春琴抄 (新潮文庫 た-1-3)

  • 新潮社 (1987年1月1日発売)
3.93
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Amazon.co.jp ・本 (107ページ) / ISBN・EAN: 9784101005041

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

愛の重さと独特の関係性が描かれた作品で、佐助の献身的な愛と春琴の傲慢さが際立っています。主人公たちの感情を第三者の視点から描くことで、彼らの心の奥底にある複雑さが浮かび上がり、時にコミカルささえ感じさ...

感想・レビュー・書評

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  • 愛が重い…
    10トンくらいありそう笑
    ouiさんにご紹介いただいた1冊。

    多分私が手にした文庫本の中でもダントツに薄いんだけども、古文を読んでいるかのような古い文体に最初苦労した。

    佐助の愛が金10トンだとしたら、春琴の愛は鉛10トンみたいな、どっちがいいとかじゃなくて種類の違うめっちゃ重すぎる愛…
    むしろもう怖いよ。
    怖すぎて一周回って面白くなってくる。

    なんだろ、誰か第三者が語っているから本人たちの気持ちが一切分からないっていうのがまたね。
    いやあすごいもの読ませてもらいました。

    長女が今読んでる本(自負と偏見)読み終わったら読んでみようかな。だって笑

    • 翠さん
      ヒボさんこれは谷崎潤一郎の欲望の物語ですよ(■皿■)
      10トンじゃ足りないのナイナイですよね(ᯣᴗᯣ)
      ヒボさんこれは谷崎潤一郎の欲望の物語ですよ(■皿■)
      10トンじゃ足りないのナイナイですよね(ᯣᴗᯣ)
      2026/01/07
    • ヒボさん
      なぬー
      愛と欲望の物語ですとー

      むむむむむッ

      読む(∩゚□゚)ハィッ!↑
      なぬー
      愛と欲望の物語ですとー

      むむむむむッ

      読む(∩゚□゚)ハィッ!↑
      2026/01/07
    • 翠さん
      狂った愛の世界をヒボさんも是非どっぷりと味わってください(っ'-')╮ =͟͟͞͞♡)`ω'* )
      狂った愛の世界をヒボさんも是非どっぷりと味わってください(っ'-')╮ =͟͟͞͞♡)`ω'* )
      2026/01/07
  • 盲目の美少女・春琴のドSぶりが凄いです。虫歯で苦しむ佐助の顔をおりゃーと蹴ったあたりなどは思わず笑ってしまいました。(笑)ぶったり、蹴ったり、撥で殴るのも日常茶飯事。それでも付いていくのは盲目の美少女であり芸道の達人というカリスマ性と、幼少期から主従・師弟関係にあるという、三つ子の魂百まで、というやつでしょうかね?
    いや、殴られるのは嫌ですが、こういう美少女なら自分も佐助のようにマッサージだの三助だの性のお付き合いだのはやってもいいかなという妄想を持ってみたりして・・・。(笑)
    もはや、愛だの夫婦だのという言葉すら陳腐と思えるほどの佐助の献身ぶりには、いちいち微笑ましく感じてしまいましたが(笑)、本当の意味でのドMに開眼したのは、やはりあの出来事の後、お師匠様・春琴と精神的にも繋がった瞬間でしょうね!ひたすらその瞬間を待ちわびて、そしてその境地に至った佐助の幸福感を谷崎はさまざまな角度から懇切に描写していて、何か妙に納得させられました。
    切れ目のない文章は最初読みづらかったのですが、慣れれば論理的かつ綺麗な表現がまた心地よく、主人公の内面にあまり立ち入らず状況だけの描写が逆に、谷崎の造り上げた精神的な美の境地のあり様を最初はしんみりと、しかし振り返れば強烈に読者の心に浸透させている感じがします。あと、場面設定の色彩感覚や音感覚にも優れた作品であり、雲雀を求めて天高く見上げる春琴の姿などはとても映像的!で美しいですね。
    精神世界の美に陶酔したい方にはお薦めの一作です。しかし、くれぐれも真似はしないように。いや、三助くらいなら・・・。(笑)

