新任刑事(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.67
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本棚登録 : 158
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101004747

作品紹介・あらすじ

刑事一課のエース、上内亜梨子は焦っていた。時効まであと一箇月。眼前で取り逃した渡部美彌子の矛盾に満ちた行動、彼女の足取りを消す奇妙な放火殺人、そして美彌子本人からの手紙……何かがおかしい。この逃亡劇にはウラがある。巧緻に張り巡らされた伏線が視界を反転させる時、急浮上する驚愕の真相とは──。圧倒的なディテールと極限のリアリティで「刑事の仕事」を描く本格警察ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 話的には、新任警視<新任巡査<新任刑事で面白かったが、こちらも最後の結末が、本当の結末が、最後の最後まであっと驚く内容で良かった。満足感が☆4つ!

  • つらい 挫折

  • 刑事一課のエース、上内亜梨子(かみうちありす)は焦っていた。時効まであと一箇月。眼前で取り逃した渡部美彌子( みやこ)の矛盾に満ちた行動、彼女の足取りを消す奇妙な放火殺人、そして美彌子本人からの手紙……何かがおかしい。この逃亡劇にはウラがある。巧緻に張り巡らされた伏線が視界を反転させる時、急浮上する驚愕の真相とは――。

  • 新任巡査、新任警視読了後この本を読んだ。
    新任巡査ほどのどんでん返し感はあまり感じられず、事件内容も少々分かりにくかった。
    が、先が気になる感覚はあるので無事読了した。

  • ★3.5

    文庫版あとがきで著者自身が書いていますが、厳密には前作『新任巡査』のシリーズではありません。ですが、同じ著者が書いていて、“新任”と言うタイトルの共通点もあるという事から、結末に大どんでん返しがあることは容易に予想できます。

    って言うか、『新任巡査』の結末があまりにも衝撃的だったので、こちらの結末の衝撃度は、それよりはちょっと低いですかねぇ。だって『新任巡査』では、全体の3/4くらいまでは完全にお仕事小説だったのに、いつの間にかミステリーになっていたのに対し、こちらは最初から事件があって、それに向けて解決していくという筋立てでしたしね。それと、あまりにも“伏線”を強調し過ぎだったかも。犯人まではわかりませんでしたが。

    面白かったです。

  • 上巻星4.0, 下巻星4.3

    「捜査書類に語らしめる」というコンセプトで編集された小説スタイルが掛け値なしに素晴らしかった。これは前作の『新任巡査』でも使っていない大技であり、『刑事』に歩を進めてよかったと思えたところ。しかもそれを示すことが実質的に「読者への挑戦状」となっていることも、物語の示す刑事職の「文書主義」「法律で戦う者たち」という気概が込められているように感じられた。ほかの刑事小説にはないユニークな味わいがあった。結末の対決シーン相当の描写も良かった。

    ただ、主人公が影で同僚を応援する風に〆たのは、義心を感じる一方、なんだか気味が悪くも感じた(あまり手放しでカッコ良いものとは感じられなかった)。実際にはそうした応援なしではなかなか難しいという実態は想像に難くないけれど、女性刑に対するあしながおじさん的なムーヴというか、保護的な印象に読めてしまった。あのムーヴをカッコ良い行為としておくこと自体が原田が公安向き(裏でこそこそ良かれと思って物事を進める奴っぽい)であることを、逆説的に示してしまってるようにも感じられた。

    そうしたひっかかりはあるが、全体の出来にはさして疵にならない。細部まで考証された、刑事課の刑事の仕事ぶりを小説に仕立ててくれた良質な小説である。

  • 熱量はいい、でもノリがひたすら昭和だったり謎解きとお仕事小説のバランスが取りきれてないのが非常に惜しい。今後、絶対にもっといい話を書いてくれるはずなのでそれに期待したい。

  • 上巻に引き続き、刑事の実務が詳細に描かれていて仕事小説として非常に面白い。刑事が警察全体の一部であり、政治的な意向に現場が背く、という描像はお決まりのパターンだが、この小説はその細部、現場が頷かない点が感情ではなく論理であることを明確に示している。警察の会議が小田原評定ではなく、各幹部に決定・決断を求め、何が意思なのかをハッキリさせる場であるという点も心地いい。
    後半~終盤に主人公の同僚・アリスがとんと現れなかったところや、いくら時効完成直前の昔の事件とはいえ、十年前にそんなことができたのか?という疑問がぬぐえない(十年前でできたのなら、今もできちゃう?)点に不満が残る。
    この小説は著者独特の「軽い」言い回しが繰り返され、登場人物、特に主人公、ヒロインの人物像や口調に単調さを感じてしまった。その点飽きがこないようならお勧めできる。

  • ミステリー仕立てであるが、フーダニットとして楽しむ以上に、著者あとがきでもいうように、お仕事小説として捉えるほうがよさそうだ。全体のフォーマットは著者の前作と共有している。
    誰もが知る「愛予市」であるがゆえに、Suica?という言葉は悪目立ちしすぎるように思った。

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著者プロフィール

東京大学卒。リヨン第三大学法学部第三段階専攻修士課程修了。元警察官僚。2007年『天帝のはしたなき果実』でデビュー。以後続く「天帝シリーズ」は、高校生、大学生を中心に熱狂的なファンを獲得。他著作に『絶海ジェイル』『背徳のぐるりよざ』『その孤島の名は、虚』など。

「2022年 『老警』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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