ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 456
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006031

感想・レビュー・書評

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  • 太宰

  • 生きてさえいればいいのよ
    そうよ

  • 1946~48年、終戦直後に発表された8つの短編によって成る、太宰治の短編集です。

    最近、太宰治の最初の短編集である『晩年』(新潮文庫)を読みました。『晩年』と比べると、本書は後期の作品集だけあって、ひとつひとつまとまりがあり、読みやすい作品ばかりです。

    そのような完成度の高い作品群の中でも、わたしは表題作『ヴィヨンの妻』がやっぱり抜群だと思っています。もはや文章教室の定番教材と化した感もある冒頭の句点の使い方、緊迫感のある文体には、どうしても引き込まれずにはいられない。続いて飲み代を踏み倒された亭主の嘆きがこの上なくゆかいな調子で綴られます。以下にいちばん好きなパラグラフから抜粋させていただきます。

    "そのうちに東京は大空襲の連続ということになりまして、何が何やら、大谷さんが戦闘帽などかぶって舞い込んできて、勝手に押入れの中からブランデイの瓶なんか持ち出して、ぐいぐい立ったまま飲んで風のように立ち去ったりなんかして、お勘定も何もあったものでなく、やがて終戦になりましたので(中略)・・が、またもや、あの魔物の先生があらわれまして(中略)・・何だかわけのわからないような、へんな事を言って聞かせて、そうしてひょいと立って外へ出て、それっきり帰りません。(P.119~)"

    そして酒の入ったコップに朝の光が差し込むラストシーンの美しさ。太宰作品の中でも、一等輝きを放つ描写だと思います。

    表題作以外の作品では、地味ながら意外にファンの多い『トカトントン』も外せない傑作。どこがどう傑作なのか聞かれると説明しにくいのですが、この小説によってしか引き出せない、思わず吹き出してしまう、特殊な可笑しさがあります。

    『父』には太宰作品の例に漏れず、わたしが登場していました。"私は生れた時から今まで、実にやっかいな大病にかかっているのかも知れない。生れてすぐにサナトリアムみたいなところに入院して、そうして今日までの十分の療養の生活をして来たとしても、その費用は、私のこれまでの酒煙草の費用の十分の一くらいのものかもしれない。(中略)・・死にゃいいんだ(P.71)"

  • 気取ってやがる

  • つらい

  • マルセル・ドゥシャンプの兄がアーティスト名としてヴィヨンを名乗っていたが、太宰のこの本も同じヴィヨンなのかと改めて気づいて、なんだか当時の知識人の知的常識みたいなものに自分はなかなか追いつけないことを実感する。

  • 未読。

  • ヴィヨンは史実上の詩人。盗み殺人を犯している。

    太宰治を読んだ後は独特の救いのないような暗い気分になる。しかし、それでいてまた太宰を読みたいと思うから不思議だ。

  • 雰囲気が、なんとも言えず好きです。
    ろくでもないし、うそつくし、期待はしてないんだけど、ちょっと仲良くするだけで嬉しくなるさっちゃんに、共感するのかな。
    太宰治の小説は、自分が住んでいた中央線界隈が舞台なところも好きです。

  • 映画を見たので、原作が気になって手に取った。
    実際の短編は本当に短くて、でも独特な滑稽さと悲しさがあって、女であること、妻であることについて考えさせられた。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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