斜陽 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.73
  • (1029)
  • (1136)
  • (1853)
  • (119)
  • (20)
本棚登録 : 9253
レビュー : 1077
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006024

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 文章から優しさが感じられる気がする。
    表現も綺麗。

  • 直治の遺書の、重い死の香りが印象的

  • 太宰治ってこんなかんじなのかなあ

  • もはや歴史小説。日本にもこんな時代があったのか。階級、は明示的にはなくなった今の時代に生まれたら、直治は、かず子は、自分の人生をどう進めただろう?
    かえって素直に、良い暮らしを求めて、ノーブルに生きたいと思えたかもね。

    ママの形見の麻の着物、姉さんが直治が着られるようにって仕立て直して下さったでしょう?僕あれ、着たかったんだ。

  • 戦後没落していく上流階級の家族。構成は母、かず子(主)、弟の直治。母と直治はか弱い人だと思う。母は生来の貴族気質で荒れる渇くことがない。弟は腐っても貴族であり庶民としては生きられない。
    かず子は「人は恋と革命の為に生まれて来た」と触れていた。愛し縋る母の死を克服し、道徳に背いて恋を成就させ1人で母になる。一方直治は、下品になる努力の結果完全に落ちるも戻るもできなくなった。道徳に背く恋の成就も望まない。生まれた目的を果たせない弟が苦悩し続け自死したのは当然に思えた。反対に目的を果たし生きていくかず子は強い。

  • 斜陽は有名すぎるほどなので知ってはいたけど、貴族が没落していく様?それは面白いのか?という感じで今まで読んでこなかった。
    でもなんだか急に読みたくなってきて読んでみたら面白かった。
    太宰の文章は読みやすく入りやすいので私はもともと好きではあったけど、これは悲惨に滅びていくものをえがいているのにどことなく高貴で美しい印象を与える文章でとても良かった。
    胸が苦しくなるシーンばかりではあるものの、この文章とかず子の性格のおかげで読みやすさが出てるように思う。

    お母様の気高さは確かに庶民として生きていくには必要のないものというか役に立たないものなのかもしれないけど、ひたすらに美しく、こういう人がそばにいると精神的に浄化されたり支えになるものなのかもしれない。

    かず子の考え方、特に恋愛に関しては私には理解できない部分が多かったけど、強く生きようとしていく姿勢は単純にすごいなあと思えた。

    直治の生き様はどう考えてもいいものではなく、周りにも迷惑をかけ続けではあるけれど、一番親近感がわいたし理解できる部分が多くて読んでて泣きそうになるところが結構あった。
    『夕顔日記』もよかった。
    特に『僕が早熟を装って見せたら〜』と、『結局、自殺するよりほか〜』のところが刺さりすぎて痛かった。
    遺書にあった、遊びたいわけではないけど遊ぶ。遊んでいてもちっとも楽しくなんかない。というような部分もわかるわかると頷けて、嬉しいやら辛いやら…。

    太宰がよくいろんな作品で訴えかけてる部分がいつも自分の考えと近いところがあって、それで定期的に太宰の本を読みたくなる。
    太宰を嫌いな人はそういう部分が、ただ甘えて駄々をこねて泣いてるだけというふうにみえて受け入れられなかったり嫌だったりするんだろうなとも思う。

    遺書からのかず子の手紙への流れとシメかたもよくて、太宰作品の中でかなり好きな作品になった。
    食わず嫌いせずもっと早く読んだらよかったなとも思ったけど、学生の頃に読んでたらここまで楽しめなかったと思うので、今で良かったんだろうな。

  • 久しぶりに小説を読んだ。大学を卒業する頃くらいから、小説はあまり読んでない。(ドストエフスキーと、コナン・ドイルは読みかけてるけど)
    高校の頃に買ったけど、その時も大学の頃も、読めなかった斜陽がいまになって読めたとしても怖いな。
    むかしは文体が馴染みなさすぎるのも相まって、太宰治まじきもいこと考えてるなとか思ってたけど、読めちゃうなーこわー。

  • バイブル

  • 2019/02/19-02/22

  • 「人間失格」に続いて「斜陽」を再読。大学生の時が初読だから時間が経ち過ぎて、「こんなに美しい文章だったのね…」と幾度も嘆息しながら耽読。

    この「斜陽」という言葉、辞書的解釈ではなく、今では「落ちぶれていく」と言った意味で理解され、「斜陽産業」なんて普通に使われ浸透している。「タイトルが決まれば小説は半分できあがったもの…」と言う作家もいるぐらいだから、タイトルの果たす役割は大きい。三島由紀夫の「永すぎた春」も、今や出所が三島であることなんて知らない人の方が多いんじゃないかな。鈴木京香と長谷川博己を指して、「あのふたりは永すぎた春だったんだね…」
    なんて使うもんね。

    余談はさて置き、本書。
    戦前までは社会的地位を保っていた貴族階級が敗戦により華族制度が撤廃となり、邸を売り払い田舎へ移住、わずかな財産を頼りにする暮らしは逼迫を極めた。その様子を太宰は、あたかも陽が落ち、辺りが徐々に暗くなっていく斜陽のごとく静かに落ちぶれていくとなぞらえた。

    社会的地位の失墜を、粛々と努めて明るく受け容れる母、降りかかる運命に抗い「恋と革命に」生きようとする長女かず子、放蕩の限りを尽くしても貴族としてしか生きられず薬物依存の弟 直治、翻弄されていく流行作家の上原…。

    今作が傑作と評される所以は、没落貴族を生んだ戦後の時代を借景に、太宰の生い立ち(津軽の大地主の子息)、左翼活動に身をやつした経験、女性遍歴、幾度の自殺未遂、麻薬中毒…という自身の体験を絡め、四人四様に太宰の心情を語らせているところ。この絶妙の配分が“貴族の滅び”を際立たせ、その描写は実に儚げで美しく、「退廃美」と賛辞を贈る文芸評論家もいるほど。

    またまた余談ではあるけど、「恋と革命に」生きたかず子のモデルとなったのは不倫関係にあった太田静子。その子供が現役作家の太田治子。言わずもがな太宰治の娘である。

    そうそう言っとかないといけないのは、太宰作品は決して暗くないということ。私小説作家に見られる一種の開き直りにも似た、「さらけ出し」や「赤裸々」とは一線を画し、「実」の中に「虚」を巧みに挟み入れエンターテイメントに昇華している。

    今回はるか昔に読んだ不朽の作品を再読している最中に気づいたのは、いつもの読み方とは違うなぁってこと。骨太の小説に出会うと、これまでの経験とか読書遍歴なんかが入り込み、行きつ戻りつしたゆっくりとした読書となり、「自己省察」の時間までもたらしてくれる。確かに痛快エンタメ小説は楽しい。ドライブ感も手伝い読書量が落ちてる時には最適だけど、たまには腰を落ち着けて、純文学活字の世界に没入するのもいいもんです。次は、これまた久々の三島の世界に飛び込むとしますかね。

全1077件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斜陽 (新潮文庫)のその他の作品

太宰治の作品

ツイートする