細雪 (上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005126

感想・レビュー・書評

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  • 大阪の旧家の四姉妹が繰り広げる、四季折々の物語絵巻。

    この作品を読んだころ、私は「名作って、読まなきゃいけないのかなぁ」なんて考えていた。
    というのは、高校の図書室の先生と仲良くなって、彼女に名作をもっと読むことを薦められていたからだ。
    そこで漱石とか三島とか、ちょびっと読んでみたのだが、どうにものめり込めない。
    怠け者の私は、「ああ、やっぱり私には早いんだ」と単純に考えて、名作からしばらく離れていた。

    ところが、ちょっとした偶然から(?)私の敬愛する作家である恩田陸氏が「自分の中で面白い小説」とかいう本を3冊紹介しているのを読んで、その中にこの『細雪』が挙げられていた。
    そんなわけで、名作素人の私はいきなり、上中下巻の大作の『細雪』を手に取ったわけである。

    この本は私が今まで抱いていた「名作」のイメージとは、全く違う本だった。
    まず、会話が全部関西弁というところからして驚きのはずなのだが、名作初心者の私はそんなことには全く気づかず、一文がとにかく長いことにびっくりした。
    それまではなんとなく、名文と言うのは贅肉のない簡潔でストイックな文章のことだと思い込んでいたのだ。しかし、この本ではゆらゆらとしかし不思議にたおやかな文章が、取り留めなく語られている。それが不思議と心地よく、姉妹の会話がそのまま耳に聞こえてきそうで、面白かった。
    また、人間の機微や心理描写など、じれったくなることを細々と書かない乾いた語り口にひかれた。私は基本的に、アンニュイな湿っぽい雰囲気が苦手なのである。

    というわけで、この本は初めて「名作も面白いんだ」と思うことが出来た、私にとっての記念の本なのだ。
    名作だからのめりこめなかった、というのではなく、新刊でも自分に合う合わないがあるのと同じように、名作にも相性があるだけなんだ、とこの本が気づかせてくれたのである。

  • 1948年(昭和23年)。
    しっとりとした日本情緒と、瀟洒な昭和モダンの雰囲気、双方が味わえる風雅な風俗小説。前者の象徴として雪子が、後者の象徴として妙子が配置されていて、その対比も面白い。それもステレオタイプに美化されているのではなく、内気な雪子が実は強情で口論となると舌鋒鋭かったり、怖いもの知らずにみえる妙子が案外意気地がなかったりと、人物造形がリアルで生き生きしている。世間体を気にする所や、金銭的にガッチリしている所も、関西人らしくて楽しい。幸子が桜に思いを馳せるくだりでは、日本人なら誰もが感じ入るところがあるのでは。

  • 戦争中は言論統制によって発表の場を奪われていた『細雪』だけれど、上巻はどこに差し支えがあったのかわからないのんびりホームドラマ。というか雪子がはっきりしなさすぎで驚き呆れる。上流なのか関西なのか、まったく別文化の世界。

    着飾った三姉妹が外出するシーンが、においたつようなうつくしさ。これは映画化されるのがよくわかる。あと、ウサギの耳というか足の話は、谷崎らしいなと思った。

  •  『春琴抄』『痴人の愛』に続き、同著者の小説もこれで3冊目。どれもこれも非常に魅力的だけど、いわゆるマゾヒズム的美しさ・妖しさがある前2作とはやや異なり、失われゆくものの美しさが上中下巻のいたるところに散りばめられている。溜息が出るような儚さと美しさを前に、何度も読む手を止めて感慨に耽った。

     全体の感想は下巻にまとめ、上巻の感想をカンタンに。

     いつの時代にもあるであろう旧世代と新世代の考え方の違い、大きな事件は起きないがありふれた喜劇と悲劇の交じった日常がこれでもかというほど美しくほっこりと描かれる。雪子がかわいい(「かわいい」風に描かれている、という感じもする。都合のいい、とでも言ったらいいだろうか)。
     花は散りゆく故に美しい。燃え上がり、燃え尽きるまでの過程こそが美しい。そんな日本(海外にもありそうなもんだけど)の美学をひしひしと感じる小説だけど、自分の人生に置き換えたら散っては困るし燃え尽きても困る。細雪のような、手のひらに付いたそばから融けてしまう儚さ。それをどうして美しく感じてしまうのか。美しいって何なのか。

  • 『平成細雪』
    NHK BSプレミアム/毎週日曜放送
    2018年1月7日から

  • なんと上中下巻それぞれ108円で古本を見つけた。それが読むきっかけ。
    こいさん?きあんちゃん?のっけから誰が誰なの???なスタートだったが、すぐになんてことなくなった。どちらかというと、上巻はのんびりしたテンポ。

  • 2・30年前に一気読み。しかも数年を経て再読。
    今また再々読。
    生涯、何度もページをめくる本ですね、きっと。

    やっぱり、映画よりこちらのほうがいい。

  • 初めは一文一文の長さに戸惑った。しかし、慣れてくると全然気にならないどころか、流れるようで心地良い文章だと思えてきました。
    詳しい注解が付いてるけれど、もう少し時代背景をちゃんと理解していればもっと楽しめたはず…勉強不足で悔しい。

  • 上・中・下巻とあるが、読んでいて一度も飽きることはない。
    一文が長い。読点で文を繋いでいく。
    しかし、言葉を選び抜いている。だらだらと締りがない印象は全く受けない。文体に心地いいリズムを与えている。それが読み手を物語へと引き込む。

    関西の上流階級の姉妹達がいろんな騒動を起こす。
    見合い。結婚。出産。病気。事故。本家との反目や確執。恋愛。女性の自由・・・・。
    人物描写だけでもおもしろいが、作中に描写される季節の行事や行楽も情感がたっぷりでいい。

  • 谷崎潤一郎という文豪が、「細雪」という文豪の代表作が、とか色々言われているが、小難しとか難解ということは全くなく、素直にオモシロい!たしかに「上」「中」「下」と長いが谷崎の美文ですらすら読める。

    最初にとっとと四姉妹の名前さえ覚えてしまえばこちらのものだ!読める!

    あ、唯一、いかにもなお嬢様感(特に「雪子」の)が少しだけ鼻につくかも。それはそれでオモシロいけど。

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著者プロフィール

1886年東京生まれ。東京帝国大学国文科中退。1920年。第二次「新思潮」を創刊、「痴人の愛」「刺青」「麒麟」を発表。1960年に文化勲章受賞。1965年7月没。

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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