もの思う葦 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 958
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006147

感想・レビュー・書評

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  • 前期に書かれた表題作「もの思う葦」から晩年の「如是我聞」まで、太宰の言葉が集められた1冊。
    太宰はどこまでも一生懸命で、全力で文を書いている。(そのことは、何かの短編で語っていた。)不器用な懸命さというかなんというか、自己犠牲的なもの。命懸け。でも命懸けで書きたかったのは、小説であって、創作だった。だから随筆とか自分のことについては、おざなりでやっつけ感満載。お金のための、お酒のための仕事といった感じ。
    「如是我聞」は、今まで溜め込んで来たものを一気に書き散らした、自己破壊的な印象を持った。世間に対する恨みのようなものもあったかもしれない。そしてうわあああっと喚いて、あっけなく死んでしまったのだから、織田作之助のような最後の足掻きに近いものがある。
    太宰、よくやった!

  • 著者の随想集ということで興味を持った一冊。エッセイは小説とは違って作者が出るから面白い。好みが分かれるところだと思うけど著者の退廃的で斜に構えたような態度は意外と共感できる。川端康成、志賀直哉へのメッセージは時折感じられる自虐的な態度とは打って変わって、強烈で言葉の強さや文章を書くことに対するこだわり、自信みたいなものを感じた。また一層太宰のフアンになった。

  • 2019.6.2
    p27の「兵法」がとても参考になった。買い物でも迷ったら買うなと言うけど、文章でも同じなんだなと妙に腑に落ちた。

    全体的に、とても人間味を感じる本だった。
    意外だった。

  • アフォリズム、エッセー集。
    小説を書きたい、エッセーなんか書きたくない、適当に埋め合わせようって気持ちが漏れ出てる書き方のものが多かった気がする。

    今まで何作か太宰を読んできて思ったのは、太宰の文章は本当にうまくて好きで、話の内容自体としては私小説色が強いものより太宰の影があまり出てこないような創作された話のほうがどちらかというと好きだったってこと。

    太宰の弱さや繊細さ、自分が大好きなくせに嫌いにもなったりするような部分はうまく作品に昇華されていれば好きなのだけど、こうやってエッセーで愚痴感覚で読むと結構きつかった。

    俺はこんなにがんばってるのに世間がせめる。生きづらい。
    世間はこんなものを良いというけど俺はそれはどうかと思う。こういうほうがいい。
    周りはみんな馬鹿ばかりで付き合いきれない。
    それじゃあ自分が大好きでしょうがないのかと思えば自分が嫌になる時もある。

    これはみんな多かれ少なかれ結構思ったことがあることなんじゃないかと思う。
    その部分に共感できるから、辛さがわかるから好きって人もいるんだと思う。
    私はしんどかった。こう思ってしまう彼が嫌いなんじゃなくて、わからないんじゃなくて、抑えこもうとしてる私自身の嫌いな部分を直球で客観的に見させられてる感じがするからしんどかった。

    この中では『織田君の死』『如是我聞』が好きかな。
    如是我聞は噂にはきいてたけどほんとにボロクソに言ってるというかもう気に入らんものに片っ端から噛み付いたれって感じでもはや清々しい。
    それは怒ってもしょうがないよねそれはおかしい言いたくなるよねって頷けるとこもあるけど、いや…それはほっといたれよ…そこは簡単に反論されそうだな…みたいなとこもあった。
    それだけいろんなことに我慢ならなくて怒っててどうしても言いたかったんだろうなぁというのは伝わってきた。
    みんな書かないであろうこの直球の訴えで変わったものも確かにあったのかもしれない。

  •  
    ── 太宰 治《もの思う葦 200205‥ 新潮社 19800825 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101006148
     
    …… 川端 康成の、さりげなさそうに装って、装い切れなかった嘘が、
    残念でならないのだ。たしかに、こんな筈ではなかったのだ。
    http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1607_13766.html
     
    (20171108)
     

  •  太宰治の随想集。「如是我聞」と「織田作之助君の死」が収録。全般的に太宰だなあと思えてしみじみする。唐突に出てくるフランス語等に戸惑う。

  • 日々の生活…

  • 奇しくも桜桃忌に読了。「笑い。これは強い。文化の果の、花火である」この一文を読み、又吉さんの「火花」というタイトルはこの言葉へ捧げられたオマージュだろうか?と思った。本書は太宰の小説以外の随想集で、少し毛色が違ったエッセイが収められている。「川端康成へ」と志賀直哉への痛烈な批判「如是我聞」が強烈だ。如是我聞では「いくらでも書くつもり」なんてしめているのに…続きが読めず無念。「悶々日記」が意外と好き。小説よりも太宰の人間くささに触れられる好著。

  •  随筆など小品を集成。短いものは1頁程のもの。多くは2、3頁程で、気軽に読み進むことができて楽しい。

    とりわけ、以下の短編・随筆が面白い。
    『酒ぎらい』。お酒が好きな太宰だが、外の居酒屋で飲むのを好み、自宅に一升瓶があるだけで妙に落ち着かない性分。ある日、旧来の友人が家に来訪するのを機に、お酒を一気に飲み干し、在庫処分せんとするのだが…。
    随筆だが、短編の趣もあり、楽しい。

    『「井伏鱒二選集」後記』の“早稲田界隈”の話。太宰は、最敬愛の師井伏氏と共にぷらりと早稲田の町に立ち寄ったところ、早大の文科生らがぞろぞろどこまでもついて来る。「皆、呑むつもりなのだ」。

    そして『如是我聞』。志賀直哉に対する、実名を挙げての批判攻撃。ここまで言うかと失笑するほどの口撃。小気味好いほどで、且つ、文学に対する太宰の姿勢、美学も滲んでいて面白い。

  • 太宰を読まずに死ななくて良かった。
    惚れっぽい自覚もあるので、知る人には「またか」と言われてしまいそうだが、
    これまでひらいたことのある小説や評論、随筆の中でも、こんなに痛快で、心が軽くなったり、苦しくなったりした文章はない。
    本当に、これを知らずに死ぬなんて勿体無い。
    別に、太宰を読め、と言いたい訳ではない。
    人によっちゃあきっと、「何だこの卑屈屋」と吐き捨てる人もいるだろうから。
    だが、少なくとも私にとっては、知らずに死ぬことはできなかった人だ。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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