猫と庄造と二人のおんな (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 241
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005058

感想・レビュー・書評

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  • R3.4.23 読了。

     『一匹の猫を中心に、猫を溺愛している愚昧な男、猫に嫉妬し、追い出そうとする女、男への未練から猫を引取って男の心をつなぎとめようとする女の、三者三様の痴態を描く。』…(小説紹介より)。
    ラジオシアター文学の扉で、紹介されていて興味を持った。初、谷崎潤一郎作品。昭和26年初版。
     短い小説であったが、読み進めるのに思いがけず時間がかかった。猫と庄造と二人の女のコミカルなやり取りでとても楽しめた。庄造さんのリリーに対しての可愛がり方には、正直引いてしまった。これじゃ、奥さんが猫に嫉妬してしまいますよね。
     また、別の谷崎潤一郎の作品を読んでみたい。

  • 家にあった本。正にタイトル通りの話。リリーという猫をめぐる前妻と妻と正造の日常や心情を描いただけのものが、どうしてこんなにドキドキさせるのか。大阪弁の会話と正造や前妻品子の心の声や、猫の仕草などが心に迫ってきて面白くも切なかった。

    • ☆ベルガモット☆さん
      111108さん おはようございます
      谷崎さんに夢中ということでレビュー楽しく拝見しております
      図書館にありましたので取り寄せました
      ...
      111108さん おはようございます
      谷崎さんに夢中ということでレビュー楽しく拝見しております
      図書館にありましたので取り寄せました
      おうちの蔵書とは、どんな立派な本棚をお持ちなのかと妄想が膨らんでしまいました
      2022/09/19
    • 111108さん
      ベルガモットさん、こんにちは。

      谷崎潤一郎、私にとっては大好きと言うより、やることなすことが気になって仕方がないみたいな気持ちなんです。文...
      ベルガモットさん、こんにちは。

      谷崎潤一郎、私にとっては大好きと言うより、やることなすことが気になって仕方がないみたいな気持ちなんです。文章はさすがに美文で読みやすいです。ベルガモットさんもぜひ一度体験してください。

      蔵書‼︎笑「家にあった本」のことですね。これは巣立った子や一緒に住んでる家族が買った(置いていった)本で、自分の趣味や意志でないけどたまたま読んだのだというのを忘備録的に書いてるだけですよ〜
      めちゃくちゃ立派な書庫など全然ないです!でもブクログ始めてから確実に家の本増えてますね。
      2022/09/19
  • 猫賛歌の小説。(笑)人間が愛情を捧げる心理を、愛猫を中心に巧みに表現した短編作品です。
    ダメ男が最も愛情を傾ける猫リリーを頂点に、新旧妻のおんな二人(いや母親も入れると三人か)の駆け引きを緻密に表現されており、また、ダメ男庄造の溺愛と憔悴ぶりがきれいに対比されていて、それが面白かった。僕なんかがこんな心理もあるだろうと予測することが、それ以上に次から次へと展開されるので、これはかなり心情が吟味されてあるのだろう。
    解説によると谷崎文学の根底にある、(リリーへの)「隷属の幸福」を拒まれた男の破滅を描いたということであるが、心理描写が巧み過ぎるせいか理屈が先行し少し説教臭さのある文章になっている半面、関西弁の穏やかさと日本語表現がきれいなので、気軽に楽しみながらすらすら読めます。また、自分にはよくわかりませんが、猫好きな方にはたまらないのではないでしょうか。(笑)
    ラストはかなり余韻が残るのですが、余韻が残り過ぎて結末としては物足りなさも感じてしまい、逆に忘れられないラストになりました。この後の展開がまた気になるところです。

  • akikobbさん、111108さんにおすすめしていただいて。

    面白かった!
    字が小さい文庫しかないんだよなあと敬遠していた作品だったけれど、文字サイズなんて読み始めてすぐ気にならなくなった。

    とにかく猫のリリーが気まぐれさも含めて可愛く、いじらしく、翻弄されてしまうのも無理ないと思うほど。
    キュートでワガママな女(今回の場合は主に雌猫)に振り回されたいという谷崎先生のフェチが、本作でも詰め込まれている。

