世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.07
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本棚登録 : 9220
感想 : 489
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001586

作品紹介・あらすじ

の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会したは、回路の秘密を聞いて愕然とする。私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終わろうとしているのだ。残された時間はわずか。の行く先は永遠の生か、それとも死か?そして又、"世界の終り"の街からは脱出できるのか?同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。村上春樹のメッセージが、君に届くか?

感想・レビュー・書評

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  • やっと読み終えました。率直な感想としては、難しいお話でした。哲学や脳生理学や難しいワードが多く使われていて、読み進めるのも苦労しました。でも、村上春樹の世界観がちゃんと文章に色濃く表現されていて、難しいが、とてもリズム良く楽しく読めました。デュラン・デュランが文章に何度も出てきて、時代を感じました。

  • 最後まで読み終わっても、なお、10年以上前に一度読んだことは思い出すことができなかった。
    やはり、途中で挫折してしまっていたのだろうか。
    今読むと、あれから過ぎた年月のせいか、時代を感じるものの、今の自分が読んだからこその、さまざまな刺激があった。
    改めて、読み直して良かった。

  • 人間を人間たらしめるものは何か。心なのか体なのか、はたまたその両方なのか。原始体験に基づく、深層心理なのか今を生き、考える自我なのか。
    25章の食事・象工場・罠のところで博士が私の意識の核をどのようにして単離したかをつらつらと語る場面が秀逸。博士のマッドサイエンティスト感と知性の鋭さの恐ろしさにゾッとしつつも博士が人間のエゴについてどう考えているかを語るシーンには唸らされた。
    心を捨てて永遠の平和世界に生きるか、心と共にこの不条理に満ちた世界を生き抜く、いや死に抜くか。自分自身、等身大の人生を歩むこと(いわば文化的雪かき)の素晴らしさを村上作品に教えてもらった気がするから後者がエンディングとして相応しいと感じていたがまさか、主人公が死ぬことになるとは、、、。きっと博士が持ち前の才能で全てをハッピーエンドにしてくれると思うのはあまりに虫が良すぎた。
    死にゆく主人公に自分が生きるはずだった残りの数十年への未練を語らせることが村上春樹なりの人生讃歌なのかもしれない。
    ともかく村上作品ではノルウェイの森と並び同率一位の読み応え。

    • やきにくさん
      感想、考察が深いですよね。整然とした解説に思わず納得しちゃいました。
      感想、考察が深いですよね。整然とした解説に思わず納得しちゃいました。
      2021/01/26
    • ぶらいあんさん
      ありがとうございます!そんなふうに読んでもらえるとは嬉しい限りです
      ありがとうございます!そんなふうに読んでもらえるとは嬉しい限りです
      2021/01/27
  • 上に続いて下の感想



    〔ハードボイルド・ワンダーランド〕で、〈私〉とぽっちゃり孫娘は、地の底の暗闇の中で何とか奥の祭壇に辿り着き、意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会し、〈私〉の意識は人工的に増設され、現在三つの回路が存在している事を知らされる。

    老博士は修正するはずだったが、記号士たちの妨害によって計画は失敗し、このまま放っておけば第三回路〔世界の終り〕の意識の中で永遠に生き続けることになるらしい。

    地上に戻り、ぽっちゃり孫娘と〈私〉のアパートで身なりを整えながら、意識が第三回路に切り替わるまでの残りの24時間をいかに過ごすか考えた。
    そして、先日世話になった図書館のリファレンス係の女の子に電話をかけ、食事の約束をした。
    ぽっちゃり美人孫娘から身体の関係を求められたが、謎の本能がそれを押しとどめ、断った。

    最後の夜を図書館女子と過ごし、帰れたらまた会いに行くと言って別れた。最後の時に、ぽっちゃり孫娘と電話で会話し、もしも〈僕〉を冷凍保存して治療できたら性行為する約束をした。



    交互に進んでいた〔世界の終り〕は、〈僕〉の第三回路の世界で、そこに住む人々には心が無く、時間という概念も無く一瞬にして永遠。

    壁の中に入るには影と切り離され、影は徐々に弱っていく。それに併せて徐々に街と同化し、影が死ぬと心が無くなり「完全」になる。しかし、影を逃して心を残してしまった者は、森に追放されるというのが、この街の仕組みらしい。

    〈僕〉は夢読みを手伝ってくれている図書館の彼女の心を取り戻す可能性を唄によって見出す。そして自我を少しずつ取り戻し始めた様子の彼女。

    〈僕〉は自分の影と約束していた脱出計画を実行するが、完遂目前で、影にやっぱりここに残ると伝える。説得する影に、彼女の心を見つけた事やこの街を作ったのは自分自身だと認識した事について話す。

