もの思う葦 (新潮文庫)

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本棚登録 : 962
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006147

感想・レビュー・書評

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  • 前期に書かれた表題作「もの思う葦」から晩年の「如是我聞」まで、太宰の言葉が集められた1冊。
    太宰はどこまでも一生懸命で、全力で文を書いている。(そのことは、何かの短編で語っていた。)不器用な懸命さというかなんというか、自己犠牲的なもの。命懸け。でも命懸けで書きたかったのは、小説であって、創作だった。だから随筆とか自分のことについては、おざなりでやっつけ感満載。お金のための、お酒のための仕事といった感じ。
    「如是我聞」は、今まで溜め込んで来たものを一気に書き散らした、自己破壊的な印象を持った。世間に対する恨みのようなものもあったかもしれない。そしてうわあああっと喚いて、あっけなく死んでしまったのだから、織田作之助のような最後の足掻きに近いものがある。
    太宰、よくやった!

  • 著者の随想集ということで興味を持った一冊。エッセイは小説とは違って作者が出るから面白い。好みが分かれるところだと思うけど著者の退廃的で斜に構えたような態度は意外と共感できる。川端康成、志賀直哉へのメッセージは時折感じられる自虐的な態度とは打って変わって、強烈で言葉の強さや文章を書くことに対するこだわり、自信みたいなものを感じた。また一層太宰のフアンになった。

  • 2019.6.2
    p27の「兵法」がとても参考になった。買い物でも迷ったら買うなと言うけど、文章でも同じなんだなと妙に腑に落ちた。

    全体的に、とても人間味を感じる本だった。
    意外だった。

  • 奇しくも桜桃忌に読了。「笑い。これは強い。文化の果の、花火である」この一文を読み、又吉さんの「火花」というタイトルはこの言葉へ捧げられたオマージュだろうか?と思った。本書は太宰の小説以外の随想集で、少し毛色が違ったエッセイが収められている。「川端康成へ」と志賀直哉への痛烈な批判「如是我聞」が強烈だ。如是我聞では「いくらでも書くつもり」なんてしめているのに…続きが読めず無念。「悶々日記」が意外と好き。小説よりも太宰の人間くささに触れられる好著。

  •  随筆など小品を集成。短いものは1頁程のもの。多くは2、3頁程で、気軽に読み進むことができて楽しい。

    とりわけ、以下の短編・随筆が面白い。
    『酒ぎらい』。お酒が好きな太宰だが、外の居酒屋で飲むのを好み、自宅に一升瓶があるだけで妙に落ち着かない性分。ある日、旧来の友人が家に来訪するのを機に、お酒を一気に飲み干し、在庫処分せんとするのだが…。
    随筆だが、短編の趣もあり、楽しい。

    『「井伏鱒二選集」後記』の“早稲田界隈”の話。太宰は、最敬愛の師井伏氏と共にぷらりと早稲田の町に立ち寄ったところ、早大の文科生らがぞろぞろどこまでもついて来る。「皆、呑むつもりなのだ」。

    そして『如是我聞』。志賀直哉に対する、実名を挙げての批判攻撃。ここまで言うかと失笑するほどの口撃。小気味好いほどで、且つ、文学に対する太宰の姿勢、美学も滲んでいて面白い。

  • 日本が負けて戦争が終わったってえのに
    文壇じゃ相変わらず戦争前の伝統やらを重んじて
    戦争協力してきた連中をありがたがっていやがるのは
    いったいどういう了見だ
    これあるを期してさっさと死んだ芥川を
    ちったあ見習ってみてはどうなんだい
    といった具合の剣幕で怒り狂う太宰の「如是我聞」は
    戦後日本に対する、たったひとりの宣戦布告である
    これによって太宰は、ほとんどの文芸誌にあっさり干されてしまう
    そもそも芥川にしたって
    志賀直哉や久米正雄のようなずぶとい神経にあこがれて
    「エゴイストになりたいのだ」などと書いてたはずなんだけどね

  • 死ぬ事を考えている人には是非100ページを読んでもらいたい。ここまでの創造力があったにも関わらず、結局自ら入水自殺をしてしまったことは悔やまれる。
    後半の歯に衣着せぬ志賀直哉への批判も痛快。

  • 人間失格を読んで、(というか、太宰治は人間失格と走れメロスしか読んだことがない)
    かなり太宰治が嫌いになったんですけど、
    この本を読んで、ちょっと好きになった。
    おもしろかった!


    「小説」ってものに対して、
    はっきりとした思想を持ってるのを強く感じた。

    自分の審美眼を信じてるところも
    苦労や不幸に敏感なところも
    「小説家」として「小説」を書き続けるところも
    とにかく真剣に、全力で作品を作るところも
    素敵だなと思った。

    なんか、何事にも本気ですよね。素直だし。

    「芸術ぎらい」なんかは、すごく共感した。

    あと、最後の「如是我聞」は、かなりウケた。(笑)
    志賀直哉に喧嘩売ってた!
    先に喧嘩売ってきたのは志賀直哉か。
    私、(今のところ)志賀直哉嫌いなんで、なんかすかっとしました。(笑)
    ヒステリックだとは思わなかった。
    感情的だなとは思ったけど。

    >風邪をひいたり、中耳炎を起こしたり、それが暗夜か
    この一文はほんとおもしろかった。
    暗夜行路読んでみたくなりました。
    >何が神様だ
    まるで新興成金そっくりではないか
    おもしろいw
    小僧の神様も読んでみたい。

    共感もたくさんあったし、
    へーなるほど的なのもたくさんありました。
    私の頭じゃ理解できません…ってのもいっぱいあったけど
    もう忘れちゃった。

    「晩年」を読んでみたいなと思いました。

  • 太宰治の随想集。
    交友関係のあった作家達の話とか面白い。

    途中まで読んで紛失。→オトナアニメの下から発見!

    最後の「如是我聞」では志賀直哉なんかの悪口をすごい言ってて驚いたがますます太宰治が好きになった。

  • はてさてどこまでが本気でどこまでが冗談なのか分かりづらいですけど、「如是我聞」では本気でご立腹されていたところがね、もう完全にムキになってますよね。あれただのイチャモンですよね。

    この人の自分大好きなくせに大嫌いで自虐的でサービス精神旺盛なところがやっぱり好き!!

    09.10.30

著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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