春琴抄 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005041

感想・レビュー・書評

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  • 谷崎作品後期。江戸時代に、裕福な薬屋の娘が、容姿端麗、頭脳明晰、芸事も優秀だったが、盲目になり、三味線に一本化し、江戸一番の腕前に。付添人の男性も、三味線を始め、女の弟子になり、やがて事実婚に。女は、弟子一般にキツイこともあり、35歳のときに、何者かの恨みを買い、顔に熱湯をかけられる。男は、顔を見られたくない女の気持ちを察して、両目に針を刺し、視力を捨てる。男と女は、精神的にも真の夫婦になる。男は、視力を失うと聴力などが鋭敏になり、女の奏でる音がの素晴らしさを、再認識できたりする。
    正直ふーん、だからという印象。
    解説読んだら、谷崎が芥川に、何の足しにもならないことをやってると思うときない?と尋ね、芥川があるけどその度にその思いを捨て去るようにしていると回答しているとの件が紹介されていた笑
    心理描写が少ないとの批判があるようだが、グダグダ描かれても、読み疲れるので、こんなもんですいいかももー

  • 歪んだ性癖に隠れた純愛

  • 7回くらい読んでいる大好きな作品。
    私を魅了するのは、佐助の献身的な愛です。

    4歳年上の佐助は、春琴が9歳で失明した頃から、身の回りの世話を始めます。三味線の師弟関係や夫婦同然の生活と、濃密な時間を過ごすも、41歳で失明した佐助が「やっとお師匠様と同じ世界に住むことが出来る」と思うあたり、彼の愛の深さを知ることができます。お墓の記述でも変わらぬ愛を感じます。

    佐助のような愛し方はできない。
    それでもそれが本来の美しい愛の在り方であり、人間らしい愛し方であると思うから、この作品の世界観に引き込まれていくのだと思う。

  • 第9回(古典ビブリオバトル)

  • 盲目の三味線師匠春琴に仕える佐吉のドMな愛と献身。彼女の面影を永遠に脳裏に保存するために自ら盲目の世界に入り、それを楽しむところが究極の官能だと思う。師弟の関係でありながら、二人の間に何人も子供がいるところが含みがある。文豪の官能小説はやっぱり美しい。

  • 初めて谷崎を読んだ。

    春琴抄は「愛する人のために目を潰した話」という先入観のもとで読み始めた。さぞ理解の及ばぬ極致の世界が描かれているのだろう…と。

    けれど、その偏った薄っぺらい切り取り方は、読み終えた今となってはできない。

    読みながら、その流れるような語り口に目と心を奪われ、春琴と佐助を取り巻くあれこれに思いを馳せた。
    佐助が目を針で突き刺す一段はやはり堪えたが、その行動に至る心は決して不可解ではなく、むしろ自然だと思えた。普通か普通でないか、というものさしで測るには余りある世界だった。そこには2人きりの世界が広がっていた。

  • 泡んを

  • 耽美主義の谷崎潤一郎の読みはじめの一冊とされるもの。大学2年の春に初めての谷崎作品として読んだことを覚えている。美しく残忍な盲目のお嬢さまに仕え、尽くしぬく被虐趣味のある奉公人佐助。彼ら二人で完結した世界で繰り広げられる絶対美の世界。

  • 盲目のせいか我儘でいて美貌と天性の琴の才能を備える春琴と、ひたむきに身の回りの世話をする弟子佐助の濃密な関係。

    終盤、顔に熱湯をかけられた春琴は顔を見られることを頑なに拒むが、佐助は仕え続けるために自らの両眼を針で刺す。衝撃的。

    不器用で周囲からは隔絶された、もの悲しくて美しい男女のストーリだと思います。

  • ‪春琴という盲目で美人な三味線弾きとその奉公人の佐助、春琴はある時に弟子の逆恨みで顔に熱湯をかけられて後遺症を負います。この顔を佐助にだけは見られたく無いと言うと、佐助は自ら目を潰して盲目になったという話し。献身的な愛と評されますが若干怖いですね。‬

  • 私は主従愛が大好物だ。
    気位高く、決して心を許さぬようにみえて、それでいて側に居ることを許す心の隙。
    当時の使用人は主人と同類の人間とはみなされない。主人と忠犬のような、言葉で幅を狭めてしまうようなやり取りなんざせずに、ただただ一日一日を過ごす。
    二人は主従である、ただそれだけで説明される関係が良い。