    品子も庄造も、人間のごたごたのせいでリリーを振り回してしまっているのをかわいそうに思ううちに、「誰にもまして可哀そうなのは自分ではないか」という思いに駆られるように、猫と比べて人間の滑稽さが際立つ。 

    特に庄造。ラストシーン、2人の女から逃げ回って、なんとか猫に遊んでもらおうとする姿は情けなすぎるけれど愛すべき腰抜けという感じで、おすすめいただいた時の「庄造はある意味可愛い」というセリフの意味がわかった(笑)
    こういう男に執着しちゃう2人の女の気持ちも分かる。
    情念に翻弄される卑俗な姿こそが、人間らしさなのかもしれない。

    • 111108さん
      ロッキーさん、こんばんは。

      ふふふ、読まれましたね。
      そうなんですよね、猫のリリーが一番かわいくて賢いと思います。女達はそれぞれの思惑で動...
      ロッキーさん、こんばんは。

      ふふふ、読まれましたね。
      そうなんですよね、猫のリリーが一番かわいくて賢いと思います。女達はそれぞれの思惑で動くので素直に可愛いと思えないし。とにかく庄造はほんとにしょうもない奴と思ってしまいました。
      でもロッキーさん言うように谷崎先生のフェチを考慮すると、書いてて快感だったのかもですね。
      2022/08/31
    • akikobbさん
      ロッキーさん、111108さん、こんにちは。

      ロッキーさんのレビューを読んで、勢いで私も再読してしまいました。こんなに短いのにこんなに楽し...
      ロッキーさん、111108さん、こんにちは。

      ロッキーさんのレビューを読んで、勢いで私も再読してしまいました。こんなに短いのにこんなに楽しめるなんて、素晴らしい…。

      今回はロッキーさんのおっしゃった「人間の滑稽さが際立つ」「谷崎先生のフェチ」に、大納得しながら読みました。人間たちの思惑は、谷崎さんのだらだらした美文で、わかりすぎるほどわかってしまって、狡さ、可愛さ(?共感ですかね?)、滑稽さなどいろいろ感じますが、物言わぬ猫のリリーだけは、仕草や眼で発するのみ。読者もそこにズキュンとやられてしまうのかもしれませんね。
      2022/09/01
    • ロッキーさん
      コメントありがとうございます!
      お二人のおかげで読まず嫌いを克服し、素敵な作品に出会うことができました!

      111108さん
      確かにリリーは...
      コメントありがとうございます!
      お二人のおかげで読まず嫌いを克服し、素敵な作品に出会うことができました!

      111108さん
      確かにリリーは可愛いけど、人間を超越して賢い感じがしましたね。
      人間はほんとにしょうもなすぎて笑
      谷崎先生も楽しんで書いた作品だったかもしれませんね。

      akikobbさん
      おお、再読されたのですね!薄い本ですが、濃くて満足感ありますよね。
      物言わない猫が1番しっかりしているのを読むと、人間の業を感じますね。
      でもakikobbさんのおっしゃる通り、そんな人間側の思惑もわかりすぎるほどわかるので、自分もどうしようもなく人間なんだなあと思います。
      2022/09/01
  • 庄~造~。
    なんで?なんでリリーを手放しちゃったの?
    元はといえばアンタがそういう性格だからこうなっちゃたんじゃないのー?
    と、柄にもないお説教をしたくなるほど、おはなしにのめり込み登場人物達に愛着を抱いた。

    谷崎文学ははじめて。
    この本は高校生の時にブックオフで100円で手に入れた。
    それからウン十年本棚に積んであったが、久世番子さんのコミックエッセイ『よちよち文藝部』を読んで‘日本文学’に興味を持ち家にあったこちらを読むことに。
    ‘日本文学’に及び腰のビギナーにも安心の薄さ。
    中身は軽妙だけど濃かった。

    最初に感心したのは読みやすさ。
    もっと読みにくいと思い込んでいたが、長いセンテンスの文章でも苦痛に感じずスラスラ読める。
    登場人物達の関西弁も、昔風の言い回しも慣れてしまえば心地よく作品世界に浸れる。

