- 本 ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001784
作品紹介・あらすじ
十七歳と十六歳の夏の夕暮れ、きみは川べりに腰を下ろし、〝街〟 について語り出す――それが物語の始まりだった。高い壁と望楼に囲まれた遥か遠くの謎めいた街。そこに“本当のきみ”がいるという。<古い夢>が並ぶ図書館、石造りの三つの橋、針のない時計台、金雀児(えにしだ)の葉、角笛と金色の獣たち。だが、その街では人々は影を持たない……村上春樹が封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。
感想・レビュー・書評
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上巻読了。
村上春樹さんの新作長編がついに文庫化されたぜ!
・・と、いう事で早速書店にてGET&ホクホクしながら読み始めた次第です♪
うん、これこれ!
なんだろう・・この身体に染み込んでくるような文体と、世界観に浸っている時の心地よいまどろみのような感覚・・これぞ村上ワールドでございますよ~。
本書(上巻)は第一部と第二部の途中までが収録されているのですが、第一部は現実の「ぼく」(&メンヘラ気味な「きみ」)パートと、幻想の〈壁に囲まれた街〉にいる「私」パートが並行して展開されていきます。
ん?“壁に囲まれた街”?
えっと…『進○の巨人』ではないですよ~(;´∀`)
壁、図書館、金色の獣、〈夢読み〉、そして引き離された影…。
そう、ここはあの『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「世界の終わり」パートの舞台だった"街"ですよね。
"古い夢"が入っているのが頭骨ではなく卵だったり、一角獣→単角獣、門番→門衛等々…と若干の"調整"はあるものの、“あの街”が再び舞台に・・ということで、家の本箱から再読し過ぎてボロボロになった『世界の・・』の上巻を取り出してきて、巻頭の地図を眺めながら読ませて頂きました。
第二部は、中年になった「私」が館長として働くことになった、とある田舎にある小さな図書館が舞台となります。
読んでいてちょっと思ったのですが、このチャプターは何となくイメージ的に『海辺のカフカ』の要素も入っているのかな・・という感じがしました(あくまで私見です)。
ここで登場する、子易さんも「パラレルワールドのナカタさん(『海辺のカフカ』の登場人物の、ピュアで不思議なおじいさん)」って感じですし(私見です!私見ですってば!)。
そんな訳で、まだ上巻を読んだまでの段階ですが、村上ワールドの色んな要素が散りばめられている物語だな・・という印象です。
この後、どんなストーリーが展開されるのか・・このまま下巻に進みたいと思います~。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホラーとまではいかないのかもしれませんが、わりとゾッとするような感じの物語かも…と思いました。
人についている影を、切り離さなくては住めない街…と、現実の世界とが交差する恐怖…。
もはや今私が読んでいる世界は、現実なのか?それともその“不確かな街”であるのか?
そんな不安を煽られるような感覚でした。
不思議でちょっと恐ろしい世界観を、いつもの村上春樹さんのねっとりとした雰囲気ですすんでいきます。
聖書の一部分がでてきたりして、結構人生について考えさせられるような感じもしました。
ー人は吐息のごときもの。その人生はただの過ぎゆく影に過ぎないー
下巻でどのようなメッセージ性受け取れるのか、読者としては楽しみです。
表題の言葉を借りると、上巻はまさに不確かで曖昧です…。
一貫してふわっとしているのですが、確実に物語は進んでおり、少しずつその“不確かな街”についての謎が明かされていくのが面白いです。
個人的に好きな部分があり、子易さんという人が紅茶を淹れる描写があるのですが、香りがしてきそうなほどに細やかで、つい紅茶を飲みたくなって飲みながら読みました(笑)
村上春樹さんの描写は細やかで、映像が浮かび上がってくるのがとても好きです。その世界に入り込んでいる時の時間がとても好きです。
私はまだ『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読めていないので、もし読むならそっちからのほうがいいとのことです。
不確かな街から読んだ私的には、読んだことなくても楽しめたので特に順番は気にしなくてもいいのかなとも思います☺︎ -
レビューは下巻にて。
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きみ
ぼく
獣
門衛
影
大木
子易辰也
小松
添田
子易森
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村上春樹の作品





