街とその不確かな壁(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2025年4月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784101001784

作品紹介・あらすじ

十七歳と十六歳の夏の夕暮れ、きみは川べりに腰を下ろし、〝街〟 について語り出す――それが物語の始まりだった。高い壁と望楼に囲まれた遥か遠くの謎めいた街。そこに“本当のきみ”がいるという。<古い夢>が並ぶ図書館、石造りの三つの橋、針のない時計台、金雀児(えにしだ)の葉、角笛と金色の獣たち。だが、その街では人々は影を持たない……村上春樹が封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。

みんなの感想まとめ

物語は、壁に囲まれた謎めいた街と、そこに生きる人々の影のない世界を舞台に展開します。主人公は、現実の自分と幻想の街にいる自分を行き来しながら、古い夢や不思議な出来事に触れていく中で、心の奥に潜む感情や...

感想・レビュー・書評

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  • 『部屋は暖かく静かだ。時計がなくても、時間は無音のうちに過ぎていく。足音を殺して塀の上を歩いていく細身の猫のように』
     塀の中の図書館で
    静かに穏やかに過ごす日々
    たぶん自分が作り上げた塀の中
    このままこうしていれば
    時が過ぎる
    何にも脅かされることもなく

    しかし自らの影と思われるものから
    提案が
    ここまでは
    「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
    でよく知っている世界

    そこから先は思いがけない展開が‥

    所々に散りばめられた
    こころに響く文章が
    なんて素敵なんだろうと思う
    文庫本ならではの
    ここで一区切り
    一息つけてよかった!

  •  単行本で読んでいましたが、オーディブルで聴けるようになったので聴きました。最初が少し入り辛く壁に囲まれた影のない世界というのが何だか馴染めませんでした。私が村上春樹さんの本でとても好きなのは、一人の女性にこだわるところなのですが、この本でもやはりそういう展開になります。最近の不思議ワールドの中でも不思議度が高いように感じました。下巻の登場はいつになるのだろう。

    • きたごやたろうさん
      「いいね」ありがとうございます。

      おー。
      オイラが最近やっとデビューした村上春樹さんだ!
      「いいね」ありがとうございます。

      おー。
      オイラが最近やっとデビューした村上春樹さんだ!
      2025/10/28
  • 上巻読了。

    村上春樹さんの新作長編がついに文庫化されたぜ!
    ・・と、いう事で早速書店にてGET&ホクホクしながら読み始めた次第です♪

    うん、これこれ!
    なんだろう・・この身体に染み込んでくるような文体と、世界観に浸っている時の心地よいまどろみのような感覚・・これぞ村上ワールドでございますよ~。

    本書(上巻)は第一部と第二部の途中までが収録されているのですが、第一部は現実の「ぼく」(&メンヘラ気味な「きみ」)パートと、幻想の〈壁に囲まれた街〉にいる「私」パートが並行して展開されていきます。

    ん?“壁に囲まれた街”?
    えっと…『進○の巨人』ではないですよ~(;´∀`)

    壁、図書館、金色の獣、〈夢読み〉、そして引き離された影…。
    そう、ここはあの『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「世界の終わり」パートの舞台だった"街"ですよね。
    "古い夢"が入っているのが頭骨ではなく卵だったり、一角獣→単角獣、門番→門衛等々…と若干の"調整"はあるものの、“あの街”が再び舞台に・・ということで、家の本箱から再読し過ぎてボロボロになった『世界の・・』の上巻を取り出してきて、巻頭の地図を眺めながら読ませて頂きました。

    第二部は、中年になった「私」が館長として働くことになった、とある田舎にある小さな図書館が舞台となります。
    読んでいてちょっと思ったのですが、このチャプターは何となくイメージ的に『海辺のカフカ』の要素も入っているのかな・・という感じがしました(あくまで私見です)。
    ここで登場する、子易さんも「パラレルワールドのナカタさん(『海辺のカフカ』の登場人物の、ピュアで不思議なおじいさん)」って感じですし(私見です!私見ですってば!)。

    そんな訳で、まだ上巻を読んだまでの段階ですが、村上ワールドの色んな要素が散りばめられている物語だな・・という印象です。

    この後、どんなストーリーが展開されるのか・・このまま下巻に進みたいと思います~。

  • 村上春樹は若い頃めちゃ読んだのですが、大人になると

    「ぼく」よ、もっとしっかりせんかんかい!

