人間失格 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006055

感想・レビュー・書評

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  • 「恥の多い生涯を送ってきました。」という、まぁ、ぶっちゃけ身もふたもない、主人公 大庭葉蔵の手記から始まる、あまりにも有名な小説を新年早々38年ぶりに再読。

    今作は昭和23年に上梓。「斜陽」と並ぶ太宰の代表作。
    書き上げた1ヶ月後に、前年、屋台のうどん屋で知り合い、愛人となってまだ日も浅い山崎富栄と玉川上水に入水自殺を図る。流行作家が愛人と身投げというセンセーショナルさも手伝い、遺作として自叙伝を書いたとも言われ当時ベストセラーとなった作品。

    さて本書。主人公 葉蔵がこれまでどんな人生を送り、その我が人生に影のようにつきまとう“孤独”が如何様なものであったか、その孤独がもたらしたものとは…」を、幼少期から薬物中毒に至るまでを終始葉蔵の独白で綴られていく。

    言うまでもなく決して明るい小説ではない。葉蔵が齢を重ねるにつれどんどん壊れていく、救いようのない展開が進むのだが、ついつい笑ってしまうのだ。

    それは葉蔵がとにかく女にモテるからだ。
    そのモテ方は尋常じゃなく、カフェの女給と心中を図るも自分だけが生き残り、その心の傷も癒えぬうちに雑誌記者の女性の家に転がり込んでヒモ男に。少し落ち着くのかと思えば、突然タバコ屋の純情娘と結婚する。「袖触れ合うも多生の縁」の数珠つなぎというか、それを逆手に取ったのか思いたくなる程の『だめんず』。「これだけモテてて何が孤独や!」と思う人は少なくない筈。もっともなツッコミである。

    「私が支えてあげなくちゃ!」という女心。恋の百戦錬磨の男ゆえ女性の扱い方を熟知。この2つが見事に交錯する人がモテるんですな。55歳になって「“モテる”を科学できた」と実感。お金があるところにお金がさらに集まるみたいなもんでしょうか。

    そこで『人間失格』を、男性は「モテるための指南書」として、女性は「“だめんず”診断」として読む。不朽の文学を齢を重ねてから読むと、「な〜んだ。取っつきやすいじゃん!」と思えるはず。

    太宰の著した作品が、太宰より先に生まれ、彼自身が先達の作品として読んでいれば、薬物中毒にならず、死なずにすんだかもしれないと思うのは、文学に求め過ぎか。

  • 2014年の新潮文庫プレミアムカバーの黒い表紙をふと手に取って読み始めた。きっかけはたわいの無いものだ。先日マンガ大賞を受賞した「響 小説家になる方法」の冒頭で、太宰治の名前が出て来たからである。文芸部の若い編集者が呟く。「世界を変えるような新人が出てこないかしら。太宰治のような‥」と。確かに、純文学の世界はずっと右肩下がりで、なおかつ出版不況で行き止りだ。彼女の嘆きもわからないではない。けれども、それが太宰治なのか?と、私はその時に正直思ったのである。それで3年前に買って積ん読状態だったこの本に手を伸ばした。

    文体は今読んでも新鮮だ。短い文で、リズムを作る。私の文章もつい短くなる。既読だと思っていた。初読だった。自伝かもしれない。そうでない、かもしれない。主人公は最近のテレビドラマの主人公が悩むようなことを悩む。だから、今でもテレビドラマに影響をあたえているという意味で、影響力は絶大なのかもしれない。

    けれども、私は流石に歳をとった。太宰かぶれなどにはなるはずがない。ホント自死したコイツの悩みとか、「惚れられる」運命にあるオトコへの嫉妬とか、戦前の共産主義運動のこととか、すべてがまるで台詞のようだ。すべてが私の周りを廻って過ぎて行った。

    世界は描かれていない。1人の寂しいオトコが描かれている。まるでテレビドラマのように。

    若い漫画家に言いたい。早く、出来るだけ早く卒業しなよ、と。

    2017年4月25日読了

  • この男はヒドイね、ほんとダメだね。
    超ネガティブ、超後ろ向き。
    でも、超純粋で超ナイーブなんだなぁ、きっと。
    女性にもてるのは解る気がします。
    放っておけず、あなたを解かってあげられるのはわたしだけ、と錯覚させてしまう魅力はあるよね、なんか。

