    息子の命日に息子が亡くなった地ハナレイ・ベイを毎年訪れるサチ。
    淡々と息子の死と向き合うサチは、性格的にサバサバしていて精神的に強そうで、読んでいて正直拍子抜けした。
    けれど、亡き息子に纏わる奇妙な現象を耳にした時のサチの動揺ぶりに心を強く揺さぶられる。
    強がっている人ほど弱さや悲しみを素直を表面に出せないものだ。
    息子を亡くした悲しみも悔しさも全てそのまま受け入れて、ただひたすら毎年ハナレイ・ベイを訪れるしかないサチがとても切ない。
    サチ役の吉田羊さんの演技にも期待したい。

  • ハナレイ・ベイが映画化される(された)とのことで、春樹作品は、ほとんど読んだことがないのですが(天邪鬼なのであえて避けてると言った方が正解かも)、手に取りました。
    どのストーリーも良かったのですが、偶然の旅人と品川猿がすごく良かったな。
    不思議なんだけど、腑に落ちるという感じ。

  • 『偶然の旅人』と『日々移動する腎臓のかたちをした石』が好きだった。
    日常の中には気付かれない程度に、偶然の一致や出会いや巡り合わせといったものが組み込まれている。それがふとした瞬間にはっと気付いて、こんなことがあるものだろうかと不思議に思う。『偶然の旅人』から『品川猿』に向かって、日常はどんどん奇妙さを増してゆく。そしてその奇妙さに、こんなこともあるのだな、と不思議に思いながらも日常の一場面として受け入れてゆくのだ。
    一体、どこまでが日常と呼べる範囲であったか? こことは違う世界へ足を踏み入れてはいなかったか? 分からない。すべては地続きで、気が付いた時には手遅れなのだ。

  • ★3.0(3.52) 2014年11月10日(初版2005年9月)発行。「偶然の旅人」「ハナレイ・ベイ」「どこであれそれが見つかりそうな場所で」「日々移動する腎臓のかたちをした石」「品川猿」の5つの短編集。奇譚ではあるが、東京は題名についてなくても・・・ですね。著者の本、特に長編小説を読み漁ってきたが、個の短編小説はあまり、著者らしさが見られない本ですね。どちらかというと、百田尚樹が書いたと言えば、そんな感じもするのだが。内容は奇譚というだけあって、最初の小説以外は、非現実的な内容ですね。

  • 久々の村上春樹.短編集なので読みやすかった.
    「偶然の旅人」が好きかな.村上春樹感がそこまで強くなくて読みやすい.
    短編で村上春樹感強いと,慣れる前に終わってしまって物足りないというか.
    長編だとどっぷり浸れていいんだけど.

  • 村上春樹氏の短編集。5編あり、どれも東京が舞台となっている。
    軽いタッチで、すぐに読める。一番良かったのは1つ目の回想エッセイ的小説で、最後のはイマイチだった。
    彼の長編にありがちな不可解さもなく、さわやかに読み切ることができる(まぁ後にも残らないが)。
    「村上らしさ」を求める人には物足りないかもしれない。でも私は結構気に入った。

  • 絵本は読んだことあるけど、小説は初読みです。
    何となく自分には合わないと思っていたのですが、
    読書家のブロガーさんからのお勧めで、本書を手に取りました。
    実に読みやすい!そして面白い。好みです!
    本当に身近にありそうな話で、不可思議な話もあるけれど、
    主人公達がそれぞれ本当の自分と向き合い、
    気付いていたけど見ようとしてこなかった自分を
    受け入れ、1歩前進するっていう感じかなぁ~。
    それが淡々と日々のリアルな現状を踏まえながら語られているから、
    奇妙さが気にならない。
    最後の「品川猿」が奇妙と言えば奇妙だけど、
    こういう表現は好きです。

  • 2018/10/23

  • 2018/09/16

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却……。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。

    【キーワード】
    文庫・短編集・映画化

    【映像化情報】
    「ハナレイ・ベイ」
    2018年10月19日映画化
    出演:吉田羊・佐野玲於・村上虹郎

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ、早稲田大学第一文学部演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーターキャット」を国分寺に開店していた。
1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴があるが、芥川賞は候補に留まっただけで受賞しておらず、賞に対する批判材料となっている。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年の発表時期は日本国内でニュースになっている。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。
翻訳家としての仕事も高い評価を受け、フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけてきた。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、いまなお作家として成長を続けている。
代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。

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