- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101006031
感想・レビュー・書評
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「生きていさえすればいいのよ。」
駄目な人間が周囲の真面目な人間達を振り回す。その迷惑。呆れ返りながらも、思う事の色々と、続いてしまう人生の無常。
妻の愛に触れ、考えずにはいられない。生と死と家族と他人、そして社会という不安を煽る異形の存在。 -
少し前はこういう文学はなかなか読めない人間だったはずだけど今はさらりと読むことができるようになったなぁと思う。それがどういうことなのかっていうのはよくわからないけれども。
これから『走れメロス』を扱うにあたって、他に『人間失格』くらいしか読んだことがないのも何だかなぁと思って2冊借りてきてみたうちの1冊。
「親友交歓」は森見登美彦が太宰作品を集めた『奇想と微笑』で読んだことがあったもの。ラストの「威張るな!」があまりにも突然すぎていっそ清々しくてなんだか「ふふっ」と笑ってしまう。
「トカトントン」はタイトルは知ってた。そういうことか、という感じだった。いつ自分の耳にも「トカトントン」が聴こえるかとひやひやする。
他の作品の中では「母」と「ヴィヨンの妻」と「家庭の幸福」が好きというか、印象的でした。その他の作品はなんだかどれも駄目男と不憫だがたくましい妻の物語といった感じで似たり寄ったりかなと。ヴィヨンの妻もそんな話だけど。
登場する女性はみな不憫な人なのだけど、不幸そうには感じられないのが不思議です。駄目男も憎みきれないのも不思議。 -
今回もよかった、、確信した、太宰治の文章めっちゃ好き。なんだろう、ただ読むんじゃなくて、文章を深く味わえるっていうか、自分なりの解釈を考えながら読めるのが好き。特に「父」がよかったな。地獄だと思いながらそこにはまり込もうとする姿が共感できる。勉強しなきゃいけないことは分かってるのにスマホばっか見てる、別に楽しいわけじゃない、むしろ目が痛くなって辞めたいのに。勉強は好きだけどどうもやる気が起きない、そこはトカトントンに似てるかな?良くない事は自覚してる、変えたいけど変えたくない、怠惰で救いようないけど、この言い表せない心情を代わりに説明してくれた気がした。今回は特に、どの話もどこか気まずくて不幸で、読んでて心地よかった。
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1.おすすめする人
→日本文学に興味がある、太宰治を知りたい
2.内容
→太宰治が死を目前にして書いた話の短編集。
どうにもやりきれない家庭の話や
友人であろう人との諍いだったり、、、
時折太宰本人を登場人物として描いているが、
空想に長けていた太宰治のことだから、
本当のことかどうかは不明。
太宰治の作品にしては、
短編なのでとても読みやすいと思う。 -
「我が身にうしろ暗いところが一つも無くて生きて行く事は、不可能だと思いました。」
身の回りでも、どんな人でもうしろ暗い所が必ずあると思えると、僕はむしろどこかホッと安心できるような思いが込み上げてきた -
ヴィヨンの妻の生きてさえいればいいのよが好き。
あと、父の中でついに死ね!て書いちゃうところも好きだった。