世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001586

作品紹介・あらすじ

の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会したは、回路の秘密を聞いて愕然とする。私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終わろうとしているのだ。残された時間はわずか。の行く先は永遠の生か、それとも死か?そして又、"世界の終り"の街からは脱出できるのか?同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。村上春樹のメッセージが、君に届くか?

感想・レビュー・書評

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  • 【作品全体(上下巻併せて)を通しての感想】
    えっ、嘘⁇
    めっちゃ分かりやすいし、読後感もビックリするほど爽やかで、逆の意味で裏切られた作品だ。村上氏が自身で書いた作品は、結末は自分で考えてねスタイルの作風だと「村上さんのところ」で話していた。なのでこちらとしてもそのつもりで、作品の2/3を過ぎたあたりから、3パターンぐらいの結末を想定して、準備万端で挑んでいた。だが結果として、今回の作品はちゃんと結末も用意してくれており、ある種もっとも想定しやすい結末だったので、納得感も高く、うれしい誤算の作品だ。

    なおかつ今作は、僕がたまたま直近で読了したばかりの「カラマーゾフの兄弟」のアリョーシャが、作品の根幹に関わるラストの重要な場面で出てきたときは、感動で首すじがゾワっとした。僕にとっては完全にボーナス作品になった。
    もしこの先、今作を読もうと思われている方がいらっしゃれば、可能であれば「カラマーゾフの兄弟」を先に読了して頂ければ、感動が倍増することは間違いなしです!

    作品のあらすじは、サクッと書くと以下になります。

    舞台は、1980年代の東京。「世界の終わり」という物語と「ハードボイルド・ワンダーランド」という物語が、パラレル(平行)で交わることなく、別々の物語として語られていく。「組織(システム)」で働く計算士の「私」は、かつて「組織(ファクトリー)」の一員だった生物学者の依頼により、特殊な業務を引き受ける。しかし、その仕事は、「組織(システム)」にとっても、「システム」のライバル企業である「工場(ファクトリー)」にとっても、見過ごすことのできない、極めて危険な業務であった。
    一方で、高い壁に囲まれていて、一角獣が暮らしている「街」にやってきた「僕」は、自分の「影」と別れて、図書館の女の子と一緒に「夢読み」の仕事をするようになる。
    どこにも行くことができない「世界の終り」に、どうして「僕」はやって来たのだろう。
    「僕」は、別れた「影」と連絡を取って、その「街」を脱出しようと計画を練るが…。

    内容をひとことで言うと、大人向けのファンタジーだ。淡々と物語は進んでいくが、急にガラッと、緊迫した場面に変わる箇所がある。下巻の188ページだ。ここでの鬼気迫る筆致は、それだけでこの作品を読む価値があるほど、文体としての完成度が素晴らしい。
    用いられている比喩表現があまりに的確で、この場面は読んでいて、村上氏の才能をもっとも感じられたシーンだ。このページだけで、この作品を読む価値があるほどに出来上がりがあまりに素晴らしい。これが村上氏のいう「マジックタッチ」なのか。マジックタッチは、「みみずくは黄昏に飛びたつ」という村上春樹氏のファンを公言している川上未映子氏が、村上春樹氏にインタビューをしたものを一冊の本にまとめたもので、その本に詳しく説明されている。その本は村上氏を知る上で、内容が濃く、インタビュー本としての価値が非常に高い作品なので、また近々感想をアップしたく思っている。

    僕のように村上春樹氏の長編小説に苦手意識を持ってしまった方が、再チャレンジする本としては、良い意味で期待を裏切られる本なので、ぜひぜひ読んで頂きたい本です!

    【村上春樹氏の文体について】
    最近作家の文体について興味が出てきて、ただストーリーを読むだけでなく、文章の構成についても注目するようになった。
    村上春樹氏の本をたくさん読んでいる方は当然気づいているだろうが、村上氏の文章は他の男性作家と比較して、非常にひらがな表記が多い。なのでスラスラと読みやすく、読者に対する親切心にあふれた文章になっている。(詳しくは「村上さんのところ」の感想に書いています)

    かなり特徴的な文体なので、過去に影響を受けた作家でもいるのかなぁと、気になっていた。たまたま本屋で見かけた村上春樹コーナー(6年ぶりの長編小説が刊行されたばかりなので、大型書店では特設コーナーを設置している書店が多い)で、「BRUTUS特別編集 合本 村上春樹 (MAGAZINE HOUSE MOOK)」という雑誌で気になる記事を発見。日本人の作家の中でもっとも文章が上手いなと思った作家を書いている箇所があった。

