斜陽 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 9247
レビュー : 1077
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006024

感想・レビュー・書評

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  • なっかなかの衝撃作な気がする…
    直治の遺書、からのかず子の手紙。ひゃーっ…!

    最後の貴婦人である母、破滅への衝動を持ちながらも”恋と革命のため”に生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原。
    4人4様の滅びの姿を描く…。

    「民衆の友」になりたくて、周りに馴染もうとしたものの、うまく生きることのできなかった直治。「僕は、貴族です」と言って死んだ直治がなんだか哀れで、不憫で…最後の遺書は少し泣けました。
    貴族育ちがコンプレックスの直治と田舎育ちがコンプレックスの上原との対比…各々苦悩して生きているのにわかりあえないものだなぁ。

    かず子の成長の物語とも読めますが、私はもうかず子が怖くて怖くてしょうがなかったです。
    死に向かう直治に対してなんて生きる力にみなぎっている女性なんだろう。
    どんどん強くなるかず子、そして貴族の強い時代の終わりを告げるかのようにどんどん弱っていく母。
    母娘の共依存みたいな関係性もちょっと怖かった…

    母、かず子、直治、上原、みんなどこか痛々しい。
    それぞれの立場でこの時代の変容について考えるのもおもしろいのかも。
    そういう風に難しく考えずとも、読んでいて普通におもしろかったです。
    太宰治の文章って、嫌いじゃないかも。と思えた一冊です。
    もう一度、じっくり読もうと思います。

    • けいたんさん
      はじめまして(^-^)/

      リフォローありがとうございました。

      斜陽は好きな小説のひとつです。
      内容はちょっと困ってしまう事も...
      はじめまして(^-^)/

      リフォローありがとうございました。

      斜陽は好きな小説のひとつです。
      内容はちょっと困ってしまう事もありますが、文の美しさがなんとも言えなくて。
      太宰の文章が嫌いじゃないかもと書いてあって嬉しくなりました(^-^)

      今、風が強く吹いているを読んでいます。
      yamatamiさん、好きな本の2位になっていますね。
      本当に素敵な話で毎日ドキドキしています♪
      明日の箱根駅伝予選会までに読み終わりたいのですが…微妙です(笑)

      では、これからよろしくお願いします。

      2015/10/16
  • 冒頭、かず子の母がスープを飲む場面からいきなり引き込まれてしまいました。
    ひらり、ひらりと燕のようにスプーンを運ぶ母の姿からうかがえるかつての日々と、現在のこの母子の境遇の差にくらりとさせられるのです。
    物語が始まった時点で、すでに彼らの滅びの予感は漂っているのですが、どんどん濃厚になっていく滅びの色から目が離せなくなってしまいました。

    語り手のかず子、彼女の母、弟の直治、小説家の上原。
    この主要な登場人物たちには、共感できない部分や思わず眉をしかめたくなってしまう言動もあります。
    しかし、自分の中にもこの4人がいるような気にさせられるから不思議です。
    程度の差こそあれ、きっと誰の心にも4人は潜んでいて、普段はそのことに気付いていなくても太宰治の文章を読んでハッと気付かされているのではないでしょうか。

  • 太宰治は、これを読む前といえば、
    「走れメロス」しか読んだことが無かった。
    本来はもっと、濃い、暗い、どんよりとした作品を書く人、
    というイメージはありました。
    でも、わざわざ暗くて後味の悪そうな本は読みたくない、
    と、元々「その手」の本は敬遠するタチでした。
    それが、授業の関係上避けられなくなって、読んだ作品。

    「斜陽族ってなんだそりゃ、、、」
    滑稽だな、位に思っていましたが、読んだ後で前言撤回。
    滅びの美とは、このことか、と。
    人が堕ちていくとは、このことか、と。
    それを「革命」と呼んでみたり。
    何しろ、かず子の言葉遣いがあまりに素敵。
    直治の哀れな手記も、
    どうやったらこんなに退廃的な文が書けるのだろう、と思った。
    もっとも、後に「人間失格」を読んで、
    更に強烈な廃人を目撃することになったのですが。

    カズオイシグロの「日の名残り」と同じタイミングで読みました。
    それぞれ、人生の黄昏時を描いているわけですが。
    「日の名残り」のスティーブンスは、
    滅びていくものを受け入れ、
    新しい幸せに向かっていることが見えるけれど、
    直治は死ぬし、美しいお母様も死ぬ。
    かず子も、希望なんて実際見えやしない方向へ向かう。
    より不幸へと向かっているように見える。
    向かう方向は、違っていても、
    黄昏時が美しいことには変わりがない。

    ぼんやりとそんなことを思ったものです。
    あまりにインパクトが強くて、
    本当に、感じたことを丁寧に表現しようと思ったら、
    以前書いた小論文と同じ位、
    強烈に神経張り巡らして、推敲して、推敲して、
    じゃないと書けないや。だからこの辺で。
    M.C.

