刺青・秘密 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 377
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005034

感想・レビュー・書評

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  • 初期の短編集。浅学なのでほとんど初読み。唯一再読の『刺青』とともにこの前の谷崎マンガで印象的だった『少年』ミステリ風で読みたかった『秘密』の3遍が妖しげで好み。自伝小説という『異端者の悲しみ』は豪華絢爛な後期の長編との差に驚いた。

  • 谷崎の小説を前にして何を語っても陳腐になるなぁ。ひとこと、初めて谷崎を読む人に、この短篇集からどうぞ、といいたい。永井荷風に「谷崎をしてボードレールやポーの境域を磨するに至らしめるであろう」と大絶賛されるとおり。

    「異端者の悲しみ」、これは谷崎自身のことだろうとわかる。決して人間嫌いではないが、周囲と誠実で懇意な付き合いが出来ない男の煩悶。
    「母を恋うる記」は、いわば音のない浪曲のような調べ。夢の中で亡き母に逢う話だが、胎内から産道を通り出て母に抱かれるような書きようだなと。今回の発見✨

  • わたしにとって谷崎潤一郎の作品は読むまでに時間がかかるのだけれど、一旦読み始めると途中で止めることが出来なくなる中毒性のあるもの。それは狂愛の世界。今回もドキドキさせてもらった。谷崎の文章は美しいなとしみじみ思う。残虐性も恐怖も破綻も憂鬱も谷崎の前では綺麗に透き通ってしまう。顔を踏み躪られようとurineを飲まされようとmasochistである人物たちの恍惚とした精神を高尚的なものとして昇華させてくれる。
    刺青や少年などはまさにそれである。わたしをゾクゾクとした甘美な世界へ連れ去ってしまった。また二人の稚児も美しく儚いラストの情景が強く印象に残っていて好きだ。

  • 久々に再読。短編集。谷崎の実質処女作にして代表作である「刺青」(意外と短い)はじめ、マゾヒスティックな真理を題材にしたものが多い。子供同士の遊戯がエスカレートしていき、支配するものとされるもの、奇妙で危うい力関係のバランス、その逆転が描かれる「少年」、刺激ほしさについには女装して外出するようになる男と元カノの逢引きの結末を描いた「秘密」の淫靡さは流石。

    大人になった今読み直して、改めてこれは凄いな、と思ったのは「幇間」。人を楽しませ、笑わせるのが好きな男がついに天職ともいえる幇間となるが、笑わせるだけでなく、笑われるのが好きなドMの彼は、実は彼を笑い見下すどんな人間よりもしたたか。一見、哀れな被害者に思えても、実は相手から悦びを「搾取」しているのは笑われている彼のほうなのだ。

    「異端者の悲しみ」は、逆に大人になってから読むと、主人公に全く共感できずイライラしてしまった。どうやらデビュー前の谷崎自身の鬱屈を反映しているらしいが、普通にただのクズ。自分のダメさを理解しながらも改めることができないあたりは、太宰の登場人物にも通じるけれど、こちらの主人公には、なんというか、愛嬌がない気がする。

    「母を恋うる記」は、不条理な夢の情景が描かれているのだけれど、とにかくその情景描写が美しくてうっとりしてしまう。「私はお前の家来ではない。私はお前の友達だ。あんまり月が好いもんだから、ついうかうかと此処へ遊びに出てきたのだ。お前も独りで淋しかろうから、道連れになって上げよう」という影の言葉(主人公の想像)など、もはやこの部分だけでも詩のようだ。

    ※収録
    刺青/少年/幇間/秘密/異端者の悲しみ/二人の稚児/母を恋うる記

  • やっぱり、美しい。そして、すごい。
    私と谷崎さんの出会いは7年ほど前の痴人の愛。
    その時に受けた文章の美しさに対する衝撃。
    やはりすごい。

    秘密が一番気に入った。
    谷崎さんは、椿姫などの外国文学のように、商売女を扱わない。誰もに潜む、しかし見栄があり認められない変態性を描き出す。つまり、普通の人の狂気だ。高圧的な上司に文句を言いながら、自分が上司になったら決断をしたり、部下の仕事の安定の責任を持つ勇気がないことを認められないといった心理のように。それをテーマに扱うことはすごいとは思うが、内容にそれほどの深さは感じない。ただただ、日本語の美しさ。それに尽きる。wikiの「耽美主義」の説明に同意する。

    怖いのは「少年」。サディズム。私は、サディズムなとこは少ないと思っていたが、この話を読んでいると私にもあるかもしれないと思えてくる。

    刺青の足をほめる表現が好き。

    家族へのゆがんだ感情についての「異端者の悲しみ」は、心に刺さった。私も一緒の境遇にいるから。160ページ周辺の自らがまず大人になると、父親の態度も変わり、自分自身の良心のとがめもなくなるのではないかなど。私も父親のことをなんとも思わないことを子供のころに思い、人間として失格なのではないかと悩んだことがあるので、よく気持ちがわかる。反抗して家を出ても、やっぱり戻るところがそこしかないといったところなど。自分の教養に自信を持ち、世間に非があると思ってしまうのも、多くの人が理解できる感情ではないだろうか。私が谷崎の特徴だと思っている、認めにくい誰もが持っている普通の人の感情だと思う。

    母を恋うる記は幻想的で、最後まで設定がよくわからない。少年が母を探して、海沿いの松原を歩いていく。途中から月が出てきたり、その情景の美しさがやはり谷崎。歩んでいくと、三味線を奏でる女が一人。それは泣いている母だった。母を探して長々と歩いてきた悲しみがあふれ、共に泣きだす。目が覚めると、自分は大人で、母は去年亡くなり、改めて涙を流す。これが綺麗な情景でなく何なのか?やはり谷崎は美しい。

  • お恥ずかしいですが、私の学力が低いためでしょう。
    作品が理解し難くて、楽しむ事ができませんでした。
    とても残念でした。

    • アールグレイゅぅママさん
      こんばんは★
      お久しぶりです!

      本が楽しめなかったとのこと、ありますよね!
      実は先日道尾さんの「N」、あの本はどの章から好きな順に読んでも...
      こんばんは★
      お久しぶりです!

      本が楽しめなかったとのこと、ありますよね!
      実は先日道尾さんの「N」、あの本はどの章から好きな順に読んでも話が成り立つということですが、私が読んだ順はすぐに繋がらなくなってしまいました。図書館で借りたのですが、息子もいい感想を持てなかったようです。
      ほたるぶくろさんは、わたしにふさわしいホテル、という本は読んだことはありますか?
      ( >・・<)
      2022/01/26
  • 谷崎潤一郎氏の処女作(本人談)『刺青』を含む7作品を収録した短編集。明治・大正の作品群とは思えない妖美で洗練された物語で今読んでも色あせない御洒落ささえ感じさせる。表題作もさることながら、自伝的作品『異端者の悲しみ』と『二人の稚児』に谷崎氏の天才的才能の本質をみる。

  • 谷崎ってほんと変態だよな。つかこの時代の作家みんなハードだよな。現代の日本人からしたら過激なくらい。寂聴さんが、大人しすぎるというの理解でする。この時代の作家破天荒でまじでカッコいい

  • 読みたいリストより

    異端児のかなしみ が読みたかった

  • この本を手に取るのは、勇気がいりました。
    けど、読んでみてよかったです。
    「秘密」はとくにミステリアスでおもしろかった。

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著者プロフィール

谷崎潤一郎

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2021年 『盲目物語 他三篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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