    • mkt99さん
      佐藤史緒さん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/
      って少しすれ違いのコメントになり失礼いたしました。(笑)...
      佐藤史緒さん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/
      って少しすれ違いのコメントになり失礼いたしました。(笑)

      この作品は筋といい構成といい文章といい、どれも優れものだと思いますが、とりわけ自らの趣味(?)をこんなにも追求してさらけ出してそれ自体凄いと思いました。(笑)ここまで開き直ってみてその世界に没頭した結果、出てくるエピソードはどれも愛嬌たっぷりで、谷崎も面白がりながら執筆したのではないですかね?(笑)
      自分も楽しかったです。(笑)
      2014/11/03
    • 佐藤史緒さん
      連投失礼します。
      「谷崎も面白がりながら執筆したのでは」まさに私もそう思っておりました(笑)純愛とか献身とかいう紹介文に騙されそうになるけ...
      連投失礼します。
      「谷崎も面白がりながら執筆したのでは」まさに私もそう思っておりました(笑)純愛とか献身とかいう紹介文に騙されそうになるけど、ぶっちゃけこれコメディだよね?と。
      2014/11/03
    • mkt99さん
      佐藤史緒さん、いらっしゃいませ!(^o^)/

      本の解説には「谷崎文学の頂点」とありました。(笑)しかし、確かに大笑いしたのも事実です。...
      佐藤史緒さん、いらっしゃいませ!(^o^)/

      本の解説には「谷崎文学の頂点」とありました。(笑)しかし、確かに大笑いしたのも事実です。
      あと、三助・・・、羨ましさも半分・・・。(笑)
      2014/11/04
  • 愛を貫くひとつの形。
    佐助の献身はひたすらの愛なのだろう。対比され描かれる春琴の傲慢さから、より引き立つ。

    ストーリー展開の「抄」という形式の絶妙さ。句読点他極端に少ない文章で読者の思考さえ作者の手の内にあるようだ。

    • ともちんさん
      おはようございます♪ おびのりさん♡

      とても嬉しくって……
      おびのりさん♡が谷崎潤一郎が好き と知り
      私も 新潮文庫100冊 にも入って...
      おはようございます♪ おびのりさん♡

      とても嬉しくって……
      おびのりさん♡が谷崎潤一郎が好き と知り
      私も 新潮文庫100冊 にも入っていた
      『春琴抄』購入してきたんです♡
      百恵ちゃんの映画を観て 
      ちょっぴり気になっていた というのもあります

      そして……
      おびのりさん♡のレビュー開いたら
      『春琴抄』お星さま⭐︎ 5コじゃないですかぁ!!
      びっくりして (๑>◡<๑)
      嬉しくって  \( ˆoˆ )/ 堪らないです♡
      2025/08/04
    • おびのりさん
      おはようございます
      谷崎の変態エロ美文が、好きなんですよ(๑˃̵ᴗ˂̵)

      百恵ちゃんと友和さんで映画化でしたねー
      懐かしい

      私は、結局明...
      おはようございます
      谷崎の変態エロ美文が、好きなんですよ(๑˃̵ᴗ˂̵)

      百恵ちゃんと友和さんで映画化でしたねー
      懐かしい

      私は、結局明治の文豪と呼ばれる人達の小説が
      好きなのかなー
      わからないのもあるけど
      村上春樹さんよりはわかりやすいかも笑
      2025/08/04
    • ともちんさん
      ふふふ ( ◠‿◠ )

      変態エロ美文♡って…
      ゾクゾク する感じかしら

      「妖しい心を呼びさます、
         アブナい愛の魔術師」って書かれて...
      ふふふ ( ◠‿◠ )

      変態エロ美文♡って…
      ゾクゾク する感じかしら

      「妖しい心を呼びさます、
         アブナい愛の魔術師」って書かれてる

      あたしも 変態エロ美文♡ 堪能してきます
      2025/08/04
  • 耽美主義!

