お伽草紙 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 160
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006079

感想・レビュー・書評

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  • 特に印象に残ったのは「浦島さん」。物語中には太宰の独自の解釈が垣間見られるが、最も感銘を受けたのはやはりパンドラの箱の話である。パンドラの箱は開けると膨大な憎悪や悲観など否定的な感情、悪物質が放出される。ただ、底に残るのは希望である。どれだけ辛くても、希望を見出して生きていけという太宰の強く優しい訴えだと考えることができる。そして、「浦島さん」を太宰が執筆完了したのは昭和20年、終戦直後のことである。
    本当に太宰治は偉大な作家だと思う。

  • 清貧譚・竹青そして井原西鶴の作品群にヒントを得た新釈諸国噺、と人情物がてんこ盛りで、心情の機微に敏感な彼らしい作品がずらり。お伽草紙には期待が大きかったかな、まあ普通。桃太郎をあえて作品化しなかった理由も書かれてたけどなんか腑に落ちない。逆説的だが井原西鶴を読みたいと思わせたね

  • 『ノイズカット』
    太宰治の人生の中で中期を彩る作品。

    この作品では太宰治のアツイ情熱を感じる。

    どこか、なにか悶々としたものが吹っ切れて、ある制約がある中を自由に闊達に表現されている感じがする。

    ちなみに、カチカチ山は女性の感想をきいてみたい。

    デートでこの話題をだしたら飯がまずくなるかも。。。

  • 斜に構えたスタイルは変わらず

  • 教科書以外では初めての太宰治。
    大学の同級が好きだったな。
    どの本か知らないけど。
    この本は名前から想像出来るように古典のアレンジ?です。
    元を知らないと独自部分が分からないけど、日本の有名な昔話なども題材になっていてちょっと楽しかった。

  • やはり、表題作の「お伽草紙」が特に面白い。お馴染みの昔話を太宰流に脚色し、新たな味を加えている。なかでも「瘤取り」(こぶとり爺さん)がツボにはまった。

    『 その鬼どもは、いま機嫌よく酔っている。お爺さんも酔っている。これはどうしても、親和の感の起こらざるを得ないところだ。』

    という次第で、お爺さんと鬼たちは仲良しになり、楽しく杯を交わすのである。酒飲みの好々爺への太宰の共感、というか思い入れがほほえましく、すこぶる愉快な小品である。そういえば、酒飲みの悲喜こもごもを書いた太宰の短編は、いずれも面白い。

    「お伽草紙」には、他にも「浦島さん」「カチカチ山」、「舌切雀」の短編も。

    この文庫ではさらに以下の諸編を収める。
    「清貧譚」と「竹青」は「聊斎志異」に材をとった短編ふたつ。「新釈諸国噺」は井原西鶴の作品をふくらませた12編。「盲人独笑」は、江戸中期の盲目の筝曲家・葛原匂当の日記を基にした作。

  • 太宰治は、「人間失格」と「走れメロス」ぐらいしか読んだことがなくて、特に「人間失格」のどこまでもマイナス方向へ話が向かう印象が強かった。

    でも、この「お伽草子」では、父としての顔がうかがえ、それぞれのお話の捉え方も、興味深い。

  • ◆瘤取り
    こぶとりじいさんの話。太宰の解釈がとっても面白い。いわく…

    二人目の、こぶが増えてしまったお爺さんは、ただ緊張して踊りが下手だっただけだ。他のおとぎ話に出てくるような悪人ではない。それなのにこぶが増えるという不幸なことになった。そこから教訓を得ようとするならば…
    「性格の悲喜劇です。人間生活の底には、いつも、この問題が流れています。」

    うーん、たしかに!!

    ◆浦島さん
    浦島太郎。

    亀の、浦島さん(陸上で暮らす人間)に対する、本質をついた毒舌にうなされ、
    さらに、”浦島太郎がお爺さんになったのは不幸ではない”という解釈にもまたうなされた。

    ◆カチカチ山
    めっちゃ面白くてクスクス笑った!設定が絶妙。
    うさぎ=16歳の処女で美少女
    たぬき=うさぎに恋した37歳男性、色黒でがさつで食に貪欲な醜男(ぶおとこ)。
    火傷+唐辛子後に復活してまたうさぎのもとにノコノコやって来たたぬきに対して、うさぎが「キモい、ウザい、死ねばいいのに」って思って泥舟計画を思いつく場面。もうそういう話にしか思えないよー(笑)

    「惚れたが悪いか」
    うさぎが残酷なのは、純粋な少女だったからなんだと。
    太宰も美少女に「キモい」とか言われた経験があるのかしら、なんて思った。

    ◆桃太郎
    ”日本一になったことのない自分(太宰)は、日本一の桃太郎について書けない。私は弱者の気持ちはわかる方だが、強者の気持ちは経験していないしよくわからない。だから桃太郎は書かないのだ。” …ということらしい。
    太宰のこだわりが見える一節。

    ◆舌切雀
    お婆さんの気持ちが、切ないというか、やるせないというか。お爺さんがあまりに無口だったから寂しかったんだよね。
    最後の「いや、女房のおかげです。あれには、苦労をかけました。」という言葉にちょっと救われた。

  • 浦島太郎の亀について真剣に検討する語り手に不覚にも笑った。

  • 「瘤取り」
    志の輔らくご『こぶとり爺さん』より。
    「カチカチ山」
    柳家三三インタビュー(『落語の影響を受けた太宰治短編集』)より。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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