春琴抄 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 745
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005041

感想・レビュー・書評

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  • 簡単に言っちゃえば、ツンデレとドM男の話。しかしかなりおもしろかった。始めは句読点の置き方がなんかおかしくて変なのと思ったが、読み進めていくうちにリズムが途切れずかえって心地よい。

  • ザ・ジュンブンガク。クライ。

  • とにかく文章の描き方がきれいだなって思います
    句読点とか何にもないし歴史的仮名遣いだし… 古文まじめにやってて初めてためになりました
    国語の先生に勧められて呼んだのですが…読んだ後だとすげえの薦めたなって思います…
    佐助の気持ち(行動には絶対表さないけど)分かる気がします
    一番の衝撃だったのは目をつぶすシーン 身の毛がよだちました…

  • 盲目の三味線奏者・春琴と彼女に仕える佐助の話。
    句読点を大幅に省いた文体が特徴的。
    この話を表現するには、この文体がしっくりくる。

    愛なのか、美への信仰なのか、献身自体が目的なのか...よく理解できないけれど、衝撃は受けた。

  • 対象を神格化、偶像化し愛を注ぐ姿勢は、美しくもあり物悲しくもある。春琴との別れの後、佐助は真の幸せを得たのだろう。

    語り手についての先行研究を読みたいと思った。私の素性は。私が春琴伝を手に入れ、それからの経緯は。佐助の気持ちを察し、同調し、分析できるのは、私も佐助の如く春琴に焦がれているからではないだろうか。

    そして、男性の語りだから、美しく読める気がした。もしも語りが女性だったら、悲哀や憤懣の物語になっていたかもしれない。そういうパロディも面白い。

  • 最高のキャラクター小説!
    主人公の春琴の傍若無人っぷりが素晴らしく、前半部分は腹抱えて笑いました。
    何が素晴らしいかって、春琴の弟子たちへの罵倒する台詞!
    どんな男でも動物以下に貶められてしまうような言葉のパワーに圧倒です。こんなに面白い小説だとは思いませんでした。

    ところが、後半から物語は一転。

    ある事件をきっかけに、それまで物語の地下を静かに流れていた愛のマグマが一気に吹き出します。
    愛の本質をぐーっとえぐり出す本格的な恋愛物語へ加速度を増します!

    前半の抑えがきいているのか、一挙に読ませるあたりは見事。

    感想としては、愛に溺れたい男性であれば、こういう盲目・倒錯的な愛に生きたいと思うだろうなということ。
    私自身も、かなり憧れます。

  • 日本語は美しい。
    内容はともかく・・・

  • 裕福な薬種商の家に生まれた鵙屋春琴と、累代より鵙家に奉公する家に生まれた佐助との主従とも恋仲ともつかぬ曖昧な関係が、ある事件によって展開の余儀を迫られる。夜中何者かによって春琴の顔に熱湯瓶が投じられ、その端麗で高雅な容姿が無残にも傷つけられたのだ!かつての春琴の美貌を久遠の記憶へとすべく、佐助は自らの目に針を刺す…。美の観念の官能的な陶酔を覚えるには印象的な作品だが、心理描写が希薄であり、内面世界への肉薄が十分になせれちないということで3つ星評価。

  • 愛の形と読む方がいらっしゃいますが、これは弟子プレイの本だ!と思ってしまったワタシが居る…。メイドカフェの逆バージョンみたいな。主人公?佐助が自分のフェチを満たすために、目玉に針刺す所までやっちまったと。 

    弟子プレイ、目玉に針ぶっ刺してまで同じ世界に生きたいとか全てのお世話をしたいとまでは流石に思わんが、その気持わからんでもない。会社で師匠師匠言っていたり、才能に惚れた人にお仕えしたい願望が結構根深くあるような気がした。体力の限界まで働いても、その方の下で働いていたら全然辛くないとか。そういう自分の変な趣向を具現化していただいたよーなw

