グッド・バイ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2447
レビュー : 196
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006086

感想・レビュー・書評

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  • 戦後、幼子ふたりと妻と共に疎開し、苦労する太宰の苦悩や戸惑いを生々しく感じられる薄明、苦悩の年鑑から始まり、非常に読みやすい文体にどんどん引き込まれました。
    時に大真面目に書いてあることが可笑しくてたまらなくクスリとさせられたり、なんとも遣る瀬無い気持ちに地団駄踏みたい気持ちにさせられたり、身につまされたり、一冊を読み終わる頃には実に様々な感情が自分の中を往来したことにびっくりしました。
    表題作グッド・バイに関しては、いよいよ面白くなる矢先にストーリーが途絶え、続きが読みたくてなんともたまらない気持ちになりました。
    傑作になるに違いなかった本作が未完の絶筆となったことが心から残念でなりません。

    • けいたんさん
      初めまして(^-^)/

      Filmarksではありがとうございました。
      けいたんです。

      私太宰治が好きです。
      まだまだちょっ...
      初めまして(^-^)/

      Filmarksではありがとうございました。
      けいたんです。

      私太宰治が好きです。
      まだまだちょっとしか読んでいませんがいつかグッドバイを読める日まで頑張ります!

      こちらでもこれからもよろしくお願いします(*^^*)♪
      2016/09/19
    • yumiさん
      けいたんさん、こんにちは...♪*゚
      太宰治がお好きなんですね!
      私は積ん読状態で、全然まだまだなのに、伊坂作品からの流れで読んでしまい...
      けいたんさん、こんにちは...♪*゚
      太宰治がお好きなんですね!
      私は積ん読状態で、全然まだまだなのに、伊坂作品からの流れで読んでしまいましたが、びっくりするくらい面白かったです。
      いつか読まれた時には、レビュー楽しみに読ませていただきますね(⁎˃ᴗ˂⁎)
      ブクログは全く使いこなせていなくてご迷惑をお掛けするかもですが、どうぞよろしくお願いします...♪*゚
      色々教えてください!
      2016/09/20
  •  自殺による絶筆である表題作を含めた後期作品16篇。『走れメロス』を代表とした精神的に健全な作品の多い(らしい)中期とは大きく異なり、敗戦後の日本に期待をしつつも、やがて絶望したかのような暗い作品が多数を占める。
     理不尽、不条理、実体の伴わない思想と挫折、、、そんな言葉が浮かぶ。閉塞感がすごい。それを笑い飛ばして前に進んでいくような明るさを持っていたのが表題作『グッド・バイ』だっただけに、絶筆であることが非常に悔やまれる。

    『薄明』
     戦時中に疎開を繰り返している男の話。家が焼けたり子供の目が見えなくなったりと起きていることは前途多難だが、つい酒を飲んでしまうところやどことなく穏やかな雰囲気が描かれており戦時中の話という感じは受けない不思議。
     まだ敗戦後ではないというのもあるのだろうか。子煩悩で朗らかな印象の暖かい短編。

    『男女同権』
     男女平等が謳われるようになった時代に、女性から散々虐げられた男による「女尊男卑」的側面が語られる。
     いかにも天邪鬼な発想ではあるけど、男女という人間を2種類に分ける方法ではこうした歪みは当然のごとく発生してくるわけで、男女同権が「思想」として潔癖なものになってゆくことへの反感というか危惧というか、そういうものを感じた。時代の空気や心?のようなもので変わるのと、思想・制度としてガッと変えるのでは、受け入れ方も違ってくるのだろう。

    『冬の花火』
     戦後の時期にこんなもん演劇で見せられたらテンションダダ下がりで頭おかしくなるんじゃなかろうか。それとも、そんな時期に演劇見られる層ならしんみりする余裕もあるのだろうか。
     ありとあらゆる生々しい現実を装飾するように、戦争・桃源郷・お百姓、様々な物語が作られ、人はそうして初めて世界を飲み込むことができた。そんなオブラートが戦争によってひっぺがされてしまった。そんな話なのかなと感じた。

    『春の枯葉』
     敗戦後の焼け野原に現れた新たな価値観と淘汰されてゆくであろう田舎の価値観。「わたくしのような、旧式の田舎女は、もう、だめなのでしょうか。」(p.226)

    『朝』
     夜に酔っ払い女性と二人きり、女性の机上には『クレーヴの奥方』。自分の本能と相手を尊ぶ気持ちがせめぎ合う短篇。分からんでもない。

    『饗応婦人』
     ただただ悲しい話。先の2つの戯曲も含めて、この感情をどうしたらいいのか分からない。

    『グッド・バイ』
     愛人作りすぎて収拾付かなくなり、偽の妻を連れていって諦めさせようとする色男の話。本妻は別にいる。最期には妻にグッド・バイされるというオチを想定していたらしい。
     コメディ調で書かれているため、他の暗い作品ならともかく、これ書いてるうちに自殺したのかと驚いた。

