人間失格 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 15902
レビュー : 1939
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006055

感想・レビュー・書評

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  • 太宰の思想と人生、祈りが色濃く反映された
    自伝的小説「人間失格」。

    「恥の多い生涯を送って来ました。」
    あまりに力強いこの一文だけで圧倒される。

    人生の本質や普遍的な人間の罪、弱さ、
    愚かしさ、美しさ、愛情、恐怖を
    すさまじいまでの集中力で落とし込み
    苦悩と解放の間でもがき書ききった太宰。

    根拠のない自己肯定のできる人間たちに戦慄し、
    傲慢の醜悪さに苦い思いを抱く。

    苦しみから逃れ、享楽的に生きることの
    愚かしさを人生を持ってして示し、
    暴力的な時代への嫌悪を嘆き、
    実体のない世間へと祈りを込めて矢を放つ。

    麗しくも恐ろしきは浮世なれ。
    人の世を憂い、時代に絶望しながらも
    それでも生涯求めてならなかった人間への
    長い長いラブレターに思えた。

  • 記事編集。
    よく、自分の精神状態がアレなときに
    うっかり手に取ってしまう本だと言われていますが、
    今回は淡々と、ニュートラルに読み進めてみました。
    作者本人の人物像がどうとかいう問題抜きに、
    単純に読み物として面白いなぁ、と。
    遺書的な作品と目されていますが、
    「はしがき」と「あとがき」によって本編を相対化しているというか、
    生々しい自叙伝的な内容を、
    よく出来たフィクションに昇華させることに成功していて、
    つくづく上手いと感心。
    それにしても、昔、職場で事務作業の傍ら、この小説について語らっていた折、

     「自らを主人公と重ねて読む人が大多数でしょうけど、
      僕は自分を堀木に似てると思いましたよ」

    と発言して空気を凍らせた青年は、元気でやってるだろうか(^_^;)

    • 深川夏眠さん
      談話室の「ブクログのここを改善して」スレッドにも出てきた話題で、
      私もちょこっとコメントさせてもらったんですが……
      本棚の表紙画像って、...
      談話室の「ブクログのここを改善して」スレッドにも出てきた話題で、
      私もちょこっとコメントさせてもらったんですが……
      本棚の表紙画像って、Amazonに登録されているデータを引っ張ってきたものですよね。
      で、登録したときNo Imageだった表紙が、
      後日見直したら、いつの間にか画像が出ていたケースがあります。
      それで、同じシリーズの別のNo Image本の画像を再取得したら「出た(・∀・)!」
      ということもありました。
      Amazonにおいて、出版社から画像が提供されておらず、
      現物を所持しているユーザがアップロードするカスタマーイメージが表示されている場合、
      それがブクログに反映されるまで、相当なタイムラグが生じるみたいなのです。
      いえ、はっきりしたことはわかりませんが。
      気が遠くなりそうですけれども、千里の道も一歩からの心意気で、
      現物を持っている人は地道に写真撮ってアップしようよ~と思う今日この頃です。
      (あ~、もう『人間失格』と関係なくなってますね、すみません……)
      2012/09/10
    • mkt99さん
      こんばんわ。
      実は自分も「ブクログのここを改善して」スレッドに投稿したことがあります。
      せめて現状の維持だけは最低限してほしくて、現在、画像...
      こんばんわ。
      実は自分も「ブクログのここを改善して」スレッドに投稿したことがあります。
      せめて現状の維持だけは最低限してほしくて、現在、画像がある表紙をNo Imageで上書きしないようにしてほしいですと。No Imageコードがわかっていれば、ソースコード的にはおそらく1~2ステップ追加だけなので、比較的簡単なのではないかなあ・・・。
      Amazonへの画像アップの誘惑は自分も何度もかられました。(笑)特に旧版のハヤカワ文庫のクリスティ関連を充実させたくて!(笑)ただ、ご指摘の通りいつ反映するんだろうかなと・・・。(>_<)
      あと、Amazon上で画像が複数採用されてしまうと、ブクログの方は変な表示になってしまうようなのと、Amazonに採用された画像がいまいちの場合もあり、あんまり無理しないように~、という優しい思いもあります。(笑)でも、やっぱり試しにいくつか画像アップしてみようかな~。(^o^)
      あっ、『人間失格』に関係ないですね・・・。(^_^;
      2012/09/10
    • 深川夏眠さん
      > 画像がある表紙をNo Imageで上書きしないようにしてほしい

      そうですね、これは本当に「頼むっ(>_<)」って思います。
      そし...
      > 画像がある表紙をNo Imageで上書きしないようにしてほしい