    太宰の自叙伝といわれる遺作、底知れぬものを感じます。
    巻末の解説がまたすごい。
    他の太宰作品未読のわたしには深すぎる・・・
    確か高校のときに読もうとしてあまりの暗さにやめてしまった気がするけど、あの頃のわたしにはこれは読めないわと思うのであります。

    何で突然太宰治なのかというと、今年の読書目標として
    「月にひとつ、文豪の作品を読む」と決めたからです。
    今まで気になりつつも、なかなか手を出せなかった領域に踏み込んでみようと。
    そして、誰のどの作品を読もうかいろいろピックアップしているうちに今月も終わりに近づき、いちばんメジャー感のある「人間失格」を手にしたという次第です。

    文豪(あくまでわたしの考える)って、誰を読んだっけ?と考えると
    芥川龍之介や宮沢賢治は児童文学で数作品読んで、あとは夏目漱石を読書感想文の課題で読まされたくらいか。
    吉行淳之介はあんまり文豪ぽくないけどけっこう好きで何冊か持ってます。
    あとは現代の文豪村上春樹とかね。
    外国文学となると、ミステリーか児童文学ばかりだしな。

    そんなこんなで読んでみたい文豪作品リストがずいぶん長くなったので、数年かけてぼちぼち読んでいけたらいいなぁと思います。


    「人間失格」ハマリはしないがおもしろかったです。
    一度で理解できたとは到底思えないけど、読み終わって改めてこうして感想を書いていると何かがじわじわ来る。

    “ただ一さいは過ぎて行きます。 
    自分がいままで阿鼻叫喚で生きて来た所謂「人間」の世界に於いて、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。”

    ラストの無常観はすごい。

    • kwosaさん
      tiaraさん! こんにちは。

      >「月にひとつ、文豪の作品を読む」

      上で vilureefさんもおっしゃっていますが、いいですね。
      知っ...
      tiaraさん! こんにちは。

      >「月にひとつ、文豪の作品を読む」

      上で vilureefさんもおっしゃっていますが、いいですね。
      知ってるつもりになっているけれど読んでない作品って、かなりありますもんね。

      『人間失格』の、鉄棒から落ちて、友人に「わざ、わざ」って言われるあたり(うろ覚えですが)は自分の心を見透かされたようで冷や汗をかいた記憶があります。
      日本には相当数、共感する男がいるようです。
      『第2図書係補佐』でピース又吉も言っていたような気がします。

      文豪作品フェア、三島由紀夫の『金閣寺』はどうですか?
      僕は読んだ当時、ラスト二行に衝撃を受けましたよ。
      2013/05/13
    • tiaraさん
      vilureefさん、ありがとうございます。

      イマドキの小説を読んでいても、ちょくちょく引用されたり、比喩につかわれたりするので、やっぱり...
      vilureefさん、ありがとうございます。

      イマドキの小説を読んでいても、ちょくちょく引用されたり、比喩につかわれたりするので、やっぱり知識として必要な気もして興味を持っていたんですよね。
      でも学生の頃は、あんまりおもしろいと思えなかったので、ほとんどあらすじさらっただけできてしまったので、いい大人になった今挑戦してみようと思いました。

      やっぱり、難しかったりとっつきにくいですけど、なかなか悪くないですよ。
      vilureefさんもぜひー。

      太宰はやっぱり他の作品でもダメ男なんですね(笑)
      2013/05/13
    • tiaraさん
      kwosaさん、ありがとうございます。

      今のところ続いていますよ。
      1月にここで宣言したことで、モチベーションも維持できそうです。
      ほんと...
      kwosaさん、ありがとうございます。

      今のところ続いていますよ。
      1月にここで宣言したことで、モチベーションも維持できそうです。
      ほんと、名前だけ知ってて内容よく知らない作品だらけなので、
      何から手をつけたらいいのか迷うほどです。