    全般的に小説は苦手だけれども、谷崎潤一郎は比較的読める、と最近思い出してきた。断じて変態ではないと思うし、足フェチでもないけど。  

  • 素晴らしい。文章に釘付けになった。読了後も最後の一文にはしばらく悩めそう。

    恋は盲目の一言に尽きる。

  • 針で目を突く描写がエグい。虜になりました。

  • 『春琴抄』は、谷崎潤一郎の小説である。
    盲目の女性であり、三味線の師匠である春琴と、春琴に仕える佐助を中心とした物語。春琴は佐助に対してあくまでも主人としての態度を取り、佐助もまた奉公人としての態度を貫くが、最終的にはお互いの心に長年育ててきた愛を一つの世界として確立する。
    盲目という暗い世界に、美の保存のために身を投じる佐助の精神は、確かに一見被虐的である。しかし、実際はその「完璧な美」への憧れが完成されたことによって佐助の精神もまた完成された筈で、その燦然と煌めく美の輝きによって彼の世界は明るく照らされているに違いなく、本質的には被虐ではないのである。
    谷崎文学の「悪魔的」な要素を心ゆくまで味わえる作品であると感じた。

  • 文体について。
    読点を思いっきり削った文章には、踏み込んだなーという印象。
    春琴、佐助の、世間の目なんか差し置いて閉じこもった世界観が浮き出てきます。
    文章のなまめかしさは、さすが。

    幸せについて。
    佐助は幸福だと思う。社会的に成功してる人なんか足元に及ばない幸福さで満たされてると思う。
    でも春琴は・・?
    春琴こそ、傍目には幸せぽいけど、内実はわかんねーな。選択肢のなかった人生にみえる。

  • 谷崎の本は今回が2回目。前回は「痴人の愛」でした。谷崎の本は一人で読むのではなく、皆で読むほうが理解度は増しますね。

    春琴抄は谷崎の中でもベスト3に入るらしく、結構期待して読んだのですが1度目読了したときは今いちよくわからなかった。なぜこれが選ばれるのか?

    でも2度読み返すとそのよさはわかってきました。佐助は己の究極の理想的な女性として春琴を作り上げそして一人でその快楽におぼれていたという読み方をすれば、名作といわれる理由がわかります。

    実在の春琴がここまで意地悪だったのかと疑問はありますが、それでも春琴のために自ら針で目をさし春琴と同じ盲目の世界に生きるこの行動は賞賛に値します。愛する女性のためになら何でもできる。自分は恋はしたことがあっても人を愛したことはないので、こういう行動にはあこがれますね。

    ただ、「風と共に去りぬ」でバトラーが最終的にスカーレットへの愛は冷めたのに対して、佐助の春琴への愛は永遠なのでこれは、やはり佐助があくまで理想の媒介として春琴を愛したと思えば分かる気がするんですよね。

    短い本ですが、楽しく読むことが出来ました。

  • あらすじ
    ある男が、心の底から愛した女性がいた。その女は盲目であり、男は、彼女に奉公していた。思いを通わせつつも、師弟の関係や女の自尊心が二人の仲を邪魔する。ある日、凶漢が女の顔に大火傷を負わせる。女は自分の醜くなった顔を見られることを嫌い、男との接触を避けるようになる。
    男は、自らも盲目になることを決意するのであった。

    日本語を母国語としてよかったと思うことが何個かある。
    黒沢明の映画を字幕なしで味わうことができるということ。
    三島由紀夫の文章を原文で読めるということ。
    谷崎潤一郎の文体の美しさを堪能できるということ。


    【マノンレスコーと春琴抄】

    今まで読んだ愛を描いた文学作品で印象的なのは、マノンレスコーとか椿姫とか、フランス文学が多かった。
    「お前のいない世界に生きるくらいなら、死んだほうがましだ」というようなロマンティックで、情熱的で、男と女の感情がぶつかり合いながら結晶になっていく。そういう美しさというか大胆さに惹かれていた。
    でもどこか違和感があった。たぶんそれは、日本という独特の文化圏に生きている自分にある違和感なのだろうという気がしていた。