      そうですね、これは本当に「頼むっ(>_<)」って思います。
      そして、

      > Amazonに採用された画像がいまいちの場合

      確かに、カスタマーイメージがちょっと残念なケースも
      ありますよね。
      痛し痒しというか……難しいですねぇ(溜め息)
      2012/09/11
  • #人間失格読書会 で再読しました。
    今回も身につまされて読みました。
    読む度に、「これわたしもこうなる…」という部分に気付かされます。過去の恥と罪の記憶…とか。
    今回は「すすめられて拒否すると、相手の心にも自分の心にも、永遠に修繕し得ない白々しいひび割れが出来るような恐怖におびやかされているのでした。」でした。わたしもすすめられたものを断るのがほとんど出来なくて…でも大抵、やってみたら良かったなーってことが多いのですが。(でもセールスは断固拒否です!)
    「世間とは個人」というのもいつも「そう!」と思うところです。
    葉蔵が最後に行きつく空虚な境地にはいつも寂しい気持ちになります。このまま、あとどれくらい生きなければならないのかと思うと、少し恐怖します。

    「津島くんは賢かった」という、Twitterの投稿者さんのお祖父さんの弁の呟きを見かけたことがあります。この作品の、学生時代の部分を思い出しました。

  • 限定カバーが素敵だったので数年ぶりに読みました。
    私の人生に於いて欠かせない一冊「人間失格」。
    津軽の大地主の生まれである太宰は、生まれもっての裕福な環境で成長していく中で、他者との調和を求めるべくわざとおどけてみせたり道化精神を培っていきます。
    貴族の生まれが逆にコンプレックスであり、例えば勉学などで目立つことも好まず、酒や薬に溺れわざと自堕落になることで自分へのハンデを与え、破滅することでしか生きる意味を見い出せなくなっていく様は非常に痛ましくそれでいて美しいとさえ感じました。
    私自身似たようなところがあり、やはり道化を演じてしまうところがあるのですが、演じる程に自己を見失っていく感覚はとても苦しいものです。
    ある人に「あなたはもっと悪者になったほうがいい。感受性が強すぎる。」と言われたことがあるのですが、
    太宰にしても私なんか以上に感受性が強く抽象的な物事を読み解く才能もあるが故、恐ろしく沢山の物事を見てしまい感じなくてもいい苦痛や気にしなくてもいい事を見つけてしまう苦痛に溺れていったのだろうと感じました。

    しかし道化を演じながらも酒や薬に溺れ自堕落になり、家族までも崩壊させていく姿は
    人間の本質を丸裸にして見せられているような感覚になり、逆に「生」を感じさせるものでもありました。
    無頼派でいてデカダン的な生き方は「ダメ人間」ではなく心の底から一生懸命だからこそできる生き方だなと感じました。
    きっと誰よりも人を愛して愛されたいと思っていた太宰の生き様は美しいと私は思います。
    賢くも生々しい生きることが不器用な人間性、私は好きです。

  • ああ。読んでしまった。


    表紙カバー裏に太宰の略歴が書かれていて、「戦後、『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。」と締めくくられ、文字通りの遺作は、その次のページから、あまりにも有名な一文目に始まり、自己への反省、批判、嫌悪、羞恥、後悔、あらゆる否定に満ち満ちた文章を連ねていく。やっぱり新潮文庫はオシャレだ。

    僕は、不思議なことだけれど、この、行間から漂う絶望、「人間」として生きることに対する諦観のようなものたちに対して、居心地の良さのようなものを感じてしまっていた。それはやはり、表面的に「道化」を演じ続ける一方で、内なる空虚を抱える主人公に対し、どうしようもなくシンパシーを感じていたからじゃないかとおもう。それが、人間、なのかもね、みたいな。彼は「廃人」として自らに人間失格の刻印を押している(もしくは押されたと評している)が、酒や薬物の中毒に陥るまでか否かという「程度」の違いであって、根源的にはみな、人間は、「人間」失格なのではないか、とおもってしまう。

    読んでしまった、というのは、こうして自己を否定することで人間は純粋で、妥協せずに、「人間」らしくいられる印象を、自分が抱いてしまったからだ。自分の目を通せば、ヒラメや堀木と言ったような周囲の人々よりも、主人公が、よっぽど「人間的」に見えたからだ。こうなってしまっては、自分に自信を持っている人間や、現状に満足しているような人間を見たり、そういった人々の本を読もうとすれば、違和感や疎外感を覚えずにはいられない。おそらく僕は、彼に、感化されてしまったのだ。

    解説によれば、太宰をその人にとって特別な存在として位置づけ評価する人々もあれば、その文学を全否定し認めようとしない人々もいるのだそうだ。言うまでもなくそういう意味で自分は前者だろうが、後者のような人々が存在することも確かになあと思う。そういう人たちにとっては、むしろ太宰こそが傲慢な人間に思われるのかもしれない。たぶんだけど、そういう人たちが批判するよりも、太宰を愛読する人が彼の文学の「よさ」を表現するほうが、よっぽどむずかしいんじゃないかとおもう。少なくとも僕は。事実今このレビューでさえ不完全燃焼感でいっぱいだ。もうちょっとこの花火燃えるはずなのに!根っこのほう湿気ちゃってるよ!みたいな。何の話だ。

