1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉後編 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001647

作品紹介・あらすじ

その誰かは、そこにあるものが本当にあることを確認するために、彼の幅広い手をいっそう強く握りしめた。長く滑らかな指、そして強い芯を持っている。青豆、と天吾は思った。しかし声には出さなかった。彼はその手を記憶していた。──青豆と天吾、二人は「物語」の深い森を抜けてめぐり逢い、その手を結び合わせることができるのか。ひとつきりの月が浮かぶ夜空に向かって……。

感想・レビュー・書評

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  • ついに完走を遂げた。
    フルマラソンを走り切った時の、痛みも疲労感もなく、思っていた以上にさわやかに幕を閉じた。
    こんなラブストーリーが他にあろうかと思えるほど、素敵なラブストーリーだった。
    大きな大きな、そして危機的な回り道だったからこそ今が尊い。

    教育実習から帰ってきたら、近くのアパートに住んでいた友達があちら側の世界に行っとしまった。寂しかったんだろう。月が二つの世界には誰でも入れる。ほんの少しの心の隙間に使者は訪れる。

    1Q84.猫の町の謎は解けない。でも、1984と違う論理の世界だから、その矛盾や謎を明らかにしようとすり必要はない。

    青豆と天吾、本当によかった。

    個人的にはふかえりにもう一度会いたい。

  • 〈10-12〉後編 6 遂に最終巻
    青豆と天吾は、手を握り合い、1Q84ではない別の世界へ。小学生時代から求めあっていた二人の恋愛は成就する。そこは、1984かもしれないし、違うかもしれないらしい。多くの謎を残したまま。
    ここまできて、まさかの放置プレイ。
    ファンタジーということであれば、それなりに面白い。リトルピープルは、パンドラの箱の中身みたいな人間の悪意で、それを紡いで大きな意志としていく。それは、次第に社会を支配する。ってな感じでしょうか。
    近過去にあったような小説を書いたとするならば、しかも宗教問題を扱うとなるならば、期待してしまうじゃないですか。作者があの事件に長期に渡り携わってきた事は、周知なのですから。
    ファンタジーとしても、リーダーがリトルピープルの代替者として表現したこと、自分の意志ではなかった事としたのは、どんな意図があったのかなと思う。1Q84風に言うならば、それはわからない。

    • 1Q84O1さん
      おびのりさん

      再読お疲れ様でした(^^)
      私も本作を読んだのはかなり前のことで、内容を忘れている部分もあり、おびのりさんのレビューを見なが...
      おびのりさん

      再読お疲れ様でした(^^)
      私も本作を読んだのはかなり前のことで、内容を忘れている部分もあり、おびのりさんのレビューを見ながら思い出していました♪
      また、自分でも読み返してみようと思います(たぶんw)

      で、おびのりさんのレビューで思い出しました!
      最後放置プレイだったんですよねw
      当時、まだ続きの巻があると思い込んで図書館に借りにいきましたよw
      もちろん続きの巻はありませんでしたが…_| ̄|○
      2022/12/06
    • おびのりさん
      1Q8401さん、コメントありがとうございます。私は、もう読みません!( ´∀`)

      村上さんは、この世界観で描き続けるなら、もうインタビュ...
      1Q8401さん、コメントありがとうございます。私は、もう読みません!( ´∀`)

      村上さんは、この世界観で描き続けるなら、もうインタビューとか受けずに、謎めいて生きた方が良いんじゃないかなあとか思いました。「一九八四」をまだお読みでないなら、是非そちらを先に読んでみてね。ちょっと、読後、余韻がきますよ。
      にしても、途中何度も、それはわからない。って出てきて、いや、じゃあなにかいてるんですか⁉︎ってツッコミ入れてました。
      どうぞよろしく。
      2022/12/07
    • 1Q84O1さん
      「一九八四」まだ読んだことないので「1Q84」を再読することがあれば先に読んでみますね♪
      アドバイスありがとうございます^_^
      「一九八四」まだ読んだことないので「1Q84」を再読することがあれば先に読んでみますね♪
      アドバイスありがとうございます^_^
      2022/12/07
  • 何も考えず、ただ物語に身を任せる…
    青豆と天吾の章、どちらも興味深く、早く先が知りたいと思う。
    Book3からは、牛河の章も加わって、緊迫した空気が更に増して、あっという間に読み終えてしまった。
    あの、児童公園のすべり台で、牛河、青豆、天吾の3人の視線が交錯する場面が、まるで映画を見ているようにはっきりと脳裏に焼き付いてしまった。

    機会があればまた読み返してみたい作品だ。

  • ダレずに読めた。

  • シリーズ通読完了。本作は大人向けの、特にもしかしたら80年代に若者だった大人へ向けたファンタジーだったのかもしれない。大人向けのナルニア国物語、みたいだ。極めて個人的な感想だけど。

    村上春樹さんは1949年生まれで、1979年に30歳で『風の歌を聴け』が第22回群像新人文学賞を受賞してデビューしているということだから、1980年代はちょうど30代だ。

    1984年はその年刊行の長編作品はないが、『螢・納屋を焼く・その他の短編』という短編集が刊行された年だ。
    その前後で『羊をめぐる冒険』(1982年)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985年)、『ノルウェイの森』(1987年)と、名作を数多く生み出している。