  •  文豪・谷崎潤一郎の代表作の一つにして、耽美主義の傑作。
     19世紀の大阪を舞台に、男女の主従の奇縁が描かれる。
     三味線の師匠である盲目の美女・春琴と、献身的に身の回りの世話をする弟子・佐助。
     幼き頃より、二人は、余人には窺い知れぬ繋がりを持つ。
     長じて後、春琴は、弟子の一人から深刻な恨みを買い、凄惨な復讐を受ける。
     就寝中に熱湯を浴びせられ、その美貌は無残に焼け爛れた。
     欠損した姿を、佐助にだけは見られたくない春琴の意を汲み、また、彼女の面影を永遠に脳裡に保有するため、佐助は自ら目を潰し、盲となる。
     分かち難く結びついた二人の歪な関係は、歪であることによって完成し、完遂された。
     その巧緻で流麗な筆致が形作る美と愛の世界は、谷崎文学の芸術性と官能を十二分に堪能させ、読後の深い余韻を誘う。
     二人の物語を入れ子構造の伝聞体とすることで、虚構があたかも歴史の如き昇華する構成も、見事の一言に尽きる。

  • 難しい。佐助はなぜ自分を失明させたのか。この佐助と春琴との関係が常人には理解できない愛の形なのだろうか。

  • サディスティックな気性を持つ春琴と、それに師事する佐助。最初は佐助が気の毒で、それでも耐える彼に、今度はだんだん不快感すら覚えていきました。それが形勢逆転‥。といっても、二人の上下関係は変わらないのだけど、実はその関係は、春琴より佐助にこそ必要だったのだというのが解ってきます。もうその辺からはドキドキ‥最後は狂気にすら思えます。はたして春琴は幸せだったの?美しいからこそ、剥ぎ取るのが恐ろしい‥。

  • 美しい文体と空気に惑わされる。
    マゾヒスティックとか狂気とは違い、
    美しい語り部による美しい民話に聞こえる。

  • この作品の語り手はおそらく谷崎自身だと思われ、春琴と佐助の物語を人伝えに聞いてそれを記すという形式をとっている。この語りの形式により二人の心情は一人称語りでは表現されないのであるが、佐助の自己語りを基に書かれている部分があったりとその心情が陳腐なものになっているなどということは決してない。むしろ佐助の春琴に対する思い等は前半から少しずつ散りばめられ後半にかけて読者に畳み掛けるように襲いかかってくる。その思いというのがさすが谷崎とも言うべきものであり、個人的には『痴人の愛』に勝るとも劣らない情感であると感じた。特に春琴の身に災禍が降りかかった後の二人の描写というのは読んで損はしないであろう。

  • 谷崎潤一郎の作品の中で一番好き。谷崎というとグロいのも結構あるが、例えば「痴人の愛」のようにあからさまなエロさはなく、抑制された表現の中のエロチシズムを感じられる。文章力、ストーリー、野心的作風、バランスも取れてて文句なし。

  • これが、耽美主義なのか。。すごい世界だ。

  • 谷崎潤一郎「春琴抄」

    手の第二関節を誰かずっと軽く触れられているような感覚で
    ゾクゾクして、ソワソワしながら読んでいて。

    2人の関係に師弟愛以外の愛は存在しない、と私は思いました。
    その愛は、計り知れない、尋常じゃないもので
    傍目には怪物的にしか見えないけれども、
    きっと境遇の違う2人にとっては、共に生きるための
    一番大事な、変えてはいけないものだったのではないかと。

    あまり好きな小説ジャンルではない、と読んだ今も思っているけれども、読んだことで読書経験値が増えた気がする。
    まだ積み本の中に「痴人の愛」があるのですが、
    それはもう少し先でいいかなと思いました。笑

  • 昨年没後50年ということもあり、谷崎潤一郎の著作権が切れましたこの『春琴抄』も早速青空文庫で読むことができます。本書の出版は1933年で『痴人の愛』の8年後のことです冒頭10ページほど読み旋律が走りました『痴人の愛』と同様に、病的までに被虐的な美少女崇拝の世界が繰り広げられているからです私は、谷崎という人は日本文学史上もっとも美しい日本語で書き著す小説家だと思っていますが、本書でもあますことなく春琴の美しさを著しています。
    http://naokis.doorblog.jp/archives/shunkinsho.html【書評】『春琴抄』美少女の肌を愛でつつも純愛を描く谷崎潤一郎

    2016.03.01 千年読書会課題図書
    2016.03.24 読書開始
    2016.03.28 読了
    2016.12.16 トイアンナのブログでも見つける。

