斜陽 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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本棚登録 : 9915
レビュー : 1118
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006024

感想・レビュー・書評

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  • なっかなかの衝撃作な気がする…
    直治の遺書、からのかず子の手紙。ひゃーっ…!

    最後の貴婦人である母、破滅への衝動を持ちながらも”恋と革命のため”に生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原。
    4人4様の滅びの姿を描く…。

    「民衆の友」になりたくて、周りに馴染もうとしたものの、うまく生きることのできなかった直治。「僕は、貴族です」と言って死んだ直治がなんだか哀れで、不憫で…最後の遺書は少し泣けました。
    貴族育ちがコンプレックスの直治と田舎育ちがコンプレックスの上原との対比…各々苦悩して生きているのにわかりあえないものだなぁ。

    かず子の成長の物語とも読めますが、私はもうかず子が怖くて怖くてしょうがなかったです。
    死に向かう直治に対してなんて生きる力にみなぎっている女性なんだろう。
    どんどん強くなるかず子、そして貴族の強い時代の終わりを告げるかのようにどんどん弱っていく母。
    母娘の共依存みたいな関係性もちょっと怖かった…

    母、かず子、直治、上原、みんなどこか痛々しい。
    それぞれの立場でこの時代の変容について考えるのもおもしろいのかも。
    そういう風に難しく考えずとも、読んでいて普通におもしろかったです。
    太宰治の文章って、嫌いじゃないかも。と思えた一冊です。
    もう一度、じっくり読もうと思います。

    • けいたんさん
      はじめまして(^-^)/

      リフォローありがとうございました。

      斜陽は好きな小説のひとつです。
      内容はちょっと困ってしまう事も...
      はじめまして(^-^)/

      リフォローありがとうございました。

      斜陽は好きな小説のひとつです。
      内容はちょっと困ってしまう事もありますが、文の美しさがなんとも言えなくて。
      太宰の文章が嫌いじゃないかもと書いてあって嬉しくなりました(^-^)

      今、風が強く吹いているを読んでいます。
      yamatamiさん、好きな本の2位になっていますね。
      本当に素敵な話で毎日ドキドキしています♪
      明日の箱根駅伝予選会までに読み終わりたいのですが…微妙です(笑)

      では、これからよろしくお願いします。

      2015/10/16
  • 冒頭、かず子の母がスープを飲む場面からいきなり引き込まれてしまいました。
    ひらり、ひらりと燕のようにスプーンを運ぶ母の姿からうかがえるかつての日々と、現在のこの母子の境遇の差にくらりとさせられるのです。
    物語が始まった時点で、すでに彼らの滅びの予感は漂っているのですが、どんどん濃厚になっていく滅びの色から目が離せなくなってしまいました。

    語り手のかず子、彼女の母、弟の直治、小説家の上原。
    この主要な登場人物たちには、共感できない部分や思わず眉をしかめたくなってしまう言動もあります。
    しかし、自分の中にもこの4人がいるような気にさせられるから不思議です。
    程度の差こそあれ、きっと誰の心にも4人は潜んでいて、普段はそのことに気付いていなくても太宰治の文章を読んでハッと気付かされているのではないでしょうか。

  • 太宰は好きではなかった。
    『富嶽百景』『走れメロス』は好きだったが、全体的に鬱々として、自分はダメだ、私なんて生きていても仕方がない、そんなことばかり書いているのだろうと思っていた。
    特に、『斜陽』なんてタイトルからして暗い、しかも破滅への道、なんて書いてるじゃないか。
    くどくどと「悩んでる俺」に酔っているんだろう、そう思っていた。
    それをなぜ読み始めたのか。
    NHKの「100分de名著」がまたしてもきっかけとなった。
    見ていてびっくり、読んでびっくり、百聞は一見に如かず。
    これは「斜陽」ではない、「夜明け前」だ!

    私が誤解していた四人四様の滅びと裏表紙に書いてあった。
    しかし、かず子は滅びてなどいないし、滅びに向かってもいない。
    かず子はこれから逞しく生きようとしている。
    私生児と共に生きようと、古い道徳と争うと、そう言っているではないか!
    困難の道にあえて臨もうとしている、ここで書かれているかず子の姿は、今まさに立ち上がらんとしている。

    確かにかず子の母、弟の直治、恋人の上原は、滅び、あるいは滅びようとしていた。
    お母様の死は一つの時代の終わりだった。
    直治は最後に自分の本来の姿を認めて誇り高く、だからこそその自分に潰された。
    上原も同様だ。
    しかしかず子は違う。
    誇りに潰されることなく、時代を乗り越え、新たな「生」を掴み取った。
    彼女自身が自ら勝ち取った、新しい誇りだった。

    太陽は沈む。そして一日が、その一日が積み重なった時代は終わる。
    けれども翌日、また太陽は昇ってくる。
    昨日の続きではなく、新しい今日として。
    彼女は今まさに登ろうとしている。
    暗がりを一度見たとて、それは滅びに向かったのではなかった。
    新しい一日を迎える準備だったのだ。
    悲壮?
    違う、これは希望に満ちた本だ。
    底抜けのわかりやすい明るさではないだけで。
    これこそが、私が好きな太宰だった。