    安岡章太郎氏という作家だ。恥かしながら初耳の作家だ。その作家の処女作の「ガラスの靴」という短編が、日本人作家の文章でもっとも上手いと感じたのだそう。そんなことを言われれば、気になるに決まっている。そこは本屋。気になったら即行動がモットーの自分は、すぐに検索。あった。岩波文庫からそれまたタイムリーに今年(2023年)の2月15日に刊行されたばかりだ。目次を見ると30ページ弱だ。そのまま立ち読みする。
    ビックリした。文章が村上氏の文体にめちゃくちゃ似ている。いや逆だ。安岡章太郎氏の文体にそっくりなのだ。なおかつこの「ガラスの靴」、ただ文章が綺麗なだけでなく、30ページ弱の短編小説なのに、最後のオチが秀逸で思わず「おおー!」と唸るほどよく出来ている。価格は税込1,100円。一瞬迷ったが、今後何度か見返すほどに文体が流麗なので買ってしまった。

    今回思ったこととして、やはり今後継続的に読もうと思った作家は、その作家が影響を受けた作家の作品を読むことが、結局その作家のことを知る最短の道だと、改めて実感した。

    【今後読もうと思っている村上氏の本】
    今作を読んで苦手意識を完全に払拭できたので、今後村上氏の本は継続的に読んでいこうと。
    今後読もう思っているリストはざっとこんな感じです。

    (長編小説)
    海辺のカフカ
    1Q84
    色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
    騎士団長殺し
    ねじまき鳥クロニクル
    街とその不確かな壁

    (短編小説)
    螢・納屋を焼く・その他短編

    (エッセイ)
    村上春樹 雑文集
    村上春樹、河合隼雄に会いにいく

    (ノンフィクション)
    アンダーグラウンド

    (翻訳本)
    グレート・ギャツビー

    ※いま現在の気持ちなので、今後作品数が増減する可能性はあります。

    【雑感】
    今回何よりも村上春樹氏の苦手意識を払拭できたのが、一番の収穫だ。
    最近文学ばかりで哲学系を疎かにしていたので、そろそろ哲学系を読んでいこうかなと。
    ただいきなりガッツリの哲学書を読むと消化不良を起こしそうだ。なので、まずはウォーミングアップとして、ショーペンハウアーの「読書について」を読みます。
    日々行なっている読書について、もっと深く気づきを得たく、その助けになってくれそうな本なので、期待して読みます。

    • ユウダイさん
      りまのさん、こんにちは。
      先日は本書をお勧めくださり、ありがとうございました!お陰様で、長年にわたる村上春樹氏の苦手意識を払拭できました。心...
      りまのさん、こんにちは。
      先日は本書をお勧めくださり、ありがとうございました!お陰様で、長年にわたる村上春樹氏の苦手意識を払拭できました。心よりお礼申し上げます。
      カート・ヴォネガット氏を恥ずかしながら存じ上げなかったので、webで調べました。するとビックリ!この方『タイタンの妖女』を執筆した方だったのですね。爆笑問題の太田氏が、「タイタンの幼女」が好きすぎて、会社の名前にしたことは、お笑い好きなので知っていました。読んだことはないです。今度カート・ヴォネガット氏を読ませていただきますね。ただ読書以外にこれといった趣味はないのですが、本の好きなジャンルが多岐にわたるため(哲学・古典文学・古典思想書・歴史書など)現代文学を読むのは少し先になりそうです。本の好みが多岐にわたる私ですが、今後とも宜しくお願いします。
      2023/05/20
    • りまのさん
      ユウダイさん、こんばんは。
      丁寧なお返事をいただき、ありがとうございます。
      ユウダイさんのレビューを、これからも、楽しみにさせていただきます...
      ユウダイさん、こんばんは。
      丁寧なお返事をいただき、ありがとうございます。
      ユウダイさんのレビューを、これからも、楽しみにさせていただきますね!私は、ユウダイさんのレビュー、好きです。
      2023/05/20
    • ユウダイさん
      りまのさん、おはようございます。文章をお褒めいただき、ありがとうございます。お世辞でも嬉しく思います。まだ感想を書き始めて半年も経っていない...
      りまのさん、おはようございます。文章をお褒めいただき、ありがとうございます。お世辞でも嬉しく思います。まだ感想を書き始めて半年も経っていないので、自分で感じる改善点は山ほどあり、まだまだだと実感しています。元々ブグログに感想を書こうと思った理由が文章力アップが目的だったので、何はともあれ、まずは100冊の感想を書こうと決めています。100冊目を書き終わった際に、最初に書いた1冊目よりも、少しでも文章力がアップしているのを実感できれば、少しは自分の成長を感じれるかなぁ、なんて思って書いてます。
      2023/05/21
  • 2つの空間世界…
    ラスト近く、光と音に包まれ「僕」「私」が心の揺らぎに気づくアプローチが感動的だった。