    春琴抄を読んで、極めて日本的な男女の愛の形を再確認した。思いを通わせながらも、最後まで師弟の関係を続けようとする二人。お互いに弱さや感情をむき出しにして交流することを避け、ある一定の距離感を置く。物理的な距離は遠く、精神的な距離も遠いにもかかわらず、どこか通い合うものがある。そういった表現のほうがしっくりくるのは、ある意味で日本人なのかもしれない。

    【佐助の愛】
    個人的には、佐助の春琴に対する愛は、自己愛の域を超えることができなかったように思える。
    もちろん献身的に春琴に尽くし、春琴のために自らの視力を失うことも辞さない点は、まさしく極楽浄土というか真実の愛にたどり着いたようにも思える。
    しかし、彼が目をつぶした理由は、春琴が嫌がったからだけではない。むしろ、彼が愛した春琴を愛し続けるために彼は盲目という道を選んだのではないか。
    「哀れな女気の毒な女としての春琴を考えることができなかった…佐助は現実に目を閉じ永劫不変の観念境へ飛躍したのである…もし春琴が災禍のために性格を変えてしまったとしたらそういう人間はもう春琴ではない…彼はどこまでも驕慢な春琴を考える」
    多かれ少なかれ全ての関係性において、自己愛や自分の理想とする相手像を求めてしまう。佐助が最後まで求めていたのは、春琴そのものではなく、彼の中にある春琴像でしかなかったのかもしれない。

    【谷崎の文体】
    谷崎の文体ほど艶やかという表現が似合う文体もあまりないだろう。
    一つ一つの言葉の選び方、組立、句読点の打ち方まで、すべてがどこか心地よく、そしてどこか違和感を感じる(正確に言うと、谷崎の文章には心地よい違和感がある、ということになるのかもしれない)

  • 最高!劇烈なるラブストーリー。

    佐助が自らの目を潰し、凶漢によってその美貌を台無しにされた春琴の顔を見れなくした所から、二人の関係が逆転する。
    そのシーンが感動的です。春琴が感動にうち震えて、それまでの女主人然した立ち居振る舞いから、愛情豊かな一人の女性に変化するのはたまりません。

    三島の「憂国」は腹切りという肉体的犠牲で夫婦の愛が崇高なレベルまで高まりましたが、谷崎は両目を犠牲にしてそれを成就したわけです。

    そこは完全なる二人だけの世界です。

    こんな凄烈な耽美主義は現代文学じゃ到底無理でしょう。夾雑物のない時代の言葉が可能にしたのだと思います。

  • 男女の悲哀と信愛。うわべだけの想いを凌駕する沈黙と暗闇の世界。それを解することができるのは、同じく、光を断った二人だからこそ。
    日本純文学の恋物語。

  • 最初は難解に感じたが徐々に慣れた。
    美しい文体。とても好き。何回でも読み返そうと思える。

  • (再読)

  • 非の打ち所がない小説の一つ。

    句点すら極端に省略して文章の区切りを切り詰めた滔々とした語り口の文体が素晴らしく、実験的な文体を物語と合致させることに成功している。この文体はおそらく三味線の調子を意識したものであるし、また語り手によって伝聞のみで語られる物語のぼやけた雰囲気を醸し出す効果がある。さらには、盲目の春琴が見る佐助と佐助が見る観念の中の春琴の夢幻のぼやけた世界をも暗示していると思う。
    殆ど伝聞という設定から細部の描写が少ない作品ではあるけれど、詳細に描写されている数少ない部分が、物語終盤の針を使う残酷描写。ここの描き方も上手。

    語り手が誰かを考えてみるのも面白い。

  • 恋は盲目なんて巧いこと誰がはじめに言ったのやら。春琴が魅力的だったこそここまで佐助は献身的になれたんだろうな。被虐加虐云々ってより佐助が望んだ(春琴の為と思われる幸せな)自己破滅だよね。盲目という二人だけの世界は出来上がりすぎていて痛々しく滑稽であるけれど、閉じた世界だからこそ誰にも邪魔されないよね。女性に献身的(佐助は異常だけど)な男性は愛された方は幸せかもしれないけど自分の幸せからしたらどうなの?あ、尽くすことが幸せだから利害は一致してるのか。文章体は美しい。淡々としてないこういうしっとり感ある文章好き。文体の世界観に慣れるまでちょっと時間かかるけどね。初期の近代文学はあらすじ大事よ、と思う。

