1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉後編 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 617
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001647

感想・レビュー・書評

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  • すべてが多義的で考察しだせばキリがなくなる。最後まで説明のされない物事もたくさんあったが、「説明されないとわからないのであれば、説明されてもわからない」のだ。天吾のように、村上春樹は文章の足し引きをよく心得ていて、この小説はこれ以上長くてもいけないし、これ以上少なくてもいけないのではないだろうか。だからこそこの物語には存在するべき空白が存在し、それを私は考察によって埋め、自分なりの『1Q84』を見出さなくてはならないのではないか。

  • 青豆が数時間掛けて執拗にストレッチする姿があるが作者自身を投影した描写であろう。丁寧に言葉を選別し厳密に定義を吟味し表現の曖昧さを排除していく。特に会話のシーンでその傾向が顕著だ。推察と戻換そして反芻は読み手の想像力を限定的にさせるようで不思議な拡がりと浮遊感を生み出している。

    『1Q84』は結局青豆と天吾の純愛物語であったわけだが、そこにあるのはトラウマとの対峙であり不可逆の並行世界であり処女受胎を模した再生であり、それら諸々が二人の純度を増しているように思う。特にNHK集金人の亡霊(?)は現実世界で二人を結び付ける幻想の重要要素であった。こういう一見無関係な要素の使い方が村上春樹氏は抜群に巧い。村上春樹氏が描く喪失の物語はフカエリと牛河が担ったが、それを踏み台にした誕生の物語も描かれる。

  • 時々、現実世界と並行世界の境界がわからなくなってしまいそうになる?時間の経過とともに登場人物の感情や状況が交わっていって面白かったが、さらに続きがあっても良いような気がする。それとも、それはあとには置いていけない秘密なのか。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「さらに続きがあっても良いような」
      ですよね!
      でも、それについては賛否両論です。
      「さらに続きがあっても良いような」
      ですよね!
      でも、それについては賛否両論です。
      2013/04/30
  • とても読みやすい文章でさらさらと通り抜けて行く感じでした。
    他の方も書いてあるように物足りなさであったり主要人物のその後がどうなったかも書かれてはないが、私達が今生きている世界もはっきりとした結末がないまま、そのまま流されて行く事もある。
    青豆と天吾、小さなものが試練を乗り越えて生きていければよいと思いました。

  • やっと6冊の文庫本を読み終えました。

    う〜ん、なんともいえない読後感。
    勿論、結末には希望がある、夢がある。
    でも、ここまでの長い道のりを歩んで来た身としては、もう少し欲しくなるところ。
    細かな疑問は随所に残っている。
    ただ、この小説の中で、幾度となく繰り返されたように、『知る必要のないこと』『言葉で説明されてもわからないこと』なんだと理解するしかない。
    マザとドウタについて、リトルピープルについて、様々な見解があると他の方々のレビューやブログをみていて感じます。

    それらを熟考することに意味があるような気がする。
    これはただのファンタジーではなく、
    現実世界に通ずる世界の一つだと仮定するとだけれど。
    その作業が殊更苦手な私としては、
    このような作品はあまり得意ではないのだけれど。
    それでも、読み進めずにはいられなかった、そんな作品でした。

    ただ、これは複数の読者が思っていると思うけど、
    セックスシーンの多さには驚いた。
    現在の象徴といってしまえばそれまでだけど、
    それが現実世界を感じさせる効果はあったけど、理解できないシーンも中にはあったので。

    暫くは読後感を味わおうと思います。

  • ふぅ、読み終わった…
    読み終わったという事実そのものが感想になっている。

  • 【長く滑らかな指、そして強い芯を持っている。青豆、と天吾は思った。青豆と天吾、二人は「物語」の深い森を抜けてめぐり逢い、その手を結び合わせることができるのか。ひとつきりの月が浮かぶ夜空に向かって…】

    謎が残って気になる~。
    でもハッピーエンドでよかった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「謎が残って気になる~」
      続きを期待しましょう~
      「謎が残って気になる~」
      続きを期待しましょう~
      2012/12/08
  • 久しぶりに、ただ一つの(ような)がちがちの現実から開放される感覚。
    こういう男女がいてもいいし、こういう世界があってもおかしくないし、真実がどうであるにせよ、想像していたほうが素敵だな。これぞ物語。
    しかしどんどん観念的になっていくんだなあ、村上春樹。
    それとも、もうこういうの書いてもいいよねって感じなのかな?

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「どんどん観念的になって」
      今の世界を描こうとすると、単純に割り切れないから、こんな風になるのでしょうね。
      面白いからドンドン読み進めてしま...
      「どんどん観念的になって」
      今の世界を描こうとすると、単純に割り切れないから、こんな風になるのでしょうね。
      面白いからドンドン読み進めてしまうけど、「アレ?」とか「う~ん」と思ってしまうコトも多々ありました。。。
      2013/01/04
  • ついに完結……!
    あっという間だったけど、6冊も読んできたなんて。
    不思議と引き込まれる物語でした。
    今では青豆にぞっこん。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「不思議と引き込まれる物語でした」
      私にとって村上春樹の作品て、どれもそうなんです。途中で止められずになるので、読むのはいつも長期休暇。
      何...
      「不思議と引き込まれる物語でした」
      私にとって村上春樹の作品て、どれもそうなんです。途中で止められずになるので、読むのはいつも長期休暇。
      何だかよく判らない部分があるけど、気になって仕方無い。。。やっぱり上手いのでしょうね。。。
      2012/12/07
  • とても疾走感のあるお話でした。3部構成もそれぞれのテーマがあり、最後はラブロマンスでしたね。(笑)
    良くも悪くも村上春樹。この世界観を読者の主観では説明はできない。論理的な解釈も求めちゃいけないのだろうと。

    3部からは牛ちゃんの目線が挟まれましたが、それとは別の第3者の説明や描写が目立ちます。「もし青豆がもう少し早く滑り台に目を向けていれば…」というナレーション側のような描写はあまり村上春樹の小説にはなかったように思える。ちょっと違和感がありました。

    ただ、停滞した時間を先に先に進めようとする力はさすがでした。

    1984の世界で、二人が話す経験、未来を想像するだけで、この小説の余韻が力強かったと思えます。

    ともあれ、久々の長編小説に、今は感無量!

著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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