    心を失くした人間ばかりで成り立つ街について
    僕の影が放つ台詞が印象に残る。
    「街はそんな風にして完全性の環の中を永久にまわりつづけているんだ。不完全な部分を不完全な存在に押しつけ、そしてそのうわずみだけを吸って生きているんだ。それが正しいことだと君は思うのかい?それが本当の世界か?それがものごとのあるべき姿なのかい?」

  • 頭蓋骨、夢、ユング、記憶の在処、といった似通ったお題に対して、全く違った作品。
    はなはだしいほどリアルな京極「狂骨の夢」
    バーチャルファンタジーな村上「世界の終わり」
    一人の記憶が二人に共存する狂骨。
    一人の意識が二つの世界を想像する世界の終わり。
    最終的に幻覚的現象にも理論的な考察を示す小説と、あくまで、非現実的な要素を読み手に考察させる小説。
    私は、世界の終わりの世界は、ハードボイルドワンダーランドの計算士の男の脳内の核に出来上がった一つの意識世界として読んだ。
    引き剥がされた影は、その世界からの逃避を計画する。男は影との別離を決意してその世界にとどまる。影の逃避は、ハードボイルドの世界の男との意識の統一化と思ったのだけれど、それは、わからない。

    「やれやれ」って、下巻で7回出てきたと思う。目についちゃうんですよ。

    • 傍らに珈琲を。さん
      羊をめぐる冒険、こちらも懐かし~

      あ、本当だ、大学生だ。
      こうやって"大学生"とか、例えば"高校生"とか、
      一定の懐かしさを皆が持ってる○...
      羊をめぐる冒険、こちらも懐かし~

      あ、本当だ、大学生だ。
      こうやって"大学生"とか、例えば"高校生"とか、
      一定の懐かしさを皆が持ってる○○生を使っちゃうのはズルいよね。
      それだけでもう充分青いしセピアだしほろ苦いですもんね。
      2023/08/24
    • おびのりさん
      寝落ちしてました。
      デビュー作から、斬新で、文章が特殊で、一度はその世界感に惹かれるものがあります。
      驚くのは、若い方でも読まれる方が多い事...
      寝落ちしてました。
      デビュー作から、斬新で、文章が特殊で、一度はその世界感に惹かれるものがあります。
      驚くのは、若い方でも読まれる方が多い事。
      何か一作ぐらい読んでおいても、良いんじゃないかしら。ほら、悪態レビューお待ちしてますよ。
      2023/08/25
    • みんみんさん
      悪態レビュー前提なのね(꒪⌓︎꒪)
      今日イッパツ借りてくるわ!!
      悪態レビュー前提なのね(꒪⌓︎꒪)
      今日イッパツ借りてくるわ!!
      2023/08/25
  • 上巻の倍のスピードで物語が展開していった。
    そう感じるのは、私の現実世界と僕の深層世界に完全に入り込んでしまったからなのか。
    読んでいると春樹節が時に炸裂する。
    「ブルックナーのシンフォニーの番号なんて誰にもわからない。」笑
    学生時代、ブルックナー好きの友だちの影響で4.7.8.9番ならわかるかも。クナの8番のレコードをプレゼントしてくれた友人も思い出した!感謝。
    「カラマーゾフの兄弟の名前を全部言える人間がいったい世間に何人いるだろう?」笑
    確かに。学生の頃読んだけど、兄弟の名前は忘れてしまった。アリョーシャだけはかすかに覚えていた。
    会話の中にクラシックが出ると、すぐに聴きたくなって、ブランデンブルクをピノックで、カザルスで、そしてリヒターで聞きながら、クライマックスを迎えた。極め付けは、「ダニー・ボーイ」を。
    「世界には涙を流すことのできない哀しみというのが存在するのだ。」
    この言葉が強烈に刺さり、やがて静かに沈んでいく。
    読み終わった後、小さい頃過ごした家の裏山、野球をした田んぼ、通った畦道、そんな故郷が浮かんだ。今を支える何気ない日常と、その日常を作ってくれる家族や大切な人の心を思い、あたたかくなった。
    永遠よりも厳しくても理不尽でも現実世界で生きてみようか。



  • やっと読み終えました。率直な感想としては、難しいお話でした。哲学や脳生理学や難しいワードが多く使われていて、読み進めるのも苦労しました。でも、村上春樹の世界観がちゃんと文章に色濃く表現されていて、難しいが、とてもリズム良く楽しく読めました。デュラン・デュランが文章に何度も出てきて、時代を感じました。

