人間失格 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 15907
レビュー : 1940
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006055

感想・レビュー・書評

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  • 太宰治は色々な評価があり、色々と言われている作家ですが、結論を言えばわたしはこの人間失格という本に65%くらい共感して感銘を受けた。もうすごく言いたいことも分かるし、あなたの絶望も分かるし、あなたの明るさの陰に隠れた卑屈な臆病な心も分かると全肯定したくなる。わたしだけがあなたを分かると言いたくなる。そんな不思議な魅力を持った人物。残りの35%は、わたしはここまで行ききれないという気持ち。ここまでは、世を捨てられないし、ここまで絶望はしていない。レベルが違うと悲しくなる。隔たれている、と感じるのが35%だった。
    しかしどちらにしろ、ひどく魅力的な本。それよりも嬉しいのは、この本をすきと言う人が日本中にたくさんいること。わたしと同じように太宰治を捉えるひとがたくさんいるということ。それだけでよし生きてみようという気持ちになる。

  • ああ。読んでしまった。


    表紙カバー裏に太宰の略歴が書かれていて、「戦後、『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。」と締めくくられ、文字通りの遺作は、その次のページから、あまりにも有名な一文目に始まり、自己への反省、批判、嫌悪、羞恥、後悔、あらゆる否定に満ち満ちた文章を連ねていく。やっぱり新潮文庫はオシャレだ。

    僕は、不思議なことだけれど、この、行間から漂う絶望、「人間」として生きることに対する諦観のようなものたちに対して、居心地の良さのようなものを感じてしまっていた。それはやはり、表面的に「道化」を演じ続ける一方で、内なる空虚を抱える主人公に対し、どうしようもなくシンパシーを感じていたからじゃないかとおもう。それが、人間、なのかもね、みたいな。彼は「廃人」として自らに人間失格の刻印を押している(もしくは押されたと評している)が、酒や薬物の中毒に陥るまでか否かという「程度」の違いであって、根源的にはみな、人間は、「人間」失格なのではないか、とおもってしまう。

    読んでしまった、というのは、こうして自己を否定することで人間は純粋で、妥協せずに、「人間」らしくいられる印象を、自分が抱いてしまったからだ。自分の目を通せば、ヒラメや堀木と言ったような周囲の人々よりも、主人公が、よっぽど「人間的」に見えたからだ。こうなってしまっては、自分に自信を持っている人間や、現状に満足しているような人間を見たり、そういった人々の本を読もうとすれば、違和感や疎外感を覚えずにはいられない。おそらく僕は、彼に、感化されてしまったのだ。

    解説によれば、太宰をその人にとって特別な存在として位置づけ評価する人々もあれば、その文学を全否定し認めようとしない人々もいるのだそうだ。言うまでもなくそういう意味で自分は前者だろうが、後者のような人々が存在することも確かになあと思う。そういう人たちにとっては、むしろ太宰こそが傲慢な人間に思われるのかもしれない。たぶんだけど、そういう人たちが批判するよりも、太宰を愛読する人が彼の文学の「よさ」を表現するほうが、よっぽどむずかしいんじゃないかとおもう。少なくとも僕は。事実今このレビューでさえ不完全燃焼感でいっぱいだ。もうちょっとこの花火燃えるはずなのに!根っこのほう湿気ちゃってるよ!みたいな。何の話だ。

    いつかもう少し大人になったときに、また読み返そうとおもいます。

  • 衝撃的な作品。
    人間はここまでなるか、と思ってしまった。
    ページ数は多くないけど、重く考えさせられる1冊

  •  およそ12年振りの再読。文庫の裏表紙にも書いてある「とても素直で、よく気がきいて、(中略)神様みたいないい子でした」という最後の一文は非常に衝撃的だったのを覚えている。ただ、当時は主人公に深く深く感情移入しており、「そんなこと言われる筈がないだろう」とも思ってしまっていた。今思えば、明るい第三者の目を信用できず、自暴自棄になっていたのかも知れない。

     今になって思えば、あくまで「人間失格」の烙印を押したのは主人公や一部の人間であり、第三者の視点では全く別の見方ができるのも分かる。もっと言えば、そうした見方をする人物がいることも、主人公は知っていたのだろう。
     それでも人間失格という烙印を自らに押し、破滅してしまったのは、自分が仮に愛され、愛したとしても、結果的に人を傷付けてしまうことに絶望し、これ以上生きることができなくなってしまったのだと思う。

     主人公は、きっと愛されたかった。だけど人に愛される方法が分からず、道化を演じていた。化けの皮が剥がれることを恐れ,ますます人が怖くなった。そうした気持ちの中で、親和感から人に恋をした。結果としてその人を傷つけてしまった。人を不幸にしてしまった。
     人に疎まれようと嫌われようと、デクノボートヨバレようと、ホメラレモセズとも、クニモサレズとも、別にそんなことはどうでもいい。死にはしない。
     そんなことの何倍も何千倍も、主人公の直面した現実は辛いものだったと思うし、私ならきっと命を絶ってしまうと思う。

