斜陽 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 9232
レビュー : 1077
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006024

感想・レビュー・書評

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  • 太宰治の暗さが滲み出ている。
    青春の暗い時期に読むと嵌ってしまうかもしれない。
    そこから抜け出せたら、大人の生活ができるのかもしれないのかもしれない。

  • 言わずと知れた太宰治の「斜陽」。個人的には「パンドラの匣」が一番なのだけれど、太宰治のファンとしては斜陽は秀逸すぎると思う。
    初めて読んだときはまだ中学生で、「なんか暗いなぁ…」くらいだったのだけれど、今読めばどれほど素晴らしい小説なのかが分かる。



    っていうのも、太宰治の中で一番共感出来る小説だと思うんですよね。
    毎日つまんないのに明日に希望を持ってみちゃったり、自堕落に生きるのが美学だと思いながら後ろめたさを感じたり(言葉軽っ)、そういう、かくしておきたい自分の負の部分を、吐き出しつくしたものだからだと思う。
    誰だって認めたくないものを吐露している。と、勝手に思った。



    もう引きずられて当てられてトラウマレベルなんですが何回も読んでしまう。素敵だなぁ。

  • 面白い。
    初めはこの人よく泣くなあって思ったけど、後半はたくましくなったなぁお姉さんって思った。
    斜陽っていうタイトルも好き。傾いてるけど、強い日差し。没落しかけてるけど、強くなったお嬢様。
    清くはかないままの弟と、穢れて図太く生きる姉のコントラスト。

  • 再読してみたら面白くてびっくりした。

  • 今日が桜桃忌だと伺ったので斜陽で太宰を偲ぶ。

    斜陽は滅びの美学だという。
    日本人だから云々とか解説で述べられているけれど、そうでは無くてそこに真逆のベクトル、未来を見据えた意志があるか(汲めるか)で廃頽の美学は完成するのだと思う。
    人は必ず死ぬ、有形物は多分滅びる、そこに向上の意志を感じ取れることが必須。
    この小説にはそれがある。だから僕はとても好き。

    基本太宰は苦手で、その自己否定やら自己破壊やらが、自らを美化した上での傲慢さだと、勝手に思ったりするのだが、少し認識が変わった。

  • 太宰が描くと、虚無も退廃も悲しみも堕落も、ぜんぶ美しくみえてしまって不思議。
    救いがないのに綺麗。
    そこがわたしが太宰に惹かれる所以だと思う。
    そして太宰作品の中でもこの話はかなり、好き!

    恋も革命も突き詰めれば人間の愚かな思い込み、なのに人はそれに命をかけるのだ。

  • 11/21-24。かず子、直治、お母さま、上原それぞれの生き様が描かれるが、かず子から上原に宛てられた最後の手紙から生きることを闘争という言葉で表現してるあたりに共感し印象的、生きることへの執着とパワーを感じる。また斜陽する日々の中、時代を甘受し細々と寿命を終えたお母さまと時代へ飛び込み疲れ果て自死するしかなくなる直治に儚さ故の貴さを覚える。共感する僕が時代遅れなのか、描いた太宰の読みが深いのか、はたまた人間が永劫変わらない生きものなのかを、考えてみるに良い一冊でした。

    「人間は、みな、同じものだ。」
    同じものが二つとない世界に於いて、これほどナンセンスな言葉はないと思うが、それが今の時代でもまかり通り、とどのつまり世界は閉息し行き詰まってるのが実際だったりする。

  • 再読。『朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、 「あ」  と幽かな叫び声をお挙げになった』 このファーストシーンは何度読んでも何故か、胸の奥がざわざわとする。退廃も堕落も苦悩も美しいとする太宰のまさに真骨頂。どうしても影響を受けてしまう作家のひとりである。「幸福感というものは、悲哀の川の底に沈んで幽かに光っている砂金のようなものではなかろうか。悲しみの限りを過ぎて、不思議な薄明かりの気持ち、あれが幸福感」いま読み返しても哀しいほどに文章が美しい。

  • ハンマーでぶん殴られて50センチずつ3回に分けて潰されて、いつの間にか20センチくらいになってました、ってゆーのが感想です。解説にも書いてありますが、太宰氏の作品は潜在的2人称の文体で書かれていて、読んでいるうちにどことなく親近感が沸いてきました。さらっとしているけれどすっげぇ重いパンチくらってる感じです。
    戦闘、開始。
    この言葉だけで全てを包含してしまう。最強です。
    無意識的な感覚として、「ノルウェイの森」のずーんとした暗さと「限りなく透明に近いブルー」の冷たさを一緒にした感じがしました。無理やりかなーっと改めて考えると思ってしまうが。

    以下引用
    「待つ。ああ、人間の生活には、喜んだり怒ったり悲しんだり憎んだり、いろいろの感情があるけれども、けれどもそれは人間の生活のほんの一パーセントを占めているだけの感情で、あとの九十九パーセントは、ただ待って暮らしているのではないでしょうか。幸福の足音が、廊下に聞こえるのを今か今かと胸のつぶれる思いで待って、からっぽ。ああ、人間の生活って、あんまりみじめ。生まれて来ないほうがよかったとみんなが考えているこの現実。そうして毎日、朝から晩まではかなく何かを待っている。生まれて来てよかったと、ああ、いのちを、人間を、世の中を、よろこんでみとうございます。」

  • 蜜をぬるい水で薄めたようなこの感じ。不快とまではいかないまでも、むずがゆく、居心地が悪くてもぞもぞしてしまう、そうそうこれこれ。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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