  • 初の村上春樹さん作品!\⁠(⁠^⁠o⁠^⁠)⁠/
    有名だけどすごく難読だと聞き、ぼくの貧弱な読解力ではその魅力を味わえないのではと敬遠してきました…笑

    物語は2つの話が同時進行で展開されます。

    ●ハードボイルドワンダーランド(現実世界)
    脳に細工をされた主人公が、博士やその娘、所属先やその対抗組織らに巻き込まれる話

    ●世界の終り(精神世界)
    壁に囲まれた一角獣の住む不思議な町で影と切り離された私の話

    読んでいて感じた率直な印象は、
    ①圧倒的な比喩のシャワー
    1つひとつの表現が全て独特な比喩となっておりかなり面食らいました!明らかに今まで読んできた作家さんたちとは一線を画した文体で衝撃です。これは好き嫌いが分かれるのも頷けますわ。ぼくが生まれるずっと前の本なので、ピンとこない表現もありましたが、そんなもんですよね(^_^;)笑

    ②哲学書のような凄み
    ●「疲れを心の中に入れちゃだめよ。…疲れは体を支配するかもしれないけれど、心は自分のものにしておきなさいってね」

    →現代の社会問題にも通じるところがあるのかなと思います。
    職場で月100時間残業したことありましたけど、すごくやりがいを感じて、多少眠気はあっても嫌な感情は一切なかったんですよね。体は疲弊しても心は常に豊かでいたいものですᕙ⁠(⁠ •⁠‿⁠•⁠ )⁠ᕗ

    ●「人間は誰でも何かひとつくらいは一流になれる素質があるの。それをうまく引き出すことができないだけの話。引き出し方のわからない人間が寄ってたかってそれをつぶしてしまうから、多くの人々は一流になれないのよ。そしてそのまま擦り減ってしまうの」

    →日本の足並み揃える文化への批判かなと感じました。近年は日本の政治や法律のしがらみもあって、優秀な人材がドンドン海外に出て行っているというニュース記事を読むと悲しくなります(T_T)

    ●「たとえ記憶が失われたとしても、心はそのあるがままの方向に進んでいくものなんだ。心というものはそれ自体が行動原理を持っている。それがすなわち自己さ。自分の力を信じるんだ。」

    →自分のこれまで積み重ねてきた人生の軌跡が、心にはしっかり染みついてるんですよね。そして「習慣」は心を動かす指針だと思います。習慣で無意識に行動しちゃうことってありますよね〜笑

    ●「認識ひとつで世界は変化するものなのです。世界はたしかにここにこうして実在しておる。しかし現象的なレベルで見れば、世界とは無限の可能性のひとつにすぎんです。細かく言えばあんたが足を右に出すか左に出すかで世界は変ってしまう。」

    →小さな選択、行動がずっと先の未来を変える、最近の自己啓発でもそんな感じのことよく書いてある気がします(⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧

    ●「人間は時間を拡大して不死に至るのではなく、時間を分解して不死に至るのだということですよ。」

    →これはなかなか衝撃的な理論でした(⁠+⁠_⁠+⁠)
    時間を延ばすのではなく、時間を細かく刻んでゴール(死)へ到達しないから不死というのは斬新な発想だなと感じます!
    何となく漫画「呪術廻戦」の五条悟の能力「無下限呪術」を思い出したのはぼくだけでしょうか?笑
    ”時間”って人間に唯一平等に与えられてるものなんですよね。でも人によって体感時間って違いますよね。長いようで短い限られた時間、ただ漫然とダラダラ過ごすのではなく、その一瞬一瞬の刹那さえも大切にする。そういう意識を持ちたいなと思います^⁠_⁠^

    ●「世界には涙を流すことのできない哀しみというのが存在するのだ。それは誰に向っても説明することができないし、たとえ説明できたとしても、誰にも理解してもらうことのできない種類のものなのだ。その哀しみはどのような形に変えることもできず、風のない夜の雪のようにただ静かに心に積っていくだけのものなのだ。…深い哀しみというのは涙という形をとることさえできないものなのだ。」

    →なかなか深いなと感じました。そして言い回しがカッコ良い。言葉にできない哀しさって分かる気がします…


    物語自体もすごく引き込まれました。
    最初、精神世界じゃなくて現実世界の遥か過去の話だと勘違いして読んでいたので、後半になるにつれて2つの話が交わってくる様は読んでいてとても楽しかったです!

