東京奇譚集 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 10611
感想 : 880
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001562

作品紹介・あらすじ

肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却…。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。

感想・レビュー・書評

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  •  初めて村上春樹さんの本を読んでみました。これまで村上春樹さんと言えばかなりハードルが高い印象がありました。

     ただ実際に読んでみると非常に読みやすかったです。本当に評価される作品とは読みやすくかつ文芸的な楽しみや学びも充実するものだと思いました。

     本書は5つのストーリーから成ります。前半2作はリアルさが強い作品のでした。現実味が強いため、親近感が湧きやすく感動できる作品でした。
     3.5作目はリアルさの中にもファンタジーの要素も含めており、不思議な気持ちになりました。特に3作目は最も気に入っています。夫が謎の失踪してしまい、それを探偵のような人物が原因を探るというストーリーです。いかにも推理小説と思いきや、最終的に論理的な解決もしないですし、結局探偵が何者なのか、何を探していたのか、夫はどうして失踪してしまったのか、全てが謎のまま幕を閉じます。全く腑に落ちない作品ですが、不思議と読了後はスッキリとした気持ちになりました。
     4作目はリアル要素強めでしたし、話の展開もシンプルでした。しかし、私はなぜか4作目だけが理解できませんでした。これは私の読解力不足もあるかと思いますが、もしかしたら村上春樹さんのマジックが隠されているのかもしれません。

     総評として本作は非常に読みやすく考えさせられる作品でした。私はこの東京奇譚集を読んで良かったと言うよりも村上春樹さんの作品を読めて良かったと思いました。
     今後も村上春樹シリーズを更新していきたいです。

  • 村上春樹氏の身近に起きたらしい都会の綺譚5編。
    「偶然の旅人」
    見知らぬ女性との偶然の出会いから、絶っていた家族との交流を果たしたピアノ調律師。
    「ハナレイ・ペイ」
    サーファーの息子を海で突然失った母親。彼を見つめるその後の人生。
    「どこであれそれが見つかりそうな場所で」
    都心のマンションの階段から突然失踪した男性を捜索する男。
    「日々移動する腎臓のかたちをした石」
    運命に関わる女性は3人と教えられた男。その二人目の女性との出会いと別れ。
    「品川猿」
    名前を忘れてしまう女性の本当の心の闇。

    省略しすぎたかしら、読んでも思い出せないかも。
    東京が舞台というところが魅力的。

    短編とはいえ、村上春樹氏っぽい文章の流れと折々の会話。ですから、綺譚なのですが、あらそんなこともありそうですねと受け入れてしまう。
    「どこであれ〜」が、日々東京の何処かでこんな事が起きていそうで好きですね。「品川猿」は、綺譚というより、通常の村上春樹という感じでした。

    • ひろさん
      おびさん、こんばんは(*^^*)
      おびさんの“好き”なポイントがとても素敵ですね。
      「品川猿」は他の短編集で読みましたが、苦手意識のある村上...
      おびさん、こんばんは(*^^*)
      おびさんの“好き”なポイントがとても素敵ですね。
      「品川猿」は他の短編集で読みましたが、苦手意識のある村上作品の中でも、いいなぁと思える話でした。
      2022/05/07
    • おびのりさん
      ひろさん おはようございます。
      コメントありがとうございます。
      村上春樹さんの作品の中では、文章が具体的でなじみやすいですよね。
      なので、こ...
      ひろさん おはようございます。
      コメントありがとうございます。
      村上春樹さんの作品の中では、文章が具体的でなじみやすいですよね。
      なので、これは、本当にフィクションなのかもと思って読みました。
      最後に「品川猿」で我慢できないで 村上調作品投入したとか。
      ゴールデンウィーク忙しかったでしょう。
      明日から 仕事かな?
      ラスト1日 頑張ってね。
      2022/05/08
    • ひろさん
      おびさん、おはようございます(*^^*)
      ほんと、ノンフィクション?!って感じさせられますよね♪苦手と言いつつ、いつかまた村上作品に挑戦して...
      おびさん、おはようございます(*^^*)
      ほんと、ノンフィクション?!って感じさせられますよね♪苦手と言いつつ、いつかまた村上作品に挑戦してみようかな。