  • 二人だけの世界から抜け出れなくなって現実世界との境界線がなくなってしまった夫婦?恋人?の物語、大人と子供は違う世界を生きていると私は思うが男女の恋愛のなかにある二人だけの世界は人にもよるが子供の世界に近いことが多いような気がする、佐助と春琴のお互いに対する欲望は通常は大人になるにつれてだんだんと抑制されていき、社会に適合できるようになっていくのだが、それが出来ない二人がお互いに自分の本性を晒し合うことで二人の世界をつくり陶酔している、簡単に言えばドSとドM。思いっきりいじめたい女といじめられたい男、そんな変態はなかなかいないからお互い相手を「かけがえのないあなた」と思う、その裏には通常は変態な自分への苦しみがあるのだがあんまりそこは書かれていない。個人的には佐助に二村ヒトシさんの本をプレゼントしたいです。

  • 月曜会の課題本

    読みにくい。
    結婚しないのは実は佐助のドM性では?
    と思ったら、やっぱり。

    密接な二人の世界、痛いわぁ。

    子どもいっぱい作ってからに。

    情緒?うっとりはしない。

    どんなストーリーで映画化したんかな。

  • 初めて読んだのは高校生の頃やったかな?
    百恵さん友和さんの映画を観たので再読。
    佐助目に針刺す刹那薄笑い、と想像してみてぞくぞく。

  • 谷崎潤一郎はこれがはじめて。
    高校のとき部活で箏を弾いていたのもあって、
    前から興味がありやっと読めました。
    集中して読んでいないと、
    主語が変わったりしているのに気づかなかったり。
    でもおもしろかった!
    春琴と佐助の墓の配置の描写がすき。
    あとラストの、
    読者諸賢は首肯せらるるや否や
    てところもすきでした。

  • とにかく文体がとてつもない。句読点が無い。三島以上に深いボキャブラリーに脱帽。

    目を衝いて暗黒世界に突入する直前に師匠の顔が来迎仏の如く浮かんだらしいと。この描写だけでいかに念願の所為であったかが直接セリフを書かずともこちらに伝わってくる。

    最後の一文の「読者諸賢は首肯せらるるや否や」っていうのも良いよね。美談として一方的に押し付けず、こちらに判断をゆだねているのが素晴らしい。

  • これが愛、なのか。

  • 春琴抄は読みづらいよと前から聞いていたのである程度覚悟はしていたけど、なるほど改行と句読点がなく文が繋がってて読みづらかった。だけど読んでいるうちにそれが不思議なリズムになって途中からはスラスラ読めました。難しい言葉が多いけど注釈がたくさんあったのでわかりやすかったです。
    春琴に仕える佐助の献身的な愛情には狂気すら感じました。まさに恋は盲目。
    谷崎作品はまだ3冊しか読んでないけど、春琴抄の佐助にしかり痴人の愛の譲治にしかり、己の身を滅ぼしてまでも尽くしたいと思える女に出会ったのは彼らにとって幸せなのか不幸なのか…と考えてしまいます。いや、佐助も譲治もそれで幸せだと言ってるので別にいいんですが、それを傍から見ていて至上の愛と捕らえるかただのアホと捕らえるかは人それぞれですね。

  • 盲目の愛。針を突き刺す場面は痛くてちゃんと読めなかった。

  • ※ツイッターより転載
    春琴抄読み終わった。オチを知って読んでいた割になかなか身の毛のよだつ書き方だった。目の描写はここ最近読んだものの中では一番印象に残りそう。こういう感覚は青来有一のジェロニモの十字架以来だねえ。

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著者プロフィール

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2018年 『父より娘へ 谷崎潤一郎書簡集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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