    究極すぎて春琴と佐助にしかわからない2人だけの世界。
    はっきりと描かれていないことも多いから、
    読者ももちろんその世界には入れない。
    何でも語られすぎるのは好きじゃなくて。
    読者の想像に委ねる。謎は謎のまま。
    真実は当人同士しか知らなくていいのだから。っていうスタンスが良い。

    春琴の冷えた足を胸で温めるところはすげぇなと思ったし、
    手をとって梅の木の幹をなぞらせるところは溜息が出たし。

    静かに狂ってるところがすごく匂やか・・・
    句読点がほぼ無い息継ぎを許さない文体がその狂気に拍車をかける。
    (怖いもんな、終盤の名シーン・・・)

    なんというか、ちょっと弱い?苦しんでいる男が好きなのかも。(?)
    そういう趣味はないけれども。

    「お師匠様お師匠様私にはお師匠様のお変わりなされたお姿は見えませぬ
    今も見えておりますのは三十年来眼の底に沁みついた
    あのなつかしいお顔ばかりでござります」

  • 9歳の時に盲目となった春琴。舞技の道を断念し琴三絃の稽古を励み、糸竹の道を志すことになります。その稽古へと通う彼女の手を曳いていたのが丁稚の佐助13歳でした。
    子どもながらも佐助の献身的な奉公の胸の内には、春琴に対する恋慕の情があったに違いありません。ただその頃の春琴にとって佐助は、余計なお喋りはしない、何でも言うことを聞いてくれる都合のよい奉公人だったようです。その上、自分に対する佐助の恋心を何となく察知していたみたいです。彼の気持ちを承知の上で、無理難題をふっかけたり、きつい言葉を投げかけたり、はたまた暴力を振るったり。逆に一言も話さず無視を決め込んだり。それはそれは我が儘放題。普通なら百年の恋も冷めてしまいそうな行動の数々。ところが、佐助は寧ろ彼女の意地悪さは自分に甘えているものだと喜ぶ始末。苦役とも思わず俄然張り切って奉仕しちゃいます。
    きっと春琴の加虐性はこの頃から開花しはじめたのでしょうね……
    そんな傲慢で他人をとことん貶めるような振る舞いは佐助の前だけで行えば良かったものの、三絃の師匠となってからは弟子にも辛くあたるようになります。図に乗った春琴はそこかしこに恨みを買っていったようですね。
    さて、春琴もその頃にはもう佐助に対しては、便利な奉公人以上の気持ちも芽生えていたようです。それでも決して夫婦になることはありませんでした。
    “なんでうちが奉公人なんかと一緒にならなあかんの!阿呆!!”って感じです。
    相変わらず佐助には暴力を振るったり、身の回りのことを全てやらせたり。
    佐助にとっても春琴は何があってもお師匠さまです。その方に仕えるのが自分の幸せ。この関係こそが彼にとっては恍惚となる至福の時だったのでしょう。
    “お師匠さまに虐げられながらお側にいることが私の幸せなのです”というかのように、彼もまた夫婦になるなんて全く望んでいなかったんだと思います。

    春琴が兇漢に襲われ顔に大火傷を負ったあと、佐助は己の目を針で刺し盲目となります。
    春琴の変わり果てた姿を見ることなく、30年来眼の底に沁みついた懐かしい彼女だけを見るのだと。
    さすがの春琴もこの佐助の行動に心動かされます。今の姿を外の人には見られてもお前だけには見られたくないと。春琴自身もこの自分の発した言葉に驚いたんじゃないかなと思いました。佐助への気持ちが自然と溢れて言葉になったんじゃないかと思うのです。とは言え、それが恋かと言えば違うような気もするのですが……

    もし、佐助の春琴に対する恋心が普通(?)の恋愛感情ならば、自分が盲目になることなど選ばずに、それこそ無理矢理でも夫婦となって彼女を支えていったでしょう。
    でも佐助はこのような状態になっても、春琴に尽くして尽くして尽くしぬく立場を選びました。
    誰にも理解してもらわなくてもいい。もう誰にも邪魔されることもない。夫婦なんていう生温い関係は全く眼中にない。盲目となり永遠に変わることのない春琴像を自分の中に確立出来たと思えば、これほどの幸せがこの世にあるはずがないではないか。紅蓮の炎に包まれたような熱く痛い高揚感が彼の胸を焦がしたのではないかと思うのです。
    これが佐助の究極の愛の形なんですね。春琴もその想いを受け入れたのではないでしょうか。