    経済はバブルの直前。アップルがマッキントッシュを発表し、エリマキトカゲがブーム。マイケル・ジャクソンがグラミーで8冠を達成し、グリコ・森永事件が起きている。ロス五輪で柔道の山下やカール・ルイスが活躍した。

    そんな1984年だ。その年の4月に天吾と青豆は1Q84に迷い込んでいる。月が2つあるもうひとつの世界だ。
    1Q84の高円寺で、天吾と青豆、そして牛河はそれぞれの目的のために奔走する。あるいは静止し、考え、策をめぐらし、あるいは監視し、隠れ、移動し、別れを経験する。秘密は秘密のままのこともあるし、自然と暴かれることもある。青豆にはわかる。腹部に小さいものを宿した女性はやはり強い。

    メインの登場人物もサブの人物も大活躍だ。出てくる人物も出てこない人物もこの世界は内包してそしてひとつにまとまって収束を迎える。
    物語は収束するが、終息ではない。それぞれの人物たちはふたつの世界で地に足をつけて生きていく(あるいは死んでいく)。

  • 青豆、天吾、牛河がそれぞれ滑り台の上で月を眺める姿が、読了してから一週間、頭から離れません。

  • ボートを川の上流に向かって漕ぐように
    少しずつ進んでいるように見せて、
    少し手を休めて考えていると、気づくとボートは
    また元の場所に戻ってしまう。遅々として進まない場所
    まとまらない思考、見えない足元。

    感覚はとても近くにあるのに、実際の距離は遠く
    他人の夢を見ているような、プルーストの世界と1Q84の世界。

    他動的な何かに運ばれ1Q84に来たわけではなく
    いるべくして自分はここにいるのだと確信を持つ青豆。

    「空気さなぎ」の本によって明文化されることで
    非活性化されたリトル・ピープル。

    本人の意図するところとしてではなく作られた
    列車としての天吾の物語と思考や常識は
    もはや超えてしまったところでの青豆の確信。
    2人にとっての1Q84と猫の町。

    両手を何にも塞がれず、何事に揺らぐこともなく
    ただお互いの存在だけを信じて辿りついた場所が
    ただただ心穏やかで温かくてうれしかった。

    すべては解き明かす必要もなく、穴は塞がれた。
    ただ事実としての現実を知ることより、
    想いがそれを持ち去っていくことも素敵だと思う。
    深く慎重に探してきた道に光が見えて、ドウタとして
    この世に生まれてきたキモチになるラストでした。

    初めての村上作品で、難しいのかなぁ…と
    不安に思いつつの読み始めだったけど
    すごく読みやすく、心情と情景の溶け合った風景が
    すごく想像しやすく、心の中の思いを
    一番伝わりやすい形でコトバという記号を使いながら
    いつの間にか頭の中に言葉を言葉としてでなく
    より深い意味で溶け込ませてくれる力に驚きました。

    言葉の枠を超えていくための言葉。
    村上春樹さんという作家の素晴らしさに出逢えて感激しました。

    • 山本 あやさん
      [♥óܫò]∠♡まっき~♪さん

      まっき~さん、こんにちは♡

      初めての村上さん作品だったんですが
      世界観も物語もほんとにぐいぐい惹きこまれ...
      [♥óܫò]∠♡まっき~♪さん

      まっき~さん、こんにちは♡

      初めての村上さん作品だったんですが
      世界観も物語もほんとにぐいぐい惹きこまれる
      ステキなお話でしたよねーっ[*Ü*]

      新しい新刊はまた全然違う感じのお話みたいだし
      どんな世界なのかドキドキしますよねーっ♡

      ステキなご縁、とってもとってもうれしいです[*Ü*]
      これからよろしくオネガイしますっ[*>ー<*]屮》
      2013/03/27
  • すべてが多義的で考察しだせばキリがなくなる。最後まで説明のされない物事もたくさんあったが、「説明されないとわからないのであれば、説明されてもわからない」のだ。天吾のように、村上春樹は文章の足し引きをよく心得ていて、この小説はこれ以上長くてもいけないし、これ以上少なくてもいけないのではないだろうか。だからこそこの物語には存在するべき空白が存在し、それを私は考察によって埋め、自分なりの『1Q84』を見出さなくてはならないのではないか。

  • 生きてる間にぜひ読みたい作品として考えていた。村上春樹さんの作品は「ノルウェイの森」以来だった。
    とても不思議な話だった。理解する、というより味わうのだ、とSNSなどには書かれていて、そういうものなのか、と納得。
    正直に言うと…。私にはよくわからなかった。
    でも、村上春樹さんの世界を感じられたのはとてもよかった。

  • 回収されてない伏線もメタフォリカルすぎる1Q84の世界の成り立ちも結局判然としないままラストを迎えたけれどそんなことどうでも良くなるくらい青豆と天吾の再会に心からよかった、、、。
    チェーホフの銃たるヘックラー&コッホが火を噴くことがなくて本当によかった。最後の最後まで青豆あるいは天吾がなんらかの原因で凶弾に斃れることを想像していた部分もあったので。チェーホフの銃のモチーフが村上作品で持ち出される意味って要はその銃は逆張り的に発射されませんよってことだよね。にしてもチェーホフ、トルストイ、ドストエフスキー、19世紀ロシア文学好きすぎるだろ。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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