    その登場人物達の造形の上手さには舌を巻いた。
    特に福子がお腰をそこら辺の隙間にたくさん溜め込んでいる描写。福子という人となりが分かり、ちょっとした嫌悪感が一気に襲ってきて、庄造が最終的に「やっぱりわしにはリリーちゃんしかおまへん。ああリリーちゃんに会いたいなあ」となるのに納得する。
    品子さんはしっかりものでキツいようだけど、ちゃんと情があって働き者。
    でも庄造はバカにされているのが許せないんだね。
    わかるわかる(笑)
    そして、この作品の女神ことリリーちゃん。
    猫好きなら必ず「リリーちゃん、リリーちゃん」になるだろう。彼女の描写が丁寧で、そして堪らなく愛らしい。

    登場人物それぞれの‘プライド’のどれに共感するかで性格でそう(笑)

    そしてやはり一番賢いのは猫だった(* ̄∇ ̄*)

  • 谷崎潤一郎作品を久しぶりに読みたくなりこちらはブク友さんの本棚に多く見られたので取り寄せた。

    猫を中心に人間が翻弄されるなんてどんな状況かと軽く考えていたが、雌猫のリリーの愛らしさを谷崎の饒舌な中毒性のある表現でこちらも固唾を呑んで惹きこまれた。
    猫と一匹の魚を口移しにして引っ張り合う様子やフンシの匂いを嗅いで胸がいっぱいになる庄造、フンシの砂を得るために学校滑り台の砂を盗む品子など異常な溺愛ぶりが存分に語られる。リリーの「ニャア」が聞こえてきそうでうっかり私もリリーの魅力にはまりそうになった。庄造は谷崎氏本人に思えてしかたがなかった。

    • ☆ベルガモット☆さん
      傍らに珈琲を。さん フォローくださりありがとうございます!

      短歌のご経験が学生時代にあるとはすごいですね!
      ブク友には穂村さん好きが...
      傍らに珈琲を。さん フォローくださりありがとうございます!

      短歌のご経験が学生時代にあるとはすごいですね!
      ブク友には穂村さん好きが多いので、ぜひぜひつながってくださいませ♪
      私よりも111108さんの方が谷崎本を愛読されているので本棚参考にしていますよ☆
      傍らに珈琲を。さんの感想レビュー楽しみにしていまーす
      2022/10/17
    • 111108さん
      ベルガモットさん、こんばんは。
      傍らに珈琲を。さん、はじめまして。

      先ほどベルガモットさんにご指名いただいた?111108です。
      いえいえ...
      ベルガモットさん、こんばんは。
      傍らに珈琲を。さん、はじめまして。

      先ほどベルガモットさんにご指名いただいた?111108です。
      いえいえ、私はごく最近になってブク友さんから教えてもらった谷崎本を少しづつ読んでいるだけです。『陰翳礼讃』もまだ未読です。傍らに珈琲を。さんの谷崎本レビューを楽しみにしてますよ♪

      お二人の短歌本レビューも大歓迎です♪
      2022/10/17
    • 傍らに珈琲を。さん
      ベルガモットさん、お返事有難う御座います。
      少し変わった大学で短歌に触れる機会があったのですが、あまり身を入れてなかったので経験と言っていい...
      ベルガモットさん、お返事有難う御座います。
      少し変わった大学で短歌に触れる機会があったのですが、あまり身を入れてなかったので経験と言っていいのか怪しいところなのですが(汗)

      ベルガモットさんのコメント欄で失礼します。
      111108さん、初めまして。
      声を掛けて頂いて有難うございます!
      陰翳礼讃、面白いですよ
      初めて手にした時はデジタル一眼にハマっていたので、陰影の捉え方が興味深く、大切な一冊になりました。
      後程、改めて本棚にお邪魔させて頂きます。
      2022/10/18
  • 猫が神様みたいに超然としているのが面白い。かたや人間はみなおろおろして誰も彼もくだらない。相手の気持ちを決めつけて、手中におさめようとあれこれ尽力するが徒労の連続。

    畢竟、この小説で愛おしく思えるのは人間。「庄造と二人のおんな」だけであればただの痴話喧嘩のドタバタ劇であろうが、猫を傍らに添えることで、人間って本当にどうしようもない生き物だからこそ、生を謳歌できるのではないかと思えてくる。猫は意外とひきたて役だった。