    という気持ちになるので離れてました。1Q84あたりで止まってる私。

    久々読むと僕に対して優しくなれるかも。
    世界の終わりとハードボイルドワンダーランド何度も読んだ口としては世界観似てて好きな感じ。

  • 文庫本を購入しました。
    上の前半と後半とではまるで色が違って感じられました。
    前半は淡く色味のないモノトーンのような世界観。
    冷たく感じられる部分が多い印象でした。
    後半は色味と呼吸を感じられるような世界観。
    前半とは異なり生きている人間を感じました。
    どちらの世界観もとても好きなのですが、後半に入っていく部分から展開のテンポが早まったように感じられてより引き込まれます。早く下巻を読みたいです。

  • 村上春樹を読むのも相当久しぶり。単行本では厚さに圧倒されてなかなか手が伸びなかったけど、文庫になって読みやすくなった。前に読んだ「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」とつながりを持つようで、あの世界観が好きだったから気になりつつ読んでみた。

    高い壁に囲まれた街、〈古い夢〉が並ぶ図書館、川と石造りの橋、針のない時計台、一角獣。どこか寓話のようなその街に入るときには影が切り離される。
    前半は“ぼく”と“きみ”の青春物語であり、壁に囲まれた街の不思議な物語。街は本当に架空の場所なのか、どこか遠い場所に本当に存在しているのではないかと思わせるような細やかな描写が印象的だった。

    中年になった“ぼく”が“私”として、とある田舎の図書館に赴く後半はまた違う印象になる。地方の図書館が舞台になる辺りは「海辺のカフカ」も思い出しつつ、〈古い夢〉と本が並ぶ図書館という場所もこの物語の象徴なのだろう。

    「人は吐息のごときもの。その人生はただの過ぎゆく影にすぎない」

    壁と影が何を表すのか。まだまだよく分からないものの、気になる続きは下巻へ。

  • 久しぶりに村上春樹の長編読んだ。短編集も良かったけど、やっぱりわたしは長編が好き。
    でも、どうして私は村上春樹の小節が好きなんだろう。好きを言語化全然できない。ここのシーンが良いってのも特にない。不思議な世界観にいつのまにか入り込んでしまって、ただただ続きが気になって読み進めてしまう感じ。最後まで読んでも、結局わからないことの方が多いんだけど。とりあえず魅了される。本当に不思議。

  • まだ上巻のみですが、村上ワールド炸裂って感じの世界観に引き込まれます。
    どっぷり浸かれる並行世界。
    描写表現や展開など時間がたっぷりある時にお勧めです。

    間を埋めるような部分が後から重要な交差点になっている等、ぜひ紙で読むべき一冊です。

  • ホラーとまではいかないのかもしれませんが、わりとゾッとするような感じの物語かも…と思いました。
    人についている影を、切り離さなくては住めない街…と、現実の世界とが交差する恐怖…。
    もはや今私が読んでいる世界は、現実なのか?それともその“不確かな街”であるのか?
    そんな不安を煽られるような感覚でした。

    不思議でちょっと恐ろしい世界観を、いつもの村上春樹さんのねっとりとした雰囲気ですすんでいきます。
    聖書の一部分がでてきたりして、結構人生について考えさせられるような感じもしました。
    ー人は吐息のごときもの。その人生はただの過ぎゆく影に過ぎないー
    下巻でどのようなメッセージ性受け取れるのか、読者としては楽しみです。

    表題の言葉を借りると、上巻はまさに不確かで曖昧です…。
    一貫してふわっとしているのですが、確実に物語は進んでおり、少しずつその“不確かな街”についての謎が明かされていくのが面白いです。

    個人的に好きな部分があり、子易さんという人が紅茶を淹れる描写があるのですが、香りがしてきそうなほどに細やかで、つい紅茶を飲みたくなって飲みながら読みました(笑)
    村上春樹さんの描写は細やかで、映像が浮かび上がってくるのがとても好きです。その世界に入り込んでいる時の時間がとても好きです。

    私はまだ『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読めていないので、もし読むならそっちからのほうがいいとのことです。
    不確かな街から読んだ私的には、読んだことなくても楽しめたので特に順番は気にしなくてもいいのかなとも思います☺︎

  • 村上春樹先生の世界観がこの本には詰まってます。幻想的ですが描写が細かく仮想世界と現実の境目が無い世界。現実逃避してしまいます。

  • 若いときの物語と同じモチーフだけど、しっとりとやさしい雰囲気で、作者の落ち着きを感じる。
    無意識の下に釣り糸を垂れる作業が小説を書くことだと対談などで話していたのがうなづけた。ただ、この作品では、個人の無意識下と周囲のそれがつながっていることを表している気がする。その壁が不確かなのではないか?

