きりぎりす (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1980
レビュー : 183
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006130

感想・レビュー・書評

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  • 太宰短編集。
    太宰ファンではないし、好きではない類の作家だが頑張って読んでみた。そのなかで特によかった作品をいくつか。
    名声を得たことで画家夫婦の仲が壊れていく過程を、妻の内面から描いた表題作「きりぎりす」。伴侶の特別性や神聖さを不遇な境遇と、ゆえの孤高に求めた妻は、夫が社会的に成功し富と名を得るに従って俗物化する姿に幻滅して離婚を決意する。作者の自虐にも読めるが、理想に忠実であろうとする女の強烈なエゴを感じさせる短編で読ませる。
    「畜犬談」。なんだこいつ?と思わず笑ってしまう大の犬嫌い男の話。犬の卑屈さ従順さを毛嫌いしつつ最後は自己と犬を重ね「芸術家は、もともと弱い者の味方だった
    」と書く厚かましさ。笑えます。
    「水仙」。「忠直卿行状記」をテーマに人を狂気に追いやるボタンの掛け違いと不安と恐怖を描いた見事な一遍。こういった優れた短編を書き続けてくれたら、太宰が好きと云えただろうに。

  • 「水仙」が好き。読んでて勝手に、ちーん、とか、がーんとか、BGMつけてる。

  • 2016/10/02 読了

  • 女性一人称と私小説他。
    女性一人称は文体が奔放で、突き刺さりました。
    色んなとこに。

  • 太宰の女性告白体の小説は本当細やかで大好きだ。本書に収められているのは太宰が落ち着いていた中期の作品。佳作揃いです。特に「畜犬談」が筒井康隆ばりのユーモアとペーソスに満ちていて笑った。そりゃ犬好きの川端さんとは仲が良くないよなあ〜なんて思っていたらホッコリさせられるラストが意外だった。この話だけでも読んでいただきたい。

  • 太宰の短編小説は、どれも主張があって良い。
    「姥捨」、「皮膚と心」、「佐渡」は読みやすく滑稽だった。
    だが、「畜犬談」は、滑稽さが強くて苦手だ。
    太宰の作品に感じられるのは、主に罪悪と悲壮。
    しかし、本短編集では、それ以外の感情も濃く描かれている。
    残念ながら、それが何かは、今の私には適切に言い表せない。
    また時間を掛けて再読しようと思う。
    長編小説も続けて読みたくなった。

  • これも面白かった!!

    太宰の短編集だがどれも興味深いテーマが魅力な小説たち。

    無理して生きなくてもいいんだとメッセージを感じた。

    特に良かったのは「燈籠」
    教養があり知的なある男に呆けた無学の女は、その男のある一言のために、男に海パンを与えたいがために「盗み」を冒してしまう。

    それを知った男は呆れ返って「君には教育が足りない」と女に手紙を書く…

    確かに、無知な女は感情に流されやすい…と自分の経験上納得した。
    特に若いころはそうだ。
    そんな女は情けなく、みっともない。

    女たるものいつでも凛としていたい、というのが本心。

  • 1990 読了

  • ユーモアたっぷりの、短編集。細やかな心情のうつろいや情景などに、思わずため息をついてしまうけれど、やはりどこか憎めず、じわりじわりと心に染みいる。この季節にピタリとはまった気がする。

  • しまっておきたいような事柄とお腹いたいわ!ぐらいに笑える事柄を綴ってまとめた短編集。
    黄金風景、畜犬談、きりぎりす、佐渡、風の便り、など。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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