  • 断片でとるととても秀逸で、寓話に富んでいる。
    全体を見ると、これはこの時代に、その空気のなかだからこそ書けるのだとおもう。
    太宰はほんとうに、その時代の空気感、人の心の機微を肌で感じる作家であったのだ。
    その肌感覚の鋭敏なること!
    それを言葉で表せるかという驚きが、何十年もたった今でも、鮮度高く、身に迫ってくるのだ。

    さいごの解説も秀逸です。

    だいぶちがうけど、朝井リョウとかはいつかこういう本が書けるかもしれない。

  • 「日本で最後の貴婦人だった美しい」母親と、「人間は恋と革命のために生まれて来た」と確信し実行する娘。
    太宰治の物語に出てくる女性達は賢くたくましい。
    それに引き換え男性達は……。
    それにしても、上原が笑いながらかず子に言った「しくじった。惚れちゃった」には参った。
    太宰もこう言って女性に言い寄ったのかな。

  • 戦後、没落した元貴族
    庭の茂みでにこやかにおしっこする貴婦人の様な母と
    招集されアヘン中毒の弟、直治
    そして、恋に出会い恋と革命のため生きようとする姉、かず子

    経済的な問題から伊豆へ引っ込んだ貴族であった3人は
    父の死後没落し、滅びの道へと真っ逆さまに堕ちていく。
    美しく、優雅な母は、肺を患い儚く散っていき
    直治は、自分が生きる意味が分からないと言い自死を選ぶ。

    死の匂いを漂わせる二人とは、反対にかず子は
    母が健康に陰りを見せた辺りから、急に強い女性になる。
    貴族であるという自尊心によって身を滅ぼした直治。
    そして、上原の子を妊娠し未婚の母となるかず子
    上原へ宛てた手紙の中で唐突に「……殴るわよ」
    と書いたかず子、怖かった。

    3人家族の中で唯一、まともでありそうなかず子も
    中々ぶっとんでいそう。

  • またひらりと一さじ、スウプをお口に流し込み…
    スウプをひらり?普通ならおかしいと感じるこの表現をお母さまなら全然おかしくない、そう思わせる太宰治はすごい。
    この作品に出てくる4人すべてに似ているらしい太宰治。
    どれだけこの世の中が生きにくかったのだろうか。

    • yamatamiさん
      けいたんさん、はじめまして、こんばんは!
      こちらこそ、フォローしていただいてありがとうございます!コメントまでいただいて、とてもうれしかっ...
      けいたんさん、はじめまして、こんばんは!
      こちらこそ、フォローしていただいてありがとうございます!コメントまでいただいて、とてもうれしかったです(*^^*)

      太宰治の作風と、文章の美しさとのギャップが不思議と心地よくて...いろいろ挑戦したいなと思います(^^)

      明日は予選会!うわぁ、熱い、熱いですね!!
      作品を思い出すと、胸が熱くなり、涙がでそうになります。年末に向けて私も読み返そうかなぁ。けいたんさんの感想、楽しみにしております(*^^*)

      けいたんさんの本棚、かなり自分のツボで拝見していてとてもわくわくします!
      梨木香歩さん、私も大好きですー!

      またいろいろ語ることができたら嬉しいです。これからどうぞ、よろしくお願いします。
      2015/10/16
  • お母さまのスプウンのところだけでもクラクラするくらいイイ。

  • 一気に読んでしまったけれど、あとで重いものがどっと押し寄せてきた。
    奥の深い小説だと思った。
    かず子と直治は、同じ姉弟でも、対照的な生き方をしていると思う。
    破滅する時の、男と女の本質が、あまりにも違いすぎる。

  • 2019/9/10
    太宰治の作品ハマりそう。
    貴族の生活から戦後の混乱で没落していき苦労を知らずに疎開をして庶民の暮らしをしている夫を亡くした家族の話。1つ1つの描写や表現がすごく独特で文学的なような感じです。この作品で出てくる蛇の描写(夫の死の時、かず子の母親の死の時にそれぞれ蛇の描写がある)がなんとなくいいなーと思いました。夫に先立たれたかず子はそのあとの直治がお世話になった上原さんに不倫しましょ的な手紙を何通も送っちゃうし、弟の直治は、死んだものと思われていたけどちゃんと家に帰ってきてラッキーじゃんと思いきや結構心を病んでいて、最終的に自殺しちゃうし、踏んだり蹴ったりでダークな展開だなあと思いながら読んでいました。人間失格やヴィヨンの妻の時もそうだったけど、この人の作品は読んでて、ああ、この人はそういう体験をしたんだなというのがとてもわかりやすく描かれているように思います。
    小説の中の話だから主人公やメインとなる人物がいる上での展開の話だけどそこにはリアルがすごく含まれていて読んでてそういうところが面白いです。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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