    いつかもう少し大人になったときに、また読み返そうとおもいます。

  •  およそ12年振りの再読。文庫の裏表紙にも書いてある「とても素直で、よく気がきいて、(中略)神様みたいないい子でした」という最後の一文は非常に衝撃的だったのを覚えている。ただ、当時は主人公に深く深く感情移入しており、「そんなこと言われる筈がないだろう」とも思ってしまっていた。今思えば、明るい第三者の目を信用できず、自暴自棄になっていたのかも知れない。

     今になって思えば、あくまで「人間失格」の烙印を押したのは主人公や一部の人間であり、第三者の視点では全く別の見方ができるのも分かる。もっと言えば、そうした見方をする人物がいることも、主人公は知っていたのだろう。
     それでも人間失格という烙印を自らに押し、破滅してしまったのは、自分が仮に愛され、愛したとしても、結果的に人を傷付けてしまうことに絶望し、これ以上生きることができなくなってしまったのだと思う。

     主人公は、きっと愛されたかった。だけど人に愛される方法が分からず、道化を演じていた。化けの皮が剥がれることを恐れ,ますます人が怖くなった。そうした気持ちの中で、親和感から人に恋をした。結果としてその人を傷つけてしまった。人を不幸にしてしまった。
     人に疎まれようと嫌われようと、デクノボートヨバレようと、ホメラレモセズとも、クニモサレズとも、別にそんなことはどうでもいい。死にはしない。
     そんなことの何倍も何千倍も、主人公の直面した現実は辛いものだったと思うし、私ならきっと命を絶ってしまうと思う。

     主人公が破滅した原因についても、「お父さんが悪いのですよ」と、第三者は言う。主人公も、心のどこかでそう考えていたのだろうか。そうだとするならば、そんな今更どうにもならないことが原因であるならば、なおのこともう死んでしまいたいと思うのだろうか。

     この本は、いや、太宰治は、大学時代、今より若い頃の方が周りで「好きだ」という人が多かった気がしており、他の文豪の作品に比べ、若い人向けという印象が何となくあった。
     もしそれが当たっているのだとしたら、主人公、あるいは太宰治が抱えているものが、完治し難い死に至る病だからなのかも知れない。そんなものに光を当てたところで、いまさらどうにもならないじゃないか、苦しいだけじゃないか、と。
     自分自身、この小説に共感することが多々あり、自分を何とかしたくて、的外れな努力かも知れないが、色々な本を読み、どうにもならない中で、いつしか悩むことを止めていた。悩むことに耐えられなかったのだろう。そんなことに悩んだところで、もうどうにもならないのだ。

  • もっと早く読んでおきたかった。ひとつ怠を覚えるとみるみる転げ落ちるのよ、と素直だった頃の自分に教えてあげたい。自分を好きになるためには服飾や仕事ではなく、結局は自分を好きになれる行動を積み重ねるしかないのだと感じた。

  • 初めてコレを読もうとしたのは、中学生の時。薄っぺらいから簡単に読めるだろうと思ってたのが間違いだった。意味分かんない、全く頭に入ってこず、速攻投げたのである。
    ところが、最近プライベートでうまくいかずモヤモヤして、人生もう嫌んになってきた時、ふとこの「人間失格」が思い浮かんだ。そして、再度、読んでみた。
    すると、今回はスラスラと読める。しかもそれは、その言葉1つ1つが胸に突き刺さってくるのだ。そして思わずページをめくる手が、何度も止まる部分があった。これは自分じゃないか、そんな錯覚に襲われて、衝撃を受けた。
    絶望、失望、苦悩、葛藤、罪、とにかく人間の奥底にあるであろう、人間の闇が詰まっている。それらを見てるうちにふと、これはこれは自分だ、と思うのではないだろうか。そのググッとエグられる場面は、読書の年齢や職業、現在の境遇などによっても変わるだろう。
    この小説は、最初と最後に登場する「私」と、手記を書いた「葉」の2つの視点で展開される。語りかけてくるような文体は、あたかも太宰が耳元で囁きかけてるような感覚に陥る。距離が近いのだ。これがより没入感を高めてくれる。
    わずか300円程度の文庫でまさか、こんなにも衝撃を受けるとは思わなんだ。その衝撃はあまりにも大きく、大げさにいえば人生を変えた、いや人生を見つめ直す機会をくれたと言った方がいいかもしれない。人生の節目節目で、何回も読んでみたいと思った。
    この本は「猛毒」である。この毒を少しでも心地良くいいなと思ってしまったら、それはもう太宰ワールドに引きずり込まれた証だろう。そんな奴がここにも1人居る。

  • 太宰治がツイッターやってたら絶対フォローする

  • 新年最初に読むのはこの本しかない。
    何度読んでも、色褪せない。

    今年は堀木に注目して読んだ。


    10代の頃は、読めば泣いたり暗くなったりしていたこの本も、いつの頃からか、もう、太宰ったら、かわいいやつめ、という気になるのだから。

著者プロフィール

1909年(明治42年)、青森県金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東大仏文科在学中に非合法運動に従事し、やがて本格的な執筆活動へ。35年、「逆行」で第1回芥川賞の次席となり、翌年には処女作品集『晩年』を刊行。以後「走れメロス」「斜陽」など多数。

「2018年 『津軽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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