ニセモノの妻 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 94
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101003719

作品紹介・あらすじ

「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」妻と思ってきた女の衝撃的な一言で始まったホンモノの妻捜し。けれど僕はいったい誰を愛してきたのだろう(「ニセモノの妻」)。ある日、仲睦まじい夫婦の妻だけが時間のひずみに囚われてしまった。共に明日を迎えられない彼女のために夫がとった行動は──(「断層」)。その他、非日常に巻き込まれた 4 組の夫婦の、不思議で時に切なく温かな短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作をはじめ、夫婦をテーマにした4つの短編を納める
    相変わらず、ぞわっとするように現実が揺らぐ三崎ワールドが全開。4編いずれもはずれはないですが、「あなたとは傾きが違う」という名言?が良かった「坂」と、バカップルさが切なさと喪失感を一層際立たせる「断層」が好みでした
    日常は奇跡的に維持されているもので、一瞬一瞬が貴重な瞬間であるということ。そしてそれはもしかしたら突然終了し、暗転してしまうことを否応なく認識させられ、それゆえ日々の大切さを忘れてはならない、ということを、あらためて実感させられます。

  • 三崎亜記のニセモノの妻を読みました。
    不条理な事件に巻き込まれてしまう人々を描いた短編集でした。

    印象に残ったのは「断層」という短編でした。
    突然、住んでいる場所に断層と呼ばれる異変が起きて妻がその断層に飲み込まれてしまいます。
    夫はその妻との接触を続けていくのですが、タイムリミットが来て妻は失われてしまいます。

    三崎亜記の小説では、突然家族や仲間が異変に飲み込まれてしまうという設定の物語が多いですが、この短編もせつない余韻を残す物語でした。

  • ジャケットとタイトルを見た時に、もしかして趣旨変えしたのかな?と思ったのですが、安定の三崎亜記でした。良かった。

    「終の筈の住処」
    購入したマンションに引っ越した違和感。
    部屋は埋まっているということだったのに、誰にも会わないし、電気もついていない、というところから始まる。
    何かに反対をする、ということに何が作用すると「辻褄が合わない」状態になるんだろう。
    クレームという行動そのものに意義が見出されると、解決の内容ではなく、そのために誰が出て来てどんな動きをしたか、の方にシフトしていることってあるよなあと思う。
    偉い人が頭を下げたら、スッキリ、みたいな。
    誰かが動いたということが大切、なのだろうか。

    「ニセモノの妻」
    ある日、妻が「私はニセモノかもしれない」と思い出し、ホンモノの妻を探しに旅に出る。
    時間と共に、ニセモノの妻に対する新たな愛情を見出す夫なのだが。
    同じ人間であっても、捉え方によっては、新鮮に感じられる、ということなのかもしれない。

    「坂」
    坂とは何ぞや。
    道路とはどう違うのか。
    それは上り坂なのか、下り坂なのか。
    三崎亜記のマニアックな話は、これくらいの分量だと読みやすい(笑)

    「断層」
    このテーマもお決まり。
    日常が、ある特殊な事情によって断絶される。
    東日本大震災によって、この断絶感って身近に感じられるようになった気がする。
    家の中に出来ていた断層によって、新婚の妻が消えてしまった。
    一日のうち、ほんの少しの時間、彼女はそのことに気付かないまま「戻って」くるという話。

  • うーん、うーん。
    今回もまた「構想はすっっごく面白いんだけど、小説としてはイマイチ...」でした。デビュー作からずっとずっと同じ感想で、何度か「お、描写が良くなった、これは期待できるかも」と思ったもののあまり良くならず期待を裏切られ続けて12年。流石にもう決心がつきました。
    三崎さんは、おそらく監督であって、俳優ではないんだろうと思います。小説家はどうしても監督兼俳優になってしまうけど、漫画のように原作と作画担当で分業したり、映画のように監督と脚本と俳優とその他たくさんの専門家の協業になったっていい。
    名監督は名監督として素晴らしい作品を作って欲しい。
    だって、今でも三崎亜記ほど素晴らしい着眼点の小説ってなかなかないから。『となり町戦争』を読んだ時の衝撃は今でも私の「本を読む喜び」のトップ10に入るんだもの。

    表題作の「ニセモノの妻」だって、「本物と区別のつかない偽物は果たしてニセモノなのか」というすごく面白いところを攻めていて、読みながら何度も「お、そこにツッコむのか、いいね、先が読みたい!」と思ったのに、棒読みのセリフにしらけてしまうような経験が繰り返された。少しミステリーっぽい展開にも胸躍らせたけど、ガッツポーズの途中で握った拳の持って行き先に困ってかゆくもない耳の後ろをかいてみたり、ということが複数回あった。

    原作(作詞作曲)三崎亜記で他の作家による演奏(歌唱)を見てみたい、と言ったら伝わるでしょうか。
    三崎亜記の魅力を三崎亜記がスポイルしているような読書感でした。

