蓼喰う虫 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005072

感想・レビュー・書評

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  • ロッキーさんのおすすめで。仮面夫婦の日常が夫目線で語られる。当時の最先端のお洒落風俗を織り交ぜつつ、義理の父達との交際や従弟とのやりとりの中で離婚を先延ばす理由があげられているが‥谷崎自身の声?この結末には脱力、笑ってしまった。

    • ロッキーさん
      111108さん、おはようございます。
      早速読まれたんですね!勧めておいて情けないんですが、脱力の結末が何だったか、思い出せません笑
      家に文...
      111108さん、おはようございます。
      早速読まれたんですね!勧めておいて情けないんですが、脱力の結末が何だったか、思い出せません笑
      家に文庫があったと思うので、近々読み返してみます!
      2022/09/05
    • 111108さん
      ロッキーさん、コメントありがとうございます♪

      以前伺ったロッキーさんの読書メモを思い出しながら読んでいたのですが、細部を楽しんでいるうちに...
      ロッキーさん、コメントありがとうございます♪

      以前伺ったロッキーさんの読書メモを思い出しながら読んでいたのですが、細部を楽しんでいるうちに「あれ?」という感じで‥。思い出せないのももっともだと思います。
      ぜひ再読して確かめてください。
      2022/09/05
    • ロッキーさん
      かつての読書メモが学生時代のものなので、学生と年を重ねてからでは感じ方や着眼点も違うのかも…。
      気になるので再読してみます。
      ありがとうござ...
      かつての読書メモが学生時代のものなので、学生と年を重ねてからでは感じ方や着眼点も違うのかも…。
      気になるので再読してみます。
      ありがとうございます!
      2022/09/05
  • 傷つきたくないし、相手にも傷ついてはほしくない。はっきり言いたくはないけど、こちらの気持ちを察してくれないかな。こっちから決定的な宣告をするほどの意思はないから、そちらで決めてくれないかな。

    全編にのらりくらり漂うそんな気配が、いかにも都会的というか東京的。古典ではあるけども、今の時代にもすごくしっくりくる感覚で驚き。

    人形浄瑠璃や、まるで人形のように老人の趣味に従うお久への要の憧れも繰り返し描かれるが、もう女なんて人形のようだったらいいのに、黙ってついてきてくれよ、と思う無気力な草食系男子の思考という感じで、こちらも今日的だと思った。
    人形芝居がヤジで台無しになるのが、人間はそうはいかないよ、という暗喩のように感じられた。

    前読んだ時はもっと切なさを感じたのだけど、今回は結構俯瞰で読んだ。
    読書の感想って、思ってるよりその時の自分の状況とか精神状態に影響されるものなのかもなあ。
    そして111108さん、この拍子抜けの結末は、またすぐ忘れちゃいそうです笑

    • 111108さん
      ロッキーさん、こんばんは。

      ロッキーさんのレビュー、「そうそう!」と何度も1人うなづきました。人任せにしたい、のらりくらりの気配が都会的・...
      ロッキーさん、こんばんは。

      ロッキーさんのレビュー、「そうそう!」と何度も1人うなづきました。人任せにしたい、のらりくらりの気配が都会的・東京的な感じを醸し出していたんですね。当時の最先端お洒落もその雰囲気を際立たせるスパイス的なものだったのですね。本当に今の時代にもしっくりくる感覚。

      ロッキーさんと同様に私も俯瞰で読んでしまったのかもしれません。切なさはそんなに感じずというか、この主人公に対し常に「おいおい」とツッコミを入れたい気持ちになってたのかも。だから結末にまで「おいおい」となってしまいました。

      『細雪』といい『蓼喰う虫』といい、なぜこんな結末?と不思議でなりません。他もあたってみます!
      2022/09/16
    • ロッキーさん
      111108さん、メッセージありがとうございます!

      個人的な見解ではありますが、共感いただけて嬉しいです!
      私も今回はほぼ切なさ感じず、も...
      111108さん、メッセージありがとうございます!

      個人的な見解ではありますが、共感いただけて嬉しいです!
      私も今回はほぼ切なさ感じず、もうちょっと頑張れよ!という気持ちが勝ってしまいました。
      あんなにうじうじと引っ張っておいてあの結末は確かに「おいおい」です笑

      『細雪』の結末は、呆気にとられすぎて覚えています!
      谷崎先生に、ラストどうしてこうしたんですかと聞いてみたいくらいです笑
      2022/09/16
  •  久しぶりに読み返しました。実は文庫版ではなくて、全集版です。で、なんというか、すらすら、引っかかりなしで読めてしまって、結構、面白かったのです。考えてみれば、こんな、まあ、どうでもいいような話を、こんなに面白く書ける谷崎という人は、今さらながらに天才だと思いました。