  • ページ数が少ないと言う意味では読みやすいと言えるけど、句読点が省略されている点では読みにくいと言える。自分は慣れない文章のリズムに苦戦して結構時間がかかった。

    話自体は至ってシンプル。
    心理描写も少なく物足りなさを感じるほど簡潔。
    言われるほどの良さが分からなかったなと思い巻末の解説を見ると、春琴抄のその簡潔さに究極の美を感じる人が多いよう。
    「百の心理解剖だの性格描写だの会話や場面だの、そんなものがなんだとの感じが強く湧いてくる」と谷崎潤一郎は苦悩したという。

    昔は(今も少し)結末を有耶無耶にして「あとは皆様のご想像にお任せします……」というような投げかけの物語が大嫌いだった。もやもやするし、意地悪に考えればそれは「逃げ」なんじゃないのと思っていた。でも今はちょっと違う。
    物語の延長に読み手の考える余地を残しておいてくれることは、書き手から読み手への信頼があるんじゃないかと思っている。
    全部を説明しなくても分かる、情景や心理描写に言葉を尽くさなくても感じてくれる、読み手にそんな期待を持ってくれてるのではないか。
    勿論人間同士言葉を尽くさなくても理解しあえるなんていうのは傲慢な考えだけど、こと芸術においては自分の思うままを表現して、それが読み手に正しく伝わった時の心の共鳴はお互いにとって何者にも変え難い瞬間だと思う。
    谷崎潤一郎の独自の文体も、敢えて省かれた心理描写も、ある種の作者と読者の信頼の形であると考えるのは慢心なのかもしれない。

  • 盲目の美しい娘、春琴と身の回りの世話をする下男佐助。三味線の師匠と弟子でもある。
    春琴の美しさ、儚さがそこはかとなく文章から伝わってくる。一方で気性は激しく、気位高く、お金に厳しい。佐助を泣かせる程に体罰と厳しい指導を行う。

    佐助は、仕えた最初から春琴への憧れがあり、師匠としての尊敬の念、やがて深い愛情へと変わっていく。愛おしさを表現する文章が何気なくエロい。マゾ的な性癖も感じさせる。
    そんな上下関係であるはずなのに、妊娠するとは、オイオイ、どういう事か?えーっ⁈そういう事なのか?2人は否定し、ここではハッキリした事情は語られないままだ。

    人から恨みを買う事になった春琴は顔に大火傷を負ってしまう。その春琴が「私を見るな」と言った為に、自らの目に針を刺し失明した佐助。あまりにショッキングだ。ヤバすぎる。
    しかし、この事で2人は同じ盲人となり、同化し、より絆が深まる。ようやく肉体だけでなく心で結ばれた。(やっぱり肉体関係はあったんかーい)佐助は、不幸ではなく、幸せを得たと言うのだから、度肝を抜かれた。
    そのクライマックスシーンでは、自然と涙が溢れ出てしまい、心が揺さぶられる。そこまでの愛があるのかと…。

    今も大阪の町のどこかに2人のお墓がひっそりと存在しているかもしれない。
    これが谷崎の耽美な世界なのか…。読後しばらく抜けきれない。
    密やかで不思議な究極の愛の描き方に今後ハマりそうな予感がする。

  • 1933年(昭和8年)。
    恥美派というとそれ自体が異端だが、その中でも本書はさらに異端である。顔に熱湯をかけられて大火傷を負う美女と、醜い顔を見られたくないという彼女の願いを叶えるために自ら目を潰す男。極めて悲劇的な題材でありながら、不思議と陰惨さが感じられない。美文調の文体の力でもあろうが、何より作品を貫くユーモアと達観、言うならば一種の「しぶとさ」が、この作品を普通の耽美小説とは一味違うものにしている。

    悲劇を滅びの美学として芸術に昇華するのは耽美派の常道だが、この物語に滅びのムードは存在しない。春琴も佐助も割と長命だし、盲目も彼らにとってはエロスを充足させるために欠かせないツールだ。視力の喪失によって、美貌の喪失という性的な危機を、彼らは悠々と乗り越える。そればかりか、盲目となることによって、佐助は己の理想とする「完璧な春琴像」を作り上げ、嬉々としてそれに隷属する。ここに至っては実物の春琴ですら、「オレの理想の春琴」を完成させるためのツールでしかない。究極の脳内恋愛である。

