斜陽 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 9235
レビュー : 1077
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006024

感想・レビュー・書評

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  • “斜陽族”なる言葉も流行った、太宰治の代表作品。四者四様の滅びの姿を描いている。一見暗い内容に思えるがすべてが暗いわけでもなく、その中にも滅びの美学ではないが、暗いからこそ分かる明るさが覗いている。
    『津軽』を読んだ後にこの本を読んだが、太宰自身はきっと人を大切にする人だったのでは?と思った。自己否定と人間への親愛、そういった相反する考えの中でそれらを対立して書くのではなく、表裏一体でどちらも正解だと思えるものを書こうとしているのではないか、と感じた。
    読み終わって、暗い気持ちにはならず、そうだな、となんとなく腑に落ちる感じでした。

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“文壇レシピ”で登場。
    http://nestle.jp/entertain/cafe/


    本の中に登場するあの美味しそうな一品を
    実際に再現してみよう!というこのコーナー。

    第二回目に紹介されたのは、太宰治の「斜陽」に登場する
    グリンピイスのスウプ。


    けさのスウプはこないだアメリカから配給になった
    缶詰のグリンピイスを裏ごしして、私がポタージュみたいに作ったもので、

    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/teaser.php

  • 戦争が終わった昭和20年。没落貴族となった上、父を失った親子がいた。“恋と革命”を掲げ、自分の信じた道を必死に生きる主人公・かず子。日本で最後の“貴婦人”であった穏やかな母。薬に手を染め、ゆっくりと破滅していく弟・直治。3人の親子は“貴族”というカテゴリに縛られ、もがき、それぞれの形で向き合っていく。

    進む道に正解はないけれど間違いもない。考え抜いて出した選択を信じて前に向かうだけ。孤独ではあるけれど、同時に強さもそこには見出せる。
    太宰治の作品に出てくる女性は、皆強さと逞しさを兼ね備えていて好きです。

  • お母さまがかわいい。

    直治の手紙の「僕は、貴族です」は、「僕は貴族であることから逃れられませんでした」ということだと思う。

    中学生のときに一度読んだ記憶があるけれど、今再読してみて実に味わい深い作品だったのだなあと実感した。

  • ひさびさ太宰!戦後没落した貴族の家庭の話。
    まず、思ってた以上に聖書のことばがたくさん出てきてびっくりした。太宰は聖書に興味があったのかしら!…と思ったけど、よく考えたらこの時代は上流階級の間でキリスト教思想が流行っていたので、貴族の実情の描写として用いられてたにすぎないのかもなぁ。。
    話の展開は暗いのに、最後不気味に明るい感じもして、太宰は不思議だなぁと思いました。

  • ・出てくる人出てくる人が分かりやすいくらい全て太宰の分身。自分の色んな側面を抽出して人物を創り上げてる。一人何役も演じてるよう。

    ・一方でかず子の母、上原の妻は太宰の理想?

    ・今は死語になったキレイな日本語たちを挟まれた中の、「...殴るわよ?」はまさにかず子の心の中の蛇を感じた。
    一文だけで頭に焼きつくセリフを書く。やっぱり太宰治好きだ。

  • かず子の行動が理解できない、という方は多くいらっしゃると思いますが、私はかず子に恐ろしいほど共感できました。これはきっと女性、しかも一部の女性にしか理解できないことなのではないかと思いますが、それを描いた男、太宰治という人物はやはり只者ではないと感じされました。
    太宰の作品には不思議な魔力があるように思えます。彼の小説を読んでいると、彼が私の目の前で惨めに自分の人生を語っているような気持ちになって、その話は私にも当てはまっていることも多くて、私はふと自分の人生を振り返ってしまいます。

    私は彼の作品が好きです。彼自身のたくさんの絶望を包み隠した、「走れメロス」よりも読者をも陰湿な気持ちにさせてしまう「斜陽」や「人間失格」の方がもっと好きです。彼はたくさんの悲しみを経験なさった方だとひしひしと感じられました。

  • RDにて。
    現在の自分。若かったころの自分。この投影と自己愛に収束する作りは人間失格同様。
    子を成す愛人。妻。生活に材をとり作品に昇華する。
    愛人の母=無垢にして儚い。
    男らはそろいもそろって能無しだ。あるいは毒にまみれている。
    女の意識過剰。女と男、共同作業のポルノグラフィー。
    しかしその中で母だけは可憐で無垢で。
    死んでしまってはもう会えない。話せない。
    はれ上がった指。
    蛇。

  • お母さまがスウプを飲むところが好き。描写が優しくて綺麗。
    序盤読んだらただのマザコン小説かと思ったけど違った。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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