斜陽 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 9250
レビュー : 1077
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006024

感想・レビュー・書評

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  • 子供を産むこと、が革命。

    革命とは、表層的なところでなく、もっと生の基盤から揺らがせること。

    子供を産むことは、自然なこと。

    金がなければできない変えられない世界なんて。

    恋は世界を変えられる。

    子供をつくることは世界を変えられる。

    等しくだれもができる革命。

  • 美しすぎる滅び、不器用に空回る恋する気持ちが不気味なまでに
    『斜陽』の2文字に集約されて、死さえ尊いものに感じられる
    この危うい感じ。

    太宰治を崇拝してお墓参りに行く人の気持ちがちょっとだけ分かる気がした。

  • 「お母さま」の描写が美しい!スープを飲むしぐさや庭で用を足すところまでもが上品に思えました。こんなお母さんがいたらきっと恋をしてしまう…。

    そんな静かで清く高潔な母に対して娘のかず子は熱い想いを持った動的な存在として描かれています。生活のため身体を汚して労働をするにつれて自分が「粗野な下品な女」になっていることを自覚するようになったり、「人間は恋と革命のために生まれて来たのだ」と語っているところがそのことをよく表していると思います。母と子、静と動の対比といったところでしょうか。

    かず子は言葉のとおり、革命のため生き、そして自身の革命を完成させます。彼女にとっての革命は「恋の冒険」であり、その勝利は恋する相手の子供を産むことによってもたらされます。幸せのためというより革命のためだけに動いているようなかず子の気持ちに共感することはできませんでしたが、情熱という強い気持ちを感じることができました。自分はそれが足りないのかもしれないな。

    また恋の相手を"MC"のイニシャルで呼ぶところは印象的でした。マイチェホフ、マイチャイルド、マイコメディアン。中でも最後のコメディアンの解釈がよくわかりません。彼の放埒さを皮肉っているのだと思っていましたが、読み返すと芸人のように希望を与えてくれる存在であったことを意味するようにも思えます。うーん。

    あと、直治の存在は大きい。彼の苦悩は太宰の他の作品にもよく描かれています。だから自分が思う太宰治の人間像は彼のような存在に近いです。もっというとこの作品の中では直治と上原を合わせたような存在かな。

    色々書きましたがまだまだ書きたいことはたくさんあります…。大好きな小説です。墓に入れて埋めてください。誰か。

  • 斜陽=没落 という言葉を生み出した太宰治の代表作の一つで、「滅び」を精緻に描いている。

    まず文章が綺麗で、叙述の美しさがとても印象的。女性の独白体が上手く、特にお母様の一挙手一投足などはありありと思い描けた。句読点がかなり多いがそれも気にならず、テンポの良さが際立ちかえってリズミカルに読めるくらい。すごい、太宰すごい。

    物語として面白いと思えるものではないが、考えさせられる内容だった。人が内に持つ矛盾とそれに対する葛藤は共感するところもある。ちなみにそれら二つが最もわかりやすく、且つ荒々しく現れているのは弟・直治だと思う。貴族出身であるということから逃げるために乱暴にふるまった直治は、夕顔日誌や遺書では普段の横暴な様子とはまた違った一面を見せている。個人的に直治の遺書はそれだけで一読の価値があると思った。

    遺書の最後にある「姉さん。僕は、貴族です。」というのは作品を通して印象深い言葉の1つ。貴族出身である事実から逃げつつ、最後に自分は貴族であると遺した彼の心境はどんなものだっただろうか。

  • 太宰読んだのこれで3作目。かなしい(かなしいでもないような気がするけれど適当な言葉が思いつかない)けれどなんかきゅんとしてしまう

  • 学校で読んだ「走れメロス」以降、初めての太宰治作品。
    戦後、価値観が変わる中で生活に困窮していく貴族出身の主人公。読む時の気持ち&体調で重くも軽くもなる作品だと思う。
    重くなりすぎず、読めました。

  • 太宰治ってギャグ♬

  • 人間失格と並んで代表的な作品ですね。全編に渡って行き渡る退廃と死の空気が、太宰を読んでいるなぁと終始感じさせます。中心となる4人の登場人物は、誰もが身勝手で、矛盾を孕んでいて、デカダンスに満ち満ちています。リアリスティックに欠けているように見えますが、僕自身もどことなくデカダンス的な思想形態を持っているので、とても他人事とは思えないんですよね。それに当時の戦後混乱期という時代背景は、震災後の今でも通ずる部分は多くあるのではないでしょうか。

  • レビューには書ききれない思いがあり、今更レビューもないなぁと思うのだが、ベスト3に選んだのでひと言記したいと思う。

    本書に出逢ったのは中学生のころだったと思う。それから何度も読み返した。読み返すたびに、味わいも暗鬱な気持ちも深まっていく。

    現在の勤務先の就職試験の面接で「座右の書」を尋ねられ、これと答えたことを記憶している(笑)今思えば座右にするような書ではないが、そのとき一番好きだった本を答えたらこうなってしまった。ただ、あながち間違ってもいないと思う。決して前向きではないけれど、生きるうえでの教訓を本書からもらったからだ。

    どうしようもない人間でも生きていていいのだということ。ただ生きることに意味など、理由など要らないということ。人生など何が起こるかわからないのだから、自分のように平凡な人間が一つのことに命をかけるような生き方をすべきでないということ。人が破滅へと向かう様はとても美しいということ。さまざまなことを教えられた、私の人生に必須の本。

  • 太宰治の暗さが滲み出ている。
    青春の暗い時期に読むと嵌ってしまうかもしれない。
    そこから抜け出せたら、大人の生活ができるのかもしれないのかもしれない。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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