新樹の言葉 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006161

感想・レビュー・書評

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  • 最初はなかなか進まなくて、少し読んではしばらくほっぽらかし・・・、
    を繰り返していたのに、落ち込んでいた時に再び手にとってみたら、
    あっという間に読み終えてしまった不思議な短編集。

    自分にとって太宰の作品は、
    心身ともに疲れた時、弱っている時に読んで、
    励ましてもらうものなのかもしれない。

    こちらに収録されている「葉桜と魔笛」って作品だけは昔から好きで、
    それだけは何度も繰り返し愛読してきたが、
    他の作品は、自分としてはどれも今ひとつぴんとこなくて、
    本作よりずっとも好きな短編集は何冊もあるのだが、
    ただ、そのような中にも心に触れる言葉はいくつか存在している。

    「純粋を追うて、窒息するよりは、
    私は濁っても大きくなりたいのである。」

  • 太宰治は短編を書く奇才ですね。僕のお気に入りの作品は

    「新樹の言葉」「愛と美について」「火の鳥」「「兄たち」

    ですかね。とくに「兄たち」という作品は感動しましたね。兄弟愛の話なんですよ、それがまあなんともうまく客観的に書いている。センチメンタルにさせないところがスゴイ手腕だと思う。

    ただし「春の盗賊」だけは読み進められなかったね。残念。

  • 2010年10月21日(木)、読了。

  •  全部は読んでいない。未完の作品である『火の鳥』と『春の盗賊』以降以外は全て読んだ。以前は太宰治の作品にハマっていたが、現在の自分の心情と、太宰治の作品の中でもそれほど完成度の高いものではない作品が多かったことから、良いと思ったところはあまりなかった。

     太宰治の作品を読んでいたのは主に中学から高校にかけてであるから、読んだ時の感想がこのように文章として残っていない。しかし、これに収録されている作品は『走れメロス』に収録されている作品と似ていると思った。割と明るい作品が多く、表題作である『新樹の言葉』は『黄金風景』と似て、以前は豪農の坊っちゃんで現在は落ちぶれている自分と、以前は自分の家の女中をしていて現在は幸せを掴めている、または掴もうとしている女性との対極が描かれている。そして富士の見える甲府盆地での体験が描かれた作品も多い。

     これを読んでいて思ったことだが、太宰の中期の作品は人間賛歌のものが多い。現在は落ちぶれている自分を描きながらも、以前は女中のようなことをしていた人物でも現在は気高く気丈に生きている他者が登場し、その人物に自分の希望を託している。太宰は『人間失格』などで知られ、人間を否定的にみていると思われがちだけれども、そのことは逆に人間を信じたいと思い、人間の善の部分を希求していたことの裏返しなのではないかと思う。

  • とても皮肉っぽくって素敵でした

  • あの有名な『人間失格』とは全くと言っていい程爽やかな作品。乳母を通した偽義兄弟との再会を題材にしていました。

    まず、やはり「再会」を持ち出したことが『人間失格』とは印象が異なった。再会というのは希望や、明るいイメージの方が強い。己の愚かさを徒然と綴り続けるという、私が元来もっていた太宰治という人物像とは異なりすぎて、動揺しました。

    主役となる男性も、そこまで卑屈にならず、再会を純粋に喜ぶという、素直で愛らしいところも見せていました。葉蔵とは似ても似つかない。この時太宰は何を考えていたのだろう、と勘繰らせてしまうような、そんな明るい希望を微かながら感じさせるものでした。

    けれど、最後の火事のくだりはどうなのだろう。
    読みこんでいない私が言えることではないが、初読の印象をそのまま述べるとするなら、少し背がぞわりとしました。
    もともとは自分の屋敷であった建物が燃えていく様をじっと見つめて観察している。そこに、あの兄妹はいったい何を感じてるのかさっぱりわからなかったから。主人公はそれこそ強さだとは思っているようだが、本当にそれは強さなのか、もう少し動揺したり、感慨に耽ったりするものではないのかとも思った。けれどそれは太宰の文体で描かなかっただけかもしれないし、私の一方的疑心でしかありません。

    いずれにせよ『人間失格』とはかなり違ったところが見られましたが、これはこれで私は好める作品だなあと思いながら読了。

  • 2010/6/26購入

    比較的読みやすい小説ばかり入っています。

  • I can speak-
    言葉を発せないと思いを伝える事は出来ないのは、そりゃあそうですよね。人間は言葉で考えるから、言語習得は人間には必須。自分の感情にあてがう言葉が見つからない時の感じは歯がゆくてじれったい。酔った勢いであれ女工に話しかけることのできた弟が羨ましかったのかな?I can speak English. sometimes its easier to describe my feeling in english, but then i find it hard to find a japanese person who agrees and understands what i meant.

    愛と美についてー
    四人兄弟と母親(父親とは死別)が突然持て余す暇つぶしのための物語連想ゲーム。物語の語り口から4人の性格を表現する。「けれども幸福は、それをほのかに期待できるだけでも、それは幸福なのでございます」この一文が好き。

  • 春の盗賊はいい。

  • この本に収録されている、火の鳥が大好きです。女主人公の感情描写や成り立ちにの細やかな文章が良いです。
    火の鳥は、途中で挫折して未完で終わっています。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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