  • 不思議な世界観。
    君は影なのか、何処に行ってしまったのか、壁に囲まれた世界とは何を意味しているのか、なぜ影と切り離されなければならないのか、私と君は再開できるのか、世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドとどのような繋がりがあるのか、子易さんは現実と壁に囲まれた世界とを繋いでいる人なのか、ねじまき鳥以来の村上春樹作品を読んでいる。村上春樹は何を伝えたいのか、自分なりの考えを持ちたいと思う。

  •  まずは上巻読了。
    うーん、このあとどう、街や壁、影の謎に繋がっていくのか…
    様々な設定について、やや伏線回収のために拵えられた感を感じてしまうのは、まだ上巻しか読んでいないからなのか。そうであって欲しい。

    下巻に期待…!

    世界の終りとハードボイルドとの比較で気になったこと
    ・門番ではなく、門衛という語彙に変わってる
    ・登場人物に固有名詞がついている(とはいえ主人公にはいまだ名前なし)

  • 世界の終わりとハードボイルドワンダーランドの世界の終わりの世界と同じ世界観が前半のかなりの部分を占めていて、このままこのペースでこの展開が続くのはキツイな、と思いながら読んでました。半分くらいから話が動き始めて安心しました。
    ここから話がどう進んでいくのか楽しみです

  • 十七歳と十六歳の夏の夕暮れ、きみは川べりに腰を下ろし、〝街〟 について語り出す――それが物語の始まりだった。高い壁と望楼に囲まれた遥か遠くの謎めいた街。そこに“本当のきみ”がいるという。<古い夢>が並ぶ図書館、石造りの三つの橋、針のない時計台、金雀児(えにしだ)の葉、角笛と金色の獣たち。だが、その街では人々は影を持たない。
    本当の自分とは何か、を問いかけてきている作品だと思う。そして、影とは何かを問いかけている。
    人に映る自分と心で思っている自分の対比であったかな?と思う。自分の中に入り込みすぎると影の世界に行ってしまい、他の人とのコミュニケーションが取れなくなっていく。ただ、ひとつのきっかけがあるとその世界から抜け出ることができるということではないか。今回の主人公にとって少年が実はそうであったように。
    ごく一般の人はそのような経過を経ることがないからこの物語が奇妙に思えるのかもしれないし、奇妙に思えないのは、登場人物みたいに一種の自分の世界に籠ったことのある人なのかもしれない。

  • 村上春樹の作品は大体読んでいるが、今回も解釈が難しかった。

  • 今まで私の中で村上春樹は「好きではないが、なぜか読み続けている作家」だったのだが、この作品は好きな本だと強く断言できる小説だった。これまで個人的に苦手としてきた独特な比喩、アレゴリーによる難解さと性的描写がこの作品では殆ど感じられなかった。確かにいくつかの「不確かな」辻褄やアレゴリー(それも楽しみの一つではある)は存在するものの最後には全て納得がいった。全ての意味を完全に理解した訳ではないが、自然に納得がいったのである。一度ほどけた靴紐がまた結ばれるように。あとがきをみると、第1部で終わった可能性もあったらしい。確かに第1部だけを切り取っても物語としてはありだなとは思った。しかし第2部と第3部を経ることで霧がかかっていたモヤモヤとした物語が鮮明な太陽の光の中で完結したという印象を受けた。性的合体による何らかの到達、ある種の「希望の可能性」はこれまでの村上春樹の描写に多く見られたがこの作品では直接的な描写はなく、読者の創造にあくまでも委ねられている。村上春樹のセックス描写があまり好きではないので個人的にはありがたかった。この作品で描かれているのは喪失とそこからの復活を遂げるための自分自身の中での自分との対話の話だと思う。心の中に残った傷跡、記憶、それを乗り越えるのはそうした過去を忘れることではなく、過去にとらわれずに向き合うことではないだろうか。重要な登場人物である子易さんもその問題に勇敢に向き合った一人だ。本来の自分ともう一つの「影」の自分はどちらも結局自分自身である。この不確かな壁は誰の心にも存在し得るし、存在しているはずだ。久しぶりに読み終えて、とてもいい気持ちになった本だ。

  • 壁の中の世界の規律性で独特の雰囲気が生まれている。何が起きているのかわからないなりにでも続きが気になって止まない。

  • 相変わらず面白すぎる。
    現実と虚構の重ね合わせみたいな世界観です。

  • 物語の設定を理解するのが難しかった。前半はだいぶ我慢しながら読んだ。下に続く。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。『風の歌を聴け』(1979年)で群像新人文学賞を受賞し、デビュー。『羊をめぐる冒険』(1982年)で野間文芸新人賞受賞。『ノルウェイの森』(1987年)がベストセラーとなる。海外でも高く評価され、2006年フランツ・カフカ賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞を受賞。その他受賞多数。

「2016年 『村上春樹とイラストレーター 佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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