  • 閉ざされた自己に向き合う時、そばにいる人が今回も優しい…
    "疲れを心の中に入れちゃだめよ"
    "疲れは体を支配するかもしれないけれど、心は自分のものにしておきなさい"

    とかとか。
    終わり方も印象的。暫く余韻に漂います…

  • 最後まで読み終わっても、なお、10年以上前に一度読んだことは思い出すことができなかった。
    やはり、途中で挫折してしまっていたのだろうか。
    今読むと、あれから過ぎた年月のせいか、時代を感じるものの、今の自分が読んだからこその、さまざまな刺激があった。
    改めて、読み直して良かった。

  • ■ Before(本の選定理由)
    大学生の頃に読んで以来。しかもaudioブックで大森南朋の朗読らしい。太った娘の祖父を救いに地底にいく場面からの、続き。

    ■ 気づき
    16年前のこの本読んでから、自分も随分変わったように思う。何人かの女の子と寝たし、外苑前と国立競技場の位置関係が分かるし、この本に出てくる小説や曲のタイトルも三割くらい理解できる。

    大学生の頃に読んだときは、何かニヒルでハードボイルドな特別な男性の話に感じたが、いま自分が主人公の年齢を越えて読んでみると、少しだけ気持ちが分かるし愛おしく感じる。

    ■ Todo
    この体験はaudioブックならではと思う。
    晴れた日が瞼を温めるのを感じながら、外でビールを飲みたい。そろそろ、そんなことが許される季節だ。

  • 上に続いて下の感想



    〔ハードボイルド・ワンダーランド〕で、〈私〉とぽっちゃり孫娘は、地の底の暗闇の中で何とか奥の祭壇に辿り着き、意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会し、〈私〉の意識は人工的に増設され、現在三つの回路が存在している事を知らされる。

    老博士は修正するはずだったが、記号士たちの妨害によって計画は失敗し、このまま放っておけば第三回路〔世界の終り〕の意識の中で永遠に生き続けることになるらしい。

    地上に戻り、ぽっちゃり孫娘と〈私〉のアパートで身なりを整えながら、意識が第三回路に切り替わるまでの残りの24時間をいかに過ごすか考えた。
    そして、先日世話になった図書館のリファレンス係の女の子に電話をかけ、食事の約束をした。
    ぽっちゃり美人孫娘から身体の関係を求められたが、謎の本能がそれを押しとどめ、断った。

    最後の夜を図書館女子と過ごし、帰れたらまた会いに行くと言って別れた。最後の時に、ぽっちゃり孫娘と電話で会話し、もしも〈僕〉を冷凍保存して治療できたら性行為する約束をした。



    交互に進んでいた〔世界の終り〕は、〈僕〉の第三回路の世界で、そこに住む人々には心が無く、時間という概念も無く一瞬にして永遠。

    壁の中に入るには影と切り離され、影は徐々に弱っていく。それに併せて徐々に街と同化し、影が死ぬと心が無くなり「完全」になる。しかし、影を逃して心を残してしまった者は、森に追放されるというのが、この街の仕組みらしい。

    〈僕〉は夢読みを手伝ってくれている図書館の彼女の心を取り戻す可能性を唄によって見出す。そして自我を少しずつ取り戻し始めた様子の彼女。

    〈僕〉は自分の影と約束していた脱出計画を実行するが、完遂目前で、影にやっぱりここに残ると伝える。説得する影に、彼女の心を見つけた事やこの街を作ったのは自分自身だと認識した事について話す。

    そして影だけが去っていき、そこは世界の終りになった。





    下で二つの物語の繋がりが分かったが、内容的には微妙だったかな。

    〔ハードボイルド・ワンダーランド〕の結末は、おそらく〔世界の終り〕での脱出にかかっていたが、〈僕〉が街に残る方を選んだ事でバッドエンド。

    〔世界の終り〕の最後は、図書館の彼女の心を取り戻して森で一緒に暮らそうと思い、街に残ってみたものの世界は終わってしまい、バッドエンド。

    つまり、人の心と恒久的世界は共存し得ないという意味なのかなぁと感じた。

    作中に出てくる重要な唄はダニー・ボーイ、歌手ではボブ・ディランやその他たくさん、小説では異邦人やカラマーゾフの兄弟等、ウイスキーは色々。
    一部の小説とウイスキーの銘柄は知っていたが、その他は知らない事ばかり。不自然に固有名詞を出しすぎているようにも思えてしまったが、きっと知識ある人が読めば、微細な感情の違いだったり、雰囲気だったりを味わえるようになっていると思いたい。

    村上春樹のメッセージとやらはおそらく届かなかったが、考察しているうちに作品の深みが増してくるように感じるのは何故だろう。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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