  • 4編からなる短編集。どれも荒唐無稽な物語ながら,結末が知りたくなり止まらず一気読み。面白い!!中でも表題作が一番好き。
    あらすじ(背表紙より)
    「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」妻と思ってきた女の衝撃的な一言で始まったホンモノの妻捜し。けれど僕はいったい誰を愛してきたのだろう(「ニセモノの妻」)。ある日、仲睦まじい夫婦の妻だけが時間のひずみに囚われてしまった。共に明日を迎えられない彼女のために夫がとった行動は―(「断層」)。その他、非日常に巻き込まれた4組の夫婦の、不思議で時に切なく温かな短編集。

  • 三崎ワールド全開(^ ^;

    基本、すべて荒唐無稽な話なので
    「SF」に分類はしてみましたが...(^ ^;
    これはもう「三崎亜紀というジャンル」としか(^ ^;

    よくもまぁ、こういう変なことを思い付くもんだ(^ ^;
    いや、思い付くだけならできるかも知れんが、
    それを掘り下げて突き詰めて異世界を構築して、
    その中で破綻なくストーリーを織り上げるのみならず、
    うっかりすると「感動させられてしまう」(^ ^;

    荒唐無稽なのに(^ ^;

    三崎氏の一連の作品は、読まなければ絶対伝わらない。
    伝わった人は、あっさりと「三崎菌」に感染し、
    次の作品、また次の作品と、追い求めずにはいられない。

    ...そういう「危険な作品」です(^ ^;

  • 日常の隣にある非日常なんてのは、割とその辺にゴロゴロと転がっているものの、一歩外を歩けば反対運動に出くわしたり、目の前にある坂が今日から坂とは認めない。なんて理不尽かつ、奇妙な世界だろう。そんな奇妙奇天烈な世界は三崎印で、奇妙奇天烈ながら今ある当たり前のこと、ものがどんだけ幸せを構成する一部であるかをつくづくしみじみと。一歩間違えればサスペンス仕立てをあえてサスペンス仕立てにしないのも三崎印。「断層」の起きている事実と夫さんと妻さんのイチャラブさ加減との間にあるものの振り幅が大きくて恐怖すら感じた次第。

  • 久しぶりに手にした三崎作品。
    やっぱり好きだな、三崎ワールド。
    リアルな異世界。
    想像力がすごい、といつも思う。
    そしてせつなさも。

    4編の作品。
    「ニセモノに妻」と「断層」が特にお気に入り。

    久しぶりに読んだせいか?
    男女のやりとりの描写が、新鮮だった。
    こんな風に表現する方だったか、と。

  • 断層が一番好きかなー

  • 星3つは、最初の話の「終の筈の棲家」が星3つ。「ニセモノの妻」が2つ。「坂」が1つ。「断層」が4つということで、その平均(笑)
    三崎亜紀は以前『鼓笛隊の襲来』というのを読んで、話のなんとも珍妙な設定がよくって。この『ニセモノの妻』もそれを期待したのだが、どの話も『鼓笛隊』ほどには珍妙さが足りなかった…、かな?(笑)

    「終の筈の棲家」の星3つは、「最初だからこんなものか?」と評価はかなり甘くなっていると思う。
    雰囲気は悪くないのだが、途中で出てくるエントランスの監視映像の少女のエピソードが投げっ放しで終わっちゃうところとか、かなり不満。

    そこいくと、「ニセモノの妻」は最初の話より話が完成されているのだが、何か話が好きになれなかった。
    たぶん、最初の話の不満が尾を引いたんじゃないかと思う(笑)
    ていうか、この話。女性からするとどう思うのだろう。
    消えなきゃならない運命にある、(女性である)“ニセモノの妻”が主人公の旦那(当然男)に対し、あまりにも従順、かつしっかりしているように思うのだ。
    それは、まるで世の男どもが理想とする(かつての)日本女性のようで、妙に違和感があった(ありがちなフェミニスト的なつっかかりじゃなくってねw)。
    もしかしたら作者はこの話を、(なんとなくのイメージとして)消えゆく、かつての日本女性像へのレクイエムとして書いたんじゃないか?なんて思ったり。
    いや、最後に現れたホンモノがいいとかよくないとか、そういう意味では全然ないですのであしからず(笑)
    ていうか、ここに出てくる“従順でしっかりしたニセモノ”が妻ではなく旦那の方だったら、女性はどう読むのだろう?また、男は「ニセモノの妻」と同じ気持ちで読めるんだろうか?とも思った。

    「坂道」はつまんない(笑)
    最後、やたらと話をいい方向にまとめちゃうところなんか、「くっだらねー!」のひと言(笑)
    今の日本(人)って、いい話に飢えているようで、その反面いい話に辟易しているようなとこがあると思うんです。
    それは、いい話やきれいごとじゃなきゃダメみたいな空気があるから生き辛くなっちゃうということを、みんな薄々気づいているからじゃないですかね(笑)
    というわけで、著者にはぜひそんな話を書いてもらいたいな。

    「断層」は上手い!のひとこと。
    人間の幸せなんてものは、大好きな人(たち)とのバカ丸出しのコミュニケーションをいっぱいすることにある!ということなんでしょう。
    特に男と女のコミュニケーションは、(親と小さい子供の関係を除けば)唯一バカを全身全霊でさらけ出せる関係なわけで、ま、なんだ。深読みするなら、作者は現代の恋愛事情について何か言いたかったのかな?なんて思ったり(笑)

    全部、「断層」くらいの話だったらなーと、つくづく残念。

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