    現実の女性よりアニメの美少女に萌えるオタク男子にも似て、現実(リアル)より仮想(ヴァーチャル)を優先させて何ら悔いるところのない佐助の生き様は、いっそ爽快で雄々しいとすら言えよう。そして、佐助のインスピレーションの源泉として、最後まで彼の期待を裏切らなかった春琴の堂々たる女帝ぶりも、また天晴れと言うべきだろう。

    畢竟、何が幸福で何が不幸であるか、所詮他人に伺い知ることなどできない。ならばどれほど異端な生き方であろうと、当人が歓びをもってそれを享受するなら、それは生き方として十分アリではないか。谷崎はそんなふうに問うているようにも思える。それをニヒリズムと見るか、それとも人間讃歌と見るか。評価は人それぞれだろうが、この作品が単なる被虐趣味を超えていることは確かだろう。

    • mkt99さん
      佐藤史緒さん、こんにちわ!(^o^)/

      なるほど「脳内恋愛」ですか。まさに自己陶酔そのものでしたからね!(笑)
      春琴の堂々たる女帝ぶ...
      佐藤史緒さん、こんにちわ!(^o^)/

      なるほど「脳内恋愛」ですか。まさに自己陶酔そのものでしたからね!(笑)
      春琴の堂々たる女帝ぶりは、自分なんかは可笑しくて仕方がありませんでしたが(笑)、確かにひとときも「オレの理想の春琴」を揺るがせなかった佐助は現代オタクと何ら変わることはなく、谷崎のエロス的美の理想世界はここにきて広く社会に浸透しているということなんでしょうね?(笑)
      2014/11/03
    • 佐藤史緒さん
      mkt99さん、こんにちは!
      まさに。谷崎はたぶん早過ぎたんですよ。時代がようやく彼に追いついたのです(笑)
      mkt99さん、こんにちは!
      まさに。谷崎はたぶん早過ぎたんですよ。時代がようやく彼に追いついたのです(笑)
      2014/11/04
  • 愛というものに翻弄された男と五体満足に生まれ、蝶よ花よと大切に育てられてきたにもかかわらず、運命に翻弄されて身体的自由を奪われていく女のお話。
    人を愛することの重さをずっしりと感じる、厚みの薄い本なのに読み終えた時にはぐったりするような重い愛のお話でした。
    愛した人の為にどこまでも自分を犠牲にし、どんなにキツく当たられても気持ちを変えることなく尽くしぬく不変の愛情を注いだ一生と身分の差があろうが身体を張って死ぬまで守ってくれた男がずっとそばに居てくれた一生。ある意味それは究極な幸せだったのかもしれないですね。

  • 三味線の師弟の究極の愛。春琴は三味線で高名な先生だが、幼い頃から美しく、しかしながら盲目で、丁稚の佐助に身の回りの世話をしてもらってきた。この佐助は幼い春琴の三味線の稽古を盗み聞きしては、夜な夜な雑魚寝部屋で三味線の練習をし、やがて周囲にも認められる腕前になる。佐助は丁稚の仕事をお役御免され、晴れて4歳年下の春琴に弟子入りする形で、彼女に奉仕することを許される。

    佐助にとっては春琴は師弟関係を超えた究極の崇拝対象であって、彼にとって春琴に取って代われるものはない。その佐助の姿勢が春琴の嗜虐性を助長し、彼女は殴る蹴る打つのが当たり前になる。佐助のマゾヒズムと献身は生涯続き、彼は春琴の美を夢想し続ける。純愛を通り越しているというか、最後は被虐性愛をも超えて、春琴と佐助は真実の愛で一体になったように思える。これも愛のひとつの形かと思った。

    これを海外文学で置き換えるとピアノとかギターの師弟関係みたいになるんだろうか。そんなものがあったら、それもなんだか洒落ていて面白そうだ。読んで思ったのは僕は佐助のように生きるのは無理そうだ、ということ。笑 

