- 新潮社 (2019年2月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784101001722
作品紹介・あらすじ
「わかりきったことじゃないかね」と誰かが言った。ある夜、主人公の前に顕れたのは「イデア」だった。イデア!? 山荘のスタジオで一度は捨てたはずの肖像画制作に没頭する「私」の時間はねじれ、旋回し、反転する。不思議の国のアリス、上田秋成「春雨物語」、闇の奥でうごめく歴史の記憶、キャンバスの前に佇む美しい少女── 多彩な人物と暗喩が織りなす物語は、さらに深く、魂の森の奥へ。
感想・レビュー・書評
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『騎士団長殺し』第1部下巻。
免色さんとの交流、サブタイトルにもある「イデア」の出現など、山での淡々とした生活の中で少しずつ物事が動いていく。雨田具彦のウィーン留学についても話が及ぶ。
村上春樹さんの描く人物はどの人も謎めいている。特に免色さんは話しやすそうな一方、謎も多い。望み通りの家に住み、その家を自分好みに改装し、望めば得られる各種サービスなど、免色さんの潤沢な資金力を見せつけられた。「イデア」は可愛げがあり親近感を抱いた笑。
話の展開は依然として読めないが、村上さんの描く「絵画」「自然に囲まれた大きな家でのスローライフ」「クラシック音楽」「ウィーン」などの要素に引き込まれた。続きを読みたい。 -
下巻も上巻に負けないくらいの展開で、物語はちゃんと進んでいて面白かったです。
後半のまりえとぼくの会話が、やや気持ち悪い感じがしてしまいました。まりえは年頃の女の子なのに、絵画の先生であるぼくに胸の小ささやペニスのことなどをあんなに堂々と聞いてくるなんて…そんな女の子はあんまりいないのでは?と思いながらも、これは作者の理想?と思ったりして嫌な感じがしてしまったのですが、ふと、ああそうだこれは村上春樹の小説だった、と思いながら(笑)なんとか最後まで読み切りました。
不思議ですが、村上春樹さんのこのねっとり感が読者をクセにさせるのかもしれません。
官能小説を書きたいわけではないのはよく分かっているので、だからこそ、この純粋な少女と大人の男ぼくのやりとりが、不自然で気持ち悪く感じてしまうのですが…村上春樹さんだからと思うと自然にも感じます。
不思議だなあ。
細やかな描写なので、後半、一部だけ残酷なシーンなどが鮮明に想像してしまいグロテスクな気持ちになりましたが、総じて下巻も面白かったと言ってしまうくらい、内容は面白かったです☺︎ -
騎士団長、登場!
謎と予感をはらんだ世界が、一気に動き出す――
その出現は突然だった。真夜中、主人公の前に顕れたのは「イデア」だった。イデア!?
一度は捨てたはずの肖像画制作に没頭する「私」の時間がねじれ、反転してゆく。不思議の国のアリス、上田秋成「春雨物語」、遠い闇の中でうごめく歴史の記憶、キャンバスの前に佇む美しい少女――多彩な人物と暗喩とともに、物語はさらに深く、森の奥へ。 -
免色さんが穴に入ってあっちとこっちの境界線のくだりとか、後半の雨田さんの戦争下で体験してきたであろうことが『ねじまき鳥クロニクル』を思い起こさせる。白いスバル・フォレスターの男(僕?)が女を絞め殺そうとする場面なんかは『ダンス・ダンス・ダンス』の五反田君を感じた。
今までの作品が色々と現れているのかもしれない。
免色さんの娘と思われる秋川まりえとどうなっていくのか、騎士団長殺しの意味などまだまだ分からないことだらけで続きが気になる内容でした。 -
騎士団長の口調が可愛い。
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上巻P121で「騎士団長殺し」と名札の付いた絵が屋根裏から偶然に発見された 真夜中の裏庭から聞こえる鈴の音の正体が騎士団長そっくりのイデアと分かる ホラーから一転ファンタジーなところがやっぱり村上春樹だった そして下巻でも官能小説ぽさは抜けず 最後には主人公36歳と女子中学生13歳の下の会話を読ませられることになるとは~キモくてエロぃ 2部では白いスバルフォレスターの男周辺に期待大
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主人公は白髪の紳士・免色の”肖像画”を完成させたが、それは依頼主の免色もかなり満足の出来栄えだった。
そんなある夜、主人公は家の中で鈴の音が鳴っていることに気付く。意を決してスタジオに行った彼が見たものは『騎士団長殺し』の絵の中の人物、60センチばかりの騎士団長の姿だった。騎士団長は、自分は騎士団長の形体を借りた「イデア」であり、石室に閉じ込められていたが、あの穴から自由になったのだと言う。
また主人公は、ある事情から美しい少女秋川まりえをモデルに肖像画を描くことになる。
「騎士団長殺し」を描いた雨田具彦に起きた戦前のウィーンにおける出来事を巡る事実が徐々に明らかになったり、不思議なイデアが登場したりと、正に村上ワールド。果たして次はどのようなことが起きるのか、先に進むのが楽しみ。 -
まだまだ謎だらけ。画家さんが妻に急に離婚を言い渡され、旅にでた先にたどり着いた場所でみつけた「騎士団長殺し」の絵。この絵の謎は?怪しげな隣人の要求の真意は?長いけど飽きることなく読める。
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騎士団長はじめ、登場人物の背景が徐々に明らかになります。「肖像画を描いて欲しい」から始まった免色氏の企ては一体どこへ向かうのか、離婚が決まった元妻ユズとの関係はどう進むのか、次巻の展開に期待です。
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不思議な免色さん。実際にいたらあんまり関わりたくなさそう…笑
免色さんの過去の話だったり雨田雅彦のウィーンの話だったり、村上春樹っぽいなぁと感じる内容が多くある続きだった。 -
