細雪(中) (新潮文庫)

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レビュー : 103
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005133

感想・レビュー・書評

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  • 中巻も読みやすく上巻よりも妙子の三角関係など色々と問題が起こり読むペースは一気にあっぷ。
    まさかあんな形で妙子の恋に終止符が打たれるなんて。下巻はどうなるのだろうか

  • 細雪を読むのならせせこましい日々の中ではなく、長期休暇や旅行中の様なゆったりと時が流れる空間が望ましい。戦前の芦屋上流階層という地場でしか生まれ得なかった、この四姉妹の優雅な物語を日々の喧騒に埋れさてしまうなんてそいつは野暮ってもんだろう。洪水や震災の余波、病気といった問題が立て続けに起ころうとも姉妹の美しさは一向に目減りすることなく、暑さに耐えかね浴衣をはだけさせるその描写は蠱惑的とすら言える。また本巻では関東と関西の比較が鮮明に描かれ、震災を機に関東の食文化が関西に伝搬してきた話は興味深かった。

  • 大した事件も起きず、三女・雪子の縁談→破談を淡々と繰り返していた上巻とは打って変わって、四女・妙子が主役となった中巻は、大水害被災に始まる妙子・奥畑・板倉の三角関係を中心にストーリーは緊張感を伴って展開。「事件」というべき出来事が数多く起こる。実際に発生した阪神大水害に取材した描写も生々しい。

    他の作品に比べ、絢爛な文章や谷崎独特のフェチシズムよりも、ストーリー展開や繊細な心理描写に重きを置いているように感じた。
    本作には多くの人物が登場するが、真の悪人は出てこない。それでいて複雑に交錯する各人の思惑・利害がストーリーに厚みを増している。

    四姉妹(+女中のお春)それぞれの性格の違いが上巻よりもいっそう露わになっておもしろい!二女・幸子は谷崎の夫人がモデルだそう。谷崎も結婚する相手は意外と真っ当な常識人だったのね。幸子の「常識人ぶり」というか旧弊な考え方には多少イラつきを覚えたりもする。

  • 雪子の縁談が決まらないまま、妙子に新たな恋愛事件が勃発。
    しかしこれ、恋愛だったのだろうか?

    結局周りに反対されたから気持ちが高まったというか、好意は持ったのかもしれないけれど、しょせん下流な人間相手に対等な気持ちの交流があったとは思えないのである。
    だって、向こうはお嬢様として下にも置かないもてなしをしているのに、こちらは向こうの名字を呼び捨てだよ。

    平成の高校生じゃあるまいし、女子は男子を呼び捨てるけど男子は女子をさんづけだなんて、当時は身分の差がなければありえないでしょ。男尊女卑の時代なんだから。
    常に自分より下の人間と見下している相手と、長きに渡って結婚生活なんておくれるだろうか?
    同じ上流階級の幼馴染を、つまらない人間だと見切ったから、結婚の約束を反故にしようと思ったんじゃないのかい?

    妙子があれだけ自由奔放(自分勝手?)に生きているのを見ると、いつかどこかで自分の行動によるしっぺ返しを食らわされそうで、読んでいてちょっと怖いのだが、だからといって自己主張をしない雪子も一向に幸せを掴まないので、なんとなく中途半端なところでこの巻は終わり。

    とはいえ、昭和13年夏の関西の大水害と、同年秋の東京直撃の台風など、自然災害に遭いながら、旧家のお嬢様たちは結構すばやく立ち直ったりして、意外にしたたかだったりもするのである。
    次の巻が楽しみ。

    そうそう、入浴しながら音読してみたらやっぱり気持ちがよくて、言葉がするすると流れていきます。
    関西弁はよくわからないなりに話し言葉もリズムがよく、柔かく美しい日本語は、目にするよりも口にするのがいいのかもね、なんて思ったり。

  • 妙子を自分の中でどう受け止めたらいいのか分からない。
    応援した方がいいのか、批判した方がいいのか。。。
    曖昧になってしまうのはこの話が一昔前のお話だからなのかな。

  • 上巻に続いて、今も蒔岡家の人々は世間とは半ば遊離したような生活を送っている。しかし、この巻の最初では芦屋川、住吉川の氾濫で、妙子が危険な目にあったり、板倉との一連のことがあったりはするのだが。小説の相変わらずの退嬰ムードは、ある意味で心地よくもある。四姉妹のうち、長女の鶴子は東京にいて、やや影が薄いが、幸子、雪子、妙子の造型は実に鮮やかだ。読者にもよるだろうが、私はやはり現代的な妙子に魅かれる。もっとも雪子の風情も捨てがたいのだが。ちなみに「こいさん」のイントネーションは、こ(低)―い(高)―さん(低)。

  • 一言でいうと、関西の上流家庭の風俗を描いた絵巻物だが、見方を変えれば、それ以上の価値をみいだすことができる。

    つまり、谷崎文学の陰影の美しさを読み取る読み方だ。この作品には幾重にも陰影がある。光と影が。それゆえに美しい。
    まず、総論として『陰翳礼讃』を掲げておこう。
    「事実、日本座敷の美は全く陰翳の濃淡によって生まれているので、それ以外には何もない。西洋人が日本座敷を見て、その簡素なのに驚き、ただ灰色の壁があるばかりで何の装飾もないという風に感じるのは、彼らとしては至極もっともであるけれども、それは陰翳の謎を解しないからである。・・・われらはどこまでも、見るからにおぼつかなげな外光が、黄昏の壁の面に取り付いて辛くも余命を保っている、あの繊細な明るさを楽しむ。我らにとってはこの壁の上の明るさあるいは仄暗さが何物の装飾にも優るのであり、しみじみとみアキがしないのである。」
    まことその通りである。そしてこれを作品として『細雪』はこれを地でいっている。
    そう、戦争にかけて滅びゆく家には、斜陽がある。だんだん消えていく夕陽のような美しさだ。
    3人姉妹で、うまく生きていくのは、妙子だろう。その光と、雪子の影。
    さらには、谷崎氏の簡潔な筆致。
    これらのおりなす、幾重にも重なる灰色の濃淡がこの作品の美しさだ。
    参考に掲げておきたいのは、『楡家の人々』。太宰『斜陽』。チェーホフ『桜の園』『三人姉妹』あたりか。
    個人的に「ふん」という言い方が気に入らない笑
    また、変化が少ないという批判があるが、これはあたらない。いうなれば、フーガのように、同じテーゼを繰り返しながら遁走している。桜の美しさを詠じるように、個性とは逆に、文化の様式に従うことがそのまま美の表現の根拠となっている。四季の巡行に根差した円環的な時間ではあるが、今年の花は去年の再生でありながら、歳月は人間に老いをもたらし、女には若さの喪失をもたらしていく。

  • 中巻は、こいさん=妙子メインの内容になってますね。雪子さんの見合いもどこへやら…あるにはありますが。
    現代の感覚からすると、何故そこまでこいさんが不良娘扱いされなきゃならないの!?と感じますが、そういう時代だったのだなぁと思わずにはいられません。

  • これも学生時代に読んだなあ。

  • 暇々に読むので中々進まず、やっと中巻を読み終えました。
    妙子の奔放さは平成の私にもうーんと思わされるので、この時代にはものすごく破天荒なことだったのでしょうね。
    桜が咲く前にはきちんと読み終えたいと思います(気の長い話)

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著者プロフィール

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2018年 『父より娘へ 谷崎潤一郎書簡集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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