  • これは…今風で言うと
    女王さまと下僕笑(違ったらごめんなさい)
    こういう文豪の名作はしっかり読むモードに入るのでいつもより時間がかかります

    人を傷つけちゃいかんでしょ、と思いつつも受ける側がどう見ても喜んでるんだよなぁ

    だとすれば
    これはこれで二人の愛のかたちなので良いのかもしれない

    お勧めされて読んでみたけど
    今までに読んだことないジャンルだったので新鮮でした

  • オタクは春琴抄が好きらしい(デカ主語)と聞いて、オタクなので読んでみた。
    春琴、ツンデレレベル100億って感じ。二人の関係は愛というより信仰とか洗脳みたいなものだと思う。二人とも、もうお互いしか選べないというか。美しい愛!というより、互いに相手の理想の姿をぶつけあっているみたいな息苦しさを感じた。春琴は佐助ならわかってくれるだろうと慢心しているし、佐助は春琴を美しい人だと信じきってしまって、それを献身的に支えられる自分に酔っているように感じた。相手を愛しているというよりも。
    「。」がところどころない特徴的な文体だったけど案外読みやすく、するする読めた。こういう文体のものを読んでいると「ムツカシイもん読んでんな〜自分!」という気持ちになって頭がよくなった気がするので楽しい。

  • 相変わらずマゾ全開で香ばし〜と思ってたら佐助の行動に唖然… 当人はそれで得たものの方が大きかったようなのでよろし…完全な二人だけの世界。やっぱり谷崎はおもしろい。全部読みたい。

  • 久々の再読。あらすじは勿論覚えていたが、語り手の「私」が「鵙屋春琴伝」という本を手に入れてその内容を実在の人物風に語る体裁だったことは、すっかり忘れていたので、え、こんな感じだっけ、と驚いた。谷崎は、時期によって文体が全然違う。春琴抄は短い評伝といった感じで、なぜか本来あるべき読点がなかったりして(でも不思議と自然に読める)実は実験的な文体だったのかも。

    すじがきはおなじみ、少女の頃に病で盲目になってしまった裕福な薬種問屋のお嬢様・春琴が、長じて三味線の師匠となるも、美人ゆえ高慢で性格に険があるためあちこちで恨みを買い、顔に大やけどを負わされてしまう。幼い頃から彼女に仕えていた佐助は、ずっとかいがいしく春琴の世話を焼き続けていたが、体の関係を持ちながらも春琴は身分の差のある佐助を対等な伴侶とは認めない。しかし春琴が火傷を負ったあと、佐助は自らも盲目となりようやく二人は精神的にも強く結びつく。

    なんとなく記憶の中で、佐助の献身がとてもプラトニックなイメージだったのだけど、ちゃっかり子供も作っていて今更驚いた。というか春琴嬢のこじらせぶりが凄い。谷崎の恋愛小説(?)を読んでてよく思うのは、ドSだろうがドMだろうが結局は需要と供給の一致が大切で、どんな特殊な性癖だろうが、お互いの趣味が一致してれば幸せなんだろうなというところ。

    そして「幇間」なんかもそうですが、結局ドMのほうが一方的に献身して辛い目にあってるように一見みえても、実は自分の幸福のために相手をとことん利用しているという点では、佐助のほうが春琴よりしたたかなのかも、と思ったりもしました。

  • 単純だが迂遠極まりない哀しい愛の形。

    病的な部分が強調されがちな谷崎潤一郎の作品群にあって、『春琴抄』もおそらくきっと、嗜虐的な女性と被虐的な男性という病的なカップルの姿が浮かび上がる。

    確かに、そうした性的趣向はどうしたって否定できようがない。

    他方で、この物語を読んで感想を言い合う際にあまりにも性的倒錯という側面にのみ集中しすぎていないだろうかとも思う。

    実際のところ、彼らなりのコミュニケーションがあわさったのだろう。

    攻撃性・衝動性の高い、しかし美貌と才能に溢れる女性と、献身的な男性。

    男性側は恐らく他者のお世話をするという事が自己充足であるひとなのだろう。
    それは、地方都市から丁稚奉公なる封建的な人生のなかで見つけた彼の居場所だ。

    そして女性は、この関西特有の母系ゲマインシャフトのなかで盲目というハンディキャップという器官劣等がありながら激しい気性という優越欲求の結果得た芸事の世界が居場所だ。