  • 太宰治は、これを読む前といえば、
    「走れメロス」しか読んだことが無かった。
    本来はもっと、濃い、暗い、どんよりとした作品を書く人、
    というイメージはありました。
    でも、わざわざ暗くて後味の悪そうな本は読みたくない、
    と、元々「その手」の本は敬遠するタチでした。
    それが、授業の関係上避けられなくなって、読んだ作品。

    「斜陽族ってなんだそりゃ、、、」
    滑稽だな、位に思っていましたが、読んだ後で前言撤回。
    滅びの美とは、このことか、と。
    人が堕ちていくとは、このことか、と。
    それを「革命」と呼んでみたり。
    何しろ、かず子の言葉遣いがあまりに素敵。
    直治の哀れな手記も、
    どうやったらこんなに退廃的な文が書けるのだろう、と思った。
    もっとも、後に「人間失格」を読んで、
    更に強烈な廃人を目撃することになったのですが。

    カズオイシグロの「日の名残り」と同じタイミングで読みました。
    それぞれ、人生の黄昏時を描いているわけですが。
    「日の名残り」のスティーブンスは、
    滅びていくものを受け入れ、
    新しい幸せに向かっていることが見えるけれど、
    直治は死ぬし、美しいお母様も死ぬ。
    かず子も、希望なんて実際見えやしない方向へ向かう。
    より不幸へと向かっているように見える。
    向かう方向は、違っていても、
    黄昏時が美しいことには変わりがない。

    ぼんやりとそんなことを思ったものです。
    あまりにインパクトが強くて、
    本当に、感じたことを丁寧に表現しようと思ったら、
    以前書いた小論文と同じ位、
    強烈に神経張り巡らして、推敲して、推敲して、
    じゃないと書けないや。だからこの辺で。
    M.C.

  • 断片でとるととても秀逸で、寓話に富んでいる。
    全体を見ると、これはこの時代に、その空気のなかだからこそ書けるのだとおもう。
    太宰はほんとうに、その時代の空気感、人の心の機微を肌で感じる作家であったのだ。
    その肌感覚の鋭敏なること!
    それを言葉で表せるかという驚きが、何十年もたった今でも、鮮度高く、身に迫ってくるのだ。

    さいごの解説も秀逸です。

    だいぶちがうけど、朝井リョウとかはいつかこういう本が書けるかもしれない。

  • いやー、、、人間失格以降の久しぶりの太宰治。くらい、鬱々。けれど、太宰治の生き様を知ると、人間失格と斜陽、これらの作品こそが太宰治のような気がする。走れメロスとか、あんなに力強いのに。この不幸と、やりきれなさを常に抱えながら生きていたんだろうな…と。
    『人間は、自由に生きる権利を持っているのと同様に、いつでも勝手に死ねる権利も持っているのだけれども』この、直治の思想こそが太宰治そのものだったのだろうな…
    かず子が、途中から走り出してびっくりしたけれど、でもそこに暗闇の中に光を見せて終わる。そこがまた太宰治の作品だと思った。

  • 「日本で最後の貴婦人だった美しい」母親と、「人間は恋と革命のために生まれて来た」と確信し実行する娘。
    太宰治の物語に出てくる女性達は賢くたくましい。
    それに引き換え男性達は……。
    それにしても、上原が笑いながらかず子に言った「しくじった。惚れちゃった」には参った。
    太宰もこう言って女性に言い寄ったのかな。

  • 戦後、没落した元貴族
    庭の茂みでにこやかにおしっこする貴婦人の様な母と
    招集されアヘン中毒の弟、直治
    そして、恋に出会い恋と革命のため生きようとする姉、かず子

    経済的な問題から伊豆へ引っ込んだ貴族であった3人は
    父の死後没落し、滅びの道へと真っ逆さまに堕ちていく。
    美しく、優雅な母は、肺を患い儚く散っていき
    直治は、自分が生きる意味が分からないと言い自死を選ぶ。

    死の匂いを漂わせる二人とは、反対にかず子は
    母が健康に陰りを見せた辺りから、急に強い女性になる。
    貴族であるという自尊心によって身を滅ぼした直治。
    そして、上原の子を妊娠し未婚の母となるかず子
    上原へ宛てた手紙の中で唐突に「……殴るわよ」
    と書いたかず子、怖かった。

    3人家族の中で唯一、まともでありそうなかず子も
    中々ぶっとんでいそう。

  • 初太宰治!

    貴族階級落ちぶれても貴族の生活から抜け出せない親子3人
    母は穏やかに死を迎え、弟は自殺し、残ったせつ子はめがけの子を孕む
    昭和20年代に出戻りの娘&愛人の子を孕むって・・・・。

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  • かずこやばい。あんな怖い手紙もらって、上原も良く関係もてたよな。(上原の居場所を探し当てる過程も怖い)

    直治が一番まともだったのではと思った。

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著者プロフィール

1909年(明治42年)〜 1948年(昭和23年)日本の小説家。代表作に『斜陽』『人間失格』『走れメロス』『富嶽百景』など多数。

「2019年 『女神 太宰治アイロニー傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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