猫と庄造と二人のおんな (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 198
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005058

感想・レビュー・書評

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  • 猫を飼ったことのある人ならば、リリーの振る舞いの自由さと、それに振り回される一人の男と二人の女の滑稽さにニヤリとせずにはいられないはず。
    ただこの物語は猫を「狂言回し」として結婚や打算や色恋に振り回される阿呆な男と女を描いた小説で、決して「猫文学」では無い。人が心を溶かし、人が心底憎む存在である「猫」が人からプライドを剥ぎ取り、心のあり様を露わにさせる。猫好きには痛快でもある、人間模様。

  • 猫を媒介にして、とある夫婦の形を浮き上がらせる。
    その姿は悲哀に満ちていて、滑稽な感じもする。よくまとまった小説、という印象だ。品子や福子の心理が丁寧に語られていくところなど、なかなか読みごたえがある。何か試しに物語を作る、といったことをするときにはこういうものを参考にするといいのではないかと思った。

  •  題名が主従関係を表わしている。つまり猫がトップ。猫をまるで悪女のように描くところがおもしろい。猫を溺愛する男をめぐり、二人の女があれやこれやとする。とにかく滑稽な関係。ユーモラスだけど、猫の気まぐれさに惹かれてしまう気持ちがわかる。人間は追いかけたくなる生き物なのかな。

  • 猫様は逆らえません。
    妖艶な猫に翻弄される人間たち。
    人間は猫の為に生きるのだ。

  • 猫は恋のキューピッドにも、忠実な下僕にもならない。ただ、なんとなく心が通じ合えるような、つい居ないと寂しくなってしまうような中毒性がある。

  • なんだろ隣の家の揉め事を眺めている感じ、ゆるく読めます。猫好きなら、まぁ、仕方ないよねーだって相手猫だし、って思ってしまう。

  • 私も猫溺愛しているので、庄造のリリーにベタ惚れなのがよく分かります。
    リリーは雌猫の典型で、うちで飼っていた初代猫を思い出しました。
    凛として、賢くて、人懐っこいようでそうでないような。
    女より雌猫という描写がちょっぴり変態エロチックな感じがとても良かったです。
    リリーちゃんが少し切なかった...。
    夏目漱石の「吾輩は猫である」の逆をいって、人間のエゴイズムでムラムラしてる感じでした。

  • 典型的な三角関係に猫が一匹紛れ込むだけで、どうしてここまで話がややこしくなってしまうのか?猫は嫉妬の対象となり精神安定剤となり、ヒトの欲望を映すスクリーンとなる。猫の代弁者 漱石に、猫視点でこの物語を書きなおしてもらったらどうなるだろうとふと思った
    女性が猫を飼うと結婚出来なくなる理由も何となくわかる気がした。寧ろ男も飼ったら結婚出来なくなりそう。男と女の間で中々成立しない需要と供給の関係が、猫とヒトなら見事に成立してしまう皮肉。生殺与奪の権利を持ちながら、寧ろ持っているからこそ猫に媚びへつらってしまうヒトの哀しさ。

  • 当方、猫が嫌い(厳密には他人の猫の糞害に苦しめられた結果、大嫌いになったんですが)なので何ですが、結構楽しめました。
    ここのところ谷崎を読んでますが、一番好みかな、今のところ。他愛もないと言えばそれまでですが、ドタバタ喜劇的でもありすっと心に入ってきます。

  • 猫と庄造と二人の女のそれぞれの心情が複雑にそれぞれでおもしろい。谷崎は猫と暮らしていたのか。犬と暮らしたことしかない者には猫の挙動もましてや心情もよくわからないが、さもありなんと思われる。

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著者プロフィール

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2018年 『父より娘へ 谷崎潤一郎書簡集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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