  • 「鵙屋春琴伝」という書物をもとに第三者が回想する形で語られる本作。書籍の裏のあらすじをを見て勝手に奉公人の佐助視点の話かと思っていたら予想外であった。
    しかし読んで見ると、この第三者視点で語られることによって傲慢で我儘という春琴の性格の悪さが目立たなくなり、そのキャラクター性や春琴と佐助の特殊な関係性に不快感や嫌悪感を感じず、むしろ美しく尊いもののように感じられた。
    また、春琴を先に亡くし盲目の佐助を評した下記の一文に文学的な凄みを感じ、感嘆させられた。
    「人は記憶を失わぬ限り故人を夢に見ることが出来るが生きている相手を夢でのみ見ていた佐助のような場合にはいつ死別れたともはっきりした時は指せないかも知れない」

  •  「目あき」には分からない盲人の感覚世界に迫った作品なんだろうけど、ぼくの感性に響くものはなかった。

  • 耽美的なマゾヒズム。これが名作とされる日本の美意識を考えると面白い。大好きな作品のひとつ。

  • 初めて読んだ谷崎潤一郎の作品です。
    高校の頃にマゾヒズム作品集(だっけ?)という本の表紙が中村佑介さんの絵で惹かれて図書館で借りましたがなかなか刺激が強くそれ以来読む勇気が出ませんでした。
    春琴抄は癖の強い作品の中でも読みやすいだろう!と勝手に思い、読みました。文体の美しさが出ており、かつ語彙を増やすのにうってつけでした。忖度が出てきた時はもっと本を読まなければな…という気持ちにさせられました。

  • 再読…のはず。盲目の春琴への佐助の献身的な愛、ということで、勝手なイメージで春琴をか弱い女性と思い込んでいた…(全く違っていた)。
    文章が続けてあり読みにくいかなと思いつつも意外とそうでもなかった。
    佐助があのような行動に出たのは時代もあるのだろうか?なんだかありえないなと冷めた目で読んでしまい、純粋に話に入り込めないのは大人になったからなのか?

  • 盲目である三味線師匠の春琴に対し、嗜虐的な師弟関係に喜びをもって額ずく佐助。自ら盲目になり二人の世界の瞬転する様が、抑制された筆致故に却って劇的に描かれる。

  • 山口百恵の映画は見ていないが、なんとなくあらすじは知っていた。それでもなお、その完璧なまでの信頼関係には驚かされた。主従として、師弟として、そして男女として、二人の間にはほんのわずかな隙間さえもなかったのですね。
    春琴がこれほどまでに激しい気性の人物像だとは思わなかったし、佐助がこれほどまでにマゾヒストな人物像だとも思わなかった。
    盲目であればこそ、の部分の描写力はさすが谷崎潤一郎、なのだと思う。

  • マゾヒシズムを超越した本質的な耽美主義の作品とされる。

    盲目の三味線奏者で強情、我儘な春琴に、その手曳きであり弟子の佐助は献身的に仕える。美貌の春琴が幼少時代から佐助を折檻し、佐助がひいひい泣きながらも主人であり師匠である春琴に無限の感謝を捧げる姿が印象的。厳しい主従関係・師弟関係として描かれるが、その中の嗜虐的で一種の変態な性欲的快楽を思わせる描写が著者ならでは(肉体関係もあるらしい)。

    句読点や改行を大胆に省略した独自の文体が特徴的だが、これについては読み進めるうちに慣れてきて苦にならなかった。

  • 世間の常識の及ばない世界。一般的な倫理を振りかざして佐助と春琴の感情や関係を云々するのは野暮なことだ。とにかく、その狂気が美しい。マゾヒズムの極致が芸術の領域に入るのだということをこの作品が初めて突きつけてきた時、僕は心の中で震えていたと思う。
    なにを隠そう、僕の中にも佐助的な感性が確実に存在していると思う。自分の目を突き刺す勇気は流石にないが、何かの存在を愛することは、その存在の前にひれ伏すことだと思う。これは自己犠牲的に見えて本当は真逆で、究極的にエゴイスティックな心の有り様だと思う。ひれ伏したくなるような圧倒性を持たない存在に対しては、愛するに値しないとバッサリ斬り捨てる感性だからだ。

    そんな感情を抱かせてくれる女性など、そう巡り会えるものでは無い。佐助の人生はきっと、本当に幸せだったのだろう。

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著者プロフィール

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2018年 『父より娘へ 谷崎潤一郎書簡集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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