人間失格 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.70
  • (1756)
  • (1854)
  • (3161)
  • (251)
  • (66)
本棚登録 : 15902
レビュー : 1939
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006055

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 小栗旬でも表現しきれないクズ男感が気になって、代表作くらい読んでみようと思い手に取る。

    自分のことが、生まれつき、どうしようもなく惨めに(作者の言葉を借りると侘びしく)感じられる。
    生きる気力が湧かない。
    それでいて、世間は、その身分のせいで、性質のせいで、自分にかまってくる。捨て置いてはくれない。
    自分とて、1人で生きていくことも出来ない。
    警戒心が強いのに、1人静かに慎ましく暮らして行くことも出来ない。落ち着きがないから。不安感が強いから。

    不安感。
    子供に最も与えてはいけないもの。
    =お父様が、悪いのよ。

  • 久々に読みました。これで、5回目です。

    人間に対する恐怖から、主人公葉蔵は、道化の道に走る。しかし、そのサービス精神ゆえに、人間が葉蔵のもとによってきてしまう。それゆえ、葉蔵はますます道化を演じなくてはならなくなってしまう。この悪循環に巻き込まれ、葉蔵は、やがて酒や薬に手を出してしまう。

    どうして、葉蔵はこんなにも苦しむのだろうか?
    思うに、葉蔵は、素の自分になることもできず、道化を演じきれるほど、自己愛に絡められた人間ではないからである。つまり、葉蔵は両極端のどちらにもふれることができない。

    このような葛藤に悩む人に読んでほしい。

  • 周囲からこういう人間に見られたいと演技をしてみて、見透かされているような気がする場面に出くわした恥ずかしさに感情移入しました。
    恥はひと時でそういうエピソードをいつまでも反芻することはないですが。

    他人に対して言いたいことが言えずに、誤魔化しているうちにそれが板に付いてきて、それを含めて結局自分という人間になっていく。
    まさに道化になっている事にも気付かない、でも同じ種類の人間を嗅ぎ分けて無意識に差別する、私は恐らく自分は堀木のような人間だなーと感じます。
    私の世間にはそういう人の方がたぶん圧倒的に多い。

    内の自分と外の自分の差異をいつまでも見つめ続けるなんて気が狂ってしまうと思います。


    個人的に最後の「自分はことし、二十七になります」の一文が衝撃。短い人生にこれほど重厚な経験と感情が詰め込まれていたとは。

  • #人間失格読書会 で再読しました。
    今回も身につまされて読みました。
    読む度に、「これわたしもこうなる…」という部分に気付かされます。過去の恥と罪の記憶…とか。
    今回は「すすめられて拒否すると、相手の心にも自分の心にも、永遠に修繕し得ない白々しいひび割れが出来るような恐怖におびやかされているのでした。」でした。わたしもすすめられたものを断るのがほとんど出来なくて…でも大抵、やってみたら良かったなーってことが多いのですが。(でもセールスは断固拒否です!)
    「世間とは個人」というのもいつも「そう!」と思うところです。
    葉蔵が最後に行きつく空虚な境地にはいつも寂しい気持ちになります。このまま、あとどれくらい生きなければならないのかと思うと、少し恐怖します。

    「津島くんは賢かった」という、Twitterの投稿者さんのお祖父さんの弁の呟きを見かけたことがあります。この作品の、学生時代の部分を思い出しました。

  • 人間失格を読み始めたとき、主人公の葉蔵は人間の弱さを全て詰め込み、強いところを根こそぎ取り除いたような人間だと感じました。

    けど、そうではなかった。

    そもそも、人間の本質は「弱さ」なんですね。
    「強さ」は、生きていく上で自らの研鑽によって培われていくものだったようです。
    もともと「強い」人間はいない。
    でも、「強さ」を手に入れる方法をしっているか、そうでないかの違いは、あると思いました。

    葉蔵は、「強さ」を手に入れる方法を知っていた。
    けど、それを実行しなかった。
    実行するだけの「強さ」も持ち合わせていなかった。
    どこまでも人間らしくあり続けた結果、「人間失格」の烙印を押されてしまったのですね。

