グッド・バイ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2654
レビュー : 206
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006086

作品紹介・あらすじ

被災・疎開の極限状況から敗戦という未曽有の経験の中で、我が身を燃焼させつつ書きのこした後期作品16編。太宰最後の境地をかいま見させる未完の絶筆『グッド・バイ』をはじめ、時代の転換に触発された痛切なる告白『苦悩の年鑑』『十五年間』、戦前戦中と毫も変らない戦後の現実、どうにもならぬ日本人への絶望を吐露した2戯曲『冬の花火』『春の枯葉』ほか『饗応夫人』『眉山』など。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後、太宰後期の作品集。
    破壊者である太宰の荒々しくも熱っぽい文章に胸を打たれる。『グッド・バイ』どんな作品になっていたのだろうか、本当に口惜しい。

  • 太宰と言えば、とにかく暗い話が多い印象にあったが、時代を軽く風刺した物等、テンポ良く楽しく読めた。
    そして太宰の生涯最後の作品であり、未完成作品の『グッド・バイ』。
    私の大好きな作品、伊坂幸太郎の『バイバイ、ブラックバード』の元になった作品である。
    これが読めて嬉しかった。
    田島とキヌ子のコンビの掛け合いが最高に面白く、もっと続きが読みたかった。
    太宰がこの物語のオチを、どのように考えていたのか……知りたい!

  • 戦後、幼子ふたりと妻と共に疎開し、苦労する太宰の苦悩や戸惑いを生々しく感じられる薄明、苦悩の年鑑から始まり、非常に読みやすい文体にどんどん引き込まれました。
    時に大真面目に書いてあることが可笑しくてたまらなくクスリとさせられたり、なんとも遣る瀬無い気持ちに地団駄踏みたい気持ちにさせられたり、身につまされたり、一冊を読み終わる頃には実に様々な感情が自分の中を往来したことにびっくりしました。
    表題作グッド・バイに関しては、いよいよ面白くなる矢先にストーリーが途絶え、続きが読みたくてなんともたまらない気持ちになりました。
    傑作になるに違いなかった本作が未完の絶筆となったことが心から残念でなりません。

    • けいたんさん
      初めまして(^-^)/

      Filmarksではありがとうございました。
      けいたんです。

      私太宰治が好きです。
      まだまだちょっ...
      初めまして(^-^)/

      Filmarksではありがとうございました。
      けいたんです。

      私太宰治が好きです。
      まだまだちょっとしか読んでいませんがいつかグッドバイを読める日まで頑張ります!

      こちらでもこれからもよろしくお願いします(*^^*)♪
      2016/09/19
    • yumiさん
      けいたんさん、こんにちは...♪*゚
      太宰治がお好きなんですね!
      私は積ん読状態で、全然まだまだなのに、伊坂作品からの流れで読んでしまい...
      けいたんさん、こんにちは...♪*゚
      太宰治がお好きなんですね!
      私は積ん読状態で、全然まだまだなのに、伊坂作品からの流れで読んでしまいましたが、びっくりするくらい面白かったです。
      いつか読まれた時には、レビュー楽しみに読ませていただきますね(⁎˃ᴗ˂⁎)
      ブクログは全く使いこなせていなくてご迷惑をお掛けするかもですが、どうぞよろしくお願いします...♪*゚
      色々教えてください!
      2016/09/20
  •  自殺による絶筆である表題作を含めた後期作品16篇。『走れメロス』を代表とした精神的に健全な作品の多い(らしい)中期とは大きく異なり、敗戦後の日本に期待をしつつも、やがて絶望したかのような暗い作品が多数を占める。
     理不尽、不条理、実体の伴わない思想と挫折、、、そんな言葉が浮かぶ。閉塞感がすごい。それを笑い飛ばして前に進んでいくような明るさを持っていたのが表題作『グッド・バイ』だっただけに、絶筆であることが非常に悔やまれる。

    『薄明』
     戦時中に疎開を繰り返している男の話。家が焼けたり子供の目が見えなくなったりと起きていることは前途多難だが、つい酒を飲んでしまうところやどことなく穏やかな雰囲気が描かれており戦時中の話という感じは受けない不思議。
     まだ敗戦後ではないというのもあるのだろうか。子煩悩で朗らかな印象の暖かい短編。

    『男女同権』
     男女平等が謳われるようになった時代に、女性から散々虐げられた男による「女尊男卑」的側面が語られる。
     いかにも天邪鬼な発想ではあるけど、男女という人間を2種類に分ける方法ではこうした歪みは当然のごとく発生してくるわけで、男女同権が「思想」として潔癖なものになってゆくことへの反感というか危惧というか、そういうものを感じた。時代の空気や心?のようなもので変わるのと、思想・制度としてガッと変えるのでは、受け入れ方も違ってくるのだろう。

    『冬の花火』
     戦後の時期にこんなもん演劇で見せられたらテンションダダ下がりで頭おかしくなるんじゃなかろうか。それとも、そんな時期に演劇見られる層ならしんみりする余裕もあるのだろうか。
     ありとあらゆる生々しい現実を装飾するように、戦争・桃源郷・お百姓、様々な物語が作られ、人はそうして初めて世界を飲み込むことができた。そんなオブラートが戦争によってひっぺがされてしまった。そんな話なのかなと感じた。

