新樹の言葉 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006161

感想・レビュー・書評

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  • 1か月掛けてじっくり読み込んだ、久しぶりの太宰。
    中期作品ということで、自身の復活、更正への思いが感ずられる短篇が多い。
    純粋なことばのあそびに、一々うっとりしてしまう。
    「懶惰の歌留多」なんて、ことばの端々に見え隠れする甘美さには溜め息漏らさずにページを繰ることなぞできまい。

    一般的小市民であることの仕合わせを目指す太宰の、小さな仕合わせとズレ、可笑しさ、滑稽さ、寂しさ。

    あの、好きです、
    と言いたくなる。太宰。

  • 「秋風記」「愛と美について」「火の鳥」が結構好き

  • 太宰さん、トクシュです。

  • ヤク中と自殺未遂という地獄の時代から這い上がろうと懸命にあがいていたころの作品中。
    なんか、まだ精神病んでるせいか、やっつけな作品が多い気がする;
    『懶惰の歌留多』とか『火の鳥』は、完全に途中放棄してるでしょ。特に後者は完成していたら太宰作品のなかでも結構名作になったと思うのにな~もったいない。

    いくつか印象に残った作品についてメモする・

    『秋風記』 人妻Kと自称・不良少年の主人公が旅館で心中しようとする話。太宰ってこの手の自殺未遂もの多いよね。。自身の体験をもとにしてるんだろうけど憂鬱になってしまう

    『新樹の言葉』 故郷で世話を受けた乳母の子供たちと異郷の地で再会する話。
    「投げ捨てよ、過去の森。自愛だ。私がついている。泣くやつがあるか。」泣いているのは私であった。
    太宰の、更生しようと一生懸命な姿勢がうかがえていじらしい。

    『火の鳥』 大作を残そうとしたけどやっぱムリでした~的な、残念すぎる作品。でも個人的にはこれが1番好きかも。女優・高野幸代の物語。色々な男性のもとから、蝶のようにひらひら飛びうつろう女の話。
    よく思うんだけど太宰って女性の気持ちを語らせたら右にでるものはいないと思います。女性よりも女性の心理を穿ってるというか。可憐だなあ。

    『美少女』 銭湯?で出会った美少女の裸体に釘付けになる太宰・・・ロリコンやばいよ

    『春の盗賊』 支離滅裂すぎ、一番やっつけ感ひどいww

    『兄たち』 文学好きな仲良し兄弟の話。3番目の兄が亡くなる瞬間まで粋紳士風であったのは、遺された兄弟を元気づけるためなのか・・・
    どうでもいいがこの短編読んでて“フキヤ・コウジ”なる挿絵画家の存在を初めて知った。高畠カショウとか大好きな私にはたまらない絵柄だった。

  • 明るい太宰、と言うと語弊があるかもしれないし、太宰らしい作品を好まれる方も多いかもしれないけれど、一度は読んで欲しい太宰の一面がこの作品集にはある。読んでいて思わず吹き出してしまうものや、頬が緩んでしまうものがここにはあって、彼の「道化」の真骨頂を感じずにはいられない。

  • 太宰治の「葉桜と魔笛」は
    生きること、死ぬことに対する悲しみが
    とても分かりやすく表現されている。
    読みやすい。つまり、伝わりやすい。

    そして優しい。痛々しいほど、優しい。
    優しさとは何か。
    優しさとは、こういう家族のことだ。
    姉も妹も父も、それぞれに優しい。


    家族愛の美しさは
    「新樹の言葉」にも溢れている。

    血のつながりではなく
    乳のつながりが描かれている。
    主人公が大人になってから
    乳母の子供らと出会う。
    この関係性がいい。

    そして「偉くなりたい」というストレートな前向きさがいい。

    作品全体に危うさがあるからこそ
    明るい気持ちが、いっそう輝きを増す。
    それから、この兄妹のために、という感情が強い点もまた
    男が持つ良さなのだろうと思う。

    偉くなりたい、と
    ○○のために。
    この2つがあれば
    やっぱり「いい男」になるらしい 笑
    いつの時代も、それは変わらないのかも。

    一見、この感情は、太宰らしくない気もするけれど
    逆に、太宰だからこそ、これは外さない、
    という感じかもしれない 笑

  • 「懶惰の歌留多」「春の盗賊」「俗天使」などを読んで、何かに似ているなあ?なんだったっけ?としばらく考えたのち、あぁ談志の落語だ!と思い出した。枕がやたらと長いの。
    太宰も落語好きで影響を受けているらしく、また談志師匠も太宰が好きだったとか。

    だいたい同時期に書かれた「走れメロス」(新潮文庫)の短編を表ベストだとすれば、この「新樹の言葉」はシングルのB面集といったところか。他の作品を読んで面白い、太宰は好きだなと感じた人は「新樹の言葉」は面白いと思う。初めて読む人は「走れメロス」をどうぞ、という感じ。

    安定期に向かう、当時の太宰の苦悩が長い枕の部分に吐露されている。ここがいちばん面白い。

    苦悩はしているが暗いわけではなく、「新樹の言葉」「愛と美について」など心温まる家族愛の話や、「花燭」「八十八夜」など不器用な主人公のラブストーリー、女性とのふれあいを描いた話も。「懶惰の歌留多」はあいうえお作文でハライチみたいに太宰がノリボケし続ける。バラエティに富んでいて、太宰好きには欠かせない一冊。

    落語…落伍…人間失格…とは些か早計か。お後がよろしいようで。

  • 表題作、「老ハイデルベルヒ」「誰も知らぬ」あたりの佳作に、作品としては破綻の様相ながらも作者の葛藤が垣間見える一冊。この本とは関係ないけど、途中で気になって「黄金風景」を再読。何度読んでも素晴らしい。

  • 太宰が精神病院を退院し再起をはかろうとしていた頃の作品集。
    今は太宰を読む時期ではなかったのか、あまり心に響かなかった。
    1つ1つの短編のタイトルを見ても中身を思い出せない。
    兄弟愛を描いた作品が多かった。

  • さちよってどんな女性なんだろう・・?
    太宰治の作品はついていけないところがよくあるけど、個人的に好きな作家です。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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