    今の時代には、同じように「強さ」を手に入れる方法を知っていながらそれを実行するための「強さ」を持ち合わせていないばかりに「弱さ」に囚われている人のみならず、
    もともと「強さ」を手に入れる方法すら知らないために、「弱さ」から抜け出せず、不可抗力で「人間失格」の烙印を押されてしまう人が大勢いる気がします。

  • 人間、失格。この一文に衝撃を受けた。
    人生に諦めつつも、周りを取り巻く人との関係性、自分との葛藤が感じられた。

  • 太宰治の自叙伝的最終長編。
    大人になって初めて読んだ太宰治。学生のころ『走れメロス』は読んだことあったけど、他のは読んでなかったので、太宰治の傑作から読んでみました。

    『人間失格』太宰治の自伝的な小説。
    それにしても、こういうダメな人っているよね。それでいて女性にはめちゃめちゃモテるっていう男の人。
    太宰治自身も本当に色男で格好良かったんだろうな。
    自分からアプローチしなくても女性の方から寄ってくる。それが十代の女の子から後家さんまでという幅広さ。

    太宰を見ると女性は自分からお世話をしたくなっちゃうんだろうね。
    「私がこの人を支えてあげなきゃダメだ」
    っていう母性本能をくすぐりまくるタイプ。しかもとびっきりのいい男。

    もしも自分に娘がいて、娘がこういう男性に熱を上げてたら『絶対にダメだ』って怒るだろうけど、そうすると娘はその男と駆け落ちしてしまうんじゃないかっていう恐怖に襲われるので、仕方なく二人の交際を認めしまうくらいに色男、もう手に負えない。

    さらにこの『人間失格』の主人公のダメっぷりが半端ない。
    生きる気力というか、そういうのがまったくなくて、女性に養ってもらいながら、酒におぼれ、薬物におぼれる。そして、もうダメだと思ったら心中しようとする。

    こういう小説を読むと、「自分も大したことないけど、この男は俺よりもっとダメだな」って勇気づけられる・・・のかどうか分からないけど、そういう気持ちにさせる小説って、ある一定の需要はあるよね。
    このあたりはドストエフスキーの『地下室の手記』に通じるものを感じます。

    自分は、あまり共感する部分は無かったけど、こういうデカダンスな人生に憧れるところは実際にありますね。もし自分がものすごい色男だったらだけど(笑)。

    太宰の文体は嫌いじゃなので、今度は『斜陽』あたりを読んでみますね。

  • 読んでいて他人事とは思えない。
    共感できる部分がどうしてもある。
    それは多分みんなそうなのだと思う。
    自信ないけども…

    あれこれ悩んでる時に読むと少し落ち着くきっかけになるような…

  • 大昔に読んだことがある気がするけれど、そのときはあまり印象に残っていなかった。
    彼が失格なら、私もまた失格だろう。
    彼ほどナイーブでなく、これまでもこれからもそのように生きていくから、より質が悪いと思う。

  • ☆僕にとって「本の本質」のようなものを
    与えてもらった作品。

    ☆主人公が自分の人生を淡々と語っていくが
    誰にでも当てはまる、感情や、行動が
    共感と慰め与えてくれると思います。

全1939件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1909年(明治42年)、青森県金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東大仏文科在学中に非合法運動に従事し、やがて本格的な執筆活動へ。35年、「逆行」で第1回芥川賞の次席となり、翌年には処女作品集『晩年』を刊行。以後「走れメロス」「斜陽」など多数。

「2018年 『津軽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

人間失格 (新潮文庫)のその他の作品

人間失格 (青空文庫POD(シニア版)) オンデマンド (ペーパーバック) 人間失格 (青空文庫POD(シニア版)) 太宰治
人間失格 (青空文庫POD(ポケット版)) オンデマンド (ペーパーバック) 人間失格 (青空文庫POD(ポケット版)) 太宰治

太宰治の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヘミングウェイ
三島 由紀夫
フランツ・カフカ
遠藤 周作
ドストエフスキー
三島 由紀夫
坂口 安吾
安部 公房
谷崎 潤一郎
有効な右矢印 無効な右矢印

人間失格 (新潮文庫)に関連する談話室の質問

人間失格 (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする