卍(まんじ) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2194
レビュー : 239
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005089

感想・レビュー・書評

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  • お互いが強欲な程に女だ。
    何もかも欲しい。
    手に入らないもの、相手が持っているもの、全て欲しい。
    一人だけ幸せになるなんて許せない、一緒に地獄まで堕ちて。

    内容的には救いもなく重たいのだけれど、園子の関西弁での告白で始まり終わるので読み易いし入り込み易い。
    二人のやり取りする手紙や、その文通に使われる便箋の描写からまた年齢からの幼さやまだ少女らしさが抜け切らない可愛らしさも感じる。
    可愛らしさは時に毒になる。
    光子は絶世の美女とあったが、言動や行動は少女のままで、それが素直に捻じ曲がる事で毒々しさを増すのかもしれない。

    「異性の人に崇拝しられるより同性の人に崇拝しられる時が、自分は一番誇り感じる。」

    これは多分圧倒的に女性の方が強く感じる感情だと思う。
    いや、主観かなぁ。
    でも世のアイドルブームとか見てると理解出来る気がするんだけれど。

    面白かったです。

  • 大阪の言葉は最初は読みづらいけど、だんだん流れるように読めてくる。

    内容は疑いと嘘の塗り重ねで、しっちゃかめっちゃか。

  • 二人きりの世界から三角関係に開いて、三角の位置がずれていく。
    はじめからわかっていたのかと思うと恐ろしくもあるけど誰が悪かったのか、誰でもないのか。
    さいごの青白くなった中の鮮やかな花が印象的。

  • 自由で強気、そして魅力的な女。それに逆らえない男...
    これぞ谷崎!と言わざるを得ない登場人物。

    全篇通して大阪弁で紡がれるこの物語は、不思議な色気と
    美しさで満ちています。
    愛欲・情欲・同性愛というなかなかドロドロしたストーリーですが、独特な語り口で気品さえ感じます。

  • 『痴人の愛』を彷彿とさせるストーリーですが、本作はもっと泥沼感が強くて、『痴人の愛』で示される“愚かさ”は弱いです。

    もつれる人間関係も、(私にとっては読み慣れない)コテコテの大阪言葉も、描かれ方が徹底していてきらびやか過ぎるほどです。発熱時に読んだので疲れました。。

  • 236.2008.不明

  • レズビアンを題材にした当時はかなりの問題作だったと思わせる作品。
    思った以上の変態小説ぶりにビックリ。
    3人の男女を魅了する光子。それぞれの思惑が縺れ合いますが、絶対的に中心にいる光子にはある種の恐ろしさを感じます。
    倒錯的な依存と官能的なマゾヒズムの世界。
    絡みつくような関西弁で「先生」への語り口調で書かれています。耽美的でエロティックだけど、具体的な性描写は全く出てきません。過激なことを書いていながら最終的な部分には触れない。時代の制約なのかもしれませんが、ねっとりした文体と卍というタイトルがいろんなことをを想像させます。卍とは絡み合う男女の破滅といったところなんだろうか。
    一番気になるのは当時の人たちはどう思ったのだろう。。。

  • 主人公の園子の告白で、同性の光子との関係や光子の婚約者綿貫、そして園子の夫との愛憎劇を語る。関西弁で全て書かれているのが生々しい濃密な関係性を際立たせている。園子の光子に対する独占欲や光子の支配欲は異常だが、そこにずるずると落ちてしまい、そんな自分たちにうっとりとしている。谷崎潤一郎らしいといえばらしい。どろどろとした人間の感情のいやらしさが嫌というほど伝わってきてしまう。

  • 美しくわがままな女に、甘えられ、いじめられ、だまされながらも、溺れていく。期待通りの谷崎変態文学。一文字のタイトルに内容をピタリと納めているところも見事。

  • 独白形式の本は間違いなくすきです。

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著者プロフィール

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2018年 『父より娘へ 谷崎潤一郎書簡集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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