  • 書名の「蓼喰う虫」とは諺である「蓼食う虫も好き好き」の、あんな不味い蓼を食べる虫もいるように好みは人いろいろである、というところから来ているのだろう。
    この物語は大きくは2つの流れになっているようで、主人公の要(かなめ)を中心に、通である義父の人形浄瑠璃好きに付き合っている内にだんだん自分も傾倒していく様子と、もうひとつはこれが本流ですが、妻の美佐子を抱けなくなったのを発展(?)させ、妻には愛人を持たせ、自分は娼婦通いで、将来的に離別するのを前提に仮面夫婦を演じている異常な関係を、両者巧みに場面を移しながら描いていきます。書名からすると、人形浄瑠璃の世界をこんこんと描き、義父自体、人形のような妾・お久を自分色に染め上げている物語の方がその意に直接的ですが、その関係の異常さを解消せずに夫婦のぐだぐだな惰性生活に実のところ浸っている要・美佐子の関係性のことも指しているのでしょうね。
    大阪文楽や淡路の人形浄瑠璃の世界をそれこそ通の道楽さながらに描く様は、谷崎の文芸評論であるとともに谷崎自身の傾倒ぶりも感ぜられ微笑ましい。
    夫婦の機微やそれを察する息子の言動などみっちり細やかな表現は、逆にますますぐだぐだ感を高めていきますが(笑)、実のところのどうしようもない心情が奥ゆかしく(?)読者に伝わってきて、物語の行く末がとても気になりだしますが、これも谷崎らしい非常な余韻をもったラストになって、おいおい!と。(笑)考えるに、これは最早「夫婦」ではなく仮面夫婦だが、しかし相性は「夫婦」としてぴったりというこの異常な関係を、この瞬間においてぴったり切り取り、夫婦である男女間のある心情として永遠に封じ込めたかったのでしょう。放置、あるいは投げっ放しジャーマンを食らうのも好き好きなんですけどね。(笑)

  • 蓼喰う虫もなんとやら。あえて今日読むよ。
    最近はもっぱら"娼婦型"だが、芯は良妻賢母であるはずの妻・美佐子がひらひらと恋人の元へ通うことを公認している夫・要。
    世間様や一人息子のまえでは体裁を弥縫し生活する仮面夫婦、でもそれが二人とも納得尽くのバランスの良い関係性であるんだとしたら、それはそれで有りなんでないかな。
    ゆくゆくは離婚する方向で話し合いはついたものの、じゃあそれはいつになるのか、いざという肝心の一歩を互いに相手任せにしちゃう感じ、いいね。生活だなぁ。
    人形浄瑠璃や着物にまつわる描写が多くて多くて、知識不足ゆえイメージを膨らませるのが難しかった。「閨房の語らい」と書いて夜の夫婦生活を意味するのは、なんか面白くて妙に気に入ったので覚えておきたい。

  • 谷崎本人が、自身の作品で卍と蓼食う虫は好きと言っていたので手を出しました。
    知識がまったくないので、人形浄瑠璃の内容になると読むのにかなり時間がかかりました…。
    夫婦間や子のこと、義父との関係の場面は面白く読めました。

    私にはちょっと難しかったかな。また歳を重ねてから読み直したいです。

  • 谷崎潤一郎のフェミニズムが自分に通じる部分があって、今作も読んでいてしっくりきた。そのフェミニズムの形は現在のLGBTQ運動の高尚な志しに根付いた立派なものなんかでは決してなく、極個人的な生きやすさの為に選択した受動的で頼りないismなのだ。

  • 私の人生の悩みの一つでもある、愛と性欲についての本だ!と思ったので手に取ってみた。あとこの題がいいね( ´-`)調べてみたら「蓼喰う虫も好き好き」という諺があるんだ。勉強になった。

    うーん..。最初はまぁ性欲で繋がらない夫婦の内面的な問題点について探っていくものかと思っていたけど、どうも違いそう。途中までもっと重いのが好きだな~っていう感想だったけど、そういう視点ではこの小説の魅力や扱っていることは捉えられなそう。主人公夫婦と、対照的な老人カップル、高夏とルイズの存在、そして 弘(絶対子どものことそんな心配してないでしょ!と思った)がそれぞれどんな印象を与えるのか、もう少し深く考えてみたいものである。
    主人公の名前が要だから、何かずっと要潤で想像してしまった(*´・∀・)

  • 今の時代でもこの様な夫婦はいると思う。
    お互いの心理描写の微妙なバランスを細かく描けており感心した。最後の場面は淡路の人形浄瑠璃のお話が出てくるのだが、私世代から見ると、このサブカルチャーの描写はは 初見のため頭に入りにくかった。
    世の中は色んな人がいます。蓼食う虫も好き好きです。

  • 谷崎の有名作。
    両者合意で「離婚すること」を内々に決めた夫婦が、子供や義父にどう伝えようかとくよくよする話。
    この時代にして、あくまで理性的にかつ公平に?対処しようとする男性主人公の心理が主で、その西洋的な?理性に浄瑠璃などの純和風古典的な価値観がアンチ的に忍び寄ってくる…という趣向は後期谷崎への助走として興味深いが、その情景のみに終わるので作品としての満足感というか、「打ちのめされ感」で言うと、卍とか猫と庄造に比べると今ひとつな感想。

    でも、谷崎は大好きです。

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著者プロフィール

1886年7月24日~1965年7月30日。日本の小説家。代表作に『細雪』『痴人の愛』『蓼食う虫』『春琴抄』など。

「2020年 『魔術師  谷崎潤一郎妖美幻想傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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