    そして影だけが去っていき、そこは世界の終りになった。





    下で二つの物語の繋がりが分かったが、内容的には微妙だったかな。

    〔ハードボイルド・ワンダーランド〕の結末は、おそらく〔世界の終り〕での脱出にかかっていたが、〈僕〉が街に残る方を選んだ事でバッドエンド。

    〔世界の終り〕の最後は、図書館の彼女の心を取り戻して森で一緒に暮らそうと思い、街に残ってみたものの世界は終わってしまい、バッドエンド。

    つまり、人の心と恒久的世界は共存し得ないという意味なのかなぁと感じた。

    作中に出てくる重要な唄はダニー・ボーイ、歌手ではボブ・ディランやその他たくさん、小説では異邦人やカラマーゾフの兄弟等、ウイスキーは色々。
    一部の小説とウイスキーの銘柄は知っていたが、その他は知らない事ばかり。不自然に固有名詞を出しすぎているようにも思えてしまったが、きっと知識ある人が読めば、微細な感情の違いだったり、雰囲気だったりを味わえるようになっていると思いたい。

    村上春樹のメッセージとやらはおそらく届かなかったが、考察しているうちに作品の深みが増してくるように感じるのは何故だろう。

  • ふたつのお話の同時展開。
    やれやれ という気持ちになりがち。

  • 図書館の女の子がいいなぁ

  • 話の展開は少々遅いが、現実にありそうでありえないような、絶妙なファンタジー要素が満載で退屈しない。
    ハードボイルド編での〝私〟の語りにおける物事の例えがことごとく秀逸で、時には細かすぎて伝わらないなとくすくす笑いながら読み進められた。
    最後は〝私〟と〝僕〟がそれぞれに選択した道を進んだことによる安心と、意外な結末を迎えたことによる不安が混ざりつつ、総じて心地よく読み終えることができた。

  • う~ん。この結末はどう理解すればいいんだろう。

    現代の私が博士から何を施されたのか、世界が終わるというのはどういうことなのか、そして「世界の終わり」の地の成り立ちなどは、下巻で次々と明かされていったので、本書の世界観自体は何とか理解できた。

    要するに、現代では、「組織」(計算士)と「工場」(記号士)が情報戦争を行っていて、情報保護のため解読不能な暗号が求められていた。博士は「組織」の研究者として、究極の暗号とも言える、人間の深層心理を用いたスクランブル技術を開発した。博士は私を実験台として深層心理=意識の核を凍結するシャフリング措置を施し、特定のコールサインで脳内スイッチが切り替わり、凍結された情報=意識の核を呼び出すことが出来るようにした。でも博士がちょっと余計な細工をもしてしまい、それを発動させてしまって…。

    一方、「世界の終わり」の地で私が行っている「夢読み」は、彼の地の住人が完全な存在で居られるように、一角獣の頭骨に吸収され蓄積された住人の自我を大気中に放出させて逃がす行為だった。そして、そもそも「世界の終わり」ワールドは、実は現実逃避するために私が脳の中に作り出した別世界で、現実世界の私は、博士の施した細工によって僅かな時間のうちに脳内スイッチが焼き付いてしまうと、永遠に「世界の終わり」ワールドから意識が抜け出せなくなってしまう状況。果たして、彼の地の私は影と共に外の世界に脱出することが出来るのか(上手く脱出できれば、恐らく現実世界の私の脳内スイッチが切り替わって、意識が現実世界に戻ってくるのだと思う)。

    疑問に思ったのは2点。

    私が何故自分の脳の中に別世界を持つに至ったのか、本書には描かれていないがきっと特殊なストーリーがあるはず。著者はなんでこの点を描かなかったのだろうかか??

    そして、ラストで私は何故脱出を断念し「世界の終わり」の住人であり続けることを選択したのだろうか(著者が何故主人公にそのような選択をさせたのか)??。この点も正直いってよく分からなかった。

    というわけで、初めての村上春樹は星3つです。

  • 上巻に引き続き内容が楽しみに
    期待してしまう。
    読み終わってみるとやはりもっと完結な結果を期待してたのですが・・

  • 面白かったー!

    意外と内容を忘れていたけど、以前読んだ時と同じで、読了後は「面白かった」としか感想がわかないのが悔しい。

    またいつか読んだら何か別の感想が湧くだろうか。

    ピンクの女の子あんまり好きじゃない。

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著者プロフィール

1949年 京都府生まれ。著述業。
『ねじまき鳥クロニクル』新潮社,1994。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』新潮社,1985。『羊をめぐる冒険』講談社,1982。『ノルウェイの森』講談社,1987。ほか海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞、2016年ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞を受賞。

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