村上春樹「騎士団長殺し 第1部(下)」読了。主人公「私」の几帳面さがとても心地良かった。規則正しい生活。音楽を楽しみ、簡素な服装を好み、手際よく料理する。これは、村上ワールドの必須条件かな。
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早くも第1部読了。
初読の際は、今後起こることも含めて、メンシキさんの気持ち悪さだけが残っていた。
けれど、彼が情報を司る力を持ち得ながら、父親であるかどうかを、敢えてグレーのまま残しておくという、その感じが、今の私には全く理解不能ではないように思った。
「しかるべき時間の経過がおそらく私に、それが何であるのかを教えてくれるはずだ。それを待たなくてはならない。電話のベルが鳴るのを辛抱強く待つように。そして辛抱強く待つためには、私は時間というものを信用しなくてはならない。時間が私の側についてくれることを信じなければならない。」
時間について、一番好きな記述部分。
私は待つということが苦手で、そういう意味では時間を信用していないのかもしれない。
時間が私の側についてくれること。
擬人的な言い回しだけど、なんとなく好きだ。
「私」にとっては、妹と柚との別離が、ひとつの時間の断絶となってもたらされている。
そして、繰り返し繰り返し、断絶を再現しては傷を新しいままにしている。
断絶は何を生み出すのか。虚無か。憎悪か。
そんな答えを探るために、「私」と一緒に読み進めているような気がする。
そして騎士団長イデア、かわいい(笑) -
村上春樹氏の作品が大好きで全て網羅している。
今作品は、一人称回帰。
村上春樹氏の一人称と言えば「僕」だけど、初めて「私」という一人称。
それだけをとっても、時は着実に流れており、村上春樹氏は70歳になり、私は42歳になり、お互いに生きて成長しているのだという実感が湧いた。
10代、20代はリアルタイムで「僕」で読めたこと、40代になった今「私」で読めること。
今の私には「僕」より「私」のほうがしっくりくる。
出版順とともに成長するように、リアルタイムで読めることが本当に嬉しい。
年齢は違えど、同じ時代を生きて、同じ母国語で訳を介さず村上作品を読めることは、私の人生にとって、とても貴重である。(「顕れる」「遷る」など漢字に意味を持つ日本語で読めること)
年齢を重ねたからなのか、今作品は独特の言い回しやクセのようなものが、削ぎ落とされた気がする。
私も歳を取ったからなのか、以前のように、心打たれるような文章や、書き留めておきたいような文言は見当たらない。
でも、文章を読んでいるだけで、一瞬でどこか別の場所に連れてってくれる特別な力を持つのは変わらない。
文章がメロディーになり映像になる。
村上作品に共通して言えるのは、人間の形成に大きく影響するであろう幼少の家庭環境や実の両親の存在がほとんど登場しないことであった。
だから、ある意味自分の忘れたいリアルな現実から遠ざかり、安心して読めた。
今回は、生き別れた妹が出てきたことに少しびっくりした。
そして今までは、あらすじのない物語で、地図もなく、どこに辿り着いてしまうのかわからないまま進んでいく、まるで夢の中のようなストーリーだったけれど、今回はあらかじめ設定されているようなストーリーの枠みたいなものが感じられて、それも新鮮だった。
そもそも、村上作品に映画やドラマのようなストーリー的起承転結を求めていない。
どちらかというと音楽を聴くのに似ている。
村上春樹氏の描く文章によって、一時的に現実から離れ、彩のある鮮明な夢を見させてくれる。
他の作家の小説は、何かしらのストーリーが始まり終わる。読者の私は夢中になったり感動したとしても、ただ通り過ぎるだけで、いつしか内容も結末も忘れてしまう。
村上作品は、私に吸収されて含まれていく。まるで実際に体感したかのように。
今までたくさんの作品を読んできたけれど、ありありと「心の情景(自分だけの映像)」として記憶が残っているのは、村上作品だけである。
ある物事や感情を音楽として残したり、絵画として残したり、文章として残したり、「人に伝えること」は、誰にでも成せることではない。
才能を持った限られた人にしかできない技。
今回、いつもの風景描写や時間描写だけでなく、絵画描写を文章として残したり、性的描写もいかに文章だけで生々しく映像化し正確に真髄を伝えられるかに力を注いでて、ただただすごいなと。
誰にでも成せる技ではない。
冒頭の舞台は「グレート・キャッツビー」、リアルと非現実の感覚的な感じが「不思議の国のアリス」を想起させられた。
物語とは直接関係ないが、平成最後の夜に第一部が読み終わり、令和初日に第二部が始まるという、村上春樹氏で時代を跨いだことが、私的に妙に気持ちよかった。
私にとって村上春樹氏と共に同じ時代を生きていることは、とても重要なことである。
(第二部に続く) -
何とも言えぬ不思議でやや幻想的な感じになってきた。この先の展開ぎ楽しみ。
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どんどん面白くなる。
しかし自身の年齢なのか、独特の性描写が懐かしくもあり、やや気持ち悪くもあり。 -
以下の表現、とても気に入りました。納得って感じ。
この本、すごく好みかもしれません。村上春樹の中で一番かも。
私の感情はそのいつまでも続く沈黙の中で、刃物でできた重い振り子のように、ひとつの極端からもうひとつの極端へと大きな弧を描いて行き来した。その感情の弧は、私の肌にいくつもの生々しい傷跡を残していった。 -
この巻で騎士団長の意味がわかる。
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免色さんの、ものすごく自律した精神と狂気の共存がすごくよいとおもった。印象深い。
最近よく考える「無」というテーマが途中で出てきたので、どきっとした。からっぽとは思わないが、無とはおもう。
著者プロフィール
村上春樹の作品
