斜陽 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 1307
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006024

感想・レビュー・書評

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  • 太宰作品をちゃんと読むのは初めてだけど、読みやすかったな〜と思う。

    あらすじからいい話じゃないんだろうと思ってたけど、だんだんと堕ちていく様子が怖...なんでこんなに鮮明に表現できるのか!
    読み終えて『苦しいな』と思う本は久しぶりでした。

    他の作品を読んだ後にまた、読んでみたい。

  • なんかすごいものを読んだという気はしつつ、あんまり何にも出てこない…。
    現代では、階級とか貴族とかそういう意識が実感を伴わないし、ふわふわっと生活しているように見える、母とかず子にはあんまり共感できないけど、かず子や直治の切実さは胸に迫るものがあるように思う。
    直治の遺書の中の「人間は、みな、同じものだ」の部分が1番印象に残った。

  • 面白かった。貴族の貴族たるゆえの苦悩が直治の手紙から溢れ出ていてそうか、金持ちにもこういう悩みがあるだなと思った。名前が似ているせいかどうしても太宰治自身と結びつけてしまいながら読んだ。おかあの描写から始まり、最後の最後まで登場じんぶの目を通した相手の描写が美しかった。特に直治の遺書は文学界の傑作。最後の女が子を産むために政治があるというかずこの台詞も大変興味深かった。今も少子高齢化でつべこべ言っている現代には響くなぁ。

  • 人間失格、走れメロスにつぐ太宰治作品。
    三島と共に言葉の美しさガすごい。
    いや、美しいの概念がそもそも違うのかもしれない。女性視点でかな子の可愛らしさが愛おしい。また、母と二人暮らしなのも今の自分と重ねると恐ろしくもあり、大切にしなければという気持ちが湧いてくる。
    弟の純真ながらも道化になろうとした偽道化には自己の否定が生々しく、汚い鞄の中に手を入れるようなカオスがあった。

  • 黄土色の夕日を、ながめて、華やかだった昔に戻れないことに、自分らしさを感じる。といっても、読んだのは、高校生のころなので、失っていって黄昏の良さを知るみたいなんじゃなかったかと思った気がする。思い出せない。

  • 貴族とは何だったのだろう。
    道徳とは。斜陽という言葉に没落していくものという意味をあたえた作品、カタカナ表記も現代と異なるが、それが当時を感じさせてくれました。

  • 本気で面白かった。一瞬で読み切ってしまった。
    美しいのに、醜い。これが人間というものか。いつまでも心に残りそうな作品。
    戦後すぐという激動を生きる貴族。もちろん今回のように落ちぶれてしまう貴族も存在する。これまでの生活とは変わる、一般市民とはどこか交われない、そんな窮屈で苦しい世界の中でも、何か一つ活路を見出し、盲目のようにその道を行く。
    生きがいとはなんなのか、死に様とはなんなのか、人間とはこうも難しい生き物なのか。今でもその答えは何も出ていない。
    とても美しい作品だった。これが人間の魅せる光だと感じた。

  • 久しぶりに。
    やはり文章がとても読みやすいとおもう。

    それとラストがすごくいい。
    いろんなものは失われていくけれど、生き残ったかず子だけは女という一つの立場を手に入れて、子を宿して生きていく。
    直治の秘密をどのように受け取ったのかが示唆される"お願い“が、とても嫌味ったらしくて好きだ。
    貴族という爵位は戻らない、母も死に、弟も死に、恋する人もいつかは死ぬ。
    そんな中、一つの生命を得て、世間擦れしていても大胆に生きて「革命」を起こそうとするかず子がいじらしい。

    前回読んだときは、力強いかず子の言葉が印象的だったのだけど、今回は直治の遺書が心に残った。
    下品になりたかった、という直治の心の叫びが響く。
    常に他人から見える自分を意識して、改革してきた直治。
    美しく本物の貴族の母が、貴族らしく死ねないこと。
    私たちとは生きている世界の違う人々ではあるけれど、その最期が痛ましい。

    かず子の恋は地に足がついていなくて、とても観念的。一度キスされた男性へ恋焦がれ、革命を起こすと決め込んでいる。
    母と娘の会話もどこかふわふわしていて、村の人たちと比べると差し迫ったところが感じられない。
    生活力がないだけじゃなくて、この人たち、何を目指して生きるの?という人間的な軸が感じられない。
    今ここにあるものを生きるリアリティ」が欠けている感じ。

    そこを同情的に描くわけではなく、どちらかというとちょっと皮肉も込めて描いているように思えた。
    そんなに劇的な展開があるわけではないのに、不思議と面白く惹かれてしまう。
    とくに会話が軽快で美しく、魅力的だと思う。

  • 15年ぶりぐらいに再読。当時の自分がどう感じたか、覚えてないな。でも、その時はとにかく読み終えるのが目的で、あまり記憶に残る読み方ができてなかったなと実感。もちろん僕は貴族じゃないけれど、比較的恵まれてこれまで生きてきて、上原や直治にも、かず子にも自分を重ねてこれまで信じてきた物を壊したくなる、壊れてくれないと生きていけなくなる…(もちろん命に関わる物じゃないですが)。きっと定期的に読み返して自分の壊した物壊せてない物を振り返りたいと思います。


  • 1.おすすめする人
    →日本文学に興味がある、太宰治を知りたい

    2.内容
    →読み終わった後に何とも言えない
     空虚感を感じる作品。
     没落していく貴族が、社会に抗うこともできず、
     人生を終えていく。
     悲しくて、なんだか辛い。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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