      やっぱり男性は共感するんですねー。そうなのかぁ。
      『第2図書係補佐』もブクログで人気なので読んでみたいです。

      三島由紀夫の「金閣寺」読んでみたいリストに入ってます!
      今月は漱石を借りてきたので、7月に読んでみようと思います。
      (奇数月は日本文学、偶数月は外国文学をを読んでるので)
      2013/05/13
  • 人間失格。
    人間に合格も失格もあるものだろうか。
    堕落し道化に成り果て、追従ばかりになり、生きるのが辛くなればなるほど、それこそが人間なのではないか。
    と、するなら、人間失格者はもっとも人間らしいのかも知れない。

  • 太宰治は色々な評価があり、色々と言われている作家ですが、結論を言えばわたしはこの人間失格という本に65%くらい共感して感銘を受けた。もうすごく言いたいことも分かるし、あなたの絶望も分かるし、あなたの明るさの陰に隠れた卑屈な臆病な心も分かると全肯定したくなる。わたしだけがあなたを分かると言いたくなる。そんな不思議な魅力を持った人物。残りの35%は、わたしはここまで行ききれないという気持ち。ここまでは、世を捨てられないし、ここまで絶望はしていない。レベルが違うと悲しくなる。隔たれている、と感じるのが35%だった。
    しかしどちらにしろ、ひどく魅力的な本。それよりも嬉しいのは、この本をすきと言う人が日本中にたくさんいること。わたしと同じように太宰治を捉えるひとがたくさんいるということ。それだけでよし生きてみようという気持ちになる。

  • 衝撃的な作品。
    人間はここまでなるか、と思ってしまった。
    ページ数は多くないけど、重く考えさせられる1冊

  • 【Memo】

    色々悩んだ時期に読んで自分はまだまだやっていけるなと、

    むしろ勇気をもらった一冊。

    「自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです…
    自分の幸福の観念と、世のすべての人たちの幸福の観念とが、まるで食い違っているような不安…自分ひとり全く変わっているような、不安と恐怖に襲われるばかりなのです…そこで考え出したのは道化でした。」

    幼い頃からこのようなことを考えて育った主人公。
    成長してからも、どんどん人生の暗闇から抜け出せなくなっていく。

    人間の精神的に極限の状況を太宰自身の経験から描いているため、
    人が何に悩み、何に苦しんだのかということが生々しくも克明に分かります。自分自身共感できるとこともあり、きっと誰もが考えることなのではないかと思います。しかし、あとはそれをどう捉えるかが問題のような気がします。

    落ち込んでるときにこそ読むと

    自分自身を客観視できて新たな発見があると思います。

  • 人間失格を読み始めたとき、主人公の葉蔵は人間の弱さを全て詰め込み、強いところを根こそぎ取り除いたような人間だと感じました。

    けど、そうではなかった。

    そもそも、人間の本質は「弱さ」なんですね。
    「強さ」は、生きていく上で自らの研鑽によって培われていくものだったようです。
    もともと「強い」人間はいない。
    でも、「強さ」を手に入れる方法をしっているか、そうでないかの違いは、あると思いました。

    葉蔵は、「強さ」を手に入れる方法を知っていた。
    けど、それを実行しなかった。
    実行するだけの「強さ」も持ち合わせていなかった。
    どこまでも人間らしくあり続けた結果、「人間失格」の烙印を押されてしまったのですね。

    今の時代には、同じように「強さ」を手に入れる方法を知っていながらそれを実行するための「強さ」を持ち合わせていないばかりに「弱さ」に囚われている人のみならず、
    もともと「強さ」を手に入れる方法すら知らないために、「弱さ」から抜け出せず、不可抗力で「人間失格」の烙印を押されてしまう人が大勢いる気がします。

  • 人間、失格。この一文に衝撃を受けた。
    人生に諦めつつも、周りを取り巻く人との関係性、自分との葛藤が感じられた。

  • 自分みたい。生きた文学。

著者プロフィール

1909年(明治42年)、青森県金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東大仏文科在学中に非合法運動に従事し、やがて本格的な執筆活動へ。35年、「逆行」で第1回芥川賞の次席となり、翌年には処女作品集『晩年』を刊行。以後「走れメロス」「斜陽」など多数。

「2018年 『津軽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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