モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 91
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101007045

作品紹介・あらすじ

小林批評美学の集大成であり、批評という形式にひそむあらゆる可能性を提示する「モオツァルト」、自らの宿命のかなしい主調音を奏でて近代日本の散文中最高の達成をなした戦時中の連作「無常という事」など6編、骨董という常にそれを玩弄するものを全人的に験さずにはおかない狂気と平常心の入りまじった世界の機微にふれた「真贋」など8編、ほか「蘇我馬子の墓」を収録する。

感想・レビュー・書評

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  • https://www.silkroadin.com/2021/08/blog-post.html

    「モオツァルト・無常という事」を読んで。





    難しい。小説を普段から読まないので「尚更に」

    全然理解出来ませんでした。と言うのが個人的な感想。





    全体を通して、「美について著者の考えが書かれた本」というのが個人的な理解です。。





    読後、自分も美について色々と考えてみました。



    結論。



    「美は、もしかしたら存在しないかもしれない。」





    美にはいくつか種類があって、グランドキャニオンのような自然による造形や、芸術的な美、建築構造などの造形美、一生懸命な生きざまなどの精神美、など、、美の形式は一様ではない。





    しかし、美について共通して言えることは、人間が体の器官を通して感じる感覚のひとつでしかない。という事。







    実際にグランドキャニオンは必ずしも美しくないし、芸術的な美や精神美さえそれを美しいと感じるかどうかは人による。





    実際に美は存在するが、それはグランドキャニオンが美しいからではない。美の対象を見た人間の中に存在する感覚そのものが美の正体というのが妥当ではないでしょうか。





    もし、そうであるなら、美とは対象となるものを美しいと感じる心。かもしれません。







    「美とは現実にあるひとつの抗し難い力」、「美は人の行為を規正し、秩序づけることによって、愉快な自由感を与えてくれて然るべき」など、著者は本書でこのように語っています。





    わたしにとっては、本書で語られる美についての論理的に核心をついた言葉の数々が、美について新たな知見を与えてくれる一冊となりました。





    みなさんもモーツァルトを聴きながら、本書を読み、美について改めて考えてみてはいかがでしょうか。

    面白い発見があるかもしれません。是非、ご覧ください。










    (蛇足)

    私事ですが、最近ピアノソナタが好きで辻井伸行さんや反田恭平さんのベートーベン、リスト、モーツァルトなどを聴いていました。





    クラシックを聴くメリットとして集中力が高まるということは一般に広く知られてきていると思いますが、前葉体賦活系(RAS)の働きが活発になる感覚を体感(個人的)できます。





    無印BOOKという無印良品セレクトの本屋さんで偶然見つけて即購入&読了(全然理解できてませんが、、、)



    表紙の、音の旋律を表すかのようなグラフィックデザインも素敵です。





    読んだ後も飾って楽しんでみてください。



    最後まで、読んでくださってありがとうございます。

  • 2020年90冊目。批評形式の短編集。順番を無視して表題の無常という事から読んだ。宙くんのお勧めだったので。教科書に載ってるのを、今も覚えているらしい。死とは動じない美しい形。/20200608

  • 第40話「モオツァルト・無常という事」小林秀雄(新潮文庫)
    ・「モオツァルト」
    モオツァルトの伝記は次の二つに集約できる、という箇所で二点モオツァルトについて取り上げられたことがこの批評の中心となっている。
    モオツァルトは歌劇作者よりシンフォニー作者としての方が立っている。

    ・「当麻」
    (有名な一節を見つけました。)
    美しい「花」がある、「花」の美しさという様なものはない。

    ・「西行」
    西行は、歌の世界に、人間孤独の観念を新たに導き入れ、これを縦横に歌い切った人である。
    (西行は和歌が素晴らしく、しかも長命のため多作)
    ・「実朝」
    (鎌倉幕府第3代将軍でこちらも和歌が素晴らかったというのは初めて知った。)

    ・「徒然草」
    吉田兼好は文章の達人であり、空前絶後であると、(とにかく褒めている。)

    ・「無常という事」
    (著者の心に残った次の文章についての批評。)
    「或云、比叡の御社に、いつはりてかんなぎのまねしたるなま女房の、十禅師の御前にて、
    夜うち深け、人しづまりて後、ていとうていとうと、つづみをうちて、心すましたる声にて、とてもかくても候、なうなうとうたひけり。
    其心を人にしひ問はれて云、生死無常の有様を思うに、此世のことはとてもかくても候。なう後世をたすけ給えと申すなり。云々」

    ・「平家物語」
    「盛衰記」と比べると格段の違い。
    (「平家物語」の冒頭の神がかり的な素晴らしさ。)

    ・「蘇我馬子の墓」
    石舞台は蘇我馬子の墓
    竹内宿禰、大和朝廷、
    愚管抄、日本最初の史論書
    聖徳太子「経疏」
    要約の出来ぬ美しさの大和三山

    ・「鉄斎Ⅰ」
    富岡鉄斎 南画家 天保7年~大正13年
    川端康成の処
    鉄斎 酒を呑み、琴を弾きながら何処かへ行ってしまった人である。
    気質 文人画家

    「八十七歳の時に描かれた山水図を、部屋に掛けて毎日眺めているが、
    日本の南画家で此処まで行った人は一人もないと思わざるを得ない。
    文人画家気質は愚か、凡そ努力しないでも人間が抱き得る様な気質は、もう一つも現れていない。鍛錬に鍛錬を重ねて創り出した形容を絶したある純一な性格を象徴する自然だけある。」

