- 本 ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101004754
作品紹介・あらすじ
1999年8月。東大法学部卒の25歳新任警視・司馬達(しばとおる)は、とある県警の公安課長を命ぜられた。67人もの部下は年齢も経験も遥かに上。新米指揮官は日々戸惑うばかり。しかも、着任地は日本最大の武装カルト教団「MN」の本拠地だ。はたして来る大晦日までに、教団本部〈教皇庁〉を攻略し、2000年問題に乗じた未曾有の重大テロを封圧(ふうあつ)できるか。国家の安寧を守る公安警察の死闘の日々が始まった。
感想・レビュー・書評
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※公安警察のお仕事に関しては、物語と並行し解説されていく点もこの小説の大きな魅力なので、公安警察について端的に解説されている同著者の「公安警察」(祥伝社新書 673)は、この小説を読んでから手に取った方が無難です。
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作者は「警察庁キャリア」として警察に勤務した経験を有している方であるという。そういう訳で“現場”での豊富な見聞も在る訳で、そういうことも伺わせる、諄い程に緻密な現場の描写というのが見受けられ、それが面白いと思う。「新任」というキーワードで始まる同じ作者の作品は幾つか在る。読了した経過の在る作品も在るのだが、それに関しては「御仕事モノ」という感、「〇〇の仕事の舞台裏」や「本当に〇〇の仕事に携わる人達の目線で観る巷」という描写が多い。そういう中、「警察モノ」な訳で、作中で事件が展開していて、それを巡って事件の謎を究明するという筋書きが流れている。
「警察庁キャリア」と呼ばれる人達は、警察官としての研修を受け、警察官としての階級も有していて、警察庁の内部に留まらず、全国の都道府県の警察の現場に出て、加えて他の官公庁等に出向する場合も在って、数年毎に色々な場所へ異動している。仕事を始めて4年位で“警視”という階級へ進むのが通例であるのだという。
“警視”については、地方の警察署長、警察本部の課長というような“所属長”という立場と、そういう立場ではない場合とが在るそうだ。「警察庁キャリア」と呼ばれる人達が“警視”になる場合、地方の警察署長、警察本部の課長というような“所属長”という立場で各地の現場に入る例が多く在るという。
本作の主人公となる「警察庁キャリア」の司馬達(しばとおる)は、仕事を始めて4年位で“警視”という階級へ進んだが、異動の際に「愛予県警察本部公安課長」を拝命した。上巻はこの拝命する迄、拝命して“愛予県”へ赴任して活動を始めるというような展開が詳しく描かれる。
正直、「警察庁キャリア」と呼ばれる人達のように、20歳代で機構部内で一定の位置を占める位階が与えられて、“所属長”というようなことで現場を任される、預けられるというような立場等は全く想像出来ない。そういうような立場というモノを慮った事等は無い。が、本作では司馬達の想い、周囲と接する中での様々な事柄が詳しく描写され、半ば「御仕事モノ」ということで様子が酷くよく判る。
本作の物語は「1999年」が背景となっている。1999年の夏、「警察庁キャリア」の司馬達は“警視”という階級へ進み、「愛予県警察本部公安課長」を拝命して赴任する。作中では、或るキリスト教系の団体が、所謂“カルト”として問題視されつつある状況だった。1999年の年末に、何やら妙な行動を起こすことが危惧されていた。“カルト”による恐るべき振る舞いが問題視されて警察も対応した経過の中、新たな“カルト”の抑止が目指された。“愛予県”というのは、その“カルト”の総本山のような、彼らの用語で「教皇庁」と呼ばれる本部も在った。司馬の前任者も、その“カルト”への対応に努めていたのだった。 -
老警を読んで、面白かったのでこちらも読みました。(上下巻に分かれておらず、一冊だったけどかなり厚い。しかも文章が二段)
警察組織のことや、時代背景や、もろもろ細かく描写するタイプの作者さんなので、根気がいる。
でも、細かく描写してくれているおかげで登場人物や舞台がイメージしやすい。
だから、事件が動くと映画のように頭に入ってくる。これが結構癖になるので、他の作品も読みたくなる。
カルト教団のやり口や、オウム真理教の事件など、当時幼かったので知らないことばかりだった。
次はどの作品を読もうかな〜 -
警察の状況紹介で終わってしまい、事件に入らず。
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早々に事件が起きるが、上巻は550ページを警察情報紹介に費やして終わった。個人的にはそれはそれで面白かったが、人によっては、事件捜査が進まないことや、課長室内部の細かな間取りや調度品の描写はイラつくかも知れない。
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一般人には知る由もない警察キャリアの日常を描く、しかしこれが本題じゃないんだからどこで話が切り替わるかとワクワクと読み進めていたら上巻終わっちゃったな。
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「下」を早く読みたい!
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キャリアの警察官が、愛媛県警と思われる警察本部の公安課長に就任。
テロ集団と化した宗教団体と戦いに挑む。
人情味、会話劇がたっぷりとあって、面白かった。
下巻の最後の大どんでん返しは、前振りが多すぎるけど、ギリギリ感がたまらない。
著者プロフィール
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