もの思う葦 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 961
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006147

感想・レビュー・書評

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  • 太宰を読まずに死ななくて良かった。
    惚れっぽい自覚もあるので、知る人には「またか」と言われてしまいそうだが、
    これまでひらいたことのある小説や評論、随筆の中でも、こんなに痛快で、心が軽くなったり、苦しくなったりした文章はない。
    本当に、これを知らずに死ぬなんて勿体無い。
    別に、太宰を読め、と言いたい訳ではない。
    人によっちゃあきっと、「何だこの卑屈屋」と吐き捨てる人もいるだろうから。
    だが、少なくとも私にとっては、知らずに死ぬことはできなかった人だ。

  • 生きようとする意思に満ち充ちた文章。太宰に暗いイメージしか持たない人に是非読んでほしい。書くことと生きることに懸命に向き合った、殊勝で不器用な姿に心打たれる。

  • 新潮文庫の太宰さん随筆厳選集です。
    かなり面白かったよ!
    破綻した生活をしていた部分もあるけれど、やっぱりこの人は頭が良いんだな~って思いました。

    上から目線じゃないし、変に気取ってないし、人生(カピ生)の為になりそうな言葉がたくさんあって、とてもお勉強になりました。
    最後に収録されていた志賀直哉さんに対する反論は、事情がわからないからちょっとビビったけどね(苦笑)
    らじはやっぱり太宰さんの文章って好きだなぁ…♪

  • 久しぶりに読みました。太宰のエッセイや書簡のようなものを集めた作品集。49編も入ってるとあって、1~2ページの短いモノが多いです。
    太宰の小説の言葉と文体が好きな私は、大変満足して読むことができました。なんでこう、琴線に触れるんだろう。心地よく、愛しいです。

    大学時代に読んだ太宰の全集に印象に残る話が載っていましたた。
    海で難破した男が助けを呼ぼうと崖にすがりついた刹那、団らんする家族の様子が目に入り、あの団らんを壊してはならないのではないかと思って、助けを呼ぶことができず、そのまま波にさらわれてしまったという話。

    この本に載っていたので、数年ぶりに読めて、よかったです。

    だいたい、この時代の作家さんが、谷崎潤一郎やら井伏鱒二やら芥川龍之介やら志賀直哉やら、読んだこと無くても名前は知っているだろうと言えるレベルの著名作家が、相手を名指しして批判したり作家論をかざしたりしてしまうのだから、本当に面白い。

  • 太宰治の文学論、と言うと何となくピッタリ来ないけど、自分の気持ちと外の世界との乖離を嘆く気持ちがストレートに表現されてて面白い。
    「如是我聞」の最後の方で、「文学に於いて最も大事なものは『心づくし』である。宿酔いを求めるのは不健康である。」と言っているのが特に印象的。

  • アフォリズム・随筆・作家論等が収められている。

    「思案の敗北」
    "ルソオの懺悔録のいやらしさは、その懺悔録の相手の、神ではなくて、隣人である、というところにある。世間が相手である。・・・ここに言葉の運命がある。"

    言葉に・発話行為に、原理的に孕まれざるを得ない、虚偽。
    _____

    「織田君の死」
    "生を棄てて逃げ去るのは罪悪だと人は言う。しかし、僕に死を禁ずるその詭弁家が時には僕を死の前にさらしたり、死に赴かせたりするのだ。彼らの考え出すいろいろな革新は僕の周囲に死の機会を増し、彼等の説くところは僕を死に導き、または彼等の定める法律は僕に死を与えるのだ。"

    全く同感である。
    _____

    「如是我聞」
    "はりきって、ものをいうということは無神経の証拠であって、かつまた、人の神経をも全く問題にしていない状態をさしていうのである。"

    "おまえたちには、苦悩の能力が無いのと同じ程度に、愛する能力に於いても、全く欠如している。・・・おまえたちの持っている道徳は、すべておまえたち自身の、或いはおまえたちの家族の保全、以外に一歩も出ない。"

    "世の中から、追い出されてもよし、いのちがけで事を行うは罪なりや。"

    "弱さ、苦悩は罪なりや。"

    同時期の『人間失格』と通底する、無限の苦悩、徹底的な自己反省・自己否定。

  • すごく綺麗で素敵な文だなと感じるところがたくさんあります。

    それから小説ではわからない太宰の交友関係(たとえば井伏鱒二)、
    敵(たとえば川端康成)のこと
    読書の趣味も書かれており
    これは非常に興味深いです。
    太宰の嗜好をたどることで太宰作品への影響をみることができるかもしれない

    なので作中で紹介されている本、私も手にとってみようと思います

  • 如是我聞・走ラヌ名馬・一つの約束・かくめい・徒党が好き。

  • 『海』、『かくめい』、『徒党について』、『如是我聞』は、特におすすめ。

  • 10数年ぶりに再読。私が太宰作品でいっとう好きなのは「津軽」で、津軽の太宰もお茶目で露悪的でたいそう可愛いのだが、「もの思う葦」の太宰もぐるんぐるんしてて大変良い。「もの思う葦」は短編集ってよりも、散文集のような感じなのだが、この思索の飛びっぷりと自虐っぷりがたまらん。太宰はそれこそ10代後半に狂ったようにハマって読んでいたのだが、それから10数年たった今だからこそ楽しめる部分や共感できる部分もあり、何度読んでも興味深い。

著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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