      ありがとうございます( ´ ` *)
      連休は保育園でのコロナ発生の関係で自宅待機で終わってしまいました。生きづらい世の中ですね。今日は久しぶりに子どもと買い物など行ってきます♪
      おびさんは忙しかったですか?最終日、ゆっくり休めますように(๑˘ ˘๑)*.。
      2022/05/08
  • 玉城ティナ、大切にしているのは「インプットの時間」好きな映画や小説はずっとリピート | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]
    https://smart-flash.jp/entame/169964/1

    どこであれそれが見つかりそうな場所でと休む|海外漫画と休む|note
    https://note.com/kaigaimanga/n/n16acaec2c833

    村上春樹原作「ハナレイ・ベイ」出演の村上虹郎さん 「1800円でトラウマを買ってください」|好書好日
    https://book.asahi.com/article/11887273

    村上春樹 『東京奇譚集』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/100156/

  • 日常に存在するけれど盲点になって見逃しているであろう、不思議レベルが大から小まで幅広いお話たち。
    どのお話もおもしろくて、自分の身にも奇譚みたいなことが起こってたりしてと考え、楽しくなるのです。

  • 短篇集です。『神の子どもたちはみな踊る』よりこっちの方が好みです。まあ、とにかく村上さんらしい作品集です。
    村上さんはファンが多いと思いますが私はいつも理解できた気がしないです、小説が終わっても放置され取り残されたような気分になる。だからと言って好みじゃないということもないのでこれからも読んでいくでしょう。
    『品川猿』はけっこうお気に入りで、『一人称単数』の中の『品川猿の告白』はぜひとも読もうと思っています。

  • 初めて惹かれた一冊。

    カバーに惹かれたのか、奇譚だからか惹かれたのか、いや、確実に村上ワールドに、しかも初めて惹かれた。

    なんだかずっと苦手だと思っていた食べ物の美味しさを初めて知った時のような感覚。

    喪失を軸に描かれる不思議なストーリーはコーヒーがドリップされて一滴ずつ落ちていくように、心に静かに沁み渡り、やがて言葉にするのが難しい感情で心が満たされていく、そんな世界だった。

    「ハナレイ・ベイ」のサチの平静と動揺、このコントラスト、言葉が倍の感情の波になって押し寄せてくる感覚、そして彼女の心の叫びが確実に心のど真ん中へ響く感覚にたまらなく魅了された。

  • 2005年発表の短編をまとめた作品集。

    猿‥‥かぁ‥‥

  • 村上春樹氏の文章のリズム、久しぶりに堪能。

    長期に渡り積読してた本書は、5話短篇集。
    どれも腑に落ちない、釈然としない感の不可思議な物語。まさに【奇譚集】

    何かを失い、そこから導かれるように前に向かって歩き出す。読了感は良し。

    「偶然の旅人」は春樹氏自身が冒頭で登場し、実話を元にしてると念を押しているところが楽しい(^^)

  • 「偶然の旅人」「ハナレイ・ベイ」「どこであれそれが見つかりそうな場所で」「日々移動する腎臓のかたちをした石」「品川猿」の5篇収録。

    仲違いしたままだった姉弟の身に起こったシンクロにシティを描いた「偶然の旅人」、ハワイのカウアイ島でサーフィン中にサメに襲われて無くなった息子を偲んで毎年カウアイ島を訪れるピアニストの心の情景を描いた「ハナレイ・ベイ」の2篇が結構良かった。

    後との3篇は、風変わりで比喩的でちょっと訳がが分からないところのある、著者らしい作品だった。

  • 映画「ハナレイ・ベイ」を観た後で原作を読んでみたくなって。
    まず、サチが団塊の世代だったので驚いた。
    そして映画では大切なことはあまり語られていなかったのに余計な事だけが印象に残っていた気がする。
    原作は映画の印象よりもずっとよく、様々な詳細が語られ、深く響いたし鳥肌が立った。

    さてこの短編集だけど、読み始めから独特で前書きを読んでいるような感覚で、気づくと物語に夢中になっていた。

    そして「どこであれそれが見つかりそうな場所で」に「十月一日の夜」というフレーズがあったのだけど、まさに私がこの本を読み始めたのが10/1の夜で、序文に記されている「その手の体験談」とは行かないまでもちょっとだけそんな偶然を面白がることも出来たいい読書体験になりました。
    「一人称単数」にも品川猿があるみたいなので、これは読んでみたい。

    非常に読みやすく面白かった。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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