卍(まんじ) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005089

感想・レビュー・書評

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  • ドボドボと、読んでるこちらも深みに嵌ってゆく。
    光子を自分のものにするために、
    もう誰を信じればいいのか分からない。
    光っちゃん、光っちゃん。

    こんな風に生活も人間も容易く変わってしまうのでしょうか。
    こわいです。

  • 柿内園子は天王寺の技芸学校で徳光光子と知りあい、二人はやがて激しい同性愛におちいる。そして、ある事件を契機に夫の柿内も光子と…。上方言葉による女性の独白というスタイルで、女性心理の微妙な陰翳を写しとったこの長篇は、同性愛に託して人間存在の不安定性を見事に描き出している。

  • 谷崎のドロドロ系極まれり、という印象。後半の展開は乱歩のような印象さえ受けた。

  • 濃厚過ぎて疲れた(*_*)こんなに精神的なドロドロ具合が書かれた話だとは。
    でもさすが古典、読ませますね。光子が魔性すぎてゾッとしたという印象。端からみると全く誠意なんぞ信じられないのに、虜になってしまうとああも支配されてしまうんやなぁ(*_*)園子の残りの人生が不憫でなりません。

  • 上品に、でも正直に性について書かれていて、文章は美しく、戦前の雰囲気がわかる小説としても最高傑作!平凡な結婚生活で満足だったのに変態の世界に足を踏み入れ、悩み後悔し、少し嫌なやつになって悲惨な最後を迎える夫。何かの新聞で読んだ「清廉潔白に生きて死ぬだけなら動物と変わらない」という言葉思い出した。過ちをおかして苦しむからこそ人間らしいのだろう。それにしても昔の新聞って私人のスキャンダルを記事にしていたのか。

  • 上流階級の夫人と、年下の女性による百合物語・・・と聞いていたのだが、後半に近づくにつれ、登場人物達のおどろおどろしさが際立ち、予想だにしなかった方向へと話が進む。「痴人の愛」の毒々しい魅力と、「蓼食う虫」の冷え切った人間関係が見事に融合した作品だと思う。

  • いやー。百合はいいもんだ。百合はどんなにどろどろしていても許される。谷崎潤一郎の文質といっとうあってると思いました。

  • 思ったよりいやらしさは感じなかった。
    むしろ美しい描写だと感じた。

  • ページに文字がびっしりで、読んでも読んでもなかなか終わらないけれど、がんばってよんでください。
    そのうちに、谷崎の関西弁の文体がお経のように回って抜け出せなくなる。
    細かくも正確な言い回し、谷崎のきちっとした性格が感じられる。
    個人的には登場人物の狂いっぷり、いかれっぷりが最高。
    「ステッキボーイ」という言葉に、クスっと笑ってしまった。
    読後、あらためて「卍」というタイトルを見る。谷崎、かっこいい。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99747640

    2016年度の「関西を舞台とした小説」でも取り上げられました。

  • 今まで読んだ谷崎作品の中でいちばん怖かった……ぞっとした………なにが怖いって、我を忘れて好きな人を信じ切って恋愛や欲望に走るのではなく、どうやって周りの目を誤魔化して会えるか考えてたり、疑いの気持ちすら持ってても結局ずぶずぶと逃げないあたりが生々しい。嫌いじゃないどころかむしろ好きですが気力はつかうな、ほんと女性の醜さを魅力的に書かせたら誰も右に出ないな、と思いました。

  • レズじゃないと、こういう美しい物語にはならない。ホモでは無理だろう。

  •  柿内園子が作者に告白するという形式をとった物語。大阪弁がするすると入ってくるのでどんどん読み進められる。夫持ちの園子が光子と同性愛を育む一方で、光子に異性の恋人・綿貫ができた辺りから話は深みへとはまっていき、最後の方はまさかの展開。ストーリー展開の妙とテンポの良さがすごくて、本当に面白かった。奔放で妖艶な光子の魅力に抗えない人達が疑心暗鬼になったり苦しんだりする様子は凄まじく、濃密な物語だ。

  • 松子さんの方言指導を貰いながら書いたのかなぁと、勝手に妄想しながら読みました。
    谷崎先生すみません。

  • 谷崎4作品め。
    まるまる大阪弁の語り口調で、読みやすいけど、終わりかたがあんななんで、全てが自白というより言い訳的な印象で終わった。ながーい独り言。
    最後にダンナも絡んでくるところがすごい。この時代にセンセーショナルだわぁ。

  • 最初読みにくかったけどすぐ慣れた。告白形式になっているのでフンフンなりながら読んだ。
    光子なー。光子って名前の子はきっとみんな傅かずにおれないのだ、きっとそうだ。バトロワを思い出しながら。

  • 関東出身の谷崎が初めて全編を関西弁で執筆したのが本作である。執筆にあたり関西弁翻訳もつけたという。とある1人の女に振り回される女1人、男2人の奇妙な四角関係。魔性の女に翻弄されるスタイルは谷崎の性質のあらわれか。

  • 最初は面白かった。私にとって文章が魅力的なんだと思う。でも段々飽きた。

  • 妖艶な谷崎文学。
    谷崎潤一郎の描く人物たちは、
    自由で、生き生きしていると思う。
    そして言葉にも、とても色気があります。
    私は好き。

  • この独特な関西弁、なんと読みづらいのだろうとげんなりしていたが、読む進めて行くうちに段々と親しみが湧いてくる。百合小説とかかって読むと痛い目にあう。これの本題はそこであって、そこではない。お互いに搾り取っていくような、最後には何もなくなってしまうような恋。女同士の愛は男女のそれよりもねちっこくて嫉妬にまみれていて欲深い。エスのような少女小説を求めている方は吉屋信子の方へどうぞ。

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著者プロフィール

1886年7月24日~1965年7月30日。日本の小説家。代表作に『細雪』『痴人の愛』『蓼食う虫』『春琴抄』など。

「2020年 『魔術師  谷崎潤一郎妖美幻想傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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