    「万巻の書を読み千里の道を行かずんば画祖となるべからず。」
    董其昌の戒律を脇目もふらず遵奉したひとである。

    ・「鉄斎Ⅱ」
    八十九まで元気旺盛にした仕事大器晩成という朦朧たる概念を実演しているようなもの、当人も志は画にないと言っているのだから致し方がない。
    琳派
    鉄斎は非常な読書家であった。併し、若し彼に画道という芸当がなかったなら、彼の雑然たる知識は、その表現の端緒を掴み得ず、雲散霧消したのではあるまいか。

    ・「鉄斎Ⅲ」
    贋作と富岡鉄斎

    ・「光悦と宗達」
    光悦について
    岡崎政宗が有名な刀剣である政宗の由来となった人物本阿弥光悦は偉大な芸術家宗達は生国も死地もわからず伝説中の人物

    己れを失わずに他人と協力する幸福、和して同じない友情の幸福、そんな事を考える。

    幸福は、己れを主張しようともしないし、他人を挑発しようともしない。

    ・「雪舟」
    「慧可断臂図」の絵の元になったのは中国人の顔輝

    百尺竿頭
    「百尺竿頭に一歩を進むべし」
    (極地に達したあと、さらになお向上の工夫せよ)

    ・「偶像崇拝」
    高野山の赤不動を見てがっかり
    ・「骨董」
    ・「真贋」

    『まとめ』
    小林秀雄の文章を読んでいると心地が良いのだが、
    内容が良いものと悪いものがある。

    近代批評の確立者と言われたり、
    評論をダメにしたとか言われたりするが、
    個性のある文章を書いたに過ぎない
    と思う。
    大した内容でもないのに、引き込まれてしまう時があるし、全く面白くないのもある。
    情報が多いと言われているが現代に、もし小林秀雄がいたらどういう文章を書くのかなと思ってしまう。

  • 批評といえば、この人。
    なのだが、分からない。全く分からない。
    参った。素晴らしいことを伝えているんだと思うが、分からん。
    いつかわかる日が来ることを願う。

  • 『天才は寧ろ努力を発明する

  • 最初は、なんて難しい文章を書くんだろうと辟易したのですが、筆者による余所からの引用がたいへんわかりやすく取り纏められていることに気づいたとたん、これは文章力ではなく、自分の思考力が筆者の思想のレベルに追いついていなかったのだと、了解しました。その瞬間の、敗北感とは違う悔しさのような、おもしろさのような、向上心のような? そんなふうに感じたのは初めてでした。
    内容はなかなか主観的なようにも感じますが、それのどこが悪い? と思わせるような説得力。信念と文章の確かさ、なのか。
    しかしまだまだ難しい。知識も乏しくお恥ずかしい。要精進。
    「モオツァルト」「偶像崇拝」「真贋」

  • これも積んでてなかなか読めなかったが、ドライブ受けて読みました。モオツアルトの楽譜がまず読めないので、これは家人に演奏していただいた。楽譜から音楽が聞こえてこない素人は、悲しい。古文が読めない素人は悲しい。絵画も骨董も素人なのも、とても悲しい。それでも文章はビートが効いていて、実に良かった。小林秀雄の本からは音楽(リズム)と、そして声が聞こえてくる。「○○なのではない。○○なだけだ」的リズムが。

  • 2012年最初の読了。
    自らの教養のなさを痛感しつつ、美、才、ことばのもつ力とその限界を思う。人間は時とともに進歩・向上(これらの言葉にも限界あり)するという概念自体にも更なる懐疑が生まれた。一冊の本にこれだけの示唆と発想の端緒が詰めこまれては、読むほうがついて行けない。

  • 基礎知識がないと読み進めるのが辛いかも。頑張って読むと、その後の読書で感じ方が変わってくる気がした。
    文字や知識からではなく直観で理解する、というと今の時代ではトンデモ論のように聞こえるかもしれないが、訓練され研ぎ澄まされた感覚ではそういう事が起こり得る。羽生善治さんの「大局観」とも通じる感覚だろう。

  • 難しかった〜
    これは歴史や美術の知識がないと理解するの無理だね。
    逆に高校生で日本史勉強してます!世界史の美術史やりました!くらいの時の方が楽しめるかも。

    それでも辛うじて得たこととしては
    批評は自由だということ。
    しっかり自分の目で見たものに関して、これはよい、なぜよい、なにと比べてよいと思う、と表現していいということ。
    自分の体験や気持ち、言われたこともかき混ぜて、自分の全部を使って理解したことを自由に書いていいということ。
    それに正解も不正解もないということ。

    かっこいいなー!と思った。

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著者プロフィール

小林秀雄

一九〇二(明治三五)年、東京生まれ。文芸評論家。東京帝国大学仏文科卒業。二九(昭和四)年、雑誌『改造』の懸賞評論に「様々なる意匠」が二席入選し、批評活動に入る。第二次大戦中は古典に関する随想を執筆。七七年、大作『本居宣長』(日本文学大賞)を刊行。その他の著書に『無常といふ事』『モオツァルト』『ゴッホの手紙』『近代絵画』(野間文芸賞)など。六七年、文化勲章受章。八三(昭和五八)年、死去。

「2019年 『人生について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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