     主人公が破滅した原因についても、「お父さんが悪いのですよ」と、第三者は言う。主人公も、心のどこかでそう考えていたのだろうか。そうだとするならば、そんな今更どうにもならないことが原因であるならば、なおのこともう死んでしまいたいと思うのだろうか。

     この本は、いや、太宰治は、大学時代、今より若い頃の方が周りで「好きだ」という人が多かった気がしており、他の文豪の作品に比べ、若い人向けという印象が何となくあった。
     もしそれが当たっているのだとしたら、主人公、あるいは太宰治が抱えているものが、完治し難い死に至る病だからなのかも知れない。そんなものに光を当てたところで、いまさらどうにもならないじゃないか、苦しいだけじゃないか、と。
     自分自身、この小説に共感することが多々あり、自分を何とかしたくて、的外れな努力かも知れないが、色々な本を読み、どうにもならない中で、いつしか悩むことを止めていた。悩むことに耐えられなかったのだろう。そんなことに悩んだところで、もうどうにもならないのだ。

  • もっと早く読んでおきたかった。ひとつ怠を覚えるとみるみる転げ落ちるのよ、と素直だった頃の自分に教えてあげたい。自分を好きになるためには服飾や仕事ではなく、結局は自分を好きになれる行動を積み重ねるしかないのだと感じた。

  • 初めてコレを読もうとしたのは、中学生の時。薄っぺらいから簡単に読めるだろうと思ってたのが間違いだった。意味分かんない、全く頭に入ってこず、速攻投げたのである。
    ところが、最近プライベートでうまくいかずモヤモヤして、人生もう嫌んになってきた時、ふとこの「人間失格」が思い浮かんだ。そして、再度、読んでみた。
    すると、今回はスラスラと読める。しかもそれは、その言葉1つ1つが胸に突き刺さってくるのだ。そして思わずページをめくる手が、何度も止まる部分があった。これは自分じゃないか、そんな錯覚に襲われて、衝撃を受けた。
    絶望、失望、苦悩、葛藤、罪、とにかく人間の奥底にあるであろう、人間の闇が詰まっている。それらを見てるうちにふと、これはこれは自分だ、と思うのではないだろうか。そのググッとエグられる場面は、読書の年齢や職業、現在の境遇などによっても変わるだろう。
    この小説は、最初と最後に登場する「私」と、手記を書いた「葉」の2つの視点で展開される。語りかけてくるような文体は、あたかも太宰が耳元で囁きかけてるような感覚に陥る。距離が近いのだ。これがより没入感を高めてくれる。
    わずか300円程度の文庫でまさか、こんなにも衝撃を受けるとは思わなんだ。その衝撃はあまりにも大きく、大げさにいえば人生を変えた、いや人生を見つめ直す機会をくれたと言った方がいいかもしれない。人生の節目節目で、何回も読んでみたいと思った。
    この本は「猛毒」である。この毒を少しでも心地良くいいなと思ってしまったら、それはもう太宰ワールドに引きずり込まれた証だろう。そんな奴がここにも1人居る。

  • 太宰治がツイッターやってたら絶対フォローする

  • 新年最初に読むのはこの本しかない。
    何度読んでも、色褪せない。

    今年は堀木に注目して読んだ。


    10代の頃は、読めば泣いたり暗くなったりしていたこの本も、いつの頃からか、もう、太宰ったら、かわいいやつめ、という気になるのだから。

  • 刀の切っ先が
    自分にぴたっと向けられているようで
    どうも落ち着かない。

    これから逃れるために
    できるだけ沢山の人に
    同じ思いを味わってもらいたいと思います。

    誰かにおすすめの本はと聞かれたら、
    本書を推そう。
    戦略的に★五つです。

  • 人間は表と裏があり、その恐ろしさはひどいものであるという主人公の見方には共感できる。主人公について考えてみると、やはり、彼自身も人間を恐れながらもどこかで見下している。ニーチェっぽい考え方から、こいつには道化程度で充分だという他人の見方こそが、他の数多の愚行以上の人間失格にふさわしいものだと思う。人は自分が思っている以上に自分の素が出たりするし、それに他人は気づいている。悲しい事に、この様に彼を必死になって批判しないと気が済まないのはやはり、読者である自分にも彼の様な部分があるからだと思うし、この作品の主人公をむきになってこきおろしたり嘲笑ったりする人には彼との何かしらの共通点を持っているはずだ。
    一つ面白いのは、彼の世間についての見方だと思う。世間とは個人であり、いかなる心配も過剰に過ぎないという彼の吹っ切れは辛い時に読むと元気が出るに違いない。

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著者プロフィール

1909年(明治42年)、青森県金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東大仏文科在学中に非合法運動に従事し、やがて本格的な執筆活動へ。35年、「逆行」で第1回芥川賞の次席となり、翌年には処女作品集『晩年』を刊行。以後「走れメロス」「斜陽」など多数。

「2018年 『津軽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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