    『春の枯葉』
     敗戦後の焼け野原に現れた新たな価値観と淘汰されてゆくであろう田舎の価値観。「わたくしのような、旧式の田舎女は、もう、だめなのでしょうか。」(p.226)

    『朝』
     夜に酔っ払い女性と二人きり、女性の机上には『クレーヴの奥方』。自分の本能と相手を尊ぶ気持ちがせめぎ合う短篇。分からんでもない。

    『饗応婦人』
     ただただ悲しい話。先の2つの戯曲も含めて、この感情をどうしたらいいのか分からない。

    『グッド・バイ』
     愛人作りすぎて収拾付かなくなり、偽の妻を連れていって諦めさせようとする色男の話。本妻は別にいる。最期には妻にグッド・バイされるというオチを想定していたらしい。
     コメディ調で書かれているため、他の暗い作品ならともかく、これ書いてるうちに自殺したのかと驚いた。

  • 太宰治の未完の遺作。
    「10人の女と不倫している男が、妻子を東京に呼び寄せるため、絶世の美女を“妻役”に雇い、10人の女とグッドバイしようとする」話。

    とんでもないストーリーだが、「魅力的なダメ男」を書かせると右に出るものはいない太宰である。
    完成していたら、さぞ読者は主役に(見下げ果てつつも)感情移入できる作品になったろうと想像を膨らませている。

    さて、東京で公演中の舞台『グッドバイ』は、太宰の未完品に、脚本演出のケラリーノ・サンドロヴィッチ氏が続きを足した脚本が土台。

    主役には仲村トオル。小池栄子や水野美紀、緒川たまき、萩原聖人、池谷のぶえなど魅力的な俳優がそろう。

    ドタバタのコメディで、切ないラブストーリーで、あたたかな人情劇。とても素敵な舞台だった。何度でも観たくなる。

  • フォスフォレッセンスが特に気に入った。

  • 妻子連れて4人戦火を逃れ、三鷹から甲府、故郷津軽へと疎開した太宰であるが、戦時中の疎開生活から日本の無条件降伏によって幕が降りた大戦後の日本、そこに生きる人々、男女、そういったものが、そのままそっくり、描かれている。
    そのままそっくり、というのは、当時の表現者たちといえば「偽善的」で「サロン派」な平和主義者ばかり、しかし太宰というひとはそうではなかった。
    家族との乞食同然の生活の惨めさ、日本敗戦の口惜しさ、情けなさ、今後への展望、ユートピア信奉、田舎出身の自虐的態度、都会の不変さ。
    全てが気取らず(仮に気取って書かれていても、気取り自体をまた如実に告白するのが太宰という男かと)、残酷な程に生々しく投影されている。

    グッド・バイは未完のままであったが、他作品に比べ、皮肉的ではあるがユーモアがある。コメディがある。
    解説にもあったが、太宰の第四期は花開き掛けていたのであろう。

  • あの未完作を喜劇に!?映画化で注目!
    我が身を燃焼させつつ書きのこした後期作品16編。

  • 戦争という時代にあっても、この太宰という人間はやっぱり太宰という人間なんだと思ってほっとする。戦争だろうと、貧しかろうと、家が焼けようと、やっぱりこの人間はものを考えている。そんなところとは関係なく、考え続けている。仮に徴兵されたとしても、やっぱり酒を呑んで考え続けていたんだと思う。それが、この太宰という人間なのである。
    彼にとって、別にそんな些末なことはどうでもいいのである。なのに、かえってそういうことをとやかく言われるからうんざりして逃げ出したくなってしまう。確かに彼と生活を共にする人間からすればたまったものではない。彼は生活しないように生活しているのだという二重性を、誰が生活している人間の中で理解できようか。もともと世を拗ねた人間が、どういうわけか世の中で生きてしまっているのである。これが彼にとっては屈辱的なことであった。生きるというのはこういうことなのか、彼は津軽で生まれ育った時にはもうそう感じていた。早く生き過ぎたと言ってもいい。彼にとっては、もう十分生きたからさっさと死にたいくらいのことなんだったと思う。
    だが、死ねばすべて解放されるというのがわからない。死の魅力というのは、あくまでことばの上に過ぎない。だって、誰も死んだことがないから。じゃあ死んでみようということになるが、死んだその時、死んだと感じるその存在はいるのか。そんなものいないのである。死に対してなぜそんなに魅力を感じるのか。別に善く生きられないのに生きろとは言わない。だが、死ねば終りだと思うことだって、彼が厭わしく感じてやまない生活と何ら違いはないのである。その辺、「反抗だ」と言ってのけたカミュの方が断然上である。

  • 太宰の晩年の短編集。遺作となった「グッドバイ」など、意外にもコメディタッチの作品が多い。戦中の経験を書いた作品も面白く、太宰の面白さを堪能できる一冊。

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著者プロフィール

1909年(明治42年)〜 1948年(昭和23年)日本の小説家。代表作に『斜陽』『人間失格』『走れメロス』『富嶽百景』など多数。

「2019年 『女神 太宰治アイロニー傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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