ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4867
レビュー : 458
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006031

感想・レビュー・書評

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  • "生きるという事は、たいへんな事だ。
    あちこちから錯がからまっていて、少しでも動くと
    血が噴き出す。”

    世の中の生きづらさをこうも表現力豊かにあらわせるなんて・・・!

  • 私は、何とも暗い気分になりました。男の弱さが辛くなります。女の強かさ、強さを実感しました。

  • 人間失格は読みにくいと思ったけど、ヴィヨンの妻は読めた。女は強いな、一枚上手だなっと思いました。

  •  その夜の夫はどういうわけかいやに優しく、うれしいよりも恐ろしい予感で背筋が寒くなりました。玄関から聞こえてくる女の細い声ははっきり怒っていました。警察にお願いするより手がねえぜと男の声も聞こえます。ジャックナイフを光らせて外に飛び出した夫に男はどろぼうと叫びました。経緯を聞いて私は可笑しくて、涙を流して文明の果の大笑いを笑いました。

  • ○親友交歓

    面白かった。こんな男に迫られたら成すすべなくウイスキーを渡してしまうだろう。

    ○ヴィヨンの妻

    これが女の強さでしょうか。こういう女の人は魅力的だと思います。

  • 女性の力強さ、男の愚かを学んだ

  • 読みやすかった。
    短編集なんだけど、暗い作品が好きだな。

  • やっぱり純文学は苦手。
    誰に共感すればいいのか。

  • ◆表題作をはじめ、太宰治晩年の短編をまとめた一冊。私小説と虚構のあいだ、自分について語りながら、それを虚構で覆ったような作品が集まっている。

    ◆この物語を書いた太宰は、周囲と自分のあいだで苦しみながら、自分のなかでも自分を呵責する心と容認する心のあいだで引き裂かれそうになっていたのではないかと感じる。本書全体をとおして浮かび上がる太宰像は、一読しただけでは家庭を顧みない(帰ってこない)、酒飲みで浪費癖のひどい男としか思えないのだけど、じっさいには、彼自身家庭というものを追い求め、愛していた。さらに、「父」以降の作品になると、そんな苦悩さえ一歩引いて冷めたふうに描いていたり、苦しみをごまかすようにユーモアで覆っている様子が浮かび上がってしまうからますます痛々しい。「佳作だの何だのと、軽薄におだてられたいばかりに、身内の者の寿命をちぢめるとは、憎みても余りある極悪人ではないか。死ね! (本書「父」, p. 60)」

    ◆表題作「ヴィヨンの妻」は、なんともいえないもの悲しさが漂う物語。放蕩詩人ヴィヨンになぞらえられた大谷の妻(ヴィヨンの妻)が「椿屋のさっちゃん」に変わってしまう。列車の中で彼女が泣いたとき、彼女はなにかを決断し、捨ててしまったのかもしれない。立派な身なりをした女性が売る酒も水酒。誰もが、そんな後ろめたいことを抱えなければ生きることができなかったのか。「人非人でもいいじゃないの。生きていさえすればいいのよ (p. 122)」という言葉が虚しく響く。

  • 親友交歓
    威張る自称親友と冷ややかな目で見る僕との二視点から捉える。最後に「威張るな」と言われちゃう。本当に威張っていたのは冷ややかな目で軽蔑してい自分だったのか。
    トカトントン
    終戦後、兵舎でトカトントンという音を聞いて以来、恋、デモ、すべてのことが夢中になりかけてはその音によって興ざめてしまう。ニヒル。

    創世記においてアブラハムは信仰のため一人息子イサクを神に捧げようとする。佐倉宗五郎は義を貫くために子どものもとを離れる。主人公は毎日のように子どもとの別れの場面に遭遇しつつ遊びにふける。義とはなんなのか?
    ヴィヨンの妻
    ならず者の夫を待ち続ける妻。なぜ彼女はそんな夫を愛するのか。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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