    物語前半まではまったく、封建社会における主従、師弟という枠での関係でしかない。

    ところが、後半にあってその関係は激変し、師弟・主従から夫婦関係へ至る。

    それは男の献身であり、女性の受容という力動の結果だろう。

    その後、2人の関係は逆転している。

    春琴は妻という立場に甘んじようとする。文字通り、甘え始める。
    しかし佐助は、もちろん献身と尊敬という彼なりの持ち味は残れど、婚姻という関係を迫ることもない。

    春琴は暗にそれを求めたにも関わらずだ。

    これによって、主は佐助に、従は春琴に、目立たぬが入れ替わっている。

    かといって、被虐−嗜虐が入れ替わるとかそういうことでもない。

    単純に、互いに愛するということをこの2人が手に入れたのだと思う。

    単純だが、迂遠極まりない哀しい愛の形だ。
    そして多分に倒錯している。

    悲劇なのは子供たちのはずだが、この物語ではそれについて触れられることはない。

    その意味では残虐な愛でもあるだろう。

    そのことも、この2人の物語の哀しさを際立たせてはいないだろうか。

  • 美しくも悲しい自己犠牲の精神です。
    決して真似してはいけません。

  • 被虐趣味という言葉で称されることが多い本ストーリーだが、今日の関係性でいえば、そこまで逸脱した関係性と思えない…というのが正直な感想だった。
    どちらかというと…伝聞調で記される2人の間の出来事には、主観や心の機微が意識的に記載を避けられている。そのため、あまり直情的に訴えるものがないのではないか。一方で、伝聞調による行間があるからこそ、色々な経験を積んだ人には感ぜられるものが多い…甘酸っぱかったり、苦々しかったり、憧れたり…描写されていない2人の行間を人によりさまざまに味わうことができる。ここが本書の良書たる所以であり、今日に至るまで愛される作品となってる理由なのではないか。

  • ちゃんと谷崎潤一郎を読んだのははじめてかも。
    男女の具体的な描写が無いにもかかわらず、官能的な物語。この二人の物語は、もっと深く濃厚なものであろうことが、短い短編にもかかわらず、想像が展開する。これ以上の表現も説明も不要なのだろうが、まだまだこの二人の物語に身を置きたいという余韻を残す。

  • 春琴抄
    盲目の三味線奏者・春琴に丁稚の佐助が献身的に仕えていく物語

    谷崎潤一郎の痴人の愛が読んでみたくてでもすぐに借りれなかったので好きな漫画に出てくるこの作品を読んでみた。
    句読点が省かれ流れるような文章ではじめ戸惑いと新鮮さがあり、慣れてくると心地よく感じた。
    まだ話の内容を楽しむというところくらいで精いっぱいで文章のなんたるかを考えるところには至らないけどなんだかとてもすごいな、ということは感じた。

    作品の感想としては、私も佐助のような人に愛されてみたい
    すごい深いこんな深い愛があるのかという衝撃
    春琴は性格に難ありな感じだけど、こんなにも深く愛されるだけの強い魅力をすごく感じた
    自分の目を潰してからの春琴と心が通じ合うかんじはとても胸が熱くなった


  • 雑誌程の薄さの中に、谷崎の拘りが詰まりに詰まった美麗描写の波状攻撃。
    作者の“五感”への思い入れは凡人には計り切れない。
    個人的には本作に最大のリスペクトを払った中上健次の『重力の都』もお気に入り。

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著者プロフィール

1886年(明治19年)〜1965年(昭和40年)。東京・日本橋生まれ。明治末期から昭和中期まで、戦中・戦後の一時期を除き執筆活動を続け、国内外でその作品の芸術性が高い評価を得た。主な作品に「刺青」「痴人の愛」「春琴抄」「細雪」など、傑作を多く残している。

「2024年 『谷崎潤一郎 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

谷崎潤一郎の作品

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