世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)
- 新潮社 (2010年4月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001586
感想・レビュー・書評
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頭蓋骨、夢、ユング、記憶の在処、といった似通ったお題に対して、全く違った作品。
はなはだしいほどリアルな京極「狂骨の夢」
バーチャルファンタジーな村上「世界の終わり」
一人の記憶が二人に共存する狂骨。
一人の意識が二つの世界を想像する世界の終わり。
最終的に幻覚的現象にも理論的な考察を示す小説と、あくまで、非現実的な要素を読み手に考察させる小説。
私は、世界の終わりの世界は、ハードボイルドワンダーランドの計算士の男の脳内の核に出来上がった一つの意識世界として読んだ。
引き剥がされた影は、その世界からの逃避を計画する。男は影との別離を決意してその世界にとどまる。影の逃避は、ハードボイルドの世界の男との意識の統一化と思ったのだけれど、それは、わからない。
「やれやれ」って、下巻で7回出てきたと思う。目についちゃうんですよ。 -
ファンタジーと現実パートが収束した
やっぱり現実パートが好きで
ファンタジー世界の話は自分に合わないと思った、てか入り込めない。てめえの乏しい想像力のせいなのか、はたまた好みの問題で開き直って良いのか。
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村上春樹初の書き下ろし長編作品。二つの物語が交互に進んでいくスタイルは、読んでいて飽きず面白い。内容は著者らしい風貌(むしろこちらの方が若いのだが)で、相変わらず盛り上がりも盛り下がりもない、ある一定のトーンで語られている。これが村上春樹氏における書く力なのかというとそうとは限らず、『海辺のカフカ』では後半氏には珍しい比較的盛り上がる勢いが見られる。『騎士団長殺し』は常に不気味さがあり、盛り上がりがあった訳でないが、今作は『世界の終わり』『ハードボイルド・ワンダーランド』の二つの物語同様に憂愁であるにせよ、その内に秘められたものにはチリチリとした温もりのような光が散りばめられている。長編ではあるが、40章と細かく分けられているので、短編集を読んでいるような感覚に近い。
ドキドキワクワク一体何が起きるんだ!?というものではなく、何かが我々の知らないところで起きては荒らしていき、知らないうちに終わりのカウントが始まってしまったようだ──というニュアンスである。
再読したいとまではいかなくとも、一度読めば心に残り続けるだろう。生活した跡や雪や静寂が。それこそがこの内容そのもののようにも思える。
我々は存在していたのだと。 -
後半で2つの世界について理解できたので、もう一回前半を読みに戻ったらまた違った良さがわかるんだろうな。
文章とか、現実世界の主人公の行動とか描写とか、すごく面白いんだけど、私とは違う人種すぎて、うまく感情移入できなかった。 -
Audibleで読みました。
初・村上春樹でしたが、残念ながら理解が及ばずでした。難しすぎる。どこが伏線でどこで回収されているのか1%わかったかどうか。ワンピースかって。世界で称賛される頭脳の中身は想像ができない。こういう話のプロットとかどうやって作るんだろうか。
悔しいのでまた挑戦します。 -
2022.01.06 読了
39章で太った女が、電話で語ったセリフが天才で天然な感じが面白い。
限定的なヴィジョンだからこそ描ける世界があって完全なヴィジョンと優劣をつけることは難しい。
もっと読解力があれば理解できた気がする。
もう少し村上作品を読まなければ…。
あ、本当だ、大学生だ。
こうやって"大学生"とか、例えば"高校生"とか、
一定の懐かしさを皆が持ってる○...
あ、本当だ、大学生だ。
こうやって"大学生"とか、例えば"高校生"とか、
一定の懐かしさを皆が持ってる○○生を使っちゃうのはズルいよね。
それだけでもう充分青いしセピアだしほろ苦いですもんね。
デビュー作から、斬新で、文章が特殊で、一度はその世界感に惹かれるものがあります。
驚くのは、若い方でも読まれる方が多い事...
デビュー作から、斬新で、文章が特殊で、一度はその世界感に惹かれるものがあります。
驚くのは、若い方でも読まれる方が多い事。
何か一作ぐらい読んでおいても、良いんじゃないかしら。ほら、悪態レビューお待ちしてますよ。
今日イッパツ借りてくるわ!!
今日イッパツ借りてくるわ!!