グッド・バイ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2448
レビュー : 196
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006086

感想・レビュー・書評

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  • 太宰治の未完の作品である「グッド・バイ」を含む後期の作品が数多く収められている1冊。
    戦争後期から戦後にかけての激動の時代を必死に生き抜きながらも自己否定、道化精神、自己破壊的な精神状態が極限にまで達して後の太宰の自殺までがまざまざと文字に現れていて、
    ページが残り少なくなる程に「ああ、太宰がいなくなってしまう」という空虚な寂しさに襲われました。
    「春の枯葉」にある
    「めぐり来れる春も、このくたびれ切った枯葉たちには、無意味だ。なんのために雪の下で永い間、辛抱していたのだろう。」という文章や
    「グッド・バイ」に於ける全てを清算して平穏な生活を目指すところなどは、「人間失格」に於ける破天荒な生活や絶対的な絶望感から更に先の脱力感や極限突破した精神状態を感じました。
    大好きな太宰文学の新境地がこれから幕を開く、というところで命を絶ってしまいましたが
    「自殺の許可は、完全に幸福な人にのみ与えられる」というヴァレリイの言葉も引用していたので
    彼が生前僅かでも幸福だと思えることがあったのだと信じたいです。

  • 太宰治の遺作ですが、これからどう展開させていくかというところで未完であり、田島がどうなるかの前に自分の命を絶ってしまうというのは、いかにも残念です。
    太宰が小説家として何を残していったのか、それを考えていこうと思います。

  • 新婚旅行中に読了。
    太宰さんの死により未完となってしまった『グッド・バイ』、その他太宰さんの後期に書かれたものが集められています。
    戦後の日本を思わせるお話の中にも太宰節が感じられて、私は好きでした!
    『グッド・バイ』、最後まで読みたかったな~!

  •  酒に逃げるし愚痴っぽいし同じ話ばかりだし、、、晩年の太宰治の作品を読むにはメンタルのタフさが要りますね。
     そんな作品群の中でも、絶筆未完のグッドバイは珍しく明るいコメディ、続きが読めないのがほんとうに残念。あと’’冬の花火’’’’春の枯葉’’という戯曲も意外といいなあ。
     グッドバイは小池栄子を主役にした舞台DVDが出てるらしい、たしかに小池栄子はピッタンコ♡

  • 表題作『グッド・バイ』を含む16編を収録。戦後に書かれた作品で、後期の最晩年の作品群なそうだ。とくに以下の諸編が心に残った。

    『薄明』。疎開先の甲府で空襲に見舞われ、妻と共に親子4人で逃げる。幼い子を背負って逃げる太宰の姿が意外に頼もしく、そしていじらしい。

    『男女同権』。講演記録という体裁。「私」を苦しめた3人の女房たちのことを熱く語る。その女たちに如何にひどいめに遭わされてきたか、恨みつらみを綿々と述べ、その語り口は次第に熱を帯びてゆく。

    『饗応夫人』は、夫が戦争から帰還せず、留守の家を守る夫人の、驚くべき生活の顛末。女中らしき女が物語る。夫の友人なる男が連日やってきて、夫人は愚かにもその男やその連れを饗応し続ける。愚かで哀しい女の姿。奇妙な後味の悪さが残る。

    『眉山』は、新宿の焼け跡のバラック街にあった飲み屋が舞台。文士らのたまり場となったその店。あだ名を『眉山』と名づけられた若い女中トシちゃんの思い出をつづる小品。気のイイ娘なのだが、少しずうずうしいところもあり、太宰らはトシちゃんを疎ましく感じたりする。その後、姿を消したトシちゃん。彼女の意外な事情を太宰は知らされる。もの悲しいお話。

    『グッド・バイ』 敗戦からほどない頃、三十半ばの編集者田島は、離れて暮らしていた妻と子を呼び戻し、所帯を立て直そうと考える。だが、さしあたって、独居の間に出来た愛人との関係を整理せねばならない。その数十人。田島は、女を一人づつを訪ね、上手にグッドバイを告げるしごとに取り掛かる。その助手として抜擢したのは闇屋あがりの超絶美人キヌ子。ニセの女房役として連れてゆくという作戦だ。奇想天外な面白さ。だが、物語が助走し始め、いよいよ面白くなり始めたところで、未完となってしまった。残念。惜しまれる作品である。

    その他『苦悩の年鑑』と『十五年間』。前者は、太宰が自身の思想的な履歴を独白。後者は、転居の履歴やこれまでの創作を回顧。太宰ヒストリーをコンパクトに読める。
    等々。

  • 未完のグッド・バイ。魅力的なダメ男。太宰治。どっぷりとはまってしまう、全てに。

  • 太宰が船橋に住んでいたことがあったなんて知らなかった。「冬の花火」良かったなぁ、少し気味が悪くてさみしくて、でもリアルで。「グッド・バイ」のユーモアたっぷりな語り口も好きだ。あれはあれで完成されてるように見えるけど、未完なんだ。「男女同権」いいなぁ、こんな感じでやりこめられてる太宰さん、なんとなく想像できる。「饗応婦人」あぁ、なんかわかる気するなぁ。「うすあかり」「たずねびと」「メリイクリスマス」当時の、暮らしってこんな感じだったのかな。「苦悩の年鑑」「春の枯葉」思想。同一人物の中にある矛盾か。太宰作品を読むとき、どうしても作品そのものではなくて太宰という人を読もうとしてしまうことがある。

  • 何回も読み直してる。フォスフォレッセンスが、太宰の書いた話の中で1番好きだ。夢の中に夢を描いて憧れを抱いて生きている、励みになるような悲しい話。
    他にも、メリイクリスマスや冬の花火など名作が多い。
    グッドバイは、完成したならどんな結末になったんだろう。未完なのが本当に悔やまれる。

  • 未完の絶筆『グッド・バイ』をはじめとする後期16編

    表題作や『たずねびと』『饗応夫人』等の佳作

  • おそれいりまめ。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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