  • 飼い主の心猫知らず。
    周囲の人間が呆れる程、只ひたすらに飼い猫リリーに愛情を注ぐ、正に「猫可愛がり」。
    本作のタイトルの順番通り、常に「猫」が一番上。
    妻や愛人よりも、である。
    リリーが一度哀愁に充ちた眼差しでじっと自分を見上げただけでもうメロメロ。
    リリーの言いなり。
    リリーは只、飼い主の顔を何の気なしに見ただけなんだろうけどね…それを言っちゃあ、おしまいよ。

    谷崎潤一郎も相当の猫好きとみた。
    猫の描写が具体的で細かすぎる。
    これは猫を実際に飼って間近で見て可愛がっている人でなければここまでは描けまい。
    谷崎潤一郎に対してぐっと親近感がわいた。

  • 『猫と庄造と二人のおんな』猫が庄造の上にきて、彼の下に元妻、現妻がくる。庄造から見ると何が一番大切なのか、このタイトルに表された順番がばっちりハマる小説。そして、猫が支配しているものとして考えてみても、やっぱりこの順番になると思う。
    猫の名前はリリー。なんて素敵な名前だろう。百合の花のように、純潔で気品があってツンとすましていながら、妖艶な芳香のように時には妖しく時には甘えてくる……庄造の理想とする女性像が全て詰まったようなものなんじゃないかな。
    そんなリリーに陶酔する庄造の奉仕っぷりは、やっぱり谷崎潤一郎の描く愛の形。
    現妻、福子はリリーへの嫉妬心から庄造と引き離したけれども、彼の心は猫から戻らない。元妻、品子はリリーをダシに庄造の愛を取り戻そうとするけれど、彼の執着はやっぱり猫だけに向く。そして、あれほど庄造と相思相愛だったはずのリリーは、もう彼のことを忘れたように見捨てている。
    たった一匹の猫の支配する世界から逃れることの出来ない人間たちの可笑しくもちょっぴり哀愁漂う物語。

  • *猫と「蜜月」関係を結んだことのある人にはたまらない小説ではないでしょうか。って私自身は、飼っていたことはあるけど、そこまで親密な時期が続くことはなかったですが(子猫のある一時期はよく懐かれたな、とかその程度)。でも、猫と蜜月な人って本当にいると思うので、この小説で描かれている、庄造と猫の関係は、ちっとも大げさじゃないなと思います。
    犬でも、同じくらい溺愛してる人はいると思うので、広く「ペット」文学とみることもできそうだが、「二人の女」が出てくるところが、やっぱり猫じゃないとあかんという気がする。庄造という男が猫とあまりに親しすぎてやきもちを妬く女ふたりが出てくるわけですが、犬には出せないエロチックさとかが、猫にはある気がする。

    *庄造、元妻の品子、現妻の福子、母のおりん、が主な登場人物。彼らの心情がすーっと伝わってくる。ただだらだら綴っているだけと言えばそれまでというくらい、文章でひたすら書いてあるだけなんですけどね。この赤い夕日の描写が彼の情熱を象徴しているのだというような、凝ったことはしてなくて。だらだら書いているけど読みにくいこともなく、生い立ちや性格までも、いつの間にか「知らされて」いる。

    *でまた、終わりかたの潔さったら!細雪もそうでしたが。このなよなよ男と女たちと母と猫との関係を、どういう結末で片付けるんだろうって楽しみにして読んでいったんですけどねえ!

    *なよなよ男といま書いた庄造さん、まさに歌舞伎でいう和事の二枚目のような情けなさ。仁左衛門とか愛之助が、眉根を寄せて演じていそう。

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著者プロフィール

1886年(明治19年)〜1965年(昭和40年)。東京・日本橋生まれ。明治末期から昭和中期まで、戦中・戦後の一時期を除き執筆活動を続け、国内外でその作品の芸術性が高い評価を得た。主な作品に「刺青」「痴人の愛」「春琴抄」「細雪」など、傑作を多く残している。

「2024年 『谷崎潤一郎② 春琴抄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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