  • フォスフォレッセンスが特に気に入った。

  • 戦争という時代にあっても、この太宰という人間はやっぱり太宰という人間なんだと思ってほっとする。戦争だろうと、貧しかろうと、家が焼けようと、やっぱりこの人間はものを考えている。そんなところとは関係なく、考え続けている。仮に徴兵されたとしても、やっぱり酒を呑んで考え続けていたんだと思う。それが、この太宰という人間なのである。
    彼にとって、別にそんな些末なことはどうでもいいのである。なのに、かえってそういうことをとやかく言われるからうんざりして逃げ出したくなってしまう。確かに彼と生活を共にする人間からすればたまったものではない。彼は生活しないように生活しているのだという二重性を、誰が生活している人間の中で理解できようか。もともと世を拗ねた人間が、どういうわけか世の中で生きてしまっているのである。これが彼にとっては屈辱的なことであった。生きるというのはこういうことなのか、彼は津軽で生まれ育った時にはもうそう感じていた。早く生き過ぎたと言ってもいい。彼にとっては、もう十分生きたからさっさと死にたいくらいのことなんだったと思う。
    だが、死ねばすべて解放されるというのがわからない。死の魅力というのは、あくまでことばの上に過ぎない。だって、誰も死んだことがないから。じゃあ死んでみようということになるが、死んだその時、死んだと感じるその存在はいるのか。そんなものいないのである。死に対してなぜそんなに魅力を感じるのか。別に善く生きられないのに生きろとは言わない。だが、死ねば終りだと思うことだって、彼が厭わしく感じてやまない生活と何ら違いはないのである。その辺、「反抗だ」と言ってのけたカミュの方が断然上である。

  • 太宰の晩年の短編集。遺作となった「グッドバイ」など、意外にもコメディタッチの作品が多い。戦中の経験を書いた作品も面白く、太宰の面白さを堪能できる一冊。

  • 太宰の遺作でもあり、タイトルからしてものすごく悲惨なメンヘラ小説を想像していたのだが、読んでみたら明るいコメディ小説で引き込まれた。これはめちゃおもしろい。軽妙で気楽に読めるし、太宰のMCぶりとやらが存分に発揮されていると思う。太宰はこういうふざけたところも持ち味だと思うし、初めて人間失格を読んで引いた私が再読しようと思ったのは太宰の全力でふざけているところに気づいたからだ。かなり続きが気になる。何故最後まで書かないで死んだんだ!ちゃんと書き終わっといてくれ!と言いたくなった。死人に口無し。悲しい。

    再読。後期の太宰からは触れれば切れるような鋭さを感じる。「眉山」「男女同権」は人間失格にも通ずる虚無的な暗さがある。「冬の花火」が好き。戯曲を書いていたことに驚かされた。「饗応夫人」はなんだか悲しい。「グッドバイ」は笑えるが中期太宰ののびやかなユーモアより引きつった捨て身の笑いを感じた。返す返すも未完が惜しい。全体的に荒廃的で捨て鉢な雰囲気が漂っていて、太宰は新しい段階に進もうとしていたのかそれとも破れかぶれになり死を決意していたのか。凡才の私にはわかりかねる。

  • 「春の枯葉」より

    (雪がとけて、その下から去年の秋に積もった枯葉が出てきたシーンで、主人公の男性のセリフ)
    永い冬の間、昼も夜も、雪の下積になって我慢して、いったい何を待っていたのだろう。ぞっとするね。雪が消えて、こんなきたならしい姿を現したところで、生きかえるわけはないんだし、これはこのまま腐っていくだけなんだーーーー

  • 定番の私小説は相変わらずだが、純粋な創作が実に面白く、作家として熟成していく時期なのに遺作集になってしまったのが何とももったいない。皮肉たっぷりで痛快な「男女同権」、チェホフ風戯曲形式の「冬の花火」は最後にキレまくる女性主人公、遺作となった未完の「グッド・バイ」の怪力美女など逞しい女性達が面白い。逆に「饗応夫人」のような哀しい女性を描いた作品も。そして「眉山」は太宰の短編で最高傑作。ユーモア小説として書いたかもしれないが、トシちゃんの人柄と生き様を思うとせつない思いが溢れる。

  • 『グッド・バイ』が絶筆なのが残念。
    書き上がってたら、また新しい太宰が見られたのかなと思う。

  • 太宰治の短編集。亡くなる直前の時期(1945-1948)に書かれた作品が収録されており、本書最後の「グッド・バイ」は未完となっています。

    終戦が太宰に与えた影響がさまざまなところで伺える作品群でした。初期のヤケクソ感溢れる独特の味わいは薄く、中期の完成された作品群ともやや異なるような、いささか虚しい感じの漂う作品が多かったように思います。

    いくつかの風景描写が印象に残っています。下記に引用した二つの文章は、一読して受ける印象はまるでちがうのですが、どちらもその場の情景、雰囲気を端的に伝える美文だと感じました。

    "(…)それから、五月、六月、そろそろ盆地特有のあの炎熱がやって来て、石榴の濃緑の葉が油光りして、そうしてその真紅の花が烈日を受けてかっと咲き、葡萄棚の青い小粒の実も、日ましにふくらみ、少しずつ重たげな長い総を形成しかけていた時に、にわかに甲府市中が騒然となった"「薄明」(P.12)

    "(…)その映画館にはいって、アメリカの写真を見て、そこから出たのは、もう午後の六時頃で、東京の街には夕霧が烟のように白く充満して、その霧のなかを黒衣の人々がいそがしそうに往来し、もう既にまったく師走の巷の気分であった。東京の生活は、やっぱり少しも変っていない"「メリイクリスマス」(P.233)

    正直に申し上げると、必読!と言いたくなるようなインパクトのある作品は、見当たらなかったように思われます。わたし自身、感受性が著しく落ちている時期に読んだため、作品の魅力をうまく吸い上げられなかったのかもしれません。

著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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