ホンダジェット: 開発リーダーが語る30年の全軌跡 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101004310

作品紹介・あらすじ

自動車メーカーが飛行機をつくる ──。この無謀な試みに、航空機王国アメリカで果敢に挑み、遂にHONDA は小型ビジネスジェット機開発に成功した! 創業者・本田宗一郎の精神を受け継ぎ、双翼の上にエンジンを立てる画期的なデザインと、優れた燃費性能を武器に、その分野で販売トップに躍り出た新鋭機の飛翔までの道程を、経営者と技術者への聞き書きを軸に辿るモノづくりストーリー。

感想・レビュー・書評

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  •  ホンダジェットが飛び立つまでの30年の軌跡を追う。

     というノンフィクションなのだが、車内でウトウトしながら流し読みしてたから内容あまり覚えてないや(これはヒドい)。


  • HondaJetかっこいいですよねぇ。飛行機を買える身分では無いですが、もし、帰るのであれば、買ってみたいかっこいい飛行機です。

    驚くところは、この名機を開発したのは自動車メーカーのHONDAであって、しかも、独力で開発したというところ。“独力”というところはHONDAっぽくて好きです。その“独力”っぽいところは、エンジンが、主翼の上に立って設置されているという事路からもわかります。この配置は、燃費や空力に有利な配置なのですが、それを見つけ出したのもHONDAイムズのなせる業。コンサバメーカーならば、敢えて、こんな一見風変わりな位置にエンジンを置こうとはしないですもんね。

  • 技術系経営者を応援する本。
    ホンダジェットの歴史を知れて本当によかった。

    すごく難癖つけて申し訳ないけれど、構成をもっとシンプルにできたら良いのになと思った。私なら、割り切って藤野さんに焦点を当てて書く。川本さんと藁谷さんが部分部分になっていて、もったいない。

  • 設計者のかける思いには熱いものがあった。が、少し間延びした。

  • 「三〇年近くにおよぶホンダジェットとジェットエンジンの開発過程を、中核を担い主導してきた藤野道格氏および藁谷篤邦氏の両トップの証言を軸にしながら」まとめた書。

    ホンダは1986年、秘密裏に航空機開発をスタートした。ホンダ経営陣には、航空機学科を卒業して入ってきた人が多く、航空機はホンダ経営陣の夢だったという。戦後、一時的にGHQによって航空機開発が禁止されて以来、(米国企業の下請け的な開発に満足してしまうなど)航空機産業に魅力が薄れてしまい、航空機学科を卒業した技術者が多く自動車産業に流れてきたことがその背景にあるようだ。

    進取の気質に富んだホンダという会社の企業風土、ホント素晴らしい。最後発メーカーとしての四輪車への参入、マスキー法をクリアしたCVCCエンジンの開発に続き、航空機の分野へも、従来の常識を覆す洗練された小型ビジネスジェットの開発にチャレンジし、苦節30年、見事参入を果たした。経営者の懐の深い経営判断も素晴らしければ、藤野氏ら開発メンバーの少人数でのゼロからの開発は偉業と言うに相応しい。

    特にユニークなのは、藤野氏提案の、主翼の上にエンジンを配置するOTWEM(Over the Wing Engine Mount)。「主翼の上にエンジンを置くと、翼とエンジンナセルとの間の干渉抵抗が非常に大きくなるので、絶対にやってはいけない」というのが従来の航空機業界の常識。それを、「主翼やエンジンナセル(エンジン全体を覆うカバー)による干渉を最小限にするように設計する」飛行機の空力設計の基本を捨て、「逆に、それぞれの物体の周りの流れを組み合わせたときに、全体としてベストな流れをつくりだせればよいのではないか」と発想転換して「いろいろとトライし、最適なスイートスポットを見つけたことで、かえって抵抗が下げられるということを明らかにし」、「これまでの航空界の定説を覆す大発見」に繋げたという。

    ホンダジェットの先端形状については、藤野氏が高級ブランドのフェラガモのハイヒールの形状からヒントを得たという。「長年にわたり靴をつくり続けてきたフェラガモは、いろいろな経験に基づきデザインして、機能と美しさをあわせ持つ形をつくってきたのじゃないかと思った」とのこと。大胆な発想とセンスには舌を巻くしかない。

    藤野氏は、リーダーシップをとる人は新しいことを決めるとき、「専門的な知識や理論、典型的なパターンをリセットし、物事をゼロから考えないといけない」と言っている。また、ホンダジェット開発成功の秘訣について、「ホンダジェットの開発チームは人数が少ないので、私自身が両方の担当として飛行機全体のコンフィギュレーション設計と翼型の設計とを同時に進めていったことことにより」弊害を解決できたとも。スペシャリスト化、分業化が進むと、自身の専門以外のことにあまり関心を振り向けなくなり、゛木を見て森を見ず゛の状態に陥りがちだが、チャレンをしようとするときは、少人数の開発チームで、一人一人がマルチスペシャリストとして全体に関わる体制とすることが重要なのだ。

    ホンダジェット、高い評価を得ているとはいえ、まだビジネスで成功したとは言えないようだ(同じクラスの小型ジェットでは3年間販売機数トップらしいが、まだまだ投資を回収するには至っていない)。

    著書は期待を込めて、「戦後七〇年を経たこれからの時代、巨大自動車メーカーが航空機分野へと進出して、第二次大戦後に生じた流れとは逆の゛自動車から航空機へ゛の動きが起こってくるかもしれない」と予測する。ホンダが、そのさきがけとして、今後航空機分野で大きく成長していければいいと思う。応援したくなる。

  • 自動車メーカーであるホンダが作った、ジェット機の開発の話である。
    そのため、技術や発明の話が多い。しかし、開発から販売までの会社の組織・政治の話も多々出てくる。
    自分がサラリーマンだからか、組織内の話になると身をつままれる思いになる。

    組織をまとめるためのリーダーシップ、仕事を達成するためのチームワーク、個々の力を発揮させるためのコミュニケーション。
    それらが、話の中で出てくるが、それを自らの仕事と比較して、溜息をつきたくなった。

    つまりは、藁谷さんや藤野さんは技術者としてもすごいが、それ以上に会社人としてスゲー。

  • 技術者のリーダーシップ
    モノ作りにおける 技術者の役割

  • ホンダジェットに関する本は、これで2冊目であるが、実際に同業経験のある方の本だけになかなか読み応えがあった。技術的な面白さだけでなく、組織論としても興味深く読めた。

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著者プロフィール

前間 孝則(まえま・たかのり)
ノンフィクション作家。1946年生まれ。石川島播磨重工の航空宇宙事業本部技術開発事業部でジェットエンジンの設計に20余年従事。退職後、日本の近現代の産業・技術・文化史の執筆に取り組む。主な著書に『技術者たちの敗戦』『悲劇の発動機「誉」』『戦艦大和誕生』『日本のピアノ100年』(岩野裕一との共著)『満州航空の全貌』(いずれも草思社)、『YS-11』『マン・マシンの昭和伝説』(いずれも講談社)、『弾丸列車』(実業之日本社)、『新幹線を航空機に変えた男たち』『日本の名機をつくったサムライたち』(いずれもさくら舎)、『飛翔への挑戦』『ホンダジェット』(いずれも新潮社)など。

「2020年 『文庫